燃えるような紅葉に彩られた十月下旬の北アルプス上高地。その梓川沿いの小梨平で、映画『黒い断崖』のロケが行われた。

信じられない事故が起きた。登山中にアイゼンが折れ、大学生の井能哲也が転落死したのだ。

紋章上絵師の章次のもとに、かつて心を寄せあっていた女性から、二十年前と同じ蔭桔梗の紋入れの依頼があった。

70年近くも昔の奇妙な三つの死。昨年の冬、完璧に封印された館で発見された、不条理きわまる六つの死。

千社札を貼る初老の男と女性アイドル・タレント。二つの“死”を結ぶものは。

小学校の同窓会に出席した真杉伸子は、かつて彼女に惚れていた宮田治夫と久しぶりに会った。

詩織の母はいまわの際に「トランプの本」と言い残して病死。

かつて都から伊勢に遣わされた哀しみの皇女が辿った道で、崇りとも思われる殺人事件が発生。

孤高の新宿署刑事・鮫島―。犯罪者たちは「新宿鮫」と恐れる。

大ホテルチェーンの御曹子にして腕力だけが取柄のムウこと武藤俊に、無理やり誘われて『銀座探偵局』なる看板をあげたシティマガジン編集長の僕。

見知らぬ男が、見知らぬ家で自殺をはかった。なぜこんな事件が起こったのか?謎解きは26年前の夏の高校野球大会にあった。

昭和51年南アルプスで播かれた犯罪の種は16年後、東京で連続殺人として開花した―精神に〈暗い山〉を抱える殺人者マークスが跳ぶ。

名門東都ホテルへ入社した高村博は、社長の要請でライバルの大東京ホテルへ再入社したが、その目的は大東京ホテルを内部から撹乱し、評判を落とすことだった。

親のおかげで何不自由なく暮らし、有余る金と膨大な時間を持て余す若者大矢隆。ある日、彼は格好の暇つぶしの相手を見つけた。

ガン患者の老女を見舞う息子と嫁、可愛い孫。

怪しげな僧侶やインチキ新興宗教の教祖、超能力青年や手品師、さらには呪術研究家やアフリカの呪術師など、日本とケニアの魑魅魍魎が跋扈する世紀末の人間戯画。

〈さよなら。もう電話しないわ〉夏の終りに女が言った。

果てしないワヌーバの冒険。異色長篇小説。

その年一つの殺人が行われた。それから7年後、別の殺人が行われた。

一脚の椅子の下方横手、調理台と食卓との間の狭苦しい床にうつ伏せている人の五体(枷市)、その薄黄色いセーターと床板との、もうたいがい乾いているような血潮の色合いが、たちまち彼女の目に飛び入り、なんとも忌まわしい事態に直面しそうな予感の怯えは、次第に強く濃くな

新年早々、京都二年坂で、首と手首のない男の死体が発見された。

ひたすら人の心の荒野へ向う写真家のファインダーに人生の何が映し出されるのか。

藩中一、二を競う遣い手同士の凄絶な果し合いを乾いた抒情で描きだす表題作はじめ、円熟期士道小説の中・短篇二十三篇をおさめる

朝、自分のベットで目をさましたとき、リーはその日がなぜ他の一日と違っているのか、理解できなかった。

友人の謎の死、地底湖へのダイビング、そしてエコロジー運動の内幕。

名探偵・御手洗潔、今回の相手は樹齢二千年を数える大楠か。

「戦争だ」―体に疼く暴力への衝動が貢の体を渋谷へ突き動かす。少年院から戻った貢は、渋谷で暴力を炸裂させる。

同級生の宮前由希子が車に撥ねられて死んだ。彼女は俺の子を身篭っていた。

強引なやり口で悪名高い実業家の添田が斬殺された。目撃者によると犯人はなんと黒い鎧に身を固め白馬に乗った騎士だというのだ。

仕事は簡単明瞭。この男を消していただきたい。

結婚十周年をむかえた芦田和賢と千巻。夫は在宅勤務を認められたコンピュータのシステム・エンジニア、妻はテニスのコーチ。

西麻布のマンションで女が殺されているとの通報が所轄の麻布署に入った。被害者は銀座のバー「やしろ」の経営者である。

笑うか、泣くか?悪漢小説。超大型新人の最高傑作。

〈蓬莢山の黄金、鬼道の力、そして空海の秘宝“四殺”を手中にした者が覇者となる〉黄金を狙う獣師猿翁は、野望を成就すべく文成仙吉と手を組んだ。

松川ダムに浮かんだ7つの段ボール箱。その中にはバラバラ死体が…。

ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。

ドイツが入手した日本の最新鋭戦闘機のデータは、まさに驚愕に価した。ほどなく二人の札つきパイロットに極秘指令が下る。

それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。

関ヶ原合戦前夜、家康を挟撃せんと北国の雄・上杉と石田三成がむすんだ密約の行方を追う歴史小説雄篇。

関ヶ原合戦前夜、家康を挟撃せんと北国の雄・上杉と石田三成がむすんだ密約の行方を追う歴史小説雄篇。

その女は死んだはずだった。ススキノのバーで飲んでいた〈俺〉に電話で奇妙な依頼をしてきた女は、コンドウキョウコと名のった。

心から愛せる女性に初めて巡り合い、幸運にもその直後に妻が姿を消した。

兄の変死で帰郷した医学生翔二は、事故の捜査が打ち切られ、なぜか両親までが口を閉ざすことに激しい憤りを覚えた。

失踪した息子の伝記を作り、自費出版したい―。

男は、3年前に別れた妻を救うために、その街へやって来た。「なにからはじめればいいのか、やっとわかったよ。

優美には他人に言えない秘密の愉しみがあった。「万引」である。

暗い過去を持つ元刑事の私立探偵のもとに、失踪人捜査の依頼があった。2人組の男女が会社の金を持ち逃げしたというのだ。

山形新幹線「つばさ」で東北に向かった若い女性が相次いで蒸発。

僕は三田村誠。中学1年。

18歳にして57人をナイフで解体した美貌の人食い鬼（グール）――八千草飛鳥につけられた病名は殺人嗜好症。

工員浅辺宏一は病的なまでに嘘をつかずにいられない青年であり、自分の嘘を全うするためには会社を辞めることさえ辞さなかった。

新婚旅行先のオーストラリアで、田川は七人の老人たちが断崖から次々と飛び下りるのを目撃してしまった…。それから十七年。

白金台の八芳園で行なわれた池沢英二と津田隆子の結婚式の披露宴に、池沢と絵画教室の仲間の浅見雪江も招待された。

浪花の刑事・ブンこと文田は大阪府警捜査一課の若手で、総長こと総田部長刑事と名コンビを組んでいる。

女性蔑視をあからさまにする初老の男、アパートの隣室に住む不気味な若者、人の善意を踏みにじる若い夫婦…。

平安京、795年。地獄より甦った「屍魔」たちの暗躍に、誕生してまもない都は恐怖におののく。

アメリカの巨大鉱業会社から、ペルーの山岳ゲリラの首領抹殺の仕事を依頼された破壊工作員・志度正平は、首都リマに到着、二人のインディオと共にゲリラの進発地チャカラコ渓谷に向かう。

誘拐犯からの連絡が、こともあろうに警察に届くとは。約束の場所に、しかし犯人は姿を見せなかった。

深夜、同じ番号にかかった電話が、偶然全てつながった。

奇妙な童謡を模して、探偵ばかり狙う殺人鬼・猫。残忍かつ狡猾な見立て殺人は、13人目の犠牲者に向け研ぎ澄まされていった。

今の君を救うのは、生きて僕が還ること―。恋人たちを翻弄した遺伝子の罠とは?新鋭によるミステリアスな書き下ろし恋愛小説。

猫もしゃくしも大騒ぎする地方区の選挙戦。

死ぬも生きるも運まかせ。たった一騎で戦場に斬り込み、朱柄の槍を振り回す―。

江戸裏店の情趣を、これほど陰翳ゆたかに描いた作品世界はかつてない。円熟期の市井小説名品集。

ガウンの胸から腹の辺りにかけて、赤く血が広がっている。その真中に、ポカッと空虚な穴があいている。

一家心中のあった屋敷での電話番、それは身も凍る戦慄の一夜になるはずだったが…。

野上英太郎と同居することになった俊介とジャンヌは、中学の担任松永麗子先生の訪問をうけた。

“伊達邦彦”復活!日本銀行から数億円にのぼるダイヤを強奪して、カナダに逃亡した伊達は、整形手術で顔を変えた。

「なにも言わずに消える。それが俺には納得できなかった」自分の前から、突然消えた女を追いかけて、青年はこの街にやって来た。

交通事故の被害者の所得証明を偽造して保険会社から不正に休業補償金を受け取っていたことが発覚し、保険業界から追放された沖本浩三。

成城署の真名部警部は、偶然知り合った脳性マヒの少年の並外れた知性に瞠目するようになる。

東京の地下鉄三田線の車内でOLが刺殺された。

東京駅発の最終ひかり号グリーン個室に、毎晩美女が乗る。ある夜、そのひかり号個室で会社社長が殺された。

三陸鉄道の車中で、水産会社を経営する男が殺された。男の娘は父の死の前日、捜査一課の十津川警部に助けを求めていたのだ。

幕末から明治初期にかけて、短命ながら、一世を風靡した歌舞伎俳優がいた。その名を、3代目沢村田之助という。

高校野球界のスーパースターが全身にガソリンをかけられ、焼き殺されるというショキングな事件が起こった。

二昔も前に愛した女と旅先きで待ち合わせた男。

警視庁捜査一課片山義太郎の妹・晴美が、恋人石津刑事と三毛猫ホームズと一緒に帰宅途中のバスの中で、突然「降りましょ」とホームズに呼びかける少女がいた。

バー・三番館は電通通りに面したビルの最上階にある―。

あまりにも巧妙なドラマ構造をもつ日本人の劇『忠臣蔵』。

父、母、弟を戦争で喪い、10歳で孤児となった春日正明。

パチンコ業界の裏世界を暴く、待望の書き下しハードボイルド巨篇。

検察側の正義と弁護側の正義。そして、検察審査会の正義。

聳え立つ富士を背景に、ソープランドの屋上に立つ自由の女神像―。

優しく、ときには非情に―。万華鏡のようなTOKYOを奔走する、ニュー・ヒーロー探偵・竹花颯爽登場。

野心を抱き、終着駅新宿に降り立った見知らぬ男女、宮地杏子、浅川真、軍司弘之―。

櫛田潤一の恋人、島崎清子が扼殺された。遺品になぜか“川岸一義”名義のタクシーカードが…。

新宿駅発最終の夜行列車に乗った恵子は、不帰の客となった。

デビュー以来今日までの輝かしい作品群を集成。40年前、花火の弾けた思い出が目の前に蘇える「花火」。

「ゴッホゆかりのプロヴァンス地方で国際駅伝を」一女性の投書に惹かれた和栄新聞社企画部長木村は、実現に向けて南フランスへ飛んだ。

北国の小藩・海坂、清流と小立に囲まれた組屋敷、一人の少年藩士が成長する姿を描く「蝉しぐれ」と、朋友相喰む熾烈な覇権劇「風の果て」

捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物。

父は大阪に単身赴任。母は外に出てばかり。

伊原有利。まるでもてない26才の独身OL。

団地に住む一人の主婦が殺された―。彼女の葬儀の日、7年ぶりに顔を合わせた“悪い仲間”たち。

ロンドンのビッグベンを象った大時計の完成式典で、針が十二時を指した時、仕掛け人形のかわりに死体が飛び出した。

自分にプロポーズまでしていた中原が、なぜ自殺をしてしまったのか。

上野発“特急あさま3号”で旅行作家が毒殺された。十津川警部の追求に、信州での幻の殺人事件まで暴かれて…。

銀座の交番で道を訊ねてきた若い女性が、突然苦しみだし死亡した。死因は青酸中毒。