偶人館の殺人
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高橋克彦先生描くところの館モノ(?)ミステリ。 タイトルこそはいかにもな館モノ風なのですが、約350ページの本編中、館の存在が明らかになるのは何と150ページを過ぎてから(!)、次の100ページは館探しに費やされて、館の中の展開は終盤に入ってからの100ページくらい。館モノを期待してお読みの読者はきっと拍子抜けでしょう。 本作で探偵役に起用されたのは日英ハーフで世界的デザイナー、ことわざマニアにして素人探偵としての実績もあるという矢的遙(本名:ヤマト・ハーカー)と彼の仲間たち。シリーズ探偵デビュー編らしい、盛りに盛った設定が狙い過ぎであります。 ところが、矢的も含めたこの人たち、たまたま取材で知り合ったというだけで関係者ですらなく、犯罪らしい犯罪も起こっていないうちから、異常な熱意と執念に突き動かされるように首を突っ込んでいきます。警察でも報道機関でもない、それぞれ本業がある社会人揃いのはずなのに。途中、明日は仕事があるからと尻ごみしつつ退場した長谷川氏(デパート勤務)が一番常識人のようです。 おまけにこの人たちの行動といったら、まるきり乏しい根拠と憶測にもとづく見切り発車なもの。後先の考えなしにとりあえず山奥の館に忍び込んで調べてみようといった調子でして、やっていることがまるきり犯罪者です。推理マニアの田島氏にいたっては得々と推理を展開して犯人を名指ししておいて「犯人として物足らんのさ」「いかにも役不足だ」と自分でツッコミを入れている始末。探偵役の矢的にしても名探偵というより、いたずらに事件を引っ掻きまわして事態を混乱させている印象が強く、こんな人たちの興味本位の探偵活動で過去の犯罪を暴き立てられた犯人が気の毒でした。 ・・・といった感じで登場人物の言動には首を捻るところが多いのですが、高橋克彦先生お得意のさくさく進む筆運びは本作でも絶好調。銭屋五兵衛の隠し財宝の行方をからめた2つの家族の確執というプロットはベタベタながらすっきり無駄なくまとまっており、澱みなく進んでいきます。地方ロケの2時間サスペンスと思って気楽に楽しむのが正解かも。もっとも「図書館はたいてい日曜日が休館日」等々、発表当時の風俗描写はいまの感覚では違和感のあるものも多く、時代の流れを感じさせられます。 いっそのこと、初めから隠し財宝狙いのピカレスクロマンとしてお話を作った方がよろしかったのでは? | ||||
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館もののようなタイトルですが、実際は“からくり”をテーマにした推理小説と認識するのが適当ではないでしょうか。なにしろ当の館に探偵役たちが行くのが250ページにもなってから、という館ものはそうそうありません。 ことわざ辞典で日本語を覚えたというハーフのデザイナー・矢的が探偵役で、彼にデザインの仕事を依頼しに来た佐和子がワトソン役。新進企業の社長が脅迫され、毒殺未遂事件が起き、ついには死者が…という筋書き。犯人はもちろん、動機も被害者もなかなか絞れないというのが面白いところです。 伝奇小説ではそれほど気になりませんでしたが、「○○ってわけじゃ(ない)」と最後の「ない」などを省略する独特の会話文が、ミステリではちょっと気になりました。日常会話では割込みなど普通に起きているのでリアルではあるのですが、小説でそれをされるとやはり抵抗を感じてしまいます。 泡坂妻夫の『乱れからくり』と読み比べるのも一興です。 | ||||
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館もののようなタイトルですが、実際は“からくり”をテーマにした推理小説と認識するのが適当ではないでしょうか。なにしろ当の館に探偵役たちが行くのが250ページにもなってから、という館ものはそうそうありません。ことわざ辞典で日本語を覚えたというハーフのデザイナー・矢的が探偵役で、彼にデザインの仕事を依頼しに来た佐和子がワトソン役。新進企業の社長が脅迫され、毒殺未遂事件が起き、ついには死者が…という筋書き。犯人はもちろん、動機も被害者もなかなか絞れないというのが面白いところです。伝奇小説ではそれほど気になりませんでしたが、「○○ってわけじゃ(ない)」と最後の「ない」などを省略する独特の会話文が、ミステリではちょっと気になりました。日常会話では割込みなど普通に起きているのでリアルではあるのですが、小説でそれをされるとやはり抵抗を感じてしまいます。泡坂妻夫の『乱れからくり』と読み比べるのも一興です。 | ||||
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