二重螺旋の悪魔



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初公開日(参考)1993年08月
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長編小説

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二重螺旋の悪魔 完全版 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)

2015年03月27日 二重螺旋の悪魔 完全版 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)

西暦20××年、遺伝子操作監視委員会C部門の調査官である「おれ」は、 今をときめくバイオ企業「ライフテック社」の異状を聞きつけ、調査に赴く。 そこで待っていたのは研究員たちの夥しい惨殺死体と、 魂の抜け殻のようになった、かつての恋人であった。 人間のDNA情報イントロンに隠された謎、それはパンドラの箱であり、 その謎を解き明かす時、人類は未曽有の危機を自ら招く。 「神経超電導化」によって超人化した人類と異形のものたち GOO(グレート・オールド・ワン)との壮絶な戦いが、 お互いの存亡をかけて世界中で繰り広げられる。 恐竜はなぜ絶滅したのか? 進化とは何か? 神は存在するのか? その答えの全てが解き明かされる! 生命の根源を揺るがす近未来スーパーアクション・バイオ・ホラー 『二重螺旋の悪魔』がここに甦る!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点9.00pt

二重螺旋の悪魔の総合評価:8.81/10点レビュー 27件。Bランク


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No.2:
(8pt)
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早すぎたエンタテインメント作品

瀬名秀明氏が『パラサイト・イヴ』で通称“理系ホラー”で鮮烈にデビューし、理科系作家によるミステリ・ホラーのブームの引鉄となったのが1995年。それに先駆けて1993年、既に梅原氏は本書を以って理系ホラーを世に出していた。
しかし版元が朝日ソノラマと認知度がさほど高くない会社であったためか、この作品は一部の読書通のみ知られる存在に留まり、彼の作家としての評価は次作『ソリトンの悪魔』が発表される瀬名氏デビュー同年の1995年まで待つ事になる。それも恐らく瀬名氏そして角川ホラー大賞が起こしたホラームーヴメントに牽引される形だったのではないだろうか。

ともかくも本書はなぜ発表当時に注目されなかったのかが不思議なくらい、よく出来た理系エンタテインメント作品である。
本書は端的に云えば、最新のバイオテクノロジーの知識をふんだんに盛り込んだ、仮面ライダーや秘密戦隊ゴレンジャーなどに繋がる、イントロンから生み出された生命体GOOと超人間UB、即ちアッパー・バイオニックで組織された部隊との戦いの物語だ。それを上下巻併せて1,000ページ以上の厚みで語りつくす。
作者梅原氏が考案した、人間を超人化するNCS機能、即ち<神経超伝導>という現象は壮大な嘘なのだが、それを裏付ける専門的科学知識が精緻に詳細に説明され、読者にさもありなんと思わせる。この一連の創作作法は瀬名氏の『パラサイト~』も同じ。本書はそれと相似形を成す作品だといえる。

瀬名氏はミトコンドリアを、梅原氏はイントロン配列と双方とも怪物の根源を元々人間が、生物の中に備わっていたある組織に着目しているところが全く同じだ。だが、梅原氏は瀬名氏よりもエンタテインメントに徹しており、とにかく次から次へ読者を愉しませるアイデアを放り込み、読者にページを繰る手を休ませようとはしない。

野心溢れる科学者の挫折から端を発したイントロンから生み出された怪物GOOとC機関という隠密部隊の闘い。そしてUBという超人の誕生から、更にはUBとGOOとのお互いの存続を賭けた世界規模での戦いへと物語はどんどんスケールアップする。
従って本書に挙げられる専門的知識は遺伝子工学、生命工学の分野に留まらず、軍事兵器・銃火器にも渡り、しかもそれぞれが詳細かつ緻密である。生半可な知識では到底書けない類いの物ばかりで、この梅原克文という作家の懐の深さ・資質をこの1作で存分に思い知る事ができる。


途轍もない大きな球体が転がり、触手を伸ばして次々に生物を捕まえては同化し、吸収していくという、この地獄絵図のような様子を読んで思い出したのは石ノ森正太郎の『幻魔大戦』だ。他にもまだ本作に繋がるモチーフは見つかるのかもしれない。
恐らくこの作品にはクトゥルー神話と『幻魔大戦』といった梅原氏の好きな作品がいっぱいモチーフとして詰め込まれているのだろう。

逆に本書から後世の複数のジャンルに渡って影響を与えたのではないかと思われる作品がいくつか連想される。

1つは発売されるたびに人気を博し、ハリウッドで映画化もされたTVゲーム『バイオハザード』だ。
本書でもこの単語は使われているが、この「生物災害」という意味のこの単語は本来ならば、感染性の強い開発中のウィルスによる災害を指し、本書でもこのGOOとの闘いはバイオハザードとは見なされていない。しかしゲームは本書で取り上げられた実験で生み出された未知の生命体によって起こされる災厄そのものを示している。本書の内容の近似性と両社に共通する「バイオハザード」という単語から類推するに、恐らくあの大ヒットゲームはこの小説に着想を得ているのかもしれない。

サイバースペースでの戦いは映画『マトリックス』を想起させる。特に超人間UBという、人間の限界を超越した存在は同映画の主人公たちがダブる。

そんな本書だが、一貫してモチーフとして作中にも登場するのがちらっと触れたがラヴクラフトのクトゥルー神話だ。生命体GOOはかつて“CTHULHU”の頭文字を取って“C”と名づけられており、深尾の前に何度も立ち塞がるGOOのコードネームはダゴン102。サイバーホラーに古典ホラーであるクトゥルー神話をハイブリッドした作品なのだ。
元々クトゥルー神話自体、その世界観を複数の作家で共有し、物語世界を広げていくシェア・ワールド構想が成された物であるから、この作品もまたクトゥルー神話大系の一作品となるのだろうし、恐らく作者の意図もそこにあるに違いない。

さてこの未曾有のエンタテインメント作品で梅原氏が採用した文体はなんと主人公深尾による一人称叙述。このようなパニックホラーを描くとすればこの選択は非常に珍しい。多面的構造を採用せず、主人公深尾を常に戦場の第一線に置くという設定だからこそ、この文体を採用したのだろう。
その判断は正しかったようで、主人公の逡巡、苦悩が直截に響き、また常に闘いの最前線に置かれる深尾と共に一寸先に潜む危険を探る臨場感に溢れている。

この深尾という男は、作中でも語られるようにいつか1人で会社を興し、成功者を夢見る野心に満ちた遺伝子科学者だったが、自ら引き起こした惨劇を苦に政府の機関である遺伝子操作監視委員会に所属するエージェントに身を窶している。そのようなエリートにありがちな自分の実力に絶大な自信を持つナルシスト的側面と周囲を見下す視線を持ち、一匹狼を気取り、上司に歯向かう姿勢を備えて、また過去の過ちに常に自責の念を抱き、自ら危険に踏み込む自殺的思考―本書ではアープ症候群と呼ばれている―の持ち主だ。一緒に仕事をするにはいわゆる「イヤな奴」なのだが、その性格に合わせたハードボイルド調の語り口がマッチしていて嫌味を感じずに物語を読むことが出来る。

この文体は大いにチャンドラーを意識した物と思われる。多用される比喩がそれを特に裏付けている。しかしチャンドラーのそれとは違い、深尾が元科学者という特徴を出すためか、使われる例えも例えば「出会っただけで超伝導マイスナー効果のように反撥する」とか「全身のシナプスがアセチルコリンの分泌を停止したみたいだった」といった理系的専門用語を意図的に多用しているようだ。
この辺は物書きとして第一歩を踏み出した作家にありがちな、肩に力の入りすぎた感じが否めないのだが、私個人としてはそれほど悪くは感じなかった。

逆によくもこれほどのパニックホラーを一人称叙述で書き切ったものだと感心した。破綻無く進むストーリーテリングは重ねて云うが、梅原氏が既に作家としての実力を備えていることを見事証明している。

最新(1993年当時に構想のみされていたものも含めた)のバイオテクノロジーからダーウィンの進化論、そして恐竜の絶滅から新約聖書、サイバースペースなどなど、多種多様なジャンルを盛り込み、壮大なスケールで描いたスペクタクルホラー。
一言で云おうとすると、修飾語が多く付きすぎて収拾が付かなくなるほど、盛り沢山のエンタテインメント作品。
先に述べたように、本書の影響を受けたと思われる作品が好評を博している今、少し早すぎた作品だったのかもしれない。勿体無い。



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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

二重螺旋の悪魔の感想

上下巻と感じが違うので上巻があまりに面白く一気に読み終わり、下巻に入った所で途端に戸惑ったケド直ぐに入りこめ、鳥肌ものでまた一気に読み終わりました。分厚いケド中だるみなく私個人本当に面白い理系のSF小説でした。

HUNTER×2
A4G4U3I8
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.25:
(5pt)

This was a present. Receiver was very happy with the book.

I ordered this book from Chile, and it arrived in less than a week, in perfect condition. It looked and felt new as published. Perfectly packed.
Will update review once my friend reads it.
二重螺旋の悪魔 完全版 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)Amazon書評・レビュー:二重螺旋の悪魔 完全版 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)より
4798830259
No.24:
(5pt)

ありがとうございました。

対応が速く、状態も良好でした。ありがとうございました。
二重螺旋の悪魔〈上〉 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:二重螺旋の悪魔〈上〉 (角川ホラー文庫)より
4043461011
No.23:
(3pt)

上巻まででよかった。

最初は、わくわくしてどんどんページが進んだものの、下巻まではいらんかったのでは。

やめどきがむずかしいですね。
二重螺旋の悪魔〈上〉 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:二重螺旋の悪魔〈上〉 (角川ホラー文庫)より
4043461011
No.22:
(5pt)

人は愛がないと生きていけない

遅ればせながら読みました。この分厚い上下巻を。先人の皆さんがいろいろと感想を書いていらっしゃる通り、スケールに大きい活劇物です。はっきりいって、読むのを途中でやめられない面白さでした。その面白さはすでに語り尽くされた感があるので、別の視点から・・。主人公がなかなか破滅型でいいです。女性の視点から見てやっかいだけど捨てておけない男性です。どこかへ行ってしまえっ、と思ったり、私から離れないで・・と思わせたり、ちょっとこの手の小説にしては雰囲気が甘めではないでしょうか。そこがたまらないです。主人公は人を愛することをやめられないようです。ラストもぐずぐずと逡巡して彼女を選ぶあたり・・。女性の皆さん、ぜひ読んでみてください。
二重螺旋の悪魔〈下〉 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:二重螺旋の悪魔〈下〉 (角川ホラー文庫)より
404346102X
No.21:
(5pt)

この世で唯一の話

一言ではとても語れないし、どこかで聞いた事も無く、考え付きもしない話です。とても長いですが、この世界の矛盾や違和感を考えるには一読してみる価値のある作品だと思います。
二重螺旋の悪魔〈下〉 (角川ホラー文庫)Amazon書評・レビュー:二重螺旋の悪魔〈下〉 (角川ホラー文庫)より
404346102X



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