(短編集)
海を見る人
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七篇から成る連作短編ハードSFである。恥ずかしい話だが、前半の三篇は理解が及ばず、読みづらかった。四篇目「キャッシュ」から面白くなる。 恒星間飛行にかかる長い時間をやり過ごすため、冬眠中の乗員は仮想空間で過ごす。しかしある日バーチャルが破綻して・・・ウルトラマンAでバキシムが空をガラスのように割って顔を出すシーンを思い出した。たぶん作者もあの作品から発想したのだろう。 「母と子と渦を旋る冒険」宇宙探索を少年の冒険になぞらえる。 表題作、本書の白眉である。山の村に住む少年は、祭りのときに会った浜の村の少女が忘れられない。 だが、山と浜では重力ばかりが時の流れも異なる。山の一年は浜の数日なのだ。過酷な初恋の行方には、何が待つのか。時空に隔てられた異世界の恋はSFによく登場するテーマだが、本作が最も論理的で容赦ない。抒情性も優れている。 「門」ゲートを守る百人ほどのコロニーに、太陽系からの使者が訪れた。少年は美少女艦長に一目ぼれする。これぞSFという感じの宇宙&時間SFの逸品だ。イチゴミルフィーユ。 本作と表題作ゆえに高評価とする。 | ||||
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ジュブナイル系だからという訳ではない。 短編集だからでもない。 中では表題作がやはり一番面白かったが、全体的に面白いか詰まらないかと 言ったら、当然面白いがのだが、なんというか表現力、文章力などにいまひとつ 食い足りないもどかしさがある。 これは作者が意図的に敢えてそうしているようには感じられなかった。 | ||||
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故・小林泰三のハードSF短編集である。 小林作品は2作目の読了。前回1つ目として読んだのがミステリだったのでミステリ作家だと思っていたのですが、実はSFもあるのだということで手に取ってみたもの。 ハードSFにも種類や立場がいろいろあると思うが、これは(主に既知の)物理現象が極限に表れているような状況を舞台に、そこに置かれた者たちがどう感じてどう行動するかといった物語になっているらしい。事象の地平線だの特殊相対性理論だのマイクロブラックホールだのという単語(や概念)が飛び交いつつ、あくまで語り手たちの目線での状況理解を軸に話は進んでいく。おそらくこの、語り手たちの目線で、というのが肝なのであろう。読者としてはいろいろ頭をひねりながらこの「舞台」がどういうことになっているのか、考え考え読み進むことになるのだ。 もっとも個人的には、宇宙物理学に造詣がたいして深くない読者(私のことだ!)が、読み終えたときにああそういうことだったのかと膝を打てるような、舞台世界の説明があるとうれしいなと思う作品がいくつかあったというのは偽らざる感想。解説子によるとそこのあたりも小林作品を楽しむポイントのようなのだが、それはなかなか高尚すぎて普通の読み手は置いてきぼり感が残るような気がした。まあ読み手としての私のチカラ不足なんでしょうね。(ホーガンくらい懇切丁寧だと対象読者が広がるのでは?) 収録作の中で一番のお気に入りは「独裁者の掟」。ミステリ要素が感じられたせいかもしれないですが。 | ||||
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面白かったです | ||||
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「時計の中のレンズ」、「独裁者の掟」、「天獄と地国」、「キャッシュ」、「母と子と渦を旋(めぐ)る冒険」、「海を見る人」、「門」の6編を収録しています。それぞれ違う世界観を持つため、エピソードごとにとにかく説明を要します。「時計の中のレンズ」は説明ばかりで読んでいて苦痛でした。昨今の劇場アニメも説明台詞ばかりでうんざりしていますが、小説の中で説明台詞が占める割合もやはり限度があると思います。「独裁者の掟」はヒトラーを思い浮かべさせるのが上手く、登場人物の苦悩やドラマもきちんと描かれていて、2時間の映画を1本観たような満足感がありました。「天獄と地国」は長編「」の冒頭部分で、この後に激熱バトルを経て巨大ロボを起動し凄く面白くなるのですが冒頭部分だとやはり説明多めになってしまいます。「キャッシュ」はコールドスリープ中に事件が起こる!!と書くと楽しそうですが、設定からのオチなのでああそうなのという感じで個人的には盛り上がりませんでした。「母と子と渦を旋る冒険」は設定のみならず駆動の描写が全てで、俺の考えた動き格好良くね?みたいなのがビンビン伝わってきて寒かったです。表題作「海を見る人」は時間の経過がそれぞれ違う村に住む男女二人の悲恋!!と書くと面白そうだし、恒川光太郎ライクな切ない設定で期待しましたが本作で最も短くあっさりしていて結局これも設定の説明がしたかっただけかと拍子抜けでした。切ない描写も恒川光太郎より劣ります。「門」は24世紀に量子テレポートが実現した後のとあるコロニーの話で、冒頭の量子テレポートの概要は実際のWikipediaを読むようで引き込まれ、「転送後の自分はコピーで転送前の自分は死亡するのではないか」、「テレポートを繰り返し地球から数時間で到達するが地球では9年が経過」等の表現も特にワクワクしました。これもまた映画のようで面白かったです。全体的に説明ばかりで難しい印象なのでお勧めしにくいですが、「独裁者の掟」と「門」は説明とドラマのバランスが上手くいっており思い出に残りました。エピソード終了ごとに語り手の台詞が入るのは、読後の印象を誘導するようで個人的には微妙ですが、頑張って読み終えた後はきっと「苺のミルフィーユ」が食べたくなると思います。 | ||||
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