(短編集)

あくむ



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初公開日(参考)1993年06月
分類

短編集

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あくむ (集英社文庫)

1996年08月01日 あくむ (集英社文庫)

盗聴、その秘密の趣味にのめりこんだ時から、僕の生活は変わった。(「ホワイトノイズ」)ここは病院らしい。両眼を包帯で巻かれた私に誰かが近づいてくる。(「ブラックライト」)高校生のころ私は、人々と自分が違う「種」であることを知った。(「ブルーブラッド」)夢なのか、現実なのか、すべてがあいまいなまま“恐怖”という感覚に集約されてゆく。覚めやらぬ“あくむ”そのままの5つのホラーストーリー。 (「BOOK」データベースより)




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あくむの総合評価:7.29/10点レビュー 7件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

悪夢も色とりどり

幻聴、幻視、白昼夢、幻覚、正夢といった5つの“悪夢”を集めた短編集。

冒頭の「ホワイトノイズ」はエアバンド・レシーバーという電波傍受機器を購入したぼくが盗聴を繰り返すうちにやがて柳原美嶺子という名の女性が浮気相手からの執拗な電話に困っている会話を傍受し、美嶺子を助けようと一大決心をするが・・・といった話。
次の「ブラックライト」は交通事故に遭った画家が、入院に見せかけた誘拐ではないかと疑い、脱出を試みる話。
吸血鬼を主人公に据えた「ブルーブラッド」は数学教師として普通の人間として暮らす野津原は、血を吸いたいという欲望を夢の中でのみ満たしていたが、同僚の女性教師とデートする長い夢を見るうちに現実と区別がつかなくなるといった話。
「ゴールデンケージ」は財閥の御曹司のエリートの兄と不良の弟を主人公に据えた話。
そして最後の「インビジブルドリーム」はエキストラで日銭を稼ぐ劇団員のカップルに訪れた奇妙な出来事を語る。それは相手の見た夢が正夢となって男に降りかかるのだった。次第にそれはエスカレートしだし・・・。

それぞれの短編はヴァラエティに富んでおり、作者が終始ホラーに徹したのが軸がぶれずによかった。しかし、内容はホラーというよりも“奇妙な味”といった方が正確だろうか。作者の用意した結末やストーリー展開はどこか歪だ。
というのもここに収められた短編の主人公全てが自らに起こった錯覚に対して自覚的ではない。夢や幻覚であることを認めない、もしくは逆に悪い現実を悪夢としてしか認めないのだ。だから作品は全てどこか夢心地のまま、終わる。

特に「ゴールデンケージ」の結末はなんともいえない後味の悪さが残る。
出来のよい兄と不良の弟のよくある設定を据え、不良の弟を主人公に据えながら物語が展開するかと思いきや、一転してエリートの賢介のストーリーが始まる。物語はこの兄に訪れる幻覚がメインなのだが、導入部に据えられたナイフで自傷する血まみれの兄の真相よりもそれがもたらす兄弟たちへの影響が残酷。救いようがないとは正にこのことだ。この作品に本書のタイトル「あくむ」が象徴的に表れているように感じた。

各5編のうち、ベストは「ブルーブラッド」か。いきなり導入部から自身が吸血鬼である事を明かしている事で、その設定を受け入れやすかったのも一因だが、何よりも夢として語られる女性教師とのデートシーンがかつての自分を思い出させ、むずむずするやらワクワクするやらで非常に面白かった。とはいえ、本書のタイトルの方向性を違えることなく、結末は悲劇的なのだが・・・。
「インビジブルドリーム」も設定自体は面白いが、最後の最後で不条理小説になってしまったところに戸惑いを覚えた。

こういったことからも作者の拵えた設定・世界にノレるかノレないかで評価が分かれる作品集だろう。私は五分五分といったところだろうか。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.6:
(3pt)

全話中途半端な印象

全話もうちょっと次の展開が知りたい…というところで終わってしまいます。
興味深く読み進められる話ばかりなのですが、まるで体験版を読んでいるよう…
もう少しその後の展開があればもっと高評価だったかも…と残念に思いました。
あくむ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:あくむ (集英社文庫)より
4087485072
No.5:
(4pt)

後味悪いが一気に読める面白さ

作品のタイトル通り悪夢のような話ばかりですが没入しやすく一気に読めてしまいます。
やはりこの人の作品は会話のテンポが最高ですね、スルスルと読める上に容易に想像できます。
どの短編も面白かったですが、個人的にはブラックライトが好きでした。
逆にゴールデンケージは気持ち悪すぎて食欲が失せるような内容でした。これはかなり苦手です。
ちょっと後味は悪いですが、どの作品も最後は読者の想像に任せるような終わり方も良いと思います。
井上さんが描く、怖くて少し不思議な短篇集オススメです。
あくむ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:あくむ (集英社文庫)より
4087485072
No.4:
(4pt)

井上夢人氏の志向性が顕著に出た第二作

岡嶋二人解散後の第二作目。
一作目のダレカガナカニイルは岡嶋最終作のクラインの壺からの流れを引き継いでおり、岡嶋二人ファンからしても納得のいくものだったが、第二作目の本作ではより顕著にその後の井上夢人個人の志向性が色濃く出た短編集になっている。
世にも奇妙な物語テイストの短編だが、完全にSF色やファンタジー色が強いものばかりという訳ではなく、ホワイトノイズなんかはミステリー仕立ての展開だが、謎は投げぱなしのまま読者を着き放して終わる。
展開は岡嶋二人っぽいものだが、最後に謎をきっちり解決することによって楽しませてくれた岡嶋作品から相方の徳山氏の趣向を引くと、こういった志向性が井上氏の本来の持ち味なのだと実感できる。
いずれの短編も冒頭の謎の設定による読者の引きこみ方が非常にうまい。
まあ、謎が謎のまま終わるところは岡嶋二人からのファンからすると物足りない感もあるが、よく出来た短編集だと言える。
あくむ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:あくむ (集英社文庫)より
4087485072
No.3:
(3pt)

可もなく不可もなく

他の方も書いてあるとおり、世にも奇妙な物語という感じ。

あくむ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:あくむ (集英社文庫)より
4087485072
No.2:
(4pt)

この作家のもう一つの資質を示す佳作

個人的にはこの作者の最良の作品は理系志向のモチーフでつづられる長編の数々だと思っています。ただ、そういう作品群の中にも理屈を突き抜けて現実に穴を開ける「妄想」の要素が常に存在するのですが、この短編集は、その「妄想」の部分を凝縮して結晶化させたような存在です。
内容は「ホワイトノイズ」「ブラックライト」「ブルーブラッド」「ゴールデンケージ」「インビジブルドリーム」の5編。個別のタイトルは、それほど作品のイメージを体現しているとは思いませんが、個人的に切なくて惹かれた「ブラックライト」、カフカ的な恐怖を感じさせた「インビジブルドリーム」など、捨てがたい味わいがあります。
あくむ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:あくむ (集英社文庫)より
4087485072



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