プラスティック



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初公開日(参考)1994年05月
分類

長編小説

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プラスティック (講談社文庫)

2004年09月14日 プラスティック (講談社文庫)

54個の文書ファイルが収められたフロッピィがある。冒頭の文書に記録されていたのは、出張中の夫の帰りを待つ間に奇妙な出来事に遭遇した主婦・向井洵子が書きこんだ日記だった。その日記こそが、アイデンティティーをきしませ崩壊させる導火線となる!謎が謎を呼ぶ深遠な井上ワールドの傑作ミステリー。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.33pt

プラスティックの総合評価:7.30/10点レビュー 46件。Bランク


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全6件 1~6 1/1ページ
No.6:
(7pt)

プラスティックの感想

2024年の本屋大賞超発掘本に選ばれたきっかけで読書。
1994年の作品であり、その年代を考えればやはり先駆け的存在の1つだと感じます。思い返せば90-00年代ごろこのネタが流行りました。そのままの単語が使われている映画も頭によぎるぐらいです。とはいえ本書のテーマが分かってしまっても先が気になる面白さの作品である事は間違いありませんでした。

読者はワープロで打たれた54個の文書ファイルを読み進めるという構成です。
複数名によって書かれた文書を読み進めるうちに奇妙な違和感が起きてきて、序盤は誰かの勘違い?こういう事なのでは?と思ったらそんなの想定済みですよと言わんばかりにその考えをボツにする展開が発生し、この作品はホラーなのか?SFなのか?一体これはどういう事なのだ?と先が気になる物語で楽しみました。

▼以下、ネタバレ感想

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egut
T4OQ1KM0
No.5:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

自分が自分であるために選んだ道とは?

井上夢人氏第2長編となる本書は登場人物の手記もしくは証言をもとにした文書をコンピュータで作った文書ファイルとして構成されたミステリ。

それはかつて井上氏がウェブ上で展開していた『99人の最終列車』を彷彿とさせる群像劇のようだ。

それは東京のマンションで起きるある若夫婦の殺人事件を発端にした、男女5人の事件を巡るそれぞれの奇妙な道行を描いた内容となっている。

5人の男女、即ち向井洵子、高幡英世、奥村恭輔、若尾茉莉子、藤本幹也の手記もしくは供述で構築されていく物語はそれら登場人物たちの話によって逆に事態が収束していくわけではなく、謎が謎を呼び、そしてそれぞれのアンデンティティがどんどん歪みを増していく。

まず向井洵子の手記ではもう1人別の自分がいることが示唆され、そして自分自身が殺害されるという新聞記事に出くわす。
そして出張から帰ってきた主人の裕介にはいきなり突飛ばされ、昏倒した後、目が覚めると自分のマンションの目の前の部屋の住人本多初美の部屋にいることが判明する。その後どうにか自分の部屋に戻るとそこには半ば腐乱した夫裕介の死体が転がっているのに遭遇する。

奥村恭輔は向井洵子と同じマンションの同じフロアの住民で小説家。しかし彼はドアポストに入れられていたフロッピーの中に保存されていた向井洵子の手記を読んだことで向井洵子の事件を単独で追うようになる。
そして手記の向井洵子がやがて偽物であることに気付き、やがてその手記で語られている隣人の本多初美の部屋を無断で侵入したことで若尾茉莉子なる人物の履歴書と彼女の高校の卒業アルバムを拝借し、彼女たちの足取りを辿っていく。

やがて2人の同級生から若尾茉莉子が本多初美とのドライブ中に高校卒業後間もなく大事故に遭って亡くなったことを知り、更に本多初美は藤本鋭二という、暴力夫と結婚し、毎日暴力を受けていたこと、そしてその夫も一緒にドライブに行った際に、酔っ払い運転で河に落ちた車から初美だけが助かり、鋭二が死んでしまったことを知る。そして本多初美は若尾茉莉子が成りすました人物ではないかと推理を巡らせていく。

そして若尾茉莉子は本多初美と一緒の部屋に住んでいる彼女と同郷の元同級生だ。彼女はしかし同級生の本多初美との生活をどうにか解消したいと思っている。
北海道から上京したものの、その容姿は男性の興味を惹きつけるようで、事あるごとに転居を繰り返しており、今のマンションは3番目の引っ越し先だった。そして勤めていた喫茶店を自分に云い寄る店長の誘いを頑なに拒んだがために反感を買い、馘首になり、そしてまたお客の1人に見つかったことから彼女はマンションを出て故郷の札幌に戻る。しかしそこには高校卒業後に間もなく遭った交通事故で自分を助けてくれた桑名雅貴にばったり出遭い、強引な誘いを受ける。

藤本幹也はいわゆるごろつきで若尾茉莉子と共生関係にある。彼は茉莉子に惚れてはいるものの結婚しようとは思っていないが彼女のピンチになると助けに来る男で、これまで彼女の犯罪の片棒を担いでいた男だ。彼女の障壁となる人物は悉く葬り去ってきた。

これら4人の手記や供述により、この4人に話に出てくる本多初美も加えた5人の関係性が次第に浮かび上がってくる。

そして唯一上で語っていない語り手、高幡英世は彼女彼らの観察者であり、この4人の手記を、いや読み手を導くガイドの役割を果たしている。

本書は小説家自身を描いたミステリと考えることが出来るだろう。

岡島二人のコンビを解消し、作家井上夢人として世に問うた作品『ダレカガナカニイル…』では女性の人格が主人公に入り込み、その女性を殺害した事件の真相を探る物語だったが、本書はさらにそれを発展させ、複数の人格によって語られる相矛盾する話を統合していく話だった。
つまり井上氏は人格とは何なのか、人一人に唯一無二の人格でなく2つ以上の人格が宿ることで生まれる、アイデンティティそのものがミステリという作品を描くことに興味があったようだ。

前作ではいささかファンタジー的な設定だったが、本書では現実的に起こりうる話として我々に問いかける。

本書の題名プラスティックの意味は最後に出てくる。

可塑的。つまり自由自在に形を形成できること。
つまり現代社会においてそれぞれ相手の性格や地位によって応対方法を使い分ける我々もまた可塑的な存在だ。
ただ感情の振れ幅と生まれた境遇が少しばかり普通だっただけで、我々もまたこの小説の登場人物の1人なのだ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

小説の醍醐味が味わえるストーリー

読んでてなーんとなく想像できつつも、やはりエッとなる井上ワールドのストーリー!この感覚を味わえるときこそが小説の醍醐味だと思います。そんな一冊でした。

タッキー
KURC2DIQ
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

プラスティックの感想

相変わらずリーダビリティはいいですね。
1枚のフロッピーディスクにおさめられた50を超える手記を順に読んでいく事になります。
登場人物達が代わる代わる登場してきてなされた証言が記されています。
作者の代表作の1つである「ラバー・ソウル」と同じ構成なのですが、その証言、矛盾しているにもほどがあります。
それはもう読み手を混乱させるにも限度があるってもんで、ここまで来ちゃうとオチは読めてしまいました。
まぁ、ワープロとかフロッピーディスクで分かるように、かなり昔の作品でもありますし、今読んでしまうと、ネタの鮮度と言うかなんというか、「古い」というのが正直な感想でした。
が、さすが井上夢人さんですねぇ。そんなオチで終わらせてないです。
最後にもう一捻りあるっていうか、ラストのほんの数ページで作品に更なる奥行きを持たせることに成功していますね。
ちょっとしたことなんですけどね。
「古っ」で終わってしまうのとは読後感がかなり違う気がします。

梁山泊
MTNH2G0O
No.2:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

プラスティックの感想

これを読む前にマーガレット・ミラーの「狙った獣」読みました。両方ともにまさかの同じネタでした。「狙った獣」は1956年のエドガー賞受賞作です。1956年にこんな内容のサスペンスを書いていたことには驚きですが、井上夢人のこの本も中々良く出来たミステリです。冒頭に不可解な謎が読者に示されます。一人の女性が夫の出張中に初めて町の図書館に行きますが、昨日あなたは登録を済ませて貸し出しを受けていますと告げられます。名前、住所はまったく同じでした。しかし、この図書館は利用したことはなく今回初めて来た場所です。何がどうなっているのか女性は混乱します。そして・・・。各人の名前で出来事が綴られたファイルが読者に示されますが、始めのころは主人公同様に何が起きているのかまったく分かりません。この辺の構成が良く出来ています。殺人があった部屋から気が付けば向かいの部屋で目覚めた女性。殺された女性は一体誰なのか。夫はどこに消えたのか謎は尽きません。後半いったん明らかにした事実を最後にさらに覆すなど手の込んだ内容です。ただ、あまり詳しくは書けません。何故ならすぐにネタバレになるからです。でも、読みやすい文章でのめり込んでいきます。一時期このネタは流行りました。有名な海外の本や映画もあります。でもこれは井上夢人らしいミステリとして評価できると思います。

ニコラス刑事
25MT9OHA
No.1:
(7pt)


リボン
RZ1CWELT
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