闇に香る嘘



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初公開日(参考)2014年08月
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長編小説

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闇に香る嘘 (講談社文庫)

2016年08月11日 闇に香る嘘 (講談社文庫)

村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。 27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。 全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.76pt

闇に香る嘘の総合評価:7.35/10点レビュー 95件。Aランク


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全17件 1~17 1/1ページ
No.17:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

闇に香る嘘の感想

真相を追う過程、そして真相、結末、、、全て読み応えありました。

kmak
0RVCT7SX
No.16:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

闇に香る嘘の感想

全盲の主人公が実際にこれだけの行動がとれるのか、疑問が残ったが、最後はしっかりまとめられていたように感じる。都合よすぎる気もするが、、、
しかしながら、展開が最後まで読めなかったのは、素直に高評価。

マッチマッチ
L6YVSIUN
No.15:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

闇に香る嘘の感想

残留孤児の話がベースにあるのですが、正直なところあまり興味をそそられる話ではないのと、主人公もなんかパッとしない老人ということで、出だしの印象は決して良くありませんでした。
でも最終的には高評価の8点。いや~これはネタバレ厳禁ですね。
全体的な流れとしては地味な感じではありますが、ネタが明らかになってからの、正に「見え方」の転換は素晴らしかったと思います。
そして、読みふけっているうちに、残留孤児に関する知識もある程度得ることができたように思います。

▼以下、ネタバレ感想

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マー君
S2HJR096
No.14:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

闇に香る嘘の感想

 私の兄は果たして本物なのだろうか――。 視力を失っていた私は中国より永住帰国した兄の顔を確認していない。 孫の腎臓移植のために頼れる血縁はもう兄しかいない、残された時間はあと僅か・・・全盲の私は兄の正体を掴むため行動を開始する。

 盲目ものミステリー。 事件を追う中で主人公が遭遇する危機或いは救済が誰によって何の為に行われているのか、まさに「闇」。 スリリングな展開と孫を救おうと奮闘する老人の姿に心惹かれる。 流石受賞作と言える傑作。

りーり
9EDFH0HC
No.13:6人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

まさしく“盲が啓かれる”

2014年の江戸川乱歩賞受賞作にしてその年の『このミス』で第3位、週刊文春の年末ランキングで第2位と新人としては望外の高評価で迎えられたのが本書だ。

本書の軸は大きく分けて2つある。

まず主人公村上和久が視覚障碍者であることだ。健常者、本書の表現を借りれば晴眼者である我々が想像できない視覚障碍者の不自由な日常が詳細に語られる。

人間は視覚から約85%の情報を得ているという。つまり一日の大半は目に頼って我々は生活しているのだ。そんな重要な器官が不自由になるとどうなるのか。

白杖で周囲に触れてその音で何があるのかを判断しながら歩く。物を食べる時は健常者の助けを借りる場合は健常者は物の位置をクロックポジション、つまり時計の時刻の位置で示して教える。お札は区別が着くよう、紙幣の種類別に折り畳んで財布に入れておく。またタクシーでは1割引きの控除が得られる。
この辺りの情報は作者の念の入った取材の賜物だろう。

また全盲になったことで起こりうる家族の不幸もまた読み逃せない。
幼き頃の満州の過酷な生活環境による栄養失調が祟り、41歳で突如失明した彼はその後の人生で家族を頼り、ままならない生活に対して周囲に八つ当たりをし、自分を世話して当然だと振る舞う。その結果妻は離婚して逃げ出し、残された娘も甲斐甲斐しく世話をするが、娘に頼り切って生活している和久は彼女の結婚を望もうとせず、悉く追い出す。しまいには娘の精神も限界が来て逃げ出し、現在の一人暮らしに至る。また娘もシングルマザーで一人娘は腎臓を患い、定期的に透析をしなければ生きられない。しかしそれも長くなく、一刻も早い腎臓移植が必要である。この適合者を見つけることが主人公和久の今回の行動の原動力となっている。
実に上手い設定だ。

もう1つの軸は村上和久の家族が満州から帰国した日本人であることだ。中国残留孤児が抱える問題が色濃く描かれている。

満州侵略に乗り出した日本の仇花的存在とも云える中国残留孤児。いわば日本国自身が歴史の汚点と考えているかのように、彼らの待遇、処遇は実に冷たく、今でも中国から帰れない日本人がいる。しかしどうにか中国から戻ってきても既に初老に差し掛かった人々は母国語である日本語が話せず、まともな生活保護も受けられずに不自由な日常生活を強いられているという。そんな窮状が物語全体に亘って随時語られていく。

そしてメインの謎である目の見えない主人公の兄は本当の兄なのかという疑惑は中国残留孤児たちのコネクションを辿って色々な人から話を聞くうちに二転三転する。

ある人は腕に火傷の跡がないのならそれは本人ではないと請け負い、またある人は逢って話したことがあるが記憶もしっかりしており、間違いないと断言する。

ある人は国に対する補償を巡る裁判にとって偽中国残留孤児であるという風評が流れると悪影響を及ぼすから調査を辞めるように説得する。

訪ねる人それぞれの云い分があり、また証言も食い違うことから主人公も戸惑ってばかりだ。

やはり本書の最たる特徴は盲目の主人公が私立探偵張りに兄の素性調査を行うところだ。
主人公和久の一人称叙述で書かれているため、目が見えないことによる情報量の不足がそのまま読者にとっても情報量の不足に繋がり、いつも読んでいるミステリと比べて非常に居心地の悪さを感じた。これが本書における最大の売りであることは解るものの、どうにもまどろっこしさを感じた。

また物語の節目節目に挿入される、匿名の人物から送られる点字で書かれた俳句の内容も暗鬱なものばかり。しかも主人公の身に覚えのないことばかりと、終始落ち着かない気分で読み進めることになった。

そんな居心地の悪さや違和感は物語の最終局面に一気に開放される。

上に書いたように盲目の主人公による調査行は非常にまどろこっしく、また中国残留孤児が現在抱える問題もまた重い物ばかりで正直読んでいる間は辟易する部分もあった。
しかし最後になってみると作者が実に上手くその設定を活かして、盲目であるがゆえに成り立つトリックを巧みに織り交ぜてあることに気付かされる。点字で書かれた俳句についても点字を使った暗号という斬新さが際立つ。
そして最後の真相が明かされると、読者もまた主人公と同化していたかの如く、自らの盲が開かれる思いがした。

本書の核となるミステリはずばり“家族”である。
戦時中の日本政府の政策で満州に移住し、新天地で生きていく希望を与えられた日本人が敗戦によって逆に祖国に帰ることが困難になり、帰りうる者と帰られない者とが引き裂かされた悲劇が生じた家族に生まれた謎だ。
いわば戦争秘話とも云うべき物語だったが、現在なお日中の間に横たわる中国残留孤児問題の中に実際に本書のような話が実在するのかもしれない。

正直自分の中ではかつて喧しく報じられていた中国残留孤児の問題は次から次へと報じられる国際問題、例えば中国慰安婦問題、北朝鮮による拉致被害者問題などに埋没してしまい、もはや過去の出来事となっていた感がある。2014年に乱歩賞を受賞した本書によってこの問題が再び喚起されたのは実に意義深いことだ。

戦後日本はまだ終わりぬ。そんな感慨を抱いた作品だった。



▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.12:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

闇に香る嘘の感想

盲目の主人公 和久。彼の兄は中国残留孤児で数十年前に日本に帰ってきていた。
あることをきっかけに、和久は兄を偽物ではないかと疑い、その真相を追うことにした。
調査のため兄の知り合い達に会うが、誰もが何かしらの嘘をついているように感じる。
どこまでが本当で、どこまでが嘘なのか?
と真相を早く知りたい欲求が掻き立てられ、結構夢中になって読み進めた。

松千代
5ZZMYCZT
No.11:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

目の見えない主人公が新鮮なミステリー

テーマは中国残留日本人孤児。そういえば昔、ニュースでよく聞きました。そのときは意味が分かっていませんでしたが。このテーマで敷居が高い気はしますが、読みやすく、すごく勉強になりました。主人公は白杖を持った目の見えない方で、この特性を活かしたトリックは新鮮で秀逸。主人公の世界が暗闇であるのとシンクロして、ストーリーもまさに暗闇の中を歩いている感じが読んでてしました。そして結論は、、闇の中、ではなくスッキリ!良質ミステリーでした!

タッキー
KURC2DIQ
No.10:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

終盤の怒涛の加速!

なぜだろうか、主人公に準ずる人物が盲目である作品に強く惹かれる。乙一氏の「暗いところで待ち合わせ」や伊坂幸太郎氏の「チルドレン」もそうである。
小説において、与えられた文章以外には何もわからず、登場人物の顔さえわからない点では盲目の人と変わらず、少しだけ近づくことができる点に面白さがあるのかもしれない。目が見えないと小説は読めないのに、なんとも皮肉めいている。

本作は、孫の腎臓移植に自分の腎臓が適さず、兄に頼むが検査すら断られることから兄が偽物ではないかと疑うところから始まる。その中で数多くの謎を残し、終盤まで引っ張られワクワクしながら読むことができた。兄は本物なのかどうか、点字を用いて送られてくる差出人不明の手紙、さまざまな人物からの脅迫、無言の恩人などだ。それら全てを矛盾なく最後には説明され、また、伏線の中にヒントを散りばめていたあたりは見事だ。中盤までは面白さが鳴りを潜めていたが、そこから一気に加速する。
1つだけ注文をつけるとしたら、中国名にはふりがなをもっと振ってほしい。おそらく言葉が最初に登場した時のみに振られている。そこで引っかかりリズムの悪さは否めない。
本の最後には膨大な参考文献が並んでいたが、読んでいて勉強になったことがたくさんある。正直、私自身は残留孤児について全くの無知であった。まれに高齢者の方で生まれが満州だという人について耳にすることがあるが、このような過酷な環境であったとは全く知らなかった。
死がこれほど身近なものではない今の生活では当たり前のように暮らしているが、今の人生を大切にしたいと思わされた。自分のことと照らし合わせて読むことができたのが大きかったと思う。というのも余談であるが、私の祖父が戦争を経験し、祖父の弟は戦死しているからである。もし祖父が同じように亡くなっていたら今の自分はいない。そんな運命の巡り合わせを感じずにはいられなかった。

陰気な私は地球を回さない
L1K3MG03
No.9:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

闇に香る嘘の感想

序盤に若干の読みにくさはあるものの、かなりの良作だと思います。
主人公が全盲という特殊な状況下において、
動きの描写が非常に丁寧に描かれており見えないという恐怖感が伝わってきます。
派手さは無いものの構成が緻密でラストこそ全貌が少し読めてしまいましたが、
至るところに張られた伏線回収は見事です。
江戸川乱歩賞受賞も納得の作品だと思います。

歌舞伎蝶
LMC3R9P9
No.8:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

闇に香る嘘の感想

著者初読み。第60回江戸川乱歩賞受賞作。かなり面白かったです。主人公が全盲の老人な訳ですが、その為か偏狭な性格で感情移入が難しい。その上腎移植、障碍者介護、密入国と重いテーマを複数ぶち込んでいますので、そこを捉えると苦しい読み心地に感じます。ただ、目が見えないが為の不安、恐怖が良く書けており、誰が信用できるのか?全てが混迷する状況にぐいぐい引き込まれた。最後は丁寧に伏線回収を説明され、納得の読後感。注文を付ければ、老人の描き方(特に言葉遣い)に少し違和感を覚えた所かな。とは言え良作でした、おススメします。

なおひろ
R1UV05YV
No.7:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

闇に香る嘘の感想

「中国残留孤児」と「生体腎移植」というかなり重いテーマを扱った作品です。
更に主人公の視点人物が全盲の老人という事で、作品に色がないと思えるくらいに「暗い」というか最早「黒い」です。
これは上手いと言うべきなのだろうか。
ただ、そんな彼の視点は、描写がどこか「手探り」で、かなりくどいところがあり読んでいてイライラさせられる事もしばしばでした。

「一体何が真実で何が嘘なのか、そして誰が味方で誰が敵なのか」
主人公は、暗い闇の中、色々な人達の嘘に翻弄されます。
「見えない」という事が、人間不信を生み、一つの疑問から疑心暗鬼の底にズブズブとハマっていくのですが、やがて一つの真実から全ての謎が明らかになった時、綺麗に何もかもが反転します。
見方を変えれば悪も善に、というこの構成は見事で、初めに「暗い」と表現した小説の世界観に一気に光がさします。それは眩しいほどに。

乱歩賞受賞作品。
トリック自体は驚くほどのものではないのですが、構成力は凄いと思いましたし、デビュー作にこんな難解なテーマを取り上がる事自体、作者の懐の深さを窺い知ることが出来ます。
少し取っ付きづらい作品ですが、国と時代を超えた家族の愛と感動の物語です。お薦めします。

梁山泊
MTNH2G0O
No.6:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

読後感よし

主人公の設定が良かったです。次作も期待できそうです。

わたろう
0BCEGGR4
No.5:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

闇に香る嘘の感想


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FSD78H58
No.4:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

闇に香る嘘の感想

個人的な乱歩賞のイメージ通りの作品。メッセージ性の強い社会派でありながら、あれやこれらが伏線として繋がり、終盤は綺麗に回収されている事に驚きました。

盲目の老人が主人公。白杖を携え街を歩く事、対人との表情の見えない会話、点字の学習、孫に何か残してやれないかといった家族への想いと葛藤が描かれます。そしてテーマはこれだけではなく、盲目作品といえば疑心暗鬼もの。本書も目の前の兄は本当に自分の兄なのだろうか?と疑問が生まれ、生い立ちの回想から戦時の中国残留孤児に関するテーマが追加され、さらなる話へ移っていきます。

テーマが多いのは人それぞれの好みかと思いますが、個人的にはお腹いっぱい。説教ではないけどメッセージが強くて堅い小説を読んだ印象でした。主人公も何だかネガティブで口うるさくて共感できない。老害と呼ばれてしまうぞ。。という思いであまり気乗りしない読書です。小説を読んで情景を想像する事は盲目の老人と同じ印象を得た気持ちでありましたが、1点どうも想像できないのが、主人公や年上の方々がアクティブ過ぎる事。70歳超えてますよね?老人には無理でしょと思うアクションシーンや、あの時よく生きてられたね。という非現実感が好みではなかったです。

とはいえ、終盤は様々なエピソードが綺麗に繋がる幕引きで加点です。
読書中は辛いけど、最後は面白いものだった。と、個人的にいつも思う乱歩賞の作品でした。


あと余談ですが、審査員の作家の方々が、元のタイトル『無縁の常闇に嘘は香る』に難色を示す話が面白かったです。そこまで悪くは感じませんでしたが、出版された本書の『闇に香る嘘』の方が確かに素晴らしいので、審査した作家の指摘と編集の技術を感じました。


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egut
T4OQ1KM0
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

闇に香る嘘の感想

社会派と言われる小説はあまり好きではない。
残留孤児・盲目・小児腎臓病をてんこ盛りにした
新人の作品だと思ったら
全体の構成がうまく最後まで読めました。
予想どおりのラストで安心できます。
人にすすめます

jethro tull
1MWR4UH4
No.2:5人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

読ませる力がある作品

2014年度江戸川乱歩賞の受賞作。著者は過去、何度も最終候補に残りながら受賞を逃してきていたというだけに、並みの新人とは違う実力を感じさせる。
かつてはカメラマンとして活躍しながら中途失明によって仕事も家族も失い、孤独な生活を送っている主人公は、腎臓病を患う孫娘のために生体腎移植を希望するが、自身の腎臓も状態が悪くて移植できないと判断された。孫を救う最後の手段として、27年前に中国残留孤児として帰国し、現在は故郷で母親と暮らしている兄に腎臓の提供を依頼するが、兄は腎臓の適合検査さえかたくなに拒否してきた。どうして、孫娘を助けてくれないのか? 検査を受けると、何か不都合があるのだろうか? ひょっとして、兄は偽者ではないのか? 疑心暗鬼に陥り、真相を探り始めた主人公の周囲では、次々と不審な出来事が起きてくる・・・。
視覚障害の老人が探偵ごっこに乗り出すというシチュエーションが効果的で、晴眼者なら何でもないことに苦労する主人公に、読者は思わず肩入れしたくなる。さらに、中国残留孤児、満州からの引揚げ、現在の密入国ビジネスなどの背景の設定、エピソードが物語に厚みを与えている。また、伏線の張り方もお見事。セリフや状況設定に多少の疑問が残るが、それを補う力強さがある。
幅広いミステリーファンにオススメしたい。

iisan
927253Y1
No.1:6人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

闇に香る嘘の感想

視覚障害者を主人公に、臓器移植、中国残留孤児、点字による暗号解読等盛りだくさんで、最近の乱歩賞作品の中でもかなり上位に来るほど面白い作品でした。主人公が目が不自由にもかかわらず精力的に謎に立ち向かう様は涙を誘うほど。
そして最後のどんでん返し。著者は過去に何度も最終選考に残ってきた実力者ではありますが、デビュー作にしては完成度の高い作品で、次回作以降が楽しみです。
パクリ?そんなの気にしない、気にしない~!

本好き!
ZQI5NTBU
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