(短編集)
蜃気楼の犬
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蜃気楼の犬の総合評価:
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番場というベテラン刑事を主人公とした表題作を含む5つの短編から構成される連作短編集。番場は現場の鬼と呼ばれ、「現場の番場」との異名を取る。そして、各編の現場を見た時の番場の口癖は「この現場は変だ」であり、確かに、一見不可能(不可解)状況に見える現場が多い。ただし、カー風の不可能犯罪趣味に終始している訳ではなく、番場との対比でやや軽薄だが正義感の強い船越というルーキー刑事をコンビとして登場させたり、番場が二回り若い妻を持つ(番場はこの若妻に頭が上がらない)という設定にしたり、人情劇の様な風味を持たせている点が特徴である。 不可能(不可解)状況を創り出しているのは、犯人の心理の綾と物理的トリックとに大別されるが、物理的トリックに頼ったものはどうも頂けない。一方、上で人情劇の様な風味と述べた通り、犯人や被害者の心理の綾を追求した短編は中々読ませる。そして、掉尾に置かれた表題作である。他の短編より長い(中身が濃い)だけではなく、それまでの短編の複数の登場人物達が同時に被害者となるという工夫を凝らしている。他の短編と同様、不可解状況を扱ってはいるが、犯人だけではなく、番場の心理の綾を木目細かく描いている点が印象的。「蜃気楼の犬」という意味が、「正義=蜃気楼」であって、所詮刑事はそれを追っている「犬」に過ぎないという諦観が滲み出ている佳作だと思った。 表題作を読むと充分長編が執筆出来る力量を持った作家だと思った。「不可能(不可解)状況+人情劇」という新しい構想の連作短編集で、これからの作者の作品に期待したい。 | ||||
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今回は短編小説なのでまず読みやすいです。長編のミステリー小説とは読みごたえや満足感が違うけど、忙しさで読むのに長期間かかると物語の複雑なふくせんを忘れがちなので、これはこれで良いですね。 発売日を意識されて書かれたのか偶然なのか、前作まで夏のお話が多かったのに対し、表紙の雰囲気も今までと変わりお話の軸も全体が梅雨らしい雨の季節を感じました。 そして我の強い情熱的なタイプの登場人物が多かったのに、今回は冷静で明晰な50代男性警察官が主人公になったこともあり、事件の流れがスムーズでストレスが少なかったです。 四篇ともとっても面白く、最後にまた関係がつながってくるところは流石だったのですが、唯一共感出来なかったのは、年の差がかなりある若い妻の存在とそれを甘やかすように気をつかう主人公の裏話がただただひっかかり、夫婦なのに妊娠してることさえ正直気持ち悪く思いました。そこの感覚は男女や個人差で異論があるでしょうが、早く続編でそこの謎を回収して欲しいです。 それから蜃気楼の犬で検索したら、短いものだけどyotube で本のイメージCM的な映像が見れて驚きました。作者ご本人がその作製も関わったのかは不明ですが、二冊目に出てきたゴマオラが実在するんだとちょっとマニアックな感心をしました。 | ||||
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江戸川乱歩賞作家による、五つの警察連作小説。 帯のとおり、見事な連作短編でした。 各物語はサラッと読めてしまうけれど、とても印象的でした。 庵仁町という架空の地方都市。 指の足りないバラバラ殺人。 雨のスクランブル交差点。 正義より妻のベテラン番場と、正義感で生きているルーキー船越。 番場より二回りも若い、身重の妻コヨリ。 読み進めるうちに、捜査一課の人間関係や各キャラクターの内面が浮き彫りになり、 最後5話『蜃気楼の犬』を読んでいるときには ハラハラ、ドキドキ すっかりのめり込んでしまいました。 キャラクターと世界観の魅力に 早く続編が読みたい そんな1冊でした。 | ||||
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