私の消滅
- 手記 (39)
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小説としては面白く読ませていただきました。ただ、私はクリスチャンなので他人の心の中は神性にして犯すべからず、という信念を持っています。ですから、読後に不快感を覚えました。 さて、この作家は人間の脳はコンピューターのような物であると誤解されているようです。すくなくとも、この小説では、人間の記憶はコンピューターのように、インプットないしアウトプットが自在に出来るという前提の元に書かれているように思えました。つまり、書き換えたり消去したりが自由に出来るのです。 しかし、実際は人間の脳はコンピューターとは全く違います。また、人間の意識というものは、脳の中に存在しているのではありません。この話をすると長くなるのでやめますが、仮に精神科医が他人の脳を破壊したとしても、その方はその方のままで別人ではありません。なぜなら、人間には魂があるからです。いや、魂こそがその方そのものであると言えましょう。 参考文献から色々と勉強されて、小説としては完成度が高く面白い作品に仕上がっていると思えますが、あくまでも虚構の世界の話で、現実にはあり得ない話です。 最後に、この小説を読んで本当のことと信じて、精神科でのECT治療を断念される方がいないか心配しています。あくまでも、小説という虚構の世界の話なので、ECT治療を希望されている方は担当医とよく相談されて、治療を受けると良いと思います。 | ||||
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コテージで読む手記で、幼少期の感性と文体が不気味。小説家や作家が描写する散文では見かけない、普通では書けない、登場人物に入り込んだ描写。 佐木隆三による宮崎勤裁判についての本を読み、本人証言の途中からネズミ人間が出て来て、ありがちな後付け作り話ではないかと思ったが、本作品で考え直した。いじめについては調査されていないという鋭い指摘も、仮に当時、調査しても時間経過で難航した可能性はある。 凶悪事件が起きると、なぜ起きたのか、記録を残すべきとのコメンテーターやマスコミの論調があるが、本当のことは分からないと思う。記録は研究対象にはなっても、予防策として活かされたと聞いた試しはない。 前上博については名前を挙げるだけで考察されていなかったが、作品での首吊りに至るプロセスで参考にされているのだろうと思った。 洗脳についての記述で、パブロフの犬は超有名な実験で聞き慣れていたが、それがロシアであることを指摘され、そうかロシアだった、そして今現在も形を変えて連綿と続けられているということを、強烈に気付かされた。 | ||||
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そうなのだが、歪まれた自己を、受け入れられず、その受け入れられない自己を他に押しかぶせ、それを抹殺することによって、もう、他に押しかぶせる必要のなくなった――完全になくなった訳ではない、平凡な妄想のように固執された夢想の実現を一応夢見ているのだから、しかし、そんな夢想が全く実現されず、果たされた歪みを引きずった、果たされたがゆえに、かすのように、残滓のように残った歪みを身につけた自分として生きることも許容する、というような、自己回復、自己定立の物語。 自己はもう気がついたときには、ままならぬ、複雑な解くこともできない自己を抱えているのだから、その、自分にとって外部といえるような、暴風のような自己を抱えた自己は、その暴風雨を手なずける、許容する自己になる他ない、この物語では、なる他なかったというふうに、自己の回復の、自己の定立の物語。 ここで行われる、脳に電気ショックを与えながら、記憶を書き換えるや、その中での、その果てでの殺人や、愛する人が強姦されること、凌辱されることや、少年時代の性的欲動や、母子相姦の願望や、兄妹コンプレクスの憎しみや、同性愛的に憧れられる共犯者や、自己の惨めを投影されたような愛する人やは、どういうのだろうか、登場人物の現実的な、実在的な体験というより、主人公に投影された、ある精神のあり方、主人公を通して主人公に肉付けされた、ある精神のあり方が、招き寄せる概念ドラマのように描かれており、そのような文体的特徴のもとでの、自己回復物語、自己定立物語であるように思える。 | ||||
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不幸な生い立ちの男の陰々滅々な手記である。 読み進めるうちに主人公が誰なのか見失ってしまう「主人公の消滅」な作品とでも言おうか。死んだ恋人のための復讐譚なのか、男のトラウマ話しなのか、マッドサイエンスものなのか、さらっと読むとわけわからんになるので、精読すべし。結局何の話?って言うとネタバレになってしまう。 冒頭、手記を書く男の傍らにある怪しげなトランクの中が、気になりつつラストまで。 純文学的な現実崩壊感が甚だしい上に、ミステリ的な展開で話が進む。どんよりと暗い印象が残るものの、物語の細部となると思い起こすのが困難である。ラストに、タイトルの意味が分かる。 某殺人者論理(作中では実名)は、一読の価値あり、とは思う。 | ||||
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これは復讐の物語で、復讐の手段として「洗脳」が使われる。 具体的には近代洗脳の手法をもとに、その人自身の記憶および人格を別人のものに書き換える。 「私」とは一体何か。どこまでが「私」でどこからが「彼」の記憶なのか。今ここで涙を流して悲しんでいる私の感情は、本当に私のものなのか。 まるで酩酊したようにアイデンティティがぐにゃぐにゃ揺らいでその揺らぎがとても面白かった。何が真実なのか最後までわからなくてページを繰る手が止まらなかった。 | ||||
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