悪意の手記
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Note of Malice | ||||
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中村文則さんの「土の中の子供」がなかなか面白かったので、私はこの『悪意の手記』を読みました。結論から言うと、『悪意の手記』はストーリーに緊張感があり、「土の中の子供」以上に面白く読めました。 『悪意の手記』の主人公は、15歳の時に「TRP」という恐ろしい病気にかかり、病室で世界を憎悪します。彼は残念ながら心が弱かったので、憎悪から抜けきることができませんでした。彼は奇跡的に退院した後も世界を呪い続け、魔がさして殺人を犯します。その後も彼は悪意に囚われ続けた人生を送り、手記を続けます。この小説から発される陰鬱なオーラを、ぜひ多くの人に体感して頂きたいです。 私はこの小説を最初に読んだ時、何という生への呪いに満ちた物語なんだろうと恐怖を覚えました。しかし、改めて読み直すと、この小説の主人公の生もそれなりに祝福されているように思いました。彼の病気が治った時に病院の人々や家族は彼を祝福しましたし、「青い服の少年」の幻影が言う通り、彼は無意識的に自己防衛をしていた節があります。そして主人公の刑罰が軽かったので、彼にもそれなりに生きる権利が与えられていたんだなと思います。 この小説は陰気な小説ですが、「世界を呪っている人や悪いことをした人でも、生きていいんだよ」と遠回しに生を肯定する小説でもあるように、私は思いました。 | ||||
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正直中村文則は純文学でもかなり名のある作家だと思っていたから絶版作品があること自体びっくりした。 こういう自分にひたすら内向的な純文学は読後感になんとも言えない心地よさがあって内容の重さ暗さ関係なくとても好き。あと個人的にはあとがきが一番心に残ったかも。 中村文則のなかでもかなり位置づけられた作品じゃないのかなって読んでて思った。 作家デビューしてまもない初期の作品らしい。 実は中村文則はこれまで3冊しか読んだことなくて掏摸と王国、あとは土の中の子供なんだよね。 掏摸と王国の世界観、圧倒的な力を持った悪とそれに立ち向かう個っていう構図がすごい好きで、とくに悪に対してどうしようもなく無力である個や底なんて決して見えないほどの悪の描かれ方がめちゃくちゃよかったんだよね。 とくに救いのあった王国はかなり好きだった。 ……ってこれは作品の感想じゃない笑 読み終わってすぐに思い浮かんだデジャブのようなイメージで太宰治の人間失格が思い浮かんだ。 純文学でもいろいろジャンルがあると思うんだけど、こういう一人の人生をひたすら追ったものはとても読みやすいし、人におすすめしやすいと思う。まあ内容の暗さ、というか扱っているテーマが重いから軽々しく人におすすめできるものではないけれど笑 個人的に蛇を踏むはマジで何がしたいかわからないやつだし、最近だとニムロッドとかあとぶっちゃけ小川洋子も何がしたいかよくわからないんだよね。 純文学でも個の世界観がその作者にしか描けないものが好き。あー、火花もよかった。 現代の名作のひとつとしてカウントしていいと思うな。なんか教科書に載せるのは憚られるけど、人間失格みたく語り継がれてほしいな。 | ||||
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○心理を明晰な文章で書き続ける作者の力は見事なものだと思う。謎めいた表現や詩的な表現に頼らず、誰もがその意味を理解できる完全に共有された言葉を使うので、その文意は明瞭であり、それでありながらその描写は新鮮でたしかにそんなこともあるのだろうと納得させるだけの力もある。抒情や詩情というものは逃げのひとつなのかもしれない。 ○しかしながら、ストーリーは唐突すぎるかな。深刻な独白を成立させる前提としてこのような物語が必要だったということだろう。現実には、このような境遇の主人公がこのように明晰な言葉を操ってこれだけの独白をできるとは思えない。この作品は基本的には著者の独白なのだが、そのままではエッセイに終わってしまうから、必要な前提を置いて物語という体裁を取ったということなのだろう。 | ||||
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非常に良いセラー! | ||||
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