遮光
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テーマ的にはデビュー作の「銃」と似ている。事故死した恋人の身体の一部を瓶詰めにして持ち歩く虚言癖の学生の話だが、彼もいつしかそれに取り込まれてしまい、正常な判断が出来なくなってしまう。我々が日々信じたり拠り所としているものは、結局他人からすると、まったく意味のないもの、もしくはただ気持ちの悪いだけのものかもしれない。そういう断片化や分断•分裂を乗り越え得るものが、果たして現代の日本には確として存在するのであろうか。 | ||||
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賛否両論、極端に分かれる作品である。残念ながら、私は否の方。 この主人公のような人物が現実社会に存在したら、間違いなく精神鑑定を受ける必要がある。また、いつでも何か演技をしていて、本人自身も自分の本当の気持ちがわからない。相当、生育歴に問題ありの人物として描かれている。こういう小説が好きな人は大いにはまるだろう。 しかし、私はまた別の読み方をした。おそらく、これを書いている作者は社会経験の乏しい若者なのだろう。従って、血の通った人間ドラマを描けない。現実の世界で額に汗して働いた経験が乏しければ、自ずと作品は軽いものになり、説得力がない。ただ、頭の中でのみ考えて書いている。 中卒でも芥川賞を受賞した作家もおり、そう言う方の作品とは対照的である。 おそらくこの作者は頭がいい。けれども、肉体労働の経験や社会の中での挫折を経験していない。それが作品に如実に表れている。 内容についてだが、亡くなった恋人の指に異常なほどに執着している。この辺は日本人特有の感覚である。欧米人は遺体にそこまで執着しない。彼らの根底にはキリスト教があり、体は神が作った器に過ぎないと考えているからだ。体を本人自身であると考えるのは、人間に対する理解が幼稚だからだ。死んでもその精神までもが亡くなる訳ではない。こう言う私の考え方は、精神世界の本を好んで読む方には支持して戴けると確信している。 | ||||
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作者は知らなかったけれど、表紙とタイトルの陰鬱さが個人的に好みだったので購入しました。 ページ数が少なく、薄かったのもありますが一気に読んで、さらにまたなんども読み返してしまいました。 ✳︎ネタバレ注意です 虚言癖のある青年。嘘をつくときはペラペラと話すのに、1人の時は虚ろ。 でも孤独ゆえに幸せを望みもがき続けているように感じました。 ようやくできた大切な人。けれどその人も… 持っていた指に対しても、嘘をついていたように感じました。本当は、狂うことで彼女の指と、彼女と一緒になりたかったんですね。 ラストシーンの指をくわえることで嘘をつくことをやめられたんだなぁ、と考えると切なさが残りました。 彼が虚言癖で、亡くなった人の指を常に持ち歩いていて、というのはきっと彼の特徴を示すためのものでしかなく、ここに書かれていたのは孤独を背負いながらもやっと人を愛すことができたのに、狂人になることでしか幸福を得られなかった等身大の男性の物語だと感じました。 こんなに陰鬱なテーマなのに読後感は感動して涙しました。 主人公の感情がこんなにも繊細に描かれ、感じさせることのできる文章に心打たれました。 人を選ぶ内容かもしれませんが、私は大好きな作品です。 | ||||
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本作品は一言で表すと「暗い」作品である。 愛する女性を失った虚言癖のある青年が彼女の指を愛しながら生きていく。 映像化したら、とても正視できない内容であろうと思うが、愛する者を失った悲しい心理描写が非常に巧いと思う。 中村文則さんの作品は、万人に支持されるものとは思わないが、私自身は時々読みたくなる魅力を有している。 | ||||
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亡き恋人の小指を持ち歩く虚言癖の男が主人公。恋人との出会いから、彼女の死、そして小指を所有するに至った経緯がつづられる。 周囲の人には、恋人が生存しているかの如く振る舞う主人公だが、その明確な理由は判然とせず、狂気の一歩手前で踏みとどまっているような様子。その一触即発までのふらふら状態が、憂鬱感たっぷりに描かれる。 暴力衝動とそれを冷静に見つめる内なる自分ということになるだろうか。ありがちだが、出口なしのどよ~んと鬱屈した雰囲気は、中村文則作品ならでは。ラブストーリーとも受けとれるかな。 | ||||
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