熟柿
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熟柿の総合評価:
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2026年本屋大賞ノミネート作品をイッキヨミしているのですが、私のなかでは今のところ、これが圧勝です | ||||
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| ひき逃げ事件を起こし、息子と離れ離れになり、再会を願う主人公の物語。 熟柿とは、気長に時期が来るのを待つこと。この絶対的なテーマを主軸に「顔も知らない息子に会う母親の物語」として構成されています。ただ、序盤で主人公の母親が弁護士を雇い正式な手続きを踏んで息子に会おうとすれば、この物語は即終了です。そのため、物語を成立させるためにリアリティと合理性をかなり犠牲にしていると感じました。本作が「待つこと」をテーマにするのであれば、「なぜ待たざるを得なかったのか」という制約を、制度的あるいは心理的に十分に設計する必要があったように思います。その点において、本作は人物の内面による必然ではなく、物語の都合によって“待たされている”印象が強かった。 全体的な物語の説得力よりも最終的な再会という結末を無条件で受け入れられるのであれば感動的な作品と感じるだろうと思います。私は途中のあり得なさのせいで没入することが難しかったです。 移り変わりの早い今の時代だからこその「熟柿」というテーマだと思うのですが、逆に今作を読んで今の時代に「熟柿」という価値観が合わないのだと痛感させられました。 「不法侵入の母」「子供に合わせない父」「調整しない大人たち」という構図の中で、子供自身の気持ちはほとんど描かれません。この点が特に感動的という今作の評価に大きな疑問を残す要素となっています。 最後は、母親と息子が再会。色々とありましたが、息子と連絡先を交換することで関係の継続が示唆されて終わっています。でも、母親との交流が盛んになり、当時の状況を母親視点で息子が知れば、父親側が頑なに母親に息子を会わせないようにしていた事実が明るみになり、また母親に会えない理由を母親の責任に押し付けていたこともばれるので、息子と父親の確執待ったなしです。その意味で、本作の結末は必ずしも単純なハッピーエンドとは言い切れないように思います。 | ||||
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| 佐藤正午『熟柿』は、読後しばらく胸に残る静かで重い一冊です。淡々とした語り口のなかで、主人公の選択や過去が少しずつ明らかになり、罪と再生、母と子の関係を考えさせられます。 風景や日常のなかで展開されるヒューマンドラマで、ミステリーというより、人間の内面の複雑さに寄り添う物語です。「熟柿」というタイトルの意味が読み進めるごとに感じ取れる点も、心地よい余韻を与えてくれます。 描写に耐えられない方には注意が必要ですが、その分テーマの重さと深さを実感できる一冊。静かな語り口ながら心を揺さぶる作品をお探しの方におすすめです。 | ||||
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| 登場人物たちのいかにも古風な「小説風」の喋り方が気になった。いくら2000年代とはいえ自分の親のことを「親父、お袋」と呼ぶ若者はいないだろうし、後半登場する女子高校生もいかにもおじさんが考えたキャラクターという印象が否めない。このあたりに1955年生まれという作者の年齢が出てしまっている。 読み始めると結末が気になって最後まで読ませるストーリー性はあるが、いかんせん長い。特に鶴子の不倫の話は完全に蛇足。あのエピソードは除外して、もう少し短くまとめてほしかった。 | ||||
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| 一気に読みました。 先が気になって気になって。というのも、この主人公はきっと最後に本当の意味での報いを受けるだろうと思っていたから。 あまりにも自業自得の事故、そして身勝手な逃亡。被害者のことは「認知症を患った徘徊中のおばあさんだった」程度の扱い。 そして自身のことは、罪を償った後も生き別れたわが子の成長すら見守ることのできない不憫な母親だと思っている。 最後の最後に、現実を突きつけられればいいという気持ちを抱かずにはいられなかった。 だけど、期待したクライマックスもなんとも生ぬるいものだった。 著者は何を狙ってこの人物設定に決めたのだろう?反省の色が見えない犯罪者、という意味ではとてもリアルな気がする。 良識ある母親ほど、自分が逮捕された時点で子どもの前には二度と現れないようにするのでは?だって子どもの人生を守ることのほうが、自分の人生より大切だから。 その上でわが子の方から会いたいと歩み寄ってくれたという話なら応援できるけど、この主人公の場合、会えることが当然の権利のように思っている節があるからなあ。結局のところ、ひき逃げを犯すような人間ってやっぱりこんな感じなんだなと思ってしまう。 | ||||
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| 半生で美味しくいただきました。 | ||||
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