世界99
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| 下巻に入り、年齢がどんどんあがり、最後は終末まで。つまりこれ、一人の女性の生涯を書いた物語だったわけですが 実は物語はものすごいスピードで価値観が変化しており、 上巻は昭和の女性像 上巻の後半から下巻の中盤までは平成、令和の女性像 上巻の後半は未来の女性像 を描いているんですね。しかも解像度がものすごく、とくに昭和時代の女性像を表現している上巻は 読んでいてイライラ、従順な主人公にもイライラ、なんで言いなりなの?言いなりな方にも問題がある、と 強者の理論を押し付けるような気持ちにさえなりました。でもこれってきっと、私が昭和生まれではないから。 自分で稼げない、生活の手立てがないということは、ここまで人を卑屈に不幸にさせるんだ ということをこれでもかと書き、 男性に媚びへつらい、自尊心を削り、心を麻痺させていくことでしか生きていけなかった昔の女性の苦悩が読み手にのしかかります。 明人は天罰をくらって酷い人生になるべきだ、とずっと思っていました。 以下、全体の感想です。ネタバレを含みます。 しかし下巻、ネットに出回るスカッと系のような気持ちいい展開にはならず むしろ主人公は加害側の(いわゆる男性側の)気持ちにさえなっていきます。 1000万円を超える高額の、見た目だけは美しい、家事がへったくそなピョコルン。 ただ養うだけの余計なお荷物ピョコルンのことを疎ましく思う主人公。 これは完全に「見た目だけで選んだ若くて綺麗な妻が、家事能力ゼロで金食い虫」だった男性の悲劇と同じ。 彼女が歳をとり美しくなくなった時に、怒りが爆発する男性の気持ちも想像できるくらい、 ピョコルンを通しての主人公の気持ちの変化はえぐいしリアルでした。 そして男性側の苦悩も描くのがこの小説のえぐいところ。 明人と匠はいわゆる、現代だとマッチングアプリで会えない側の人なんでしょう。 男として背負わされる重積に耐えられず、楽して媚びて生きているように見える女性に恨みを持つ。 女は若い時に全員得してると思うからこそ、なにより年齢を重視し、歳をとった女性を価値がないとバカにする。 そのくせ甘えて、自分の手の内におきたい。見下しながら女体とその母性に依存しているんです。 まるで明人と匠は現代のネットにいる女性蔑視の姿そのもの。 しかし、匠はそのまま成長せずこどおじになり、果ては始末される。 一方、明人はピョコルンになった。 ここでも生き方は別れ、憧れの「可愛がられるだけの存在」になれたはずの明人でしたが 同じピョコルンでも美醜の差があり、明人はぶさいくなピョコルン。 だから「お前は家事だけやってろ」という雑な扱いを受けている。 かつて自分が差別してきた対象そのもののような存在になってしまうのは、この長い物語のなかで唯一のスカっと部分だったかもしれません。 これは男女の軋轢、ひいては人種差別、ひいては現代の問題であるルッキズム、あらゆることに通じる壮大な物語です。 これを読むと絶望的な気持ちになるのは、 理路整然と圧倒的な解像度をもって「差別はなくならない」「格差はなくならない」を見せつけてくるから。 この物語の中で幸せに自分の意思で生きれた人はいるんでしょうか。 主人公に対する気持ち悪さが、自分のこれからの人生の教訓になるとさえ思える。 本を読み終わった時、私は 「いやだ いやだ いやだ 怖い怖い怖い お母さんになりたくない お母さんになりたくない」 と連呼するサイレントヒルfの雛子のようになっているのでした。 いやまあ実際は今、母親なんですけどね・・・。 少なくとも今の時代に生きられていることに感謝してしまう。 読もうぜ、とくに女性。 読んだ方がいいよ。 | ||||
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| 私は本を読むのが苦手で人生で3冊くらいしか小説を読んだことがありませんでしたが、この小説は上下巻ともに夢中になって読みました。すっかり村田さんのファンになり、殺人出産と信仰も読みました。村田さんがインタビューに答えている動画をユーチューブで観るのも心が安らぎます。とても繊細な方であることが伝わってきます。 | ||||
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| ものすごく分厚く、ものすごく価格の高い小説。私はいつも新書を電子で購入しキンドルで読むのですが この本だけはまず上巻から手をつけてみて、だめだったら手放そう(売ろう)と思い 本当に申し訳ないのですが中古で購入してしまいました。 結果、下巻は新刊で購入しようと思ってます。 あまりにも目を塞ぎたくなり、何度ページを飛ばして、また戻ってちゃんと読んで、を繰り返したか。 こんな読み方をした小説は初めてです。 えぐい性犯罪などの小説や漫画はわりと平気で読める私なのに、この小説は心に刃のごとく刺さる。 最近だとサイレントヒルfというゲームをやったばかりだが、その作品も同じく 抑圧される女性、結婚とは自由を奪われ自分をなくすこと、という意味のえぐすぎる結婚式を行う描写があり 娘は「おかあさんになりたくない」と思って育つ。 最終的な落としどころは「どんな結果になろうとも自分で選択したい、それが私の幸せ」だった。現代的だ。 凪良ゆうさんの小説もわりと男性に抑圧された女性が出てくる。彼らもまた酷い仕打ちをうけるが どこか「逃げ出す勇気」「したたかさ」を持っていて、読んでいて辛すぎることはない。 しかしこの小説はどうだ。ここまで従順に自ら「媚びて」生きている主人公には、怒りさえ覚え、そしてどこか、自らを刺す刃のようにも感じるほどだ。 それはなぜか。 彼らは媚びている。 そして、今の現実社会が「媚び」でできているからだ。 ここまでディストピアファンタジーな世界なのに、あまりにも現代社会にリンクし、見に覚えがあるような感覚になる。 これはどこかで見た光景だ。こんな人は実際に存在する。この感情は自分の中にもある。 それらがどうしようもなく読んでいて気色悪く、物語の終着点を見届けずにはいられない。 あまりにもすごいボリュームの小説だし、気分が悪くなること請け合いだが、我慢しながらも読む価値がある。 上巻だけだと男女の分断をさらに深めてしまいそうな未来が予想されるが、下巻に手を出すのは また時間ができてからになる。なにしろ、気持ちも持っていかれる小説だからだ。 | ||||
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| まだ上巻だけ、オーディブルで聞きました。 最初は「入りにくい物語だなあ」って思ったけど、どんどん続きが気になりやめられなくなる。 そのやめられなくなる感じが、物語の中で語られる「無意識に差別してる人」みたいでやんなった。 下世話なことに興味をもって、上から目線で感想を言うひとたち。私いまそれじゃん。 これ読んで男性が嫌いにならない人いる?笑 えぐすぎる、ひどすぎる。でもこれって、昭和の一部の世界に見えて、実は今に通じる差別なんだよな〜〜なんて。 | ||||
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| ディストピア小説というが、わりと今のX(Twitter)の世界観てこんな感じだと思う。 なんでそんな男と?という女、 女とその権利を嫌う男、 性犯罪、責任転嫁、情報弱者、陰謀論。 読んでいて目を塞ぎたくなるような描写のオンパレードであるが、完全なファンタジーとも思えない世界。 なんといっても描写力が半端ない…! 嫌なほど鮮明に想像させてくるので、途中で気分は落ち込み食欲も減り世界に絶望させられる。 下巻ではこれ以上落ちるのか? それともなにか光が生まれるのか? 読むのが怖いけど…読みます!! | ||||
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