彼女について知ることのすべて
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. 1984年、ロサンゼルス五輪が開催された年の夏のある夜、小学校教師の鵜川(うかわ)勤は人を殺しに車を走らせていた。だが、突然の停電によって進路を阻まれてしまう。その間に、鵜川を抜きにして事態は展開してしまっていた……。 ------------- 佐藤正午の1995年の長編小説です。 「その夜わたしは人を殺しに車を走らせていた」という不穏きわまりない一行で幕を開けた物語は、1984年の出来事を回想する8年後(1996年)の鵜川勤の一人称で語られていきます。 語られていきます、とは言ったものの、佐藤正午の作品は一筋縄ではいきません。物語はそもそもの始まりから語られるわけではなく、事が起こってかなりの時間が経過した時点から説き起こされるため、登場人物相互の人間関係も曖昧なまま進行しますし、過去に発生して現在に大きな作用を及ぼしている事件なり事故なりはおぼろげに言及されるばかりです。事件の発生経緯なり手口なりが描かれるのが真正のミステリだとすれば、この小説はまさに何が起こったのか、起こっているのかを解明していくミステリといえます。 いえ、これはミステリ小説というよりは、事件によって左右された人々の人生の揺らぎを詳細に描いていくドラマ作品であり、そしてその芯は男女のひりひりするような性愛の物語なのです。 一小学校教師である鵜川の人生には様々な人々が出たり入ったりします。同僚教師の笠松三千代、その学生時代の後輩である看護師の遠沢めい、教え子で家出少女めいた時田直美、その母である圭子、父の弟子にあたる競輪選手の杉浦洋一、遠沢とは切っても切れない縁にある真山光男、真山の使い走りの富永、事件を担当する弁護士の稲村京子、造園業者の神田老人、下宿人となる高校生の里子――名前を覚えるだけでも大変な数の人々がふたつの時系列で入れ替わり立ち代わり鵜川の人生と交錯していきます。 佐藤正午の小説をかなり読んできた私は、佐藤作品は「縁(えにし)の文学」だと考えています。人間は生まれてきた瞬間にはせいぜい両親や祖父母、兄弟姉妹といった身近な家族としか縁がありません。長ずるにつれて思いもよらなかった人々との友情や知己を得て転換していくのが人の一生です。この小説の鵜川も、校舎内の職場の同僚という円を超えて縁付いていった人々との間に、厄介でありながら切り離し難い関係を結んでいき、どんどんと人生はねじれ、よじれていきます。 気付いたときにはもうあの頃には戻れないところまで来ています。犯罪に手を染めようが染めまいがです。 「人生は多く試み多く取った者の勝ち」(178頁) 「人に与えられた時間は同じだから、少しでも眠る時間を短くして、目覚めていれば、それだけ大勢の人に会えるチャンスをつかめる」(同頁) そんな人生の真相をするどく読者につきつけてくる佐藤作品が好きでたまりません。 あれから8年が経過した今に生きる鵜川が、この先の8年、16年をどう生きるのか/生きたのか。読者に託される最終場面が実に美しい幕切れです。 . | ||||
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順序だてて説明してしまえば、短編になってしまうかもしれない痴話殺人話。 だけど話の筋が断片的に倒置されているから、全体像を把握するのに手間がかかる。そして、この手間が面白いと思わせるのがこの作家の真骨頂でにも通じるものがある。 ストーリーよりも、巧みなプロットに妙があるのだ。 | ||||
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「身の上話」が良かったので、楽しみにしてましたが、うだうだした主人公に魅力を感じられず、読み進めるのが、若干苦でした。 | ||||
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何か今年の8月はうんざりした陽気、に似合った展開、私の若い頃の風景のよく知ってる、私の全然知らない風景のよく知ってる作家、のうだうだした展開こんな展開うんざりだと思い思い、お盆の前後からこれまで読んでしまった記録的な雨の8月。の中でもこれは読みごたえがあった。 少しおごったくらいでは人はこんな話してくれないから、連休にすこし何か買ってみたくなった私の買い物としては良いのか悪いのか。映像にしたらとても出せない、読んだだけでも、きかせられない当時の常識というか、反常識。お皿にものせられない事柄の思い 、の重み。うだうだと行きつ戻りつ、のはなしの内に、時おりピーンと澄みきってくる細々。時おり、ほんの時おり、振り返ってみてしまう。そんなお話。魅力、なのかな。 | ||||
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佐藤正午ワールドが好きな人でないと、読むのがつらいかもしれません。私は、この独特のドライな感じの文体が好きですのでとてもおもしろく読みました。以前、新刊の時にも読んだと思うのですが、今回あらためて読みました。 | ||||
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