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レビュー数
54
最近のレビュー
2pt
4pt

設定に少し無理がある

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マリアと漣シリーズ3作目。前作を読んでからしばらく間がありましたが楽しく読めました。シリーズならでは、過去作のキーワードが出たりしていて、ファンサービスが感じられます。一種奇妙な少女と男性との出会い、直後の爆発の描写から始まります。少女は言葉足らずで世間のことを知らない様子で、興味を湧かせる始まりで好印象でした。そこから日は流れ、マリアと漣の捜査官コンビが富豪・ヒューの所有する高層タワーを訪れます。容疑は稀少動物を購入したというもので、二人は別行動しながら情報を求めていきます。一方、ヒューに招かれた男女が建物に囚われ、一人ずつ殺されていく描写。大きく分けて二つのシーンが交互に展開されていにます。それから重要なのはキーワード・グラスバード。ヒューのコレクションであるグラスバードを目の当たりにした人は、皆心を奪われます。犯人が誰であるかを推理すると同時に、人々を魅了するグラスバードの正体を探るのが物語のメインとなります。かなり好印象な内容に感じられました。前述したファンサービス、命を狙われるという恐怖心の描写、とあるミスリード、、、。ところが解決パートはいただけなかったです。結果として本書における死亡者は激増し、極めつけはラスト。登場人物の死亡をみすみす許したマリアと漣の無力っぷりに呆れ果ててしまいました。事件の解明パートも強引に感じられマイナス評価でした。もう一つのミスリード(こちらはグラスバードの正体に関係します)も、薄々察することができます。ミステリ小説に目の肥えていなくても大半の方は容易に推測できるでしょう。いかにも地頭の良い人が書いたという内容で、少し小難しいきらいがあったのもあり☆4としました。内容は忘れましたが前作よりはおもしろかった印象です。

5pt
6pt
5pt

SFじみた構成を上手くリーガルモノに落とし込んだ力は高評価

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舞台はとある高校。そこは、校則がかなりユニークであり、主人公である男子生徒は困惑します。髪型、服装は自由、生徒の自由性を重んじますと校長は言い、ただし犯罪は厳禁ですと付言されます。そのために生徒たちは法律書を持たされ、教室には犯罪をする者がいないかチェックするための防犯カメラが設置されています。主人公のいるクラスの生徒たちはそのことを当たり前のことと受け入れています。ですが、どうやら異様なのは学校だけでなく、この町も同様らしく、、、。SF的物語の設定、タイトルの『魔女の原罪』、そして度々台詞に出てくる"魔女"、"魔女裁判"。SFなのかと思いきや、途中で事件が起こり、上手く最後は法廷ものに落とし込んでいます。透析もこの物語で重要なキーワードとなっており、医療モノの要素もあり、いろいろなジャンルを楽しめる作品といえます。作者が弁護士だけあって、法律的観点からこの物語の違和感を説明できた力はプラス評価です。ただ残念なことに、登場人物が"なぜ、そうしたのか"いわゆるホワイダニット的視点で、かなり致命的にマイナス評価でした。無教養な人物がそうしたのならまだ納得するとしても、こんな非科学的で非情なことをするだろうかと。その点が受け入れられず、評価は大幅減です。本来なら☆4にしたいところですが、以前レビューした『幻告』よりは読みやすかったので、差をつける意味で☆5とします。

6pt

一風変わったSF感動物語

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本作は、序章で現在の物語を、そして大半がSF要素のある活劇物語を描く構成となっています。主人公は宮本拓海。妻と共に病室の廊下で息子の病態を見守っています。息子は、伴性遺伝の難病で長く生きられない病気を持って産まれ、案の定、まだ若くして病床で臥せっている状態です。時生(トキオ)と名づけられたその息子を見守るうち、拓海は妻に語りかけます。俺は昔、こいつに会ったことがあるんだ――。そんな不思議な語りから始まり、拓海がまだ23歳のとき、出会った不思議な少年との長い物語が描写されていきます。冒頭はいかにも東野圭吾っぽい物語の始まりと思いました。ところが徐々に読み進めるうち東野っぽさのない、荒削りな物語だなという印象を持ちました。登場する人物たちはそれぞれ個性があり高ポイントでした。ろくに就活しようとせず、恋人の収入にたかり、いつか自分は大きなことを成し遂げると考える拓海。読んでいるうち、なんてバカな奴なんだと呆れますが、反面、金のために詐欺をする仕事に我慢できない正義感や、持ち前の愚かしさがトキオのリアリスティックな考えと反し、いいコンビだと思いました。物語の謎は、突然消えた恋人の行方を追うことと、拓海の出自が徐々に明らかになることです。恋人の行方を探すうちに怪しげな男たちに捕まってしまったりと、かなりボリュームがありました。なかなか話が進展しない部分が目立ち、そこがマイナスポイントでした。ミステリ要素がなかったことも物足りなかったです。途中で謎解きめいたものがありますが、子供騙しのようなものでした。新人作家の作品なら☆7にしたところですが、東野圭吾という看板を鑑み、☆6と少し厳しく評価しました。終盤、母親からの手紙を読んだ拓海にぶつけた時生の熱い言葉にはグッと来るものがありました。そこが一番感動しました。魂の込もったメッセージだったと思います。最後のとあるアクシデントについては、少し内容が異なりますが『フォルトゥナの瞳』に似たオチでした。少し厳しめなレビューをしましたが、心に残る名作なことにちがいありません。

9pt
5pt
6pt
4pt

法廷×SF 時を遡り、主人公は父親を助けられるか

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裁判所書記官の青年を主人公とする、SFと法廷モノを掛け合わせた作品の本作。主人公は、父親が犯罪者だという触れられたくない過去を持っていました。ある日、タイムスリップして現在と過去を行き来し、もしかしたら冤罪の疑いのある父親の無実を証明しようと、奮闘する物語です。かなり凝った内容だなというのが第一感想です。タイムスリップの条件、過去を変えれば未来が変わること等々、頭がこんがらがる内容に感じました。何度か読み返さないと物語が細部までわからないかなと、そのくらい複雑な内容でした。文章は読みやすかったです。一文が簡潔、余計な文章が少なく修飾語も控えめでした。作者さんが弁護士のためでしょうか、文章が堅く、無機質な印象を受けました。主人公のキャラクターも高評価です。裁判所書記官という、小説であまりフォーカスされないキャラを主人公に据えるユニークさ、主人公が法曹関係の仕事に就こうと思った動機のおもしろさなど、なかなか良く描けてます。裁判の雑学が所々で書かれていて、勉強にもなりました。一回の公判が意外と短いこと、被告人に偽証罪は適用されないことなど、新しい発見がありました。一方で、過去にタイムスリップして行なったことが現在に影響するというのが理解が難しかったです。タイムスリップして過去をやり直したことが未来に影響を与えたとしても、現在は変わらないのではないかと。過去に行ってやり直しして、現在に戻ると、主人公は一人暮らしのはずなのに彼女と同棲していたり、読んでいて頭がこんがらがること請け合いです。さらに、物語は複雑になっていき、父親に無罪判決が出たら別の悲劇が待っているので、またやり直そうとしたり、他にもタイムスリップする人が現れたり、、、。SF好きだからと安易に手を伸ばせるタイプではないです。賢い人が頭の体操として描いてみたという感じです。物語を理解できるのは、同じく賢くて作者と波長の合う読者。一回読んだだけだと評価は低めですが、二度読みして細部まで理解できれば、もう少し評価は上がるかもしれません。


読書数
54
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