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レビュー数
56
最近のレビュー
6pt

全編にわたり不快指数が高い、、、けど圧倒的リーダビリティで読ませる本

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評判は以前から耳にしていて楽しみにしていました。一つは、ユーチューブで、ドンデン返しやイヤミスの代表として紹介されていたこと。そして母から、読んで後悔したと言われたこと。帯にも9億人が騙されたと宣伝文句があり、読み始めた時期も夏真っ盛りで、タイミングも相まって楽しみにしていました。いろいろな要素がミックスした作品です。死亡した少年が転生したというSF要素から始まり、犯人と目する人物と対峙するサスペンス要素、死体消失から始まるミステリ要素。だけでなく、毒親や性的虐待、犬猫の無残な死骸など、容赦ない描写が数々描かれます。表紙のような爽やかな初夏ではなく、湿度の高い不快な夏のような作品です。読みやすい文体に、緊張感のある描写など、読書入門者に向いてるでしょう。けれど前述した内容のとおり、人に勧められる作品ではないです。ミステリとしてフェアじゃない気もしました。伏線はあるにはありますが、それに気づく人はいないと思います。核心を言えば、人物誤認のトリックなのですが、これを言っても見抜ける人はいないでしょう。主人公の行動の不可解さもあり、減点して☆6としました。記憶に残る作品でありました。(何気に、S君の書いた『悪い王様』という作中作がかなり好きな内容でした。)

5pt

女性刑事の思考と行動が評価を大きく下げる

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本書は二つの視点が交互に切り替わっていく構成です。一つは、死刑判決を言い渡された浅沼聖悟が法廷で表現した「最後の一件の犯行は俺じゃない」という言葉を信じ、女性刑事が単独捜査するもの。もう一つは視聴回数の少ない陰キャ中学生ユーチューバーが、配信者仲間と共に死体を捜すというものです。プロローグ、女性が変質者から命を狙われ、追い詰められたときに「俺はお前の旦那に殺害を依頼された」という台詞があり、被害者の夫は犯人なのかが本書における一番の謎となっています。ユーチューバー視点での物語の進め方は上手だと思いました。陰キャ特有のネガティブな感情はリアルだし、家庭に蟠りがあって内緒で仲間と死体捜しをするという、冒険小説的内容となっています。一方で、女性刑事の視点は正直不要だったと思います。途中、命を狙われるシーンがあるのですが読み返してみれば物語解決に意味はなく、遺族に、じつは死刑判決を言い渡された男が犯人でないと思ってるなんて言わないだろうし、被害者の夫に直接疑惑をぶつけたりしていて印象が悪かったです。おまけに、被害者の夫に対して、妻が家事に専念するという家庭事情について、時代錯誤だと食ってかかるシーンがあり、意味不明でした。総じて見れば、ミステリー的仕掛けがありましたが、ミスリードの強引さや、女性刑事に対するマイナス評価、相変わらずのカビの生えたような使い古しの比喩表現(血で染めたような赤い夕日など)を諸々勘案し、☆5としました。

2pt
4pt

設定に少し無理がある

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マリアと漣シリーズ3作目。前作を読んでからしばらく間がありましたが楽しく読めました。シリーズならでは、過去作のキーワードが出たりしていて、ファンサービスが感じられます。一種奇妙な少女と男性との出会い、直後の爆発の描写から始まります。少女は言葉足らずで世間のことを知らない様子で、興味を湧かせる始まりで好印象でした。そこから日は流れ、マリアと漣の捜査官コンビが富豪・ヒューの所有する高層タワーを訪れます。容疑は稀少動物を購入したというもので、二人は別行動しながら情報を求めていきます。一方、ヒューに招かれた男女が建物に囚われ、一人ずつ殺されていく描写。大きく分けて二つのシーンが交互に展開されていにます。それから重要なのはキーワード・グラスバード。ヒューのコレクションであるグラスバードを目の当たりにした人は、皆心を奪われます。犯人が誰であるかを推理すると同時に、人々を魅了するグラスバードの正体を探るのが物語のメインとなります。かなり好印象な内容に感じられました。前述したファンサービス、命を狙われるという恐怖心の描写、とあるミスリード、、、。ところが解決パートはいただけなかったです。結果として本書における死亡者は激増し、極めつけはラスト。登場人物の死亡をみすみす許したマリアと漣の無力っぷりに呆れ果ててしまいました。事件の解明パートも強引に感じられマイナス評価でした。もう一つのミスリード(こちらはグラスバードの正体に関係します)も、薄々察することができます。ミステリ小説に目の肥えていなくても大半の方は容易に推測できるでしょう。いかにも地頭の良い人が書いたという内容で、少し小難しいきらいがあったのもあり☆4としました。内容は忘れましたが前作よりはおもしろかった印象です。

5pt
6pt
5pt

SFじみた構成を上手くリーガルモノに落とし込んだ力は高評価

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舞台はとある高校。そこは、校則がかなりユニークであり、主人公である男子生徒は困惑します。髪型、服装は自由、生徒の自由性を重んじますと校長は言い、ただし犯罪は厳禁ですと付言されます。そのために生徒たちは法律書を持たされ、教室には犯罪をする者がいないかチェックするための防犯カメラが設置されています。主人公のいるクラスの生徒たちはそのことを当たり前のことと受け入れています。ですが、どうやら異様なのは学校だけでなく、この町も同様らしく、、、。SF的物語の設定、タイトルの『魔女の原罪』、そして度々台詞に出てくる"魔女"、"魔女裁判"。SFなのかと思いきや、途中で事件が起こり、上手く最後は法廷ものに落とし込んでいます。透析もこの物語で重要なキーワードとなっており、医療モノの要素もあり、いろいろなジャンルを楽しめる作品といえます。作者が弁護士だけあって、法律的観点からこの物語の違和感を説明できた力はプラス評価です。ただ残念なことに、登場人物が"なぜ、そうしたのか"いわゆるホワイダニット的視点で、かなり致命的にマイナス評価でした。無教養な人物がそうしたのならまだ納得するとしても、こんな非科学的で非情なことをするだろうかと。その点が受け入れられず、評価は大幅減です。本来なら☆4にしたいところですが、以前レビューした『幻告』よりは読みやすかったので、差をつける意味で☆5とします。

6pt

一風変わったSF感動物語

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本作は、序章で現在の物語を、そして大半がSF要素のある活劇物語を描く構成となっています。主人公は宮本拓海。妻と共に病室の廊下で息子の病態を見守っています。息子は、伴性遺伝の難病で長く生きられない病気を持って産まれ、案の定、まだ若くして病床で臥せっている状態です。時生(トキオ)と名づけられたその息子を見守るうち、拓海は妻に語りかけます。俺は昔、こいつに会ったことがあるんだ――。そんな不思議な語りから始まり、拓海がまだ23歳のとき、出会った不思議な少年との長い物語が描写されていきます。冒頭はいかにも東野圭吾っぽい物語の始まりと思いました。ところが徐々に読み進めるうち東野っぽさのない、荒削りな物語だなという印象を持ちました。登場する人物たちはそれぞれ個性があり高ポイントでした。ろくに就活しようとせず、恋人の収入にたかり、いつか自分は大きなことを成し遂げると考える拓海。読んでいるうち、なんてバカな奴なんだと呆れますが、反面、金のために詐欺をする仕事に我慢できない正義感や、持ち前の愚かしさがトキオのリアリスティックな考えと反し、いいコンビだと思いました。物語の謎は、突然消えた恋人の行方を追うことと、拓海の出自が徐々に明らかになることです。恋人の行方を探すうちに怪しげな男たちに捕まってしまったりと、かなりボリュームがありました。なかなか話が進展しない部分が目立ち、そこがマイナスポイントでした。ミステリ要素がなかったことも物足りなかったです。途中で謎解きめいたものがありますが、子供騙しのようなものでした。新人作家の作品なら☆7にしたところですが、東野圭吾という看板を鑑み、☆6と少し厳しく評価しました。終盤、母親からの手紙を読んだ拓海にぶつけた時生の熱い言葉にはグッと来るものがありました。そこが一番感動しました。魂の込もったメッセージだったと思います。最後のとあるアクシデントについては、少し内容が異なりますが『フォルトゥナの瞳』に似たオチでした。少し厳しめなレビューをしましたが、心に残る名作なことにちがいありません。

9pt
5pt

読書数
56
最近の読書で 8pt 以上の小説

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