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遮光
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遮光の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全51件 1~20 1/3ページ
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テーマ的にはデビュー作の「銃」と似ている。事故死した恋人の身体の一部を瓶詰めにして持ち歩く虚言癖の学生の話だが、彼もいつしかそれに取り込まれてしまい、正常な判断が出来なくなってしまう。我々が日々信じたり拠り所としているものは、結局他人からすると、まったく意味のないもの、もしくはただ気持ちの悪いだけのものかもしれない。そういう断片化や分断•分裂を乗り越え得るものが、果たして現代の日本には確として存在するのであろうか。 | ||||
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賛否両論、極端に分かれる作品である。残念ながら、私は否の方。 この主人公のような人物が現実社会に存在したら、間違いなく精神鑑定を受ける必要がある。また、いつでも何か演技をしていて、本人自身も自分の本当の気持ちがわからない。相当、生育歴に問題ありの人物として描かれている。こういう小説が好きな人は大いにはまるだろう。 しかし、私はまた別の読み方をした。おそらく、これを書いている作者は社会経験の乏しい若者なのだろう。従って、血の通った人間ドラマを描けない。現実の世界で額に汗して働いた経験が乏しければ、自ずと作品は軽いものになり、説得力がない。ただ、頭の中でのみ考えて書いている。 中卒でも芥川賞を受賞した作家もおり、そう言う方の作品とは対照的である。 おそらくこの作者は頭がいい。けれども、肉体労働の経験や社会の中での挫折を経験していない。それが作品に如実に表れている。 内容についてだが、亡くなった恋人の指に異常なほどに執着している。この辺は日本人特有の感覚である。欧米人は遺体にそこまで執着しない。彼らの根底にはキリスト教があり、体は神が作った器に過ぎないと考えているからだ。体を本人自身であると考えるのは、人間に対する理解が幼稚だからだ。死んでもその精神までもが亡くなる訳ではない。こう言う私の考え方は、精神世界の本を好んで読む方には支持して戴けると確信している。 | ||||
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作者は知らなかったけれど、表紙とタイトルの陰鬱さが個人的に好みだったので購入しました。 ページ数が少なく、薄かったのもありますが一気に読んで、さらにまたなんども読み返してしまいました。 ✳︎ネタバレ注意です 虚言癖のある青年。嘘をつくときはペラペラと話すのに、1人の時は虚ろ。 でも孤独ゆえに幸せを望みもがき続けているように感じました。 ようやくできた大切な人。けれどその人も… 持っていた指に対しても、嘘をついていたように感じました。本当は、狂うことで彼女の指と、彼女と一緒になりたかったんですね。 ラストシーンの指をくわえることで嘘をつくことをやめられたんだなぁ、と考えると切なさが残りました。 彼が虚言癖で、亡くなった人の指を常に持ち歩いていて、というのはきっと彼の特徴を示すためのものでしかなく、ここに書かれていたのは孤独を背負いながらもやっと人を愛すことができたのに、狂人になることでしか幸福を得られなかった等身大の男性の物語だと感じました。 こんなに陰鬱なテーマなのに読後感は感動して涙しました。 主人公の感情がこんなにも繊細に描かれ、感じさせることのできる文章に心打たれました。 人を選ぶ内容かもしれませんが、私は大好きな作品です。 | ||||
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本作品は一言で表すと「暗い」作品である。 愛する女性を失った虚言癖のある青年が彼女の指を愛しながら生きていく。 映像化したら、とても正視できない内容であろうと思うが、愛する者を失った悲しい心理描写が非常に巧いと思う。 中村文則さんの作品は、万人に支持されるものとは思わないが、私自身は時々読みたくなる魅力を有している。 | ||||
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亡き恋人の小指を持ち歩く虚言癖の男が主人公。恋人との出会いから、彼女の死、そして小指を所有するに至った経緯がつづられる。 周囲の人には、恋人が生存しているかの如く振る舞う主人公だが、その明確な理由は判然とせず、狂気の一歩手前で踏みとどまっているような様子。その一触即発までのふらふら状態が、憂鬱感たっぷりに描かれる。 暴力衝動とそれを冷静に見つめる内なる自分ということになるだろうか。ありがちだが、出口なしのどよ~んと鬱屈した雰囲気は、中村文則作品ならでは。ラブストーリーとも受けとれるかな。 | ||||
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親の愛に飢え、孤独な少年時代を過ごしてきたが、美紀という恋人に出会い、 幸せな家庭を夢見る。美紀の突然の事故死を受け入れることができず、 遺体の指をホルマリン漬けにして、常に鬱屈した気持ちを抱きながら、持ち歩き、 最後はふとしたことで人を殺してしまう。 未来への明るさはもちろん、主人公の救いも、読書から得る教訓もなにもない。 単なる自己中心的な殺人者の話とも捉えられる。 作者の作品には幼少時代に辛い思いをした人物に焦点が当てらることが多い。 ここまで暗く書き切るのは、意図的というよりも、作者の心の叫びであるのだろうか。 ドフトエフスキーや安部公房の影響を感じるが、あまりに簡単に読み易すぎる。 作者が100年後にも読み継がれる小説を目指しているのであれば、更なる人生の深さを感じさせてほしい。 | ||||
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94ページで、地面に座り込んでいた二人の女性と飲みに行くことにして、 そのまま歩き出したところ、いつの間にかどこかの店に入って座ったようだがその描写がなかったので 一体どこの場所で物語が進んでいるのか、迷って、何回も読み直してしまった。 | ||||
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野間文芸新人賞受賞の作品でどんなものかと興味深々ではあったが、自分にはこの小説の良さは不明であった。 | ||||
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突然の自己で恋人を失った主人公は,遺体の一部を盗み出す. それは狂気をもたらすのか,それとも正常な精神をつなぎとめるのか? 恋人が亡くなった事実を受け入れられず,遺体の一部を盗み出し保存して隠し持つ, そこまでは,パニックに陥った行動として,まだ了解できなくもない. とはいえ,その行動はむしろ安寧よりも狂気をもたらしたように見受けられる描き方である. 遺体の一部の存在自体が,主人公のその後の虚言や異常とも思える行動を助長しているように思われ, 一人称で語られる独白からは,恋人を失った悲しみよりも破滅的な狂気が強く感じられる. こういった濃ゆい心理描写は重苦しくも,読ませる表現力があり,作者の筆力を感じさせる. ただ,主人公と亡くなった恋人の関係性の描き方が弱く, 単に「思い込みの激しい人」という印象になってしまい. ここまで思いつめる主人公の真理に共感できない. つまり,結果の部分はこれでもかとばかりに表現されているが, 原因がきちんと描かれていないのである. これは本作に限らず,中村氏の作品に共通する弱点のような気がする. | ||||
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主人公が特異すぎて、まったく感情がわかない。 純愛なんだろうけど偏屈過ぎ・・・。 心理描写も、マスターベーション的で、分かりににくい。 | ||||
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負の話。 虚言症と云われる人の心理とはこのようなものかもしれないとおもった。 子供の頃の心理的外傷がトラウマとなり、二重人格といえば、真夜中は別の顔、という名作があった。(初めて英語のままよんだ本だったがわかり易くてぐいぐい読んだ) 人格の統合ができなくなる混沌とした意識。 壮絶な暴力は混沌に潰されそうな自分への防御行為だったのか? | ||||
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先に「銃」読んでたから、こちらも、読み進めるのが面白い反面、不安でした。心地よい不安というやつですが。 でも、悲しい涙も出たよ。 | ||||
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教団Xに感動してこれが2冊目です。うーん これだけ展開のない作品は、疲れます。 ここまで特異な人格を扱っているのなら それなりの展開も期待してしまうのですが どうやらそういう作家さんではない様子。 | ||||
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「銃」を読んだときは、何だか気持ち悪いのと結末がショックで、中村さんはあまり好きになれないと思った。 しばらく読むのはよそうと思ってたのに、沢山のレビューと、あの強烈な世界観が気になって気になって、今度は「遮光」を読んだ。 読んでよかった。上手く言葉にできないけれど、心を動かされた。自分がもし、主人公と同じように大切な人を失ったら、同じことをしない、とは言い切れないかもしれない。特に電車の中で瓶を落としてしまい、周りの乗客の視線を浴びながら慌てて転がる瓶を拾うシーンは、とてもリアルに感じた。社会から疎外されている感覚や、誰かと繋がりたいけど上手くいかない感じ、今までこういう小説読んだことなかったから、こういうことが小説で読めるということに感動した。 でもやはり暗いので、中村さんの小説は1年とか間隔を空けながら読もうと思う。 | ||||
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今じわじわと中学生~高校生の間で人気だそうです。 話を合わせたくて数冊購入。 確かに。 ラノベよりもこういう本を読んで貰いたいと思います。 | ||||
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とても共感しました。 なぜわかるんだろうと思いました。 よく言葉にできるなぁと驚きました。 きっと中村さん自身の話だからこれだけ書けるんだろうと思いました。 読んでいると、自分自身について理解して行っているような気がして、昇華している気分になります。 暗い気持ちが消えて明るくなるわけではありませんが、理解した気になって少し安心した気持ちになりました。 あらゆる欲を感じない、人の内側に純粋に迫った小説だと思います。 同じ感覚を持つ人がこの小説に出会えたら救われるだろうと思います。 中村さんありがとう! | ||||
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恋人を事故で失った虚言癖のある青年が主人公。 彼が大切にしているのは黒いビニールで覆われた謎の瓶。 自身の全ての行動を演じている様に感じ、典型的な言動を とる事に長けたため喪失した何か。それを埋めてくれる存在が あったのだが無くした故の狂気が苦しい。最終的に光を閉じた 主人公は心の中では幸福を感じているのだろうか。 最初はただ狂気の部分しか感じなかったが最終的にはこれはやはり 純愛なのかと感じさせられた。筆者も述べている通り(典型的な 物語が多い中)珍しい小説だと思うがこういう形もあってよい。 | ||||
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ピースの又吉さんがオススメしていたので読んでみました。衝撃でした。若い頃の漠然とした不安感、自分がそちら側に行ってしまいそうな恐怖を思い出してしまいました…。再読するのに勇気がいるほどです。でも作品としてとても面白いです。他の作品も時間をかけて読んでみたいです。 | ||||
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第1作の主人公がそのまま登場したかのような第2作。 不幸な生い立ちのせいか、典型(普通)に憧れ、破滅願望を抱え、遺体の一部を所持するという幼少期からの性癖やら、かなり屈折した主人公です。 主人公がなぜ亡くなった彼女を強く求めたのかは、理解できません。 しかし、第2作目に完成を求める必要はないわけで。 文学史の中にはもっと優れた小説もあるでしょうが、同時代の作家をリアルタイムで追いかけていく楽しみを感じたいと思います。 (といってもこの小説が書かれて11年後に私は読んでますが) | ||||
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なんというのか・・・くらい感じがして、これを読んでからというもの、中村さんの本が面白くなくなってしまったので残念です。なんか嫌だった。 | ||||
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