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遮光
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遮光の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全51件 41~51 3/3ページ
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ゆがんだ若者像を見事に描いた作品。 本当の自分とは違う全く違う人間を演じ、それを死んだ恋人の指を持ち歩く主人公の不気味さ、そして執着が最近おこる猟奇事件の犯人像を見ているようでぞっとした。 恋人を愛しているより、恋人を愛している自分に酔い、他人を殴る自分に憧れ、それでいて孤独を何よりも怖がり、たとえ嫌な人間でも一緒にいることを望む。 そんな姿がゆがんだ現代社会を象徴しているような作品だった。 | ||||
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やっとけばよかった? 相変わらず暗い話だ。しかし、デビュー作の『銃』よりも、僕はこの『遮光』を今のところ中村文則の最高傑作だと思う。 ある意味、恋愛小説だろうか。死んだ恋人の指をホルマリン漬けにして持ち歩くという、『銃』とテーマが被っているような話。 主人公には、まったく自分というものを持っていない。安いテレビドラマやであった人々が発した台詞をそのままなぞるだけで、彼は自分の意志をほぼ持っていない。怒るのにも怒ろうと思わなければ怒れない。自分のしていることを演技だと思い込み、その思い込んでいることを演技だと思う、究極の負のスパイラルに翻弄されていき、ひたすらに「典型さ」を求めていく。 虚ろな文体とは違い、リアルに描かれた外面描写は著者のお手のものだが、今回は主人公の性格からして、それが特に効果的になっている。 そして、僕が評価しているのは、そんな話でありながら、主人公がひたすらに一生懸命なところだ。狂ってるんだけど、何かをめちゃくちゃ頑張ってる。 まぁ、それがまた逆に物悲しいんだけど。とにかく、普通の人にはあまりお勧めしません。この人の作品は暗すぎます。 | ||||
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失ってしまった恋人の小指をビンにつめ持ち歩く男.その行為に彼は束縛され,一般社会からの光を遮ってしまう. 自分の周りを嘘で固め,感情無き暴力を振るう.彼に違和感を抱き,徐々に離れてゆく周囲の友人達.久遠に続く虚無の世界.そこには一筋の光も差し込むことはない. | ||||
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文藝作品がまるでテレビ番組と同じくらい軟調なものが多く退屈していたが久しぶりに「ん!」と思う作品に会えた。 村上龍氏の芥川受賞作品のような読む者に陰うつかつ快活に「違和」を与える作品だ。 確かに歪んだ光景描写と言える。 苦手な人も多いかも知れない。 しかし誰にもカタチは違えども必ず捨てたくない大切なモノやコトがある。 そこを意外な事象で表現したのが本作品だ。 1ページ目をチラリと見ればだいたいどういうトーンの作品なのかはわかるものだが、この本は歪んだ暗さが漂う。 しかし軟調で軽薄なものはイヤになるくらいたくさんあるのだから、これはこれでいいと思う。 著者の他の作品をいま読んでいるが、著者はだいたいこういう具合に歪みというか暗さというか、人に潜む陰の部分を同じく陰からのぞくようにあぶり出している。 著者には変遷しないでいてほしい。 これはこれでいいのだ。 | ||||
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なんともいえない暗い話にしたかった作者の気持ちはわかるのだけれど、なんていうんでしょうか?なんか作為的なものを感じるんです。やたらと現実離れしたものを並べ立てて「ね?異様でしょ?異様でしょ?」ってのを見せびらかしたくなる作者のアピールが逆に煩わしく感じられてなりませんでした。こういうのが最近はウケているのかもしれないけれど、私はこういう「アー読み終わった」って言って、そのまま始末に困るような本をとても推す気にはなれませんでした。読んではみた。なんか心に残った。でもしばらくしたらシャボン玉のように消えた。本棚に目をやるとこの本のタイトルが目に留まった。でも手に取る気にはならなかった。これを名作と呼べるのかな、と。こういう作家が芥川賞獲ったりするんでしょうね。だから一発屋が多いのかも。ま、私は好きにはなれません。 | ||||
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「私」の美紀にたいする思いを、真実なのか狂気なのか純愛なのか、主人公自身もよくわからないまま進む話に、めげて暗くなりそうな内容なのですが、どかこ心に訴えてくるものがこの小説にはありました。 まさに現代的な狂と哀が複雑に入り組み、その中心にはぽっかり穴が開いていて、そこに何があるのか? 「私」はどこにでもいる人間かもしれません。この男の考え方を完全否定できない複雑な心境の読後です。 今年の芥川賞候補作の中では一番、わかりやすく面白い作品だと思います。 | ||||
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本当に悲しいことは否定したい。喪ったという事実も受け入れられない。彼が持ち歩いていたものは、美紀そのものだった。「いつも一緒にいたい。」「いつも存在を感じていたい。」その思いだけが彼の心を支配する。大切なものを喪って、壊れてしまった心。癒すすべを知らない男の哀れさがにじみ出る。なぐさめの言葉もきっと役には立たないだろう。読んでいる間中、息苦しさを感じた。 | ||||
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死んだ恋人の指を持ち歩く。「純愛か?」でも全然、純愛ではありません。自分が何者かはかりかねる若者が自分をもてあますように恋人の指も持て余す。それは愛ではないけれど、愛だと思いたいけれど、違って、じゃあ、そんな自分は何を感じて何を考えてる人間なのだろうか?テーマ、文体共に重量感がある。いかにも芥川賞を取りそうな感じ。次の作品あたりで取るんじゃないかな??重量感に好き嫌いが分かれそうな感じ。 | ||||
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主人公はつらい過去をもつ、虚言癖のある若者。恋人に死なれ、死体からある部分を切り離し、肌身離さず持つ。自分がなかば狂っていることを自覚しているぶん、まわりにそのことを悟られないために演技のごとくふるまう。そのために、ウソも連発する。自分は面白くも無いのにまわりが喜ぶことを口にする。その点は、自意識が肥大した若者を主人公にした最近のある芥川賞候補作に似たところがある。この意識と無意識を揺れ動く主人公の内面世界は面白く感じられた。ただ、最後のほうに主人公の暗い過去についての記述があるが、そのような狂っていることへの理由付けみたいなものはないほうが面白いと思った。狂っているのはこの主人公か、それとも現実の今の世界なのか。考えさせられた。 | ||||
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指を切るなんだか怖いです。いや、愛するゆえの行為?どうなんだろう??全編、混沌とした雰囲気でつつまれていますので体力のないかた、弱っているかたにはちょっとオススメしずらいです。飲み込まれちゃいそうで。 | ||||
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かなり不気味な作品だった…。最後の作者コメント読んで少し納得したけど、なんだかな・・。主人公の彼女が亡くなります。彼女が安置されている病院に行き事故でバラバラになった体を縫い合わせてあるんですが何故か、彼はその結び目を焼き一部を盗むのです。ね、既に不気味と言うかーおかしいでしょ。変態って意味のおかしいんじゃなくって頭おかしいのおかしいですよ。それを、どうすると思います?おかしいじゃなくてキチガイだな。主人公の嘘つきっぷりにも注目です。 | ||||
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