(短編集)
顔のない肖像画
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顔のない肖像画の総合評価:
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ごめんなさい、なんとも困ってしまいます……。 結末の予想は難しいものでしたが、その論理過程の構築が少しわざとらしいものでした。自然に考えることはちょっとだけ困難です……。 言葉の置き方には、満足を感じる部分がありました。各話、題の置き方は魅力的です。 "顔のない肖像画"……… わたし自身の中で、膨らませてしまいました… | ||||
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いやはや、なんと凄いミステリー作家だ。どの短編もどんでん返しに満ちた、ジェットコースターミステリーである。連城三紀彦、衝撃のディクスン・カー以来の最高の作家であろう。 | ||||
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いくつかの物語が詰まっていますが、どれもが意外な結末、語り口もいろいろで、面白かったですが、ミステリーとしてはちょっと物足りなかったように思いました。 | ||||
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冒頭から興味深いシチュエーションが示され、巧みに読者をミスリードし、最後まで読むと勘違いに気づかされる短編集。「瀆された日」「ぼくを見つけて」「顔のない肖像画」がお勧め。 「瀆された日」 足の麻痺で入院している静子が、担当医に凌辱された話が、関係者の証言を中心に検証されていく。証言を読んでいると、どちらの言い分が正しいのか、わからなくなってくる。静子の妹の雪子の調査によって、様々な証言が一つに収束していき、意表を突く真実が浮かび上がる。特に、第三者が耳にした会話の証言の意味する内容が面白い。 「美しい針」 カウンセラーが精神的な歪みを抱えている患者に過去の体験を話させて、追体験することで精神を解放しようとする話だが、女性に徐々に魔の手が忍び寄っていくサスペンス感が味わえる作品。最後まで読むと、ある事柄に勘違いしていたことに気づく。 「路上の闇」 主人公がタクシーに乗り込むと、ラジオのニュースが流れ、タクシー強盗が近くで発生し、犯人が自分と同じ風采、服装をしていることに気づき、運転手が自分のことを犯人と思っているのではないかと疑心暗鬼に駆られる話。乗客と運転手との間の心理サスペンスだが、最後に逆転がある。本短編集中で唯一、途中で真相に気づいた。 「ぼくを見つけて」 9年前に誘拐されて死亡したはずの少年から「助けて」という電話が警察にかかってくるという奇妙な事件。刑事が調査すると、「助けて」という言葉が真実であったことが判明する。誘拐ミステリ―が十八番の作者らしいひねりの利いた真相。 「夜のもう一つの顔」 浮気相手の男を相手の自宅ではずみにより殺してしまった葉子。相手の妻であり、自分の上司である雪絵が自宅に戻って死体を発見し、葉子に助けを求める。二人の間で善後策を相談しているうちに、思いがけない真相が明らかになる。複雑な真相だが、ちょっとひっくり返しすぎでは、と感じた。 「孤独な関係」 主人公冴子が、職場の上司の妻から、夫の浮気相手が職場の六人の中にいるから調べてほしいとの依頼を受ける話。調べれば調べるほどに、どの女も怪しい。冴子の見解のほか、別の人物の見解も示され、孤独な関係を続けてきた夫婦が求めようとしたもの、信じようとしたものが明らかになる。 「顔のない肖像画」 主人公が画廊で見かけて、心惹かれた1枚の絵「顔のない肖像画」。その絵の所有者であり、作者荻生仙太郎の妻である老女から、その画家のオークションに代理出席して、もう1枚の「顔のない肖像画」を競り落とすように依頼される話。オークションに関する情報が入ってくるにしたがって、老女の依頼に対して不審な思いが募っていくが……。荻生仙太郎の幻の最高傑作とは何か。意表を突くオークションのからくりが最後に判明する。 | ||||
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表題作の他、「穢された目」、「美しい針」、「路上の闇」、「ぼくを見つけて」、「夜のもうひとつの顔」及び「孤独な関係」の全7つの短編から構成されるミステリ短編集。私は作者のデビュー当時(「変調二人羽織」)からのファンで、「白と黒」、「陰と陽」とを一瞬の内に反転させてしまう作者の"騙しの手腕"の虜となって来た。その意味において、作者の最高傑作は短編集「夜よ鼠たちのために」(こんな事が可能かと呆然とする程の短編揃い)だと思うが、本作もその「白と黒」、「陰と陽」とを一瞬の内に反転させてしまう"騙しの手腕"が如何なく発揮された秀作である。惜しむらくは、作者の作品に慣れ親しんだファンにとっては予定調和的短編もある点だが、それでも凡百のミステリのレベルを遥かに越えた秀逸な短編集である。 「穢された目」は、事件関係者の断片的"独白"の積重ねだけで物語を構成し、読者を迷宮へと誘うという、代表短編「美女」を想起させる実験(野心)的作品で、それでいて、「陰と陽」との反転が鮮やか。「ぼくを見つけて」を読んだ時は、「変調二人羽織」中のある短編を思い出したが、冒頭から不可能(不可解)状況を提示して事件構造を不可視化するという工夫を加えている作者の飽くなき探求心には感心した。「夜のもうひとつの顔」も巧みな構成で、こちらは「夜よ鼠たちのために」中のある短編を思い出させる出来栄え。「孤独な関係」もワザと"信用の置けない一人称"を用いて良く練ってあるが、練り過ぎて(?)切れ味が今一つの感がある。そして、掉尾に置かれた表題作には本当に驚嘆した。予測不能の超絶技巧である。美術品を扱った作者の作品は多いが、その中でも白眉であろう。やや予定調和的な「美しい針」及び「路上の闇」も、並のミステリ作家と比べれば佳作、秀作と言って良い出来である。 改めて作者の力量を思い知らされた。「夜よ鼠たちのために」の姉妹編と言って差支えない卓抜した短編集だと思った。 | ||||
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