わずか一しずくの血
- 失踪 (242)
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私は作者のデビュー当時(「変調二人羽織」)からのファンで、作者の"騙し"の技巧を愛好して来た(その意味では短編集「夜よ鼠たちのために」が最高傑作だろう)。本作は作者の遺作群の一部として発表された幻の大作という事で期待を寄せたのだが、残念な出来だと思う。 トリックの冴え("騙し"の技巧)というよりは、構想の雄大さ(奇抜さ)で勝負するタイプの作品だが、その全体構想に無理がある(何時から社会派作家になったのか?)上に、登場人物の扱いにも無理がある。一番重要な登場人物(の名)を全体の4/5まで隠しているのは、本格ミステリのルールに反している様に思えるし、その4/5までに登場する人物間の関係付けも人間心理を無視していて強引過ぎる。人間関係が錯綜しているだけで、読んでいて少しも面白くない。物語構成がテーマに対して遠過ぎて隔靴掻痒の感を免れないのである。 作者らしい男女間の濃密な雰囲気こそ漂っては来るものの、本格ミステリとしては凡作という他はない。本当に残念な作品である。 | ||||
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本作も随所に連城節が炸裂しており、相変わらず男女の情念が官能的に書かれています。連城三紀彦氏の幻の名作のようですから、ファンの方にとっては望外の喜びなのではと思いました。 事件は派手で日本各地で女性の体の一部が発見されるという、猟奇的な要素がふんだんに盛り込まれています。大胆に行動する事件のカギを握る男も不気味ですし、事件が繋がりだしても、複雑になりますます混乱します。最後はスケールの大きい策略が明らかにされますが、やや強引で無理な感じも若干しました。 いつもながらですが、文章から醸し出される世界は連城三紀彦氏しか出せないと思いました。 | ||||
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手軽に読めるものではありませんでした。 まずは登場人物の多さ。目まぐるしく主人公も代わりますし、気を抜くと誰が誰だか…という始末。全ての登場人物のはっきりとした輪郭が掴めず、結局誰にも感情移入できなかったのも読み辛さに繋がったのかもしれませんが。そして事件や人間関係の複雑さもあり、最後のほうになっても結論がなかなか解らず、もどかしい。 ぎっしりと書いてあるのですが、同じようなことの連続とか、その人の気持ちの迷いとかが丹念に書いてあるだけで、1頁飛ばしてしまっても、あまり展開は代わってなく、4時間かけて半分読んだ時点で止めようか迷いましたが、なんとか読み切りました。最後のほうは何度か読み返しましたが、正直よくわかりませんでした。綺麗な文章で煙に巻かれたような感じです。 官能的で綺麗な物語ではありました。 | ||||
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一年前に謎の失踪をとげた妻から、夫のもとに唐突に電話がかかる。いま温泉旅館にいること、自分のことが間もなくテレビのニュースで報道されることを告げて電話は切れる。テレビが報道したのは、切断され白骨化した女性の左脚が発見されたという事件。その左脚の指には、妻のイニシャルが刻まれた指輪がはめられ、あたかも妻の脚であるかのような状況。電話の主は本当に妻だったのか? そして翌朝には、とある温泉旅館で左脚を切断された女の死体が発見される…。 冒頭からいきなり不可解に倒錯した謎の数々が投げつけられる。そのまま息をも切らさず、被害者、容疑者、犯人、刑事…、めまぐるしく視点が変転する猟奇と官能にみちたストリーのなかで、登場人物たちの記憶と情念の風景が、次々とフラッシュバックのように描出される。その鮮烈さにめまいし、どちらを向いていいかすら分からない謎の迷路に、ひたすら彷徨させられるばかりの作品である。 巧みなレトリックをもって描かれる官能と心理の描写は、相変わらずの酩酊もの。また描き出されたその数々のパズルの断片を結合させた終章の絵が、複数の人間の死体パーツが日本各地に出現する猟奇事件の凶悪でグロテスクな様相とは、まったく違った風景となって浮かびあがるのは、さすがの連城マジックだと思った。ただ、説得力のある文章世界が構築されていれば、あまりリアリティをうるさく問わない筆者ではあるのだが、それでもスッキリとは呑み込みにくい真相説明の部分もあったので、☆一つ減じた。 | ||||
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