(短編集)
宵待草夜情
- 吉川英治文学新人賞受賞 (10)
- 大正 (6)
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全2件 1~2 1/1ページ
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ミステリー好き必読の一作。このクオリティの短編集が他にもあるのが連城三紀彦の凄さ。 | ||||
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連城三紀彦のフスド・ヒストリカル・ノベル短編集(最近知った用語ですが)。ホワイダニットでこれだけのサプライズを撃ち込んでくる作風はそうないと思う。「野辺の露」・「宵待草夜情」・「花虐の賦」が個人的ベストです。 | ||||
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我第一次买实体书,非常好看的一本书 | ||||
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「能面師の妻」 一番激しい物語で、アブノーマルな要素も含まれています。 事件のからくりについては、うーん、といまいち理解や納得しかねる部分もあるのですが、能面と桜と人の情念に圧倒されました。登場人物も、怖いくらい迫力があります。 「野辺の露」 連城作品によく出てくるタイプの男女と、小道具と種明かし。 静かでおとなしい女性は、常にミステリーですね。 「宵待草夜情」 いわゆる大正ロマンの情緒に溢れていて、物語の舞台も男女も文章も、一番叙情性が高い作品だと思いました。5篇の中でも悲壮感ややりきれなさがあまりなく、仄かな温かさと、かすかな希望が残る終わり方も、せつなく美しい余韻が残ります。 「花虐の賊」 時間や水の流れには、逆らうことはできない。 でも、時に人の強い思いは、それら不変のものすら覆す力をもっているのか?と問いかけてくる。 二つの一途な愛が、哀しく縺れ、しかし決して本当に交わることなく、運命の彼方に消えていきます。 「未完の盛装」 時代が戦後の昭和に移っているせいか、他の4編とは少し趣が違うように感じました。 ミステリーを期待するならこれが一番秀逸なトリックかもしれない。 この時代に、すべてを失った女性が一人で生きるのは本当に大変だっただろうと、時代背景にも思いを馳せてしまいました。 | ||||
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個人的には、同作者の『戻り川心中』が一番ですが、こちらも飛び抜けたレベルで2番手3番手の作品です。日本語の美しさと、日本人の心情を存分に味わえます。 | ||||
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二人の人物の関係性に焦点を当てた作品集で、いずれも騙し絵のように、見た目とは裏腹の真相が判明する。 「能師の妻」 能楽師藤生信雅の死の直前に正妻となった篠と、前妻の子である貢との心理的・肉体的葛藤を描いた物語。技量は秀でているが心が伴わぬ貢がどのようにして「井筒」を見事に舞うことができたのか、貢の遺体の一部だけがなぜ離れた場所に埋められていたのか、といったミステリー要素を持っている。 「野辺の露」 妾を作った夫暁一郎に裏切られた妻杉乃と、杉乃に同情した義弟順吉との道ならぬ恋の顛末を描いた物語。 二人の間にできた不貞の子暁介が暁一郎にいじめられていることを知って順吉が悩み苦しむ、そういう話だと思っていると足をすくわれる。 杉乃の順吉に対する想いを、「あなたの懐に潜んだ一匹の鈴虫の遠い鳴き声」に例えた表現が印象的。 「宵待草夜情」 元画家の古宮と、カフェの女給鈴子の束の間のふれあいを描いた物語。 カフェで鈴子と反目していた照代が殺され、現場の状況から古宮は鈴子が犯人ではと疑いを持つが、鈴子にぜひ見にいってほしいと言われた待宵草の群落を見て、鈴子の秘密、鈴子が何に苦しんでいたのかに気づく。 蛍の蛍光、喀血の血といったアイテムが真相にうまく活かされている、 古宮が友人の白川に対してしたことと、それを再現した鈴子のしたことが印象的。 「花虐の賦」 劇団の主催者で劇作家の絹川幹蔵と女優川路鴇子の二人の、人形師と人形のような関係を描いた物語。 絹川が、自作「貞女小菊」のヒロインとして思い描いていた女性とそっくりな鴇子に出逢う場面が印象的。 二人の関係をもとにした劇「傀儡有情」の祝賀会の夜に自害した絹川、その四十九日に後を追って自害した鴇子、そう思っていると足をすくわれる。 「傀儡有情」で絹川役を演じる片桐の視点でこの作品は語られるが、絹川が自害した理由が謎であり、鴇子が四十九日の日を間違えていたことなどから、見掛けとは裏腹の真相に片桐は気づく。 「未完の盛装」 クラブのママ葉子と、そのヒモのような存在の吉野を中心とした物語で、かなり複雑な構図を持った事件であり、最後まで読むと二段構えの反転構造を持っていることがわかる。 15年前の元夫毒殺をネタにした強請り、警察に届いた時効まであと3日あるとの元刑事からの密告、元夫の死亡日を巡る混乱、死亡日を知っている医師の殺人事件発生等、目まぐるしく話は展開する。 赤松はあることから勘違いに気づき、事件の背後にある真相を推理し、それを確認しようとある人物に接触すると、さらに意外な真相が告白される。犯人が隠そうとしたもの、医師を殺した理由等、すべてが反転する。 15年もの間、犯人が持ち続けていた心情が悲しい。 | ||||
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表題作の他、「能師の妻」、「野辺の露」、「花虐の賦」及び「未完の盛装」の全5つの短編から構成されるミステリ短編集。<女の情念>をテーマとした連作短編集と言っても良い。<女の情念>をテーマとしながらも、各短編中にミステリ的仕掛けを織り込んでいる辺りは、本格ミステリ作家と恋愛小説家という両面を持つ作者の面目躍如である。時代設定を明治、大正、戦後としている点も作者特有の詩情を更に深化させている。男の書簡体で綴った「野辺の露」の出来がやや劣るものの、他の短編の出来は素晴らしい。全ての短編の作風・構成が各々異なっている点も作者の力量を示している。 安吾「桜の森の満開の下」の狂気を想起させる巻頭の「能師の妻」を読んだだけで満腹感(?)を覚えた程だが、次々と優れた短編が出て来るのには驚いた。この「能師の妻」と「花虐の賦」とは好対照を成している。片や「能」、片や「演劇」を舞台とし、片や圧倒的迫力(狂気)で読者に迫り、片や密やかな雰囲気で読者に迫りながら、双方共に"鬼気迫る"<女の情念>を炙りだしている作者の手腕には感心した。陶然とする程の迫力・酩酊感では「能師の妻」(「能(あるいは能面)」という舞台設定が活きている)、作者得意の"騙し"のテクニックでは「花虐の賦」という両編共に甲乙付け難い秀作である。「未完の盛装」も戦後を逞しく生き抜いた<女の情念>を丹念に描いているが、本格ミステリ味が濃い点が本短編集中では異色と言って良い佳作である。そして、表題作には本当に感心した。薄幸のうらぶれた男女の心理の機微を木目細かく描いて、まさに「連城三紀彦の世界」である。その世界にドップリと浸っていると、ミステリ的趣向など不要と思える程だが、ラストに到ってその趣向が突如として活きて来る辺りは連城作品の真骨頂であり、秀作揃いの本短編集の表題となった事が十二分に首肯出来る傑作である。 本短編集は私が作者の最高傑作と考えている短編集「夜よ鼠たちのために」とほぼ同時期に執筆された由。油が乗り切っている時期の作品と考えれば、その出来の良さ(「夜よ鼠たちのために」に優るとも劣らない)もまた十二分に首肯出来る。「新装版」とあるので、復刻版なのだろうが、こうした傑作の復刻版をこれからも期待したい。 | ||||
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