歴史に不滅の名を刻みつつも、いまだヴェールに厚く覆われたままの、東洲斎写楽。

死神(アンクー)の姿を見ると、自分か、その愛する人が死ぬという―。

海と森、東北の美しい自然に抱かれる、五能線。

竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。

女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で、老婆と出会った。

高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。

不思議なことが起きる、東京の下町アカシア商店街。

死刑制度廃止。そのとき、政府が扱いあぐねたのは、すでに判決が確定していた死刑囚たちだったが…。

仕事優先、家庭を顧みぬまま地元の大企業のCEOにまで上り詰めたニック。

発見された変死体の捜査は意外な方向へ。一方、会社の身売りは刻々と現実味を帯び、社内での風当たりも増すばかり。

交通事故で同乗の愛する妻を亡くして以来、なぜか私には人の背後霊が見えるようになってしまった。

念願の新居に引っ越した僕たち家族は、いきなり隣家の犬・ミリーの鳴き声に悩まされることになった。

マンションの屋上からの飛び降り、地下鉄への飛び込み、そしてタクシーへの飛び出し。

中国大陸から九州と瀬戸内を経て、平安の都・京都まで。

海に囲まれた浮島のような日本列島で、人は古来、海の彼方に夢を見た。

離婚して娘と暮らす遠間憲太郎は、陶器店を経営する篠原貴志子に少年のような恋をした。

国際世論を押し切り、新京を国都とする満州国が建国された。

1968年、東京、若き彫刻職人が失踪した。それが全ての始まりだった。

律子と和哉の「子子家庭」姉弟が、ロマンチック街道、ミュンヘン、ウィーンを二人旅。そこに若い女性と青年が加わって…。

「おれを有罪にしてみやがれ。いいか、おまえたちをひとり残らず仕留めてやるからな」不気味な言葉を残して男は法廷を去った。

うら若き未亡人が殺された。それも幼子二人の前で、無惨にもレイプされ―。

生温い水のようなホーチミンの男。乾いた風のようなソウルの男。

恐怖をかきたてる現象は、日常の何気ない空間に潜んでいる―。

27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。

他の人には見えないけれど、自分には見える。玲香にもそんな経験がある。

仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。

穏やかな陽射しが落ちる秋の一日、ボストン午後3時3分。世界は地獄へと姿を変えた。

口ひげの小男トム、十五歳の少女アリスが仲間に加わった。

一人が寂しくて泣きますか?あの人に、あなたの素顔を見せられますか?心優しき若だんなと妖たちが思案を巡らす、ちょっと訳ありの難事件。

甲子園に憧れていた。予選を勝ち進んだ。

組織というものを甘く見ていたのかも知れない……。

深夜のファミリーレストランで突如、人間が炎上した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された男が発見される。

全ヨーロッパをおおわんとするファシズムの暗雲に対し、一点の希望を投げかけたスペイン内戦。

二日後に迫った鉄橋爆破の任務。生還を期しがたいだけに、より激しく燃えあがるロバートとマリアの恋。

27歳の亜紀は、大手出版社の編集者と結婚して幸せいっぱい、仕事も楽しくてたまらない。

東京の静かな住宅街で立て続けに起こる、陰惨な一家連続殺人。

「私はもう用済みってことですか!?」リストラ請負会社に勤める村上真介の仕事はクビ切り面接官。

協力者の元KGBスパイに裏切られ、妻まで奪われた末に逮捕。

エドガー・アラン・ポーが死んだ。

クラークはデュポントを連れてボルティモアに戻る。

あの日、妻が消えた。何の手がかりも残さずに。

帝銀事件が世を騒がせた昭和23年。希望に満ちた安城清二の警察官人生が始まった。

過激派潜入の任務を果たした民雄は、念願の制服警官となる。勤務は、父と同じ谷中の天王寺駐在所。

デキる女ほど、なぜ辞めたがる??リストラ請負人・村上真介の悩みは今日も深い。

マレーシア沖セレベス海で海賊船がヨットを襲撃した。しかし、意外にも重武装した最新鋭ヨットは激しく応戦―。

オプ・センターきっての辣腕情報官ハーバートは、ただちに現場海域近くの海洋投棄場を調査。

百億円相当のコカインを、小型機で密輸しようとする犯罪グループ。沖縄・下地島の自然に抱かれ疲れを癒す、ふたりのパイロット。

隣人の坂本に謎の箱を預けて失踪した米村。箱には古いドクロが入っていた。

一瞬が永遠なら、永遠もまた一瞬。過ぎて返らぬ思い出も、私のうちに生きている。

ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ―。

真っ暗な穴のなかへ落ちてゆく夢を見た。青函トンネルを走る列車で目覚めた時、彼は自分自身を失っていた。

「定年になったら、一緒にこの曲を合奏しよう」妻と交わした約束だった。そのために、ピアノを習った。

ある晩、マンションの居間で彼女は語りだした。「わたしは幽霊です。

ご近所の噂話にビクリとし、警官の姿を見てはドキリとする。ワケあって下町は谷中で新生活を始めた芭子と綾香。

舞踏家の父と暮らす12歳の少女、野宮朔。夢は、作家になること。

自分は少女誘拐監禁事件の被害者だったという驚くべき手記を残して、作家が消えた。

愛―、それは気高く美しきもの。そして、この世で最も恐ろしいもの。

突然、男の腕に抱きしめられ、唇が塞がれた。

突然、男の腕に抱きしめられ、唇が塞がれた。

七百年の眠りから「手稿」が目を覚ます。南仏トゥルーズの図書館に、その文書は保管されていた。

教会が犯した大罪が、今、暴かれる。

昭和二十年八月十四日、敗戦の噂がまことしやかに流れる沖縄の捕虜収容所で、血眼になって二人の人間を捜す男の姿があった。

私は、彼の何を知っているというのか?彼は私に何を求めていたのだろう?大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘―それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。

村内先生は中学の臨時講師。言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。

「そう―ここは黒祠なのですよ」近代国家が存在を許さなかった“邪教”が伝わる、夜叉島。

崇史は、俺が十五ん時の子供だ。今は別々に暮らしている。

江戸有数の大店の若だんな・一太郎は、摩訶不思議な妖怪に守られながら、今日も元気に(?)寝込んでいたが、日本橋を焼き尽くす大火に巻かれ、とうとう三途の川縁を彷徨う羽目に…。

東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。

僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。

「彼女が容疑者だとは、思えない」警視庁捜査一課強行犯第三係を率いる樋口警部補は、荻窪で起きた殺人事件を追っていた。

少し遅れた時計を好んで使った恋人が、六年前に死んだ。

かすみとの偶然の出会いは、過去の恋に縛られていた僕の人生を大きく動かした。

美しくも凶暴な南海の自然、風と波にさらわれた白い流木、巨魚と闘う少年、不毛の愛を酒と官能に溺れさせる男女――ここにはヘミングウェイ最高の自然描写があり、我々の知る作者のすべてに加えて、生前さまざまな伝説に覆われていた作者自身の心の秘密がさらけだされている。

幸福な画家であり、良い父だった男が、絵筆をなげうって、メキシコ湾流の黒い潮に船を駆り、死を賭して見えざる敵を追う。

父を亡くし、母と暮らす中学生の佐知子。真夜中に激しい地震があった翌々朝、自宅の周囲には突然、深い森が広がっていた。

夜中に目ざめると、隣の姉が眠りながら浮かんでいた―。あの日から本当に色んなことが起きた。

地味で目立たぬOL本田小百合は、港が見える自分の町をリスボンに見立てるのがひそかな愉しみ。

留学生リリー・メイスは、日本で不思議な風習を目にした。

X字形の木材に縛られた死体がモスクワ市内の川に浮かんでいた。

成立目前の世界三大マフィア同盟。ロシアを拠点に欧米へ流れる麻薬、偽造通貨、古美術、女。

もしあなたが21歳で、いきなり貴族社会に紛れ込んだら…。下着からゴミ箱の中身までチェックされる生活になったら…。

これって恋or愛?いえ、これこそ恋愛そのもの。世間の注目も原稿の注文も「恋愛」のことばかり。

不慮の死を遂げた夫のポケットベルへ、ひたすらメッセージを送信し続ける女。

時は幕末、処は江戸。貧乏御家人の別所彦四郎は、文武に秀でながら出世の道をしくじり、夜鳴き蕎麦一杯の小遣いもままならない。

腕力、資力ともに平均以下だが、詐欺師よりも口達者。追及されてもどこ吹く風。

麻布の名家に生まれながら、それぞれに異なる生き方を選んだ敷島四兄弟。

軍部の暴走をめぐり対立する太郎と三郎、流されるままに謀略馬賊として軍に協力することとなった次郎、自分の犯した罪のため上海に潜伏する四郎…四兄弟の苦悩をあざ笑うかのように満州、そして上海で戦火が炸裂する。

南北戦争直後のボストンで、猟奇的な殺人事件が発生。警察の奔走むなしく、手がかりは掴めない。

“ダンテ・クラブ”の懸命の捜査を嘲笑するように、犯人は第三の犠牲者を惨殺する。

混乱する現場で対立する捜査一課特殊班とSAT。現場で指揮する竜崎の決断は。

20人以上の犠牲を出した土砂崩れから半年。

女性記者が漏らした不可思議な言葉“ブラック・キャット”。

都会の生活に敗れ、寝台特急「北斗星」と飛行機を乗り継いで帰った故郷・知床の町で、元刑事の水木を待っていたのは、一通の脅迫状だった―。

徹平と暮らし始めて、もうすぐ半年になる。

海辺の街に小部屋を借りて、潮騒の響く窓辺に寝椅子を引き寄せ横になり、訪れた女の話を聞く―さまざまな女が男に自分の体験を語り始める。

二十七歳の誕生日に仕事をクビになるのは悲劇だ。僕は四年間勤めた片説家集団を離れ、途方に暮れていた。

三十七歳、未婚、入社十四年と十ヵ月。だけど、それがどうした?総合音楽企業の企画部係長・墨田翔子。

モーディカイに共鳴し路上の法律相談所に身を投じたマイクル。

1941年、リトアニア。ナチスは乾坤一擲のバルバロッサ作戦を開始し、レクター一家も居城から狩猟ロッジへと避難する。

愛する者をすべて喪ったハンニバルは、無感動な孤児院生活を過ごす。そんな彼を引き取ったのはフランス人の叔父ロベール。