聖灰の暗号
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
聖灰の暗号の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
友人に薦められ帚木蓬生『聖灰の暗号』(上・下)を購入しました。 古書しかなかったので(普段は新品があれば新品にしてますが)、Amazonマーケットプレイスで古書を発注。「ネットオフ」で、なんと、上が1円、下が19円。配送料各320円。 てっきり、むか~しの古本屋の店頭平棚に山積みされてたような文庫本が届くんだろうなと予想し、なんの期待も抱かずにおりました。 発注して3日後にはメールポストに届き、中身を見てビックリ !!。 文庫本じゃなくハードカバー2冊が入っていたのでした。しかも、新刊書同様の新品で、どちらも2007年初版。 これには驚いてしまいました。たった20円でこんな上等なものを頂戴してしまったようで、申し訳ないやら有難いやら。いくらわたしがもう老眼で視界も霞み、発注時に品物説明に十分眼も通さず発注してしまったんだとしても、まさか新刊書同然のハードカバー2冊を20円で譲っていただけるなんて想像もしませんでした。 というわけで、まずは一筆、感謝の気持ちをお伝えしたく、こうして「商品レビュー」を書いております。久しぶりに贅沢な気持ちで読書ができそうです。いつもは新刊のハードカバーなんてとても買えません。感謝しております。 【追記】 巻措く能わず4日で読了してしまいましたので、作品についての感想も一つ。 これは帯にあるような「異端審問の真相に挑む歴史大作」ではなく、歴史研究者アキラを主人公とする研究者小説ですね。つまり、エーコ『薔薇の名前』や遠藤周作『沈黙』や、さらには堀田善衛『ゴヤ』『コシェル 城館の人』や井上靖『敦煌』・酒見賢一『墨攻』のような歴史小説ではないということ。むしろ、いまはうろ覚えになっていますが、ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』や松本清張『火の路』・高木彬光『邪馬台国の秘密』・中津文彦『黄金流砂』のような歴史ミステリーだということ。 アキラたちが捜し出した1316年羊皮紙はまさに「ぼくら歴史家が注釈をつける必要がないくらいの一級史料」(下115頁)。とても当時の羊皮紙に記される類の文章とは思えないフィクションたることは明白です。それは歴史屋の夢。著者の歴史小説はこの「史料」邦訳に籠められています。 いいですね~。本書に描かれているのは歴史研究者の夢です。そして読者であるわたしはその夢に揺蕩い憧れ、フィクションが照らし出すfactum(事実、真実)を後世に伝えたいものだと思わされます。 最後に「カトリック学院教授」が公衆の面前でつい馬脚を顕わしてしまうのも、これまた研究者の業ゆえでしょう。その小児ぶりは微笑ましくさえあります。 ちなみにわたしは研究者小説としては、例えば松本清張「断碑」のようなものも好みです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
以前からカタリ派のことに興味があったのですが、たまたまこの本がアマゾンで検索にひっかかってきました。帚木蓬生氏の作品を読むのはこれが初めてです。東大仏文科と九大医学部卒という経歴や著書の雰囲気から、高い教養の持ち主ということが伺われますが、この本も格調高く、いい意味でいかにも”インテリが書いたインテリのための作品”という感じです。 自分はおもしろいと思うといつでも一気読みしてしまうのですが、この作品はテーマが重く悲惨なだけに、読んでいるうちに息苦しくなってしまい、めずらしくそれができませんでした。特にドミニコ会修道士レイモン・マルティによって書かれた古文書とその詩はなんともいえない哀切感に満ちていて、集団火刑にされたカタリ派の人々が焼かれる匂いまでがまわりに漂ってきそうな気持ちになりました。特に、後ろ手に縛られたまま焼かれつつある信者たちが、縄が燃えてほどけやっと手が自由になると、その手を前に回して祈りの形に組み、一様にほっとした表情を浮かべるというシーンが頭について離れませんでした。南仏にあるカタリ派の故地モンセギュールなどは一度訪ねてみたいと思っていたのですが、この詩に書かれているような火刑の雰囲気がよみがえってきそうで、ちょっとためらいが出てきてしまいました。古文書の内容は帚木氏の創作だと思いますが、それほど真に迫っていたということかもしれません。 できればあとがきを作者ご本人に書いてほしかったと思いました。というのは、どうして作者がこういうテーマを書きたいと思ったのか、そしてどこまでが史実で、どこからが創作なのか、どんな参考文献に当たったのかを知りたいと思ったからです。それによって、氏が一番描きたかったのはカタリ派に関する歴史なのか、それともカタリ派にまつわる秘密を追うミステリなのか、どちらに重点が置かれているのかがはっきりします。そのあたりがやや中途半端な印象を受けました。正直、ミステリとしては迫力不足です。偶然出会うクリスティーヌとエリックという協力者が本当に善玉なのか、ミステリを読みすぎて人が悪くなっている自分としては、最後まで「実はこいつが悪玉の手先ではないのか」と疑っていましたが、本当に味方だったのがわかり拍子抜けしました。いろいろ事件が起きましたが、古文書を学会で発表するまでの妨害がなんだかおっとりしていたと感じたので、やはり描きたかったのはミステリよりも歴史だったか、と思ってみたり。 あと、会話がとても硬いです。最初に主人公とクリスティーヌが出会う時の会話がいきなり学問の問答のようで浮世離れしていて、なんだか苦笑してしまいました。特に女性の話し方が硬いです。帚木氏は女性が日常にどんなふうに話すのか、あまりご存知ないのではと感じました。それに比べて風景描写がとても美しいです。たぶん実際、このあたりへ旅されたのだと思いますが、野花の広がる風景、風の感触などは読んでいるだけで目に見え肌に感じられるようでした。また、料理の話がたくさん出てきますが、南仏の地方料理がどんなものかよくわかりますし、出てくるレシピもおいしそうで作ってみたくなります。このあたりもきっと作者自身が現地で食されたものなのでしょう。 宗教自体、デリケートなテーマですが、現在のヴァチカンも性虐待問題やその執拗な隠蔽、内部の権力争いなど生臭い問題がいっぱいで、個人的には宗教組織自体にあまり信頼が置けません。ヴァチカンがカタリ派を弾圧した1200年代当時もそれは同様だったのではないでしょうか。この小説がヴァチカンに対する冒涜だという指摘は当たっていないと思います。ましてや一応、娯楽もののフィクションとして書かれているのですから。 たとえばイスラムでも、スンニとシーアはお互いに相手をイスラムではないと非難しあっていますが、自分たちと異なるものをすべて排斥して撲滅しようとするのは、それだけでもおかしいと感じます。これはたぶん日本的、仏教的な多神教の感覚だと思いますが、一神教は他を認めない不寛容さがどうも好感が持てません。 いろいろ書きましたが、大変な力作だと思います。まだこれからカタリ派のことを勉強していきたいですし、帚木氏の作品もどんどん読んでいきたいです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作品中にリアルに語られる残酷な処刑も審問も、カタリ派の人々の篤い信仰もつまるところはほとんどが作者の創造であり、どこまでが史実に基づくのか疑問です。 ショッキングな内容に引き込まれ、思わずこれが7百年前に起きた事実と思いこんでしまいがちですが、発掘された書簡はあくまでも作者の創作。カタリ派への弾圧自体は事実ですが、作者が詳細に肉付けしたフィクションを史実と混同せず、エンターテイメントとして楽しむ作品だと思います。 解説者がフランスで出版されていないのが残念と言っていますが、ただでさえ宗教というデリケートなテーマを扱い、門外漢の日本人が想像を膨らませ、そのつもりはなくても結果的に教会を貶めるような作品を書いたのでは受け入れられるとは思えません。 遠く離れた日本だけの日本語小説に留めておくのが無難でしょう。 あと、主人公がアプローチしなくても棚ぼた式にヒロインと結ばれますが、いかにも優等生が夢想する受け身のロマンスっぽいですね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
長き眠りから覚めた古文書は、須貝たちの胸を揺さぶった。神を仰ぎ慎ましく暮らしてきた人びとがなぜ、聖職者により、残酷な火刑に処されなければならなかったのか。そして、恋人たちの目前で連続する奇怪な殺人事件。次々と暗号を解いてきた須貝とクリスチーヌの行く手には、闇が顎を開けていた。遥かな過去、遠きヨーロッパの地から、いま日本人に問いかける、人間という名の難問。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これほどの商品を手にすると、とても気分が良くなります。帯まで着いていましたし。発行年が平成22年の初版ですのに本当にきれいでした。これからも、売る以上は気持ちの良い商品を流通していただきたいと思います。 上巻を他店で購入して商品があまりに悪かったので、特に思いました。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 37件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|