(短編集)
スクールアタック・シンドローム
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どの作品も自分好みでしたが、表題作が出色です 福井で起きたスクールシューティングによる暴力の伝染が、東京で引きこもっている失業中の主人公のところまでやってくる 暴力の連鎖による最悪の結末は一応主人公のところで止まる それを止めるのが家族の紐帯であるのは氏の他の多くの作品と同様です アルコール中毒者の支離滅裂な語りがサイケデリックな雰囲気出していて、読んでいると自分の中に黒い澱が溜まっていくような心地良さが味わえます 語りが評論的な視点を持っていて、テーマ性やサブテクストまですべて言ってしまう 小説と批評が一緒になっているような感じでしょうか 行間を批評的な注釈で埋めてしまうと退屈になりそうですが 作者の卓越した構築力とデッサン力、ポストモダン的な文体の力を借りることで浮遊感のある小説が成立しているのでしょう | ||||
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舞城王太郎さんの単行本『みんな元気。』から、短編小説「スクールアタック・シンドローム」と「我が家のトトロ」を収録し、書き下ろし作品「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を加えた短編集です。 舞城さんはミステリー小説賞のメフィスト賞を受賞しデビューして、筒井康隆さんの強い推薦で三島由紀夫賞を受賞、その後も数度芥川賞の候補に選ばれたジャンル越境的な作家さんです。 この短編集もやはりいつも通り、過激な表現と早口のような軽い文体が支配する、舞城さん特有の独特な世界になっています。 冒頭の短編『スクールアタック・シンドローム』は、暴力の連鎖を巡る作品で、半年間無職の30歳の男(主人公)と、主人公が15歳の時に出来た息子、この親子二人の物語。書き下ろしの『ソマリア〜』も同じく暴力を巡る、男子高校生の主人公とその美少女の彼女、そして杣里亜(そまりあ)という名前のもう1人のクラスメイトの話。 どちらも過激な表現が沢山出てきます。もっとも前者は『福井の高校・600人殺し』、後者は杣里亜を狙う『食糞食人変態男』など現実ではありえないような反・リアリズム的な描写で、生々しい不気味さは控えめです。 内容に触れると、一見、暴力への批判や愛・友情などストレートなテーマが押し出されていますが、よく読むと一切『答え』のようなものは書かれていません。 登場人物も自分の利益・プライドのために行動し、友情も振る舞いの形式だと繰り返す。 まさに『何も語っていない』のが、この作品の個性的でおもしろいところだと私は思いました。 クラスメイトの少女の安否より自分の身の安全、更にはプライドを選ぶ主人公など、普通の小説ではあまり書かれない終始一貫して自己中心的な人物。 この『正解』もなく『自己中』なのが舞城王太郎の独特の世界です。 『ソマリア〜』の杣里亜は死ぬ度に生き返り、その都度複数の杣里亜に分裂しますが(『九十九十九』のように)、主人公の視点から複数の可能性を生きる杣里亜が書かれることはなく、彼女の永遠に繰り返す死を防ぐこともしなければ、最後は論拠も不明に唐突にソマリア共和国と杣里亜に希望を感じる・・・。 徹底的なこの個人の御都合主義と自己中心性、リアリティの消失が、かえって強烈な人間味と作品世界のリアリティを生み出す。 そこは西尾維新さんの作品や、芥川賞作家の阿部和重さんのドストエフスキーの〈地下室の手記〉パロディ『グランドフィナーレ』に近い世界だと感じました。 もっとも舞城作品は普通に読んで笑えるギャグやコントのようなセリフの連続も作品の持ち味なので、純文学というより他のメフィスト賞作家の方の小説のようにエンタメとして読んでも十分おもしろいです。 興味のある方は長編と合わせてぜひ! | ||||
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でも、世間には一読の価値すら無い本が溢れてるし、まあまあの出来かな。 つーか、舞城の本って道徳の教科書だよね? 読んでると自分が良い人になった気分になるし、作者も良い人なんだろーなーとは思うけど、ちょっぴり食傷。 つーか、福井ネタはもういいよw | ||||
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特に最後の『ソマリア〜』に見られるグロテスクなまでの暴力描写は相変わらず。気持ちの悪さで言えば『熊の場所』に収められている『ピコーン!』と同等。同時に『スクール〜』で暴力の伝染のことが書かれていて、これは同じく『熊の場所』に収められている『バッド男』にリンクする。ソマリアが暴力を受けて死んで生き返って死んで、を繰り返すところは『九十九十九』に繋がるし、同じく『我が家のトトロ』の「僕」に見られる迷いやら何やらとそれを受け入れる家族(妻と子供)の図も『九十九十九』の最後に似通ったものが描かれている。 舞城王太郎の、まさに王道とも言えるテーマが3つ。短編というだけあって、『阿修羅ガール』ほど読んでいてしんどいこともなく、舞城ワールドにどっぷり浸かりたい人には少し物足りないかもしれない。 一方で『阿修羅ガール』『九十九十九』の前の導入としてはこれくらい軽い方が読みやすいと思う。舞城ワールドの手引きに、『煙か土か食い物』のあとに、『好き好き大好き超愛してる』と前後して読んでみると、舞城ワールド初心者は一気に彼の世界が近づくのでは。 | ||||
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著者の作品は初めて読んだ。 現代的な小説と言えば良いのか?ポストモダン系ってことか? 混沌とかってレベルじゃないだろこれ。褒めてんだけど。 人間の奥底に沈むどす黒い感情をすべて一人称で語り、ナンセンスを通り越していながら、度し難いほどに人間愛に満ちあふれている。 書下ろしの、ソマリアはどこのSF・エロ・グロ・いじめ・青春小説ですかって感じで、気持ち悪いのがキモチイイ。生臭い小説だ。 | ||||
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