冷えきった地球を救うために太陽から“火”をもち帰ろうとする宇宙船を描いた表題作「太陽の黄金の林檎」。

徳川家康の時代、八王子には千人同心と呼ばれる半士半農の郷士がいた。十七歳の風一もそんな家に生まれた一人。

憑き物筋の「黒の家」と「白の家」の対立、「神隠しに遭った」ように消える子供たち、生霊を見て憑かれたと病む少女、厭魅が出たと噂する村人たち、死んだ姉が還って来たと怯える妹、忌み山を侵し恐怖の体験をした少年、得体の知れぬ何かに尾けられる巫女―。

機械的に吐き出されるネジの音を聞きながら、哲二は見えない敵を思う。昼は作業着、夜はセルッティのスーツが哲二の戦闘服だ。

神に選ばれし万能の天才―画家にして彫刻家、科学者、医師、音楽家でもあったレオナルド・ダ・ヴィンチ。

九星気学を受け継ぐ旧家であり、企業グループ“KISON”を率いる亀村家の晩餐会で、幹部吾妻忠一が毒殺された。

小笠原の青い海でイルカのテティスと共に育った心やさしい青年・拓海。東京からやってきた美しい歌声を持つ音大生・流香。

妻は言った。「あたしが殺したのよ」―湖畔の別荘には、夫の愛人の死体が横たわっていた。

十津川警部、闇の法廷に挑む。

有明海の三角湾に、著名な風景画家大田垣信也の水死体が上がった。

脳の病を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。

21世紀半ば、各国コロニーが勢力争いを繰り広げる火星で、五感を制御されたサイボーグ兵士のジロウは熾烈な戦闘に従事していた。

朝鮮出兵最前線の肥前名護屋の陣で、落魄の身となった宿命の2人の男が出会った。彼らの使命は血脈を伝えること。

「金曜日までに金を支払わなければ、グランドセントラル駅を爆破する」。ニューヨーク市長のもとに脅迫状が届いた。

第二次世界大戦の最中、町の男たちは兵士として次々と徴用され、人手不足のためグレッチェンは13歳にして少女新聞記者として働き始める。

第二次大戦末期、不発弾処理の訓練を受けた18歳のベルク三等軍曹は、アラスカへ派遣された。

ニューヨーク州北部の穏やかな保養地に立つ「マンフォード・マウンテン・ホテル」。

ロサンジェルスで上流階級の女相手のセックス・パートナーとして定職ももたず気ままな生活をしていた弦間康夫は、日本へ帰る飛行機の中で、若い女性と出会った。

10年間耐え忍んだ夫との生活を捨て、家政婦になった主婦。囚われた思いから抜け出して初めて見えた風景とは。

劇作家にファンレターを送り続ける生物教師の「恋」を描いた「虫卵の配列」のほか、「羊歯の庭」「ジェイソン」の3編を収録。

有名作家・梶井舜が、共同制作者として十数年、関係をもってきた愛人の津島七緒を包丁で刺殺し、翌朝、夫を探しに行った梶井の妻に発見された。

維新から十年、町並みも世情も変わりゆく中、いまだ江戸が残る九十九庵。

ローランドにはかつて、心の底から愛した少女がいた―。

高度な知性を持ちながら、自殺願望から無謀な超高速走行へと突入したサイコモノレール“ブレイン”。

ハンブリーの町で芽吹く瞬間を待っていた謀りごとはついにローランドたちを巻き込み始める。

宅配便、防犯システム、携帯電話のメモリー、熟年離婚、心療内科クリニック…。

殺人事件担当、捜査一課の宇野警部(40歳・男やもめ)と女子大生夕子(未婚)のおなじみコンビが訪れたのは、人気作家のモダンな邸宅。

正義の味方、図書館を駆ける!―公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。

家出少年のホーティがもぐりこんだのは、普通でない人間たちが集うカーニヴァル。団長のモネートルには奇妙な趣味があった。

話があるんです―父の葬儀の翌日、一人の若者が訪ねてきた。

19世紀半ばのアメリカ、ニューオーリンズ。そこで英国領事を務める男の元へ相談が持ち込まれた。

「シブミ」とは、ありふれた外見の裏に潜む洗練、日本的精神の至高の境地をさす。

ミュンヘン・オリンピックのテロ事件の犯人に報復するべく、ユダヤ人グループは立ち上がった。

医師として生き抜くこと。それが唯一の愛の証-。

古内繁は孤独な中年サラリーマン。妻に先立たれ、会社ではとうに出世コースから外れた存在だ。

遙か昔から水辺に住み、日ごと機を織る美しい女たち。罪の匂いをまとう織女をめぐり、物語が密やかに始まる。

降誕祭が近付く街で、イルマは不審なサイボーグの死体を発見する。捜査の過程で浮かび上がった“ドラゴン”の名を持つ男。

13歳の天才棋士に敗れ、挫折した男が16年後、将棋の表舞台に現れた。

正義の味方・赤頭巾侍。いささか直情径行の気味あり。

賢才と誉れ高い建仁寺の小坊主一休。同じ寺に寄宿する少女茜の両親を捜すため、侍の新右衛門と三人で旅に出た。

義父が経営するウォール街の国際会計事務所の重役であるカーヴァー。

ワシントン州の国立公園の大森林で人骨の一部が発見された。

「尾張の大タワケ」がマムシ・斎藤道三や貴人・今川義元を相手に、知力・体力のすべてをかけて生き抜く戦国の世!破天荒!無頼派・安吾の「若き信長」を描く傑作歴史小説。

国際謀略小説大薮賞作家、渾身の力作!大物工作員“マングース”と武器商人との華麗なる死のゲーム。息も吐かせぬ巧妙な罠。

別れたつもりでいても、細い糸が繋がっている。

私の部屋に置き忘れられた一冊のノート。はじめは手に取るつもりもなかったのに。

すべての旅は、愛の物語である。失った愛を求め、作家は旅立つ。

秀明を見つめ続ける不気味で執拗な視線。秀明がどこにいても、何をしていてもその「目」は彼から離れない。

秀明はやや軽めの明るい浪人生。明るいといっても二浪目に突入したのだから、多少の屈託もないわけではない。

蜻蛉のような“恋愛小説家”のパパと暮らす荒野。

都内で発見された男性の絞殺死体。傍らに残された「タクサンノヒトガシヌ」という遺書は、大量殺人計画の存在を告げていた。

数学教師連続殺人を捜査中のサビッチとシャーロックの元に、かつての同僚マイルズから息子が誘拐されたとの連絡が入る。

舞台は西暦二〇〇〇年の沖縄。米軍から返還された天久開放地の荒野に巨大な魔法陣が出現する。

おなかがすいたら料理をつくり、あとかたづけに、へやのそうじ、退屈すれば話し相手に。

昭和二十年夏、敗色濃厚の戦時下の日本。

昔の美貌を残しながらも無表情、徹底して人とのかかわりを好まなかった藍子叔母。

大手出版社の明友舎は大騒ぎになっていた。

「むかし、あるところに、マーリアという名の売春婦がいた」。マーリアは、ブラジルの田舎町に育った美しい娘。

桜島行きのフェリーの上で、鹿児島選出の代議士秘書が刺殺された。

「私を誘拐してください」小宮山佐緒理は潤んだ瞳で俺の手を握りしめた―。

荒涼としたアイルランドの湿原で、赤毛の女性の頭部が発見された。

「おれは私立探偵ジャック。

新堂レイは、誰もが知っているブランド、Ｈの広報に就職したばかりの新卒。

建仁三年、鎌倉。まだ十二歳の源実朝が三代将軍に任ぜられた。

パラドックス学園パラレル研究会、通称パラパラ研。所属している部員は、ドイルにルブラン、カーにクリスティー。

30代。OL。

慶長の役における蔚山城の戦いや露梁津の海戦での武功により、政重の名は全国に鳴り響いていた。

倉橋長五郎政重は、徳川家御先手組にあって、無敵の大業“鬼落とし”で知られた槍の名手。

隣家の主婦に荒々しい欲望を抱く男。見つめられる視線のなかで徐々に熟れてゆく女。

和菓子司の隠居、宇谷九一郎の住む宮脇町でも「老人相互処刑制度」が始まった。

往年の大女優が怪死を遂げたとき、折悪しくハリウッドに居合わせたエラリーは現場へ急行する。

「みなとみらい」の高層ビルを彼方に望む、横浜の下町“余毛”。

21歳の大学生・佐倉聖は腹違いの弟を養うため、元大物国会議員・大堂剛の事務所に事務員として勤めている。

ホテルの一室で著名な陶芸評論家・景山秀太郎が殺された。

亡き恋人との思い出の南房総を傷心旅行中、男は安房鴨川駅前の喫茶店で若い女と知りあう。

宮本武蔵が撃つ!柳生宗矩が斬る! 死を賭して得た剣名、生を捨てて得た剣技、何人にも負けるわけにはいかない――。

宮本武蔵が撃つ!柳生宗矩が斬る! 死を賭して得た剣名、生を捨てて得た剣技、何人にも負けるわけにはいかない――。

第25回野間文芸新人賞受賞作品 わずかずつ、かすかな輪郭を帯びてゆく日々。

男の真の姿を見抜くという特異な能力を用いて裏社会でコンサルタントをする一匹狼の女、水原。

落ち目の舞台俳優・トビーは地方巡業先で、離婚訴訟中の妻から助けを求められた。自室が見張られているというのだ。

幹部行員の裏金工作を追及した恋窪商太郎は、謂れなき罪を着せられメガバンクを辞職。

警護対象者の女性が、女暗殺者ドラマによって誘拐された。

世界的に著名な要人を窮地から救ったことで、一躍全米中の注目を集めたアティカスは、再び同じ要人の警護を依頼される。

同僚殺しの容疑をかけられた金谷刑事は、真犯人を挙げ自らの潔白を証明するため、取り調べ室から逃走した。

「僕等は…知らず知らずのうちに誰かの張った―網に掛かっているようだ」。理事長の織作是亮までが殺害された聖ベルナール学院。

「ふふふふふ。蜘蛛を信じる仲間ですわ」。

和歌山での滞在を延ばした桑原崇たち一行。

テレビ制作会社で働く小野は、ある日耳にしたヴィオラ奏者の演奏に魂を揺さぶられ、番組制作を決意する。

西之園萌絵が叔母らと訪れた白刀島の診療所をめぐる怪しい噂に迫る。

元と瑠香をはじめ、銀杏が丘第一小学校五年一組の面々は、初めての移動教室に向けて大盛り上がり。

「今」を見事に描き切る、新しい才能の誕生。 気が付けば他人のファッションチェックまでしている完璧主義者の姉。

都会の安アパートで孤独な日々を

ディー判事と副官たちは、都を離れて遥か南の地、広州へと赴く。当地を密かに訪れていた中央政府の高官が行方を絶ったのだ。

1972年9月、ミュンヘン・オリンピックの選手村をパレスチナ・ゲリラ“黒い九月”が襲い、イスラエル選手団の11人を惨殺した。

損保会社支店長の安藤はリストラに備えて会社を辞め、教員となる。

城館で名探偵が競演/落語を巡る怪事件/歌謡曲の見立て/胡乱な句作/残虐シーンに微笑む美女/ピアノ練習の怪/エロチックすぎる怪物/路地の死者の伝言。