さらわれたい女



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初公開日(参考)1997年11月
分類

長編小説

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さらわれたい女 (角川文庫)

2006年01月25日 さらわれたい女 (角川文庫)

「私を誘拐してください」小宮山佐緒理は潤んだ瞳で俺の手を握りしめた―。報酬は百万円、夫の愛を確かめるための“狂言誘拐”を頼みたいというのだ。便利屋の俺は完璧なプランを練り、見事に“誘拐”を成功させる。しかし、身を隠していた佐緒理が部屋で殺されているのを発見し…。偉才・歌野が放つ、誘拐ミステリーの白眉。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

さらわれたい女の総合評価:7.36/10点レビュー 25件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

変則的な誘拐物と見せかけて

誘拐ミステリも数あるが、今回歌野氏が仕掛けたのは狂言誘拐。それも夫の愛情を確かめたいがための誘拐という、ちょっと浮世離れしたお嬢様育ちの容姿端麗の人妻の変わった依頼で幕を開ける。

1992年というバブルの名残ある時期に書かれた本書。そこここに時代を感じさせる記述が散見されて懐かしさを覚えた。
偽装して現れた誘拐の捜査をする警察官が来ていたのがアルマーニ調のスーツ(となぜかアタッシェ・ケースにクマのぬいぐるみを携えての登場と、逆に目立つような恰好なのがよく解らないのだが。とにかくパーティーや女性へのプレゼントが横行していた当時こんなアンバランスな恰好が普通だったのか?)だったり、まだ携帯電話は普及しておらず、自動車電話やショルダーフォンがセレブの持ち物となっていた時代だ。そんなまだアナログ社会で狂言誘拐を頼まれた便利屋が立てた方法がなかなか機知に富んでいて面白い。

警察からの逆探知を逃れるために今では災害時に使われるようになったNTTが提供する伝言ダイヤルサービスや今は無き悪名高いダイヤルQ2を利用して、録音やパーティラインによるやり取りで直接電話を繋げないようにしたり、自宅ではなく会社の方に電話したりするなど、工夫が凝らされていて読み手の予想の斜めを行く展開でどんどん読まされてしまった。

しかしそんなコミカルなムードも物語半ばで一転する。

若奥様の旦那への嫉妬から悪戯心で起こした狂言誘拐、それを利用して大金をせしめた便利屋、それが殺人事件に発展するという展開は悪事が雪だるま式に転がって肥大していく様を思い描かされる。
最初はほんの悪戯だったのが、金が絡み、そして人の命を奪うまでに発展する。本書の中でも云っているが悪い事はできないものだ。そして悪い時には悪い事が重なるものだ。そんな人生転落劇のような様相を呈してくる。

便利屋が負うことになった死体遺棄の一部始終は息詰まる内容であり、更に自分に捜査の手が及ぶまでにその後事件の発覚を恐れて殺人者を見つけ出して殺害することを決意するなど、物語のトーンはどんどん暗くなっていく。
しかし便利屋による犯人捜査の顛末は私立探偵による人捜しの面白さを彷彿させる。

さらにその後の展開も読者をさらに迷宮に誘う。

誘拐する側とされる側の側面で描きながら、いつしか殺人の罪を着せられ、やがて殺人事件の捜査へと転じるツイストの効いた作品。
そう、本書は誘拐あり、殺人あり、人捜しありの実に贅沢なミステリなのだ。

しかしこの頃歌野氏は本書の前に『ガラス張りの誘拐』という同じく誘拐を扱った作品を書いている。誘拐ミステリはなかなか数多く書かれるものではないのでこれは非常に珍しいと思える。
そしてそちらも本書同様意表を突く展開でなかなか事件の様相が掴めなかった。しかしその反面アイデアに走り過ぎて作品としてのバランスに欠けるような印象も拭えなかった。

しかし好評を以って迎えられた乱歩の文体を模した『死体を買う男』を経た本作は『ガラス張りの誘拐』で覚えた消化不良感を払拭する出来栄えでとにかく謎から謎の展開でクイクイ読まされてしまった。
ただやはり結末の付け方は慌ただしく、読書の余韻としては物足りなさを感じた。アイデアはいいものの、物語としては不十分。つまりこの頃の作品には『葉桜~』に至る以後の歌野晶午作品の萌芽が見られる貴重な作品群といえるだろう。

信濃譲二というシリーズ探偵物でデビューした歌野晶午氏の本質はそういった典型的な本格ミステリよりもこのように二転三転して読者の思いもかけなかった事件の様相が明らかになる、サスペンス風本格ミステリの方にあるように思えてならない。現代の歌野ミステリのルーツは『ガラス張りの誘拐』や『死体を買う男』と本書へと連なっていると思われるのでまずは『長い家の殺人』以降の3作品よりもこちらを読むことをお勧めしたい。
まあ、私が信濃譲二をあまり好きではないことも一因としてあるのだが。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

軽快なテンポの誘拐作品

大きな仕掛けのミステリと言うよりはテンポの良いサスペンスです。
男性が女性にひどく振り回されている印象を受けました。

今の世では携帯電話が普及していて馴染みがないかもしれませんが、本書が書かれた90年代の電話サービスが上手く活用された作品で、仕掛けもなかなか面白かったです。

なっつ
9KCW4J9X
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.23:
(4pt)

上質なクライムサスペンス

探偵役が最後に関係者一同を集めて真相を解き明かす…といったタイプのミステリでもなければ、刑事が靴底をすり減らして地道に捜査してアリバイを崩し、崖の上で犯人を説得する…というタイプでもありません。が、意外な展開の連続で最後まで一気に読ませます。主人公の「俺」がなかなかカッコ悪くてカッコいい。
さらわれたい女 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:さらわれたい女 (角川文庫)より
4043595034
No.22:
(2pt)

後半からは、ややがっかり

狂言誘拐の依頼を受けた便利屋が、念入りなプランのもとに、ラッキーにも、大金を手に入れることができた。成功で終えるはずだった計画が、思わぬ方向へと話しが展開する。殺人事件まで発展する前半部分は、面白く読み進めることができました。
しかし、後半に入ってからの殺人事件の真相、真犯人の追及部分は、かなりがっかりさせる内容でした。淡々と進められていく話しに、盛り上がりもなく、わくわくする気持ちが湧いてこなかった。もっと、読み手の想定を越えたシナリオを、描いてもらいたかった。
次に読む『女王様と私』に期待します。
さらわれたい女 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:さらわれたい女 (角川文庫)より
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No.21:
(3pt)

練りに練られたプロット

プロットはさすが歌野晶午というかんじの、練りに練られたものだった。
一方、描写や小説部分は少し荒い感じが否めない。
が、著者ファンなら買っても後悔しない出来。
さらわれたい女 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:さらわれたい女 (角川文庫)より
4043595034
No.20:
(1pt)

この小説から作られた映画『カオス』をおススメする

先に映画を観て、あまりの面白さに惹き込まれ、原作を読んでみたのだけど、結構違う。
違うことが問題なのではなくて、この原作には映画の持っているスピード感や人物を重層的に捉える深みがない。
謎が解かれるだけのラストというのも物足りない。

佐緒里という女がこの小説ではただの犯罪指向の女なのだが、映画においてはアンニュイな魅力を持つファムファタルに書き換えられている。
そして便利屋の男が佐緒里に惚れておいてから裏切られることで、佐緒里を巡る三角関係としてミステリーが展開し、新しいラストが生み出されている。
ミステリー小説的な謎をどうといていくかという所はかなり省略されており、そのことで話が二転三転するたびに驚きをもって展開していく、このスピード感をもって構成された映画はなかなかお目にかかれない。

というわけでこの原作よりは断然映画をおススメする。
さらわれたい女 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:さらわれたい女 (角川文庫)より
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No.19:
(2pt)

期待し過ぎたか

たまたま立ち寄った本屋のポップにつられて、気持ちよく騙してもらおうじゃないかとワクワクしながら読み始めたが、期待が大き過ぎたのか、結果は星2つ。
誘拐が起こって現金をせしめるまでは面白かったんだけど、そのあとは主人公のマヌケさばかりが目立つ展開。伝言ダイヤルやダイヤルQ2を駆使して警察の裏をかいた主人公なら、もっと早く真相に気づいても良さそうなもんだ。
さらわれたい女 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:さらわれたい女 (角川文庫)より
4043595034



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