1992年、バルセロナ・オリンピック開幕を間近に控え、東京では二人の男がもう一つのバルセロナ・オリンピックを追っていた。

石神探偵事務所の野上英太郎のもとに、またしても奇妙な依頼―名門修己学院高校理事長の母親・森名スエが、孫の保一の先祖を敬う気持ちが本物なのかどうかを調べてほしい。

二十年前に愛した男が、ヴァイオリンでバッハのカノンを演奏しながら自殺した。

「可能克郎さんが亡くなりました」警察の知らせに、あわてて現場に向かう妹・キリコの前に、当の克郎がノンビリ現われた。

賢治の童話が死を招く…生誕百周年の宮沢賢治ゆかりの地盛岡で、作品の朗読会が開かれた。

江戸は神田橋本町・なめくじ長屋に住む砂絵かきのセンセーのもうひとつの特技。

『人狼城』は独仏の国境の峻嶮な渓谷の上に屹立する古城。城主を「人狼」に惨殺されたという言い伝えのある曰く付きの城だ。

北へ走る三陸鉄道リアス線の車内で水産会社社長が殺された。男の身元を知って十津川は自責の念にかられる。

俺は“キツネ”。元ヤクザだ。

中国山東省清河県随一の豪商西門家で、大好色漢の当主西門慶をとりまく8人の妻妾達の嫉妬とプライドと使用人達の中で繰り広げられる軋轢と葛藤から起こる残酷な怪死事件が後をたたない。

日光いろは坂のヘヤピンカーブから、乗用車が崖下に転落。炎上した車の中で黒こげ死体が見つかった。

中国美術の至宝、敦煌「三所の禅窟」。シルクロードのかなたに千年をかけて描きつがれた仏教壁画と様々な仏像たち。

京の公事宿「鯉屋」の居候・田村菊太郎は剣も立つが、情にも厚い好漢。色や欲にからんだ事件を鋭い洞察と、行動力で裁いていく。

2020年、東京は多民族の入り乱れる雑居都市と化し、治安も衛生状態も最悪となっていた。

夫の淳一は泥棒稼業、妻の真弓は警視庁捜査一課の刑事。異色コンビに事件の一報が入った。

終電車に乗った男が出会う懐かしい人たち。甦る苦い恋、辛い仕事…。

「庭…」―それが精神科医・大崎の最期の言葉だった。

美味しい料理と名推理。台所探偵の会心作誕生。

「J・Mを殺したのは誰か」―そんな一文で終わる原稿を、私はもてあましていた。

その男は五度の火災に見舞われた…。現役の保険調査員が描く異色ミステリー。

名探偵・浅見光彦、伊勢湾台風被災の地へ向かう。

浅見家では正月にカルタ会が催される。その席で浅見光彦はカルタ界の女王朝倉理絵に辛勝した。

偽りの神の前で脚を開く少女たち―。爛れた世紀末を暴走する衝撃の純愛物語。

その人は、何でも治してくれる。壊れた人形、死んだ猫、そしてあなただって…。

陶芸家・長倉英臣の父の一周忌で、石黒義彦は英臣の娘・智子と再会する。

一高の歴史の中で、これほど奇妙な人間消失事件もないだろう。ある日、本館正面の時計台の中で、一人の学生が忽然と姿を消した。

横浜での海外ツアーコンダクターの死。大阪・豊中でのハイソサエティーの若妻の死。

かつてこれほど孤独な探偵がいただろうか。新本格ハードボイルド。

まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。

夏の深夜、探偵・竹花は男に襲われていたその娘、ボディ・ピアスの少女を助けた。翌朝少女は消えた。

人間は、存外簡単に死ぬものです―。「あなたに10億円さしあげます」課せられた条件はただひとつ―1ヵ月間生存すること。

1864年ウィーン。

台風接近中の相模灘で事故が発生。

東京湾臨海署(ベイエリア分署)の安積警部補の許に、殺人事件の通報が入った。ライブハウスでホステスが毒殺されたというのだ。

深夜のファミリーレストランで突如、男の体から炎が噴き出した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された死体が発見される。

―この神殿で怪物の宝に手をつけた盗人は、ラコシに追われて必ず生命を落とす―ウィンタース家に長年伝わるラコシの呪いが、パーティーの日、よみがえった。

遅刻魔―あんなに約束の時間にいい加減な人も珍しかった。嘘つき―大きな嘘も上手だったが、とりあえずの小細工もうまかった。

南海の小島フィジーで観光客相手に芸を見せるワヌーバは、イギリス人の商人とフィジーの洗濯女との間に生まれた。

21世紀はこの小説で始まる。点状出血、内臓溶解、骨格筋の爆発的なケイレン。

田村正和主演・大人気ドラマのノベライズ、文庫化第二弾。

城代家老の“御意討ち”を命じられた新八郎は、直に不正を糺すが、逆に率直な説明を受け、初めて真実を知る。

関ケ原合戦後の論功行賞に苦悩する徳川家康は、本多正純にその調査を命じた。

「警察は自殺だと言ってます。

一人の老婆とその双子の娘を頂点にした一族。

薬物中毒者の相互更正補助施設「セイル・オフ」に、あらゆる感情が「死んで」いる男が入所してきた。

「私は人形に殺される」謎の言葉を残し、新進人形作家の沖村嶺がパリで首吊り自殺した。

灼熱の太陽に喘ぐパリが漸く黄昏れた頃、不意にカケルを見舞った兇弾―その銃声に封印を解かれたかの如くヨハネ黙示録の四騎士が彷徨い始める。

「一ヵ月8kg減で、誰もが理想体重に」ダイエット美女を決める最終選考まで、あと二ヵ月。

北海道の温泉町に現れた、奇妙な美女と老人。

“見知らぬ男が、見知らぬ家で自殺する”―名古屋は中川区の一角で、どえりゃー事件が発生した。

十数年ぶりに幼馴染みと出会い、愛欲の炎が再燃した瑛子は、資産家だが性倒錯者の夫に殺意を抱く。

京都で旅行会社に勤める桂木美也子は、ある夜、福岡の医師グループを祇園の舞妓ツアーに案内し、そこで知り合った青年医師の名木裕介に好感を抱く。

筑豊の廃坑の村。

資産家の若き未亡人・桜井淳美がわずか一歳のとき、生まれ故郷の能登島にある黄金屋敷と呼ばれる豪邸で、使用人を含めた一家七人が、斧を首に打ち込まれて惨殺される猟奇殺人が起こった。

深夜の歌舞伎町。死体の頭部は原型を留めていない。

鉄壁の防犯設備を誇る鎌倉・山ノ内の大豪邸で、大型電器店チェーン社長の錦織達広が誘拐された。

鬼怒川沿いの大きな宿場町、阿久津。行き交う多くの人々で賑わいを見せているが、何かと事件も多い。

小学校時代、卒業生代表の座を争った康男と茂―今では、社長とその部下。二人の間にあるのは友情か、嫉妬、それとも殺意か…。

林の中の古びた洋館―それが私立野々宮図書館だ。ここに所蔵されている本は、どれも犯罪や事件に関係のあった本ばかり。

物に触っただけで、それを所有していた人物の秘密を感知できるサイコメトリー(残留物感知能力)を使い、超能力少女・紫は、未解決事件の手がかりをつかむが…。

浅見光彦危機一髪。水上バスから花嫁が消えた。

核燃料に関する取材で鳥取県を訪れた浅見光彦は、小泉八雲がかつて「地獄」と形容した宿で美人異父姉妹と出会った。

ボクシングの師・長坂の依頼を受けた神尾修二は、謎の失踪を遂げたウィグル人ボクサーのジューを追って、中国・新疆ウィグル自治区の町・カシュガルへ着いた。

国有地払い下げにからむ国土庁長官の動向を内偵していた警視庁捜査二課の中津刑事はある晩、女の罠にはまり、長官の愛人にレイプ罪で告訴された。

名門私立高校の教師を勤める37歳の峯岡は、平穏すぎる日常とマンネリ化した夫婦の性にものたりなさを覚え、抵抗する妻を強引に説得し、夫婦交換に参加した。

天正少年使節、ジュリアン中浦がローマより持ち帰った莫大な財宝。

絶海の孤島から不死身の怪人・髑髏検校が江戸に潜入、夜ごと、生き血を求めてさまよう。侍女ふたりもまた吸血鬼だ。

観光客で賑わう京都・天竜寺。

「西の魔女」とは、中学生の少女まいの祖母のこと。学校へ行けないまいは、祖母のもとで「魔女修行」をすることに。

「山を動かしているのは誰だ?」長野県東部の明神湖で原因不明の微振動が発生し、山鳴り、鉱毒流出と怪現象が連続した。

構想15年、最高峰の書下し山岳小説。ヒマラヤに挑むクライマーたちが遭遇した幻想と狂気の物語。

田村正和主演・大人気ドラマのノベライズがついに文庫化。

わたしは、宮沢和子。みんな、わたしのことをワコってよぶの。

熱烈な清張ファンを自任する作家が一人で全巻を編集するいま最高に面白い小説選集。政治的謀略か、狂気による被害妄想か。

恭国は、先王が斃れてから27年。王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。

大阪の富豪に殺人予告が届いた。差出人は蠅男。

1936年7月に始まったスペインの内戦で、外人部隊に身を投じた日本人義勇兵・ギジェルモこと佐藤太郎。

八丈島南方洋上で捕獲されたヨシキリザメの胃から、人間の左手が発見された。検死の結果、暴力団員横堀好男のものと判明。

新婚旅行の思い出をたどるため―銀婚式を迎えた野々村省三・文恵夫妻は、二十五年前と同じく、能登へと旅立った。

呼吸するように本を読む主人公の「私」を取り巻く女性たち―ふたりの友人、姉―を核に、ふと顔を覗かせた不可思議な事どもの内面にたゆたう論理性をすくいとって見せてくれる錦繍の三編。

京都市の北郊・氷室町で、若い女性の殺人死体が発見された。どこか別の場所で殺され、遺棄されたらしい。

薄幸の難民少女に迫る暴力団の凶手と、警察の包囲網。こんどこそ退かない。

連日の異常気象、多発する少女誘拐未遂事件…と、不穏な空気が漂う東京都世田谷区。

戦争前夜の浅草六区。

仁科優子は娘の高校受験の便宜を図ってもらうために志望校の学務部長と性的関係をもつが、性病を移されたために夫に不倫がばれ、相手は娘の家庭教師の南佐一郎だと嘘をついてしまう。

ニューイングランドの片田舎で死者が相次いで甦った。この怪現象の中、霊園経営者一族の上に殺人者の魔手が伸びる。

発展しつづける科学が、悪魔の道具となった時、世界は『BLACK OUT』と化した。1999年、某日―。

「蛍の河」で第46回直木賞を受け、以来、悲しき戦記の数々を発表、その一作一作で戦旅に生き永らえた者の宿業を果たしつつ、兵隊という名の悲しき人間の生と死と愛と憎しみとを、戦場の点綴の中に写して、大いなる感動を伝える伊藤桂一の世界―黄塵吹く戦場裡に突発した奔敵

ホームズと警視庁の片山刑事の妹・晴美は、バスに乗っていた。見知らぬ少女が「おいで。

社長夫人殺しの嫌疑をかけられた社長の愛人。彼女を助けることができるのは顔も名前もわからない“幽霊社員”だった。

超ベストセラー作家・牛田竜介は本当に実在するのか。

尾田和成は二十年以上の刑事生活にピリオドを打ち、“K探偵社”に再就職することになった。

一冊の本を抱えて旅へ出た記憶喪失の女性の死は、妹の事故死と関係があるのか。調査に乗り出した青年の名は浅見光彦。

尺八、黒衣、天蓋―青梅山中で殺された会社役員・羽田は、なぜか虚無僧姿だった。

東京生まれの東京育ち。箱根から西へは行ったことがないという坂田勇吉は、食品会社に勤める若手サラリーマンだ。

百五十センチそこそこの小柄な体躯で、鼻が低くてふっくらとした頬、理知的というよりむしろ滑稽なお多福顔…シャープなイメージからはほど遠い四十二歳の女検事霞夕子が現代社会の病弊と人間の不可解さが生み出した殺人事件の犯人を、ソフトにしかし鋭く追いつめる連作推理三

百五十センチそこそこの小柄な体躯で、鼻が低くてふっくらとした頬、理知的というよりむしろ滑稽なお多福顔…シャープなイメージからはほど遠い四十二歳の女検事霞夕子が現代社会の病弊と人間の不可解さが生み出した殺人事件の犯人を、ソフトにしかし鋭く追いつめる連作推理三