(短編集)

夜の蝉



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初公開日(参考)1996年02月
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短編集

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夜の蝉 日本推理作家協会賞受賞作全集 (65)  双葉文庫

2005年06月01日 夜の蝉 日本推理作家協会賞受賞作全集 (65) 双葉文庫

ある夏の夜、酔って遅く帰ってきた姉から、失恋の顛末を聞かされる。付き合っていた彼に送った歌舞伎のチケットが、なぜか恋のライバルに届いていたのだ。いったいどうしてだろう。やっぱり、あの人に謎解きをしてもらうしかないかな。落語家・春桜亭円紫と女子大生の「私」のコンビによる、謎解きの快感たっぷりの連作集。 (「BOOK」データベースより)




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夜の蝉の総合評価:8.11/10点レビュー 19件。Bランク


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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(7pt)

ミステリという先入観を外して読むのが吉

日本推理作家協会賞受賞のこの短編集。しかし私は1作の『空飛ぶ馬』の方を推す。
今回も主人公私が出くわすのは日常の謎だ。それもいつもとちょっとだけ違う違和感に似た現象だ。それらを円紫師匠と私が問答を行うように解き明かすと、人間の心の暗部が浮き上がる。

今回収められた作品は3編。第1編「朧夜の底」では友人正ちゃんのバイト先の神田の大型書店で遭遇する国文学書に対して行われる些細な悪戯が、悪を悪と思わない都合主義な利己心に行きつく。
2編目の「六月の花嫁」はもう1人の友人、江美ちゃんの誘いで軽井沢の別荘に行ったときに起きた、連鎖的消失事件について語った物。チェスのクイーンの駒→卵→脱衣室の鏡と続く消失劇は「私」の推理でその場は一応解決されるが、1年後、江美ちゃんの結婚へと結実する。しかしそこには江美ちゃんが「私」を利用したやましさがあった。
最後は表題作「夜の蝉」。「私」の姉の交際相手、三木さんが新入社員の沢井さんと浮気しているという噂を聞いて、姉は歌舞伎のチケットを三木さんに渡し、待ち合わせをするとそこに現れたのは沢井さんだった。後日喫茶店で3人で話し合ったときに三木さんに「なぜあのような意地悪をするのだ」と叱責される。誰が姉の手紙を沢井さんへ送ったのか?女のしたたかさを感じさせる1編。


今回特徴的なのは『空飛ぶ馬』よりも各編が長くなり、事件が起きるまでに「私」を取り巻く人々の知られていない部分について語ることにページが費やされている。1、2作目はそれぞれ「私」の友人の正ちゃんと江美ちゃんのサークル活動について。3作目は今までほとんど語られる事のなかった「私」の姉との関係について。そして各編で事件が起きるのは1作目では全91ページ中39ページ目、2作目では全80ページ中36ページ目、3作目では全91ページ中37ページ目で。つまり今回の謎は各登場人物を描き出す因子の1つとして添えられているようだ。
純粋に推理だけに終始する物語は好きではないものの、このように謎そのものがメインでない物語も好きではない。逆にもどかしさを感じずにいられなかった。だから私は今作よりも前作の方が日本推理作家協会賞に相応しいと思うのだ。

確かに各編で語られる人間模様、「私」の感性豊かな主張、落語や日本文学について語られる侘び寂び溢れる薀蓄、日本の良さを強く感じさせる品の良い自然描写などどれをとっても一級品でそれら「寄り道」は確かに面白い。
しかし、それらをメインで語るならばミステリでなくて良いわけで、やはりミステリと謳うからには物語の主柱に謎があって欲しいのである。

ところで1作目で「私」にも恋の訪れがあるのかと思わせたがその後の2編では全く出てこない。代わりに2作目では江美ちゃんの結婚、3作目では姉の失恋と続く。
そうか、これはミステリの意匠を借りた恋愛短編集なのかもしれない。しかしそれらは惚れた、振られただのを声高に叫ぶど真ん中の恋愛ではなく、昔の日本人の美徳とされた慎み深く、他人に見せびらかすことない、忍ぶ恋愛だ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:
(7pt)

心がホッコリ

地味ながら安心して読める短編集でした。

わたろう
0BCEGGR4
No.1:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

夜の蝉の感想

季節は春、「私」は20歳になり所謂「大人」の仲間入りをしたが、相変わらずお洒落より読書を愛する文学少女である。
ある日、友だちの正ちゃんがアルバイトをしている本屋へ出掛ける。
正ちゃんを冷やかしがてら国文コーナーを見ると、本が数冊逆向きに置かれている。
これはただのイタズラなのだろうか。
何故こんなイタズラをするのか。
またまた円紫さんと会う機会を得た「私」はさっそくことの次第を話す。
今作も「私」と円紫さんが日常の謎を解いていくが、そこで語られるものは人間の悪意だけではない。
「女」であること、「男と女のつながり」、そして「姉」との関係。
「大人」になるにつれ、受け入れていかなければいけないことが多くなる。
「私」もまた少しずつ受け入れ、成長していく。
「私」と円紫さんシリーズ第2作目。
今作も「私」を取り巻く日常の謎を、「私」の成長と共に解いていくー・・・

「朧夜の底」「六月の花嫁」「夜の蝉」の全三編です。
構成は前作と同じで、やはり文学作品からの引用や、落語の噺も多いです。
さらに今作は俳句といった詩の引用も多いです。
軽い説明はあるため、私のような教養不足な者でも、わからないなりに楽しめます。
ひとつ賢くなった気分になれます。
しかし一方で、吉田利子氏の解説を読むと、その詩の意味、なぜその落語や詩が使われたか、それが結末にどう繋がるかなど、より作品の理解や北村薫氏の話の巧みさがわかるのだと思います。
それを思うと教養不足が口惜しいです。

前作の「私」は円紫さんと出会い、彼との謎解きを通じて「大人」の美しさも汚さも噛みしめ、成長します。
今作は前作でいう「女」や「男と女のつなかり」といった恋愛面が多目です。
「恋愛」もまた美しいだけでなく、汚い面もあります。
「私」は「恋愛」の甘さもほろ苦さも噛みしめますが、今作は前作よりほろ苦さが残る印象です。
また、今作は前作から少し見え隠れしていた「姉」へのコンプレックスについても語られています。
そこではよくある微妙な姉妹間の確執(実際は確執というほど重いものではないが)と、それぞれの思いが穏やかに語られています。
「大人」になるとほろ苦い思いをすることが多くなります。
しかし、すでに「大人」である「姉」との会話はほろ苦さだけでなく、人生の先輩として、そして「姉」としての優しさにあふれています。
そのため、ほろ苦くも優しい気持ちになれる一冊です。

▼以下、ネタバレ感想

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あんみつ
QVSFG7MB
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.16:
(4pt)

なぜこの題名なのか知りたくて読んでみました

日常の出来事に対してそういう受け止め方もあるかと楽しく読みました。夜の蝉は別の昆虫ですが自分自身も経験したことだったので、身につまされました。
夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)Amazon書評・レビュー:夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)より
4488413021
No.15:
(5pt)

品質

中古品を注文しましたが届いた本は新品並みで気持ちが良いです。
夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)Amazon書評・レビュー:夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)より
4488413021
No.14:
(4pt)

謎解きは決してメインテーマではない

「空飛ぶ馬」以来本当に久方ぶりに北村薫を読む。「空飛ぶ馬」では日常生活に潜む小さな謎を
解いていく小気味よさが印象的であったし、こういう形の推理小説が出来るんだという驚きもあった。
そして、この短編集「夜の蝉」。ここに収められた3篇においても日常生活の中でのちょっと理解でき
ない出来事が円紫師匠の推理によって解かれていくというパターンは守られているが、それは作品に
おいては決してメインディッシュではない。特に表題作の「夜の蝉」では主人公「私」と5つ年上の美貌の
姉との関係が情感を持って描かれる。姉の失恋をめぐる謎解きで読者を惹きつけておいて、この姉妹の
幼児時代からの確執、女同士の葛藤的なもの、そしてそれらの氷解も軽いタッチで描いていく。筆者が
何を書きたいのかということをはっきりと分からせてくれるような運び方だ。3つの作品を通じて、
筆者の広い分野における博識も印象的である。筆者は多くの人が知るように男性ではあるが、
この作品、特に「夜の蝉」はきっと女性が書いた作品であると言われても私は信じる。男性が
ここまで女性の世界が描くことが出来ることに私は驚く。
夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)Amazon書評・レビュー:夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)より
4488413021
No.13:
(4pt)

読む手が止まらない!

江美ちゃんの結婚、姉の失恋・・・。

何でもかんでも聞いちゃダメでしょって思ったりもするが、
それがこの物語でもある。

隙のない完璧ともいえる美しい姉に訪れる不和。
そこに日常の悪意が潜み、
避暑地の何気ない悪戯が後々の結婚を暗喩する・・・。

決して作り事には思えない出来事が続く中で、
軽やかにあっさりと謎が解かれていく爽快感と複雑な思いが
駆け巡りつつ、あっという間に読了となった。
夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)Amazon書評・レビュー:夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)より
4488413021
No.12:
(3pt)

「私たちの日常にひそむささいだけれど不可思議な謎」

呼吸するように本を読む主人公の「私」を取り巻く女性たち―ふたりの友人、姉―を核に、ふと顔を覗かせた不可思議な事どもの内面にたゆたう論理性をすくいとって見せてくれる錦繍の三編。色あざやかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な伏線が読後の爽快感を誘う。第四十四回日本推理作家協会賞を受賞し、覆面作家だった著者が素顔を公開するきっかけとなった第二作品集。
夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)Amazon書評・レビュー:夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)より
4488413021



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