(短編集)

中野のお父さん

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初版刊行(参考)
種別
短編集
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あらすじ

2015年09月12日 中野のお父さん

体育会系な文芸編集者の娘&定年間際の高校国語教師の父が挑むのは、出版界に秘められた《日常の謎》!□「応募してませんよ、わたしは」新人賞最終選考に残った候補者からの思いがけない一言は?(夢の風車)□「実は、扱いに困っている手紙がありましてね」ある大物作家に宛てた女性作家の手紙には愛の告白が?(幻の追伸)□「わたしは殺人事件の現場に行き合わせることになったわけです」定期購読者の話を聞いているうちに思いもよらない事態に?(茶の痕跡)ほか、大手出版社の文宝出版を舞台に繰り広げられる8つのミステリーの推理の結末やいかに……。〈円紫さんと私〉〈覆面探偵〉〈ベッキーさん〉シリーズほか、多くのファンを唸らせてきた名手による、新たな名探偵コンビが誕生。(「BOOK」データベースより)

評判

中野のお父さんの評価:

7.00/10点 レビュー 1件。 C ランク

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中野のお父さんの総合評価:

7.93/10点 レビュー 14件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全1件 1〜1 1/1ページ
No.1
(7pt)

「中野のお父さん」の感想

子どもが持ち込んできた事件のあらましを聞いて、その謎を親が解決するという話は、都筑道夫の「退職刑事」や、ジェイムズ・ヤッフェの「ママは何でも知っている」と言ったミステリが有名ですが、本書も同じような傾向(安楽椅子探偵もの)の話になっています。
ただ、それらの二作と違うところは、殺人事件の犯人探しでは無く、日常の謎を扱っていると言うところです。

出版社につとめる娘が持ち込んできた話を、あっという間に解決してしまう(作者が創った謎を作者が解くのだから当たり前)のは良いとしても、その話が発端となって、思いもかけない広がりを見せてくれるというのは、読んでいて大変楽しくなります。

特に、「闇の吉原」には、感心してしまいました。
「闇の夜は吉原ばかり月夜哉」と言う俳句の、切る場所で意味が違ったり、接続詞が変われば大きく意味が変わったりするという話は、興味を引くものでした。
この話は、泡坂妻夫さんの短編集「煙の殺意」に収録されている「椛山訪雪図」(未読です)でも扱われていると言うことなので、この際に読んでみたくなりました。

ただ、一話ずつの話が短いので、何か物足りなさを感じてしまいますが、読後感は悪くありません。むしろ、シンプルな謎なので、話しもわかりやすく、いろんな人に受け入れられるのではないでしょうか?
ただ、この表紙の絵はいただけません。
シャレじゃ無いですが、この表紙を見て、拍子抜けをしてしまい、一度は購入するのを躊躇したほどです。

感想では無いですが・・・、
本を読むときにはほとんどの場合、主人公の視点で読んでいくことが多いのですが、読み進めていく内に、いつの間にか主人公の父親に感情移入して、読んでしまっていました。
好きな本について語り合える娘が居たら、楽しいでしょうね・・・。

トラ
WFY887SY

Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.13
(5pt)

「――それも覚えておくよ、……お父さん。」(282頁)

田川美希は出版社の文芸部に勤める編集者だ。
 仕事の過程で出くわした、ミステリアスな未解決事件のことを、東京・中野の実家に帰るたびに父に話して聞かせる。すると、母と暮らす定年間近の父は、たちまちのうちに事件の真相を見つけてしまう。

 今年(2015年)、≪私と円紫さん≫のシリーズが『太宰治の辞書』でほぼ20年ぶりに読者のもとに帰って来ました。噺家の≪円紫さん≫という安楽椅子探偵とともに日常の小さな謎を解き明かしていくそのシリーズの当初、まだ学生だった語り手の≪私≫が、今や子育てしながら出版編集の仕事をしている女性として私たち読者の前に元気な姿を見せてくれたのです。
 今回の『中野のお父さん』は≪私と円紫さん≫シリーズの姉妹編ともいえる短編集です。
 主人公は美希という出版編集者。日常で目にするちょっとした謎。お父さんはその話を聞いただけで謎を解明する。――すべてが≪私と円紫さん≫シリーズとパラレルな関係にあります。

 ただし、『お父さん』のほうは、≪私と円紫さん≫シリーズに比べるとかなり小ぶりな感じがします。
 一文で一段落を成す箇所がたいへん多く、そのぶん改行の頻度が各段に高いので、ぱっと見たところ頁には余白部分がかなりあると感じられます。事実一編あたりの文章量は少なく、それぞれの掌編はかなりの短時間で読み通せました。
 また、≪私と円紫さん≫ではそれぞれの事件の背後に人間の業(ごう)のようなものの存在を感じさせたものですが、『お父さん』のほうにはそれはあまり見られません。その点が食い足りなさを与える気がします。
 そして、≪私≫という主人公が学生時代から社会人として世間のとば口に立つまでの、人生でもっとも多感な時期を内省しながら歩んでいたのに引き較べると、美希は比較的軽やかに日々を楽しんでいる若者という印象を抱かせます。主人公への感情移入という面からいっても、『お父さん』のほうには軽量感を覚えます。

 ただ、今年父を亡くした私は、最終編の『数の魔術』には少し思うところがありました。
 幼かった美希の一輪車の練習にそっと寄り添ってくれた父が――裏表紙にその様子が益田ミリのかわいらしいイラストで描かれています――間もなく退職の時を迎えようとしている。若々しさを失うことなど以前は想像だに出来なかった父親に、老いの季節が確実にやって来たことを美希は心淋しく感じているのです。彼女のその胸の内が、いまの私の気持ちにぴたりと寄り添ったのです。

 思えば北村薫は実父の日記をもとに現在『いとま申して』、『慶應本科と折口信夫』という連作を書いています。父の存在を強く思い返す時期というのが人にはあるのです。

 『数の魔術』の後段に、父が教えてくれたあれやこれやを思い返して美希がひとりこう思う場面が出てきます。
「――それも覚えておくよ、……お父さん。」(282頁)
 美希の心のこのつぶやきが、私自身の言葉となって聞こえました。
中野のお父さん Amazon書評・レビュー: 中野のお父さんより
4163903259
No.12
(3pt)

ストーリーに起伏がない

話に起伏がなく、更にお父さんが簡単に速攻で問題解決しちゃうので、読み応えとしては弱いかも

でも、ハラハラもイライラもドキドキもないので、心穏やかに読めます
中野のお父さん Amazon書評・レビュー: 中野のお父さんより
4163903259
No.11
(4pt)

ゆらりと達人

出版社の編集者の女の子と
古本屋巡りが好きな高校の国語教師のお父さんとのやりとりなんて
本好きにはたまらない。
お母さんも友達も上司もいい味出していて
ゆるりゆるりと品良く深く
楽しみながらへえ〜と思うこともあり
読んでいて心地よい
益田ミリの装画も本の雰囲気にピッタリ!
中野のお父さん Amazon書評・レビュー: 中野のお父さんより
4163903259
No.10
(5pt)

さすがお父さん!

日々忙しい娘。でも困ったときには実家に帰って父に質問。ちゃっかりしてる娘と嬉しそうな父の姿がとってもいいなあ〜!
中野のお父さん Amazon書評・レビュー: 中野のお父さんより
4163903259
No.9
(5pt)

知的なナゾ解きの楽しさに満ちた、明るい連作短編

大手出版社文芸部の若い編集者・田川美希は、元大学バスケット部の体育会系女子。
中野に住む父は定年間近の高校国語教師で、美希が仕事がらみの難問を持ち込むと、スルリと解いてくれる。ミステリの世界では「アームチェア・ディテクティブ」(安楽椅子探偵)に分類される作品になるんでしょうか。
いまどきの日本では高校教師はけっこう激務だと聞きますから、本作の美希の父のように、ありあまる余裕で難問を解きほぐすなんてことがホントにできるかな、という疑念は湧きます。
しかし、そんなことはおもしろい小説の前ではどうでもいいこと。知的なナゾ解きの楽しさに満ちた、明るい連作短編集です。殺人も、抗争も、裏切りもないミステリ、いいですね。
中野のお父さん Amazon書評・レビュー: 中野のお父さんより
4163903259

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