昨日の海は
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種別
長編
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評判
昨日の海はの評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
昨日の海はの総合評価:
8.06/10点 レビュー 35件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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主人公はもしかして殺人者の孫かもしれないという始まりにはその後を期待したけれど、主人公はそれを知ってどうするわけでもなく、ただ淡々と自分のルーツを探すのみ。
かつて渦中にいた人たちの、衝動に突き動かされた狂気の場面は最後まで描かれることはなく、本当のところどうだったのかは主人公(読者)の想像に任されたままで終わる。
エンタメ小説としては弱い。でもこの本はエンタメ的な盛り上がり(過去の事件を明るみにすること)を期待する本じゃないことに読み終わってから気づいた。
祖父を調べ始めてから写真を始めた主人公と写真屋を再開する叔母、祖父と馴染みだったカメラ屋……なにかしら写真家の祖父に繋がっていて、真相に絡んできそうなのに絡まない人達は、“日常”の枠を超えることはない。
かといってつまらないわけでも、ダレることも、無駄に焦らされることもなく、ただ静かに主人公に共感させる書き口が本当に見事だった。私と主人公の距離がゼロで読んでいることすら気にならなくなるほど。
やがてそこかしこに雪解けの気配が漂い、登場人物たちは顔を上げて未来に視線を向けはじめる。
この本は、人間関係が狭い地域で凶事に息を潜めていた一家が、過去の傷にもう一度向き合い、静かに、そっと、『なんでもない日常』に変えていく温かさを味わう本だった。
ラストで、祖父たちが最期にいた海を眺めるシーンが印象的で、『昨日の海』というタイトルがピッタリなのもジンとくる。
描写は本当に素晴らしいけれど、ストーリー的な起伏はないから…この本を思い出すことはあまりないだろうなー、という感想で星3.5。