秋の花



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秋の花 (創元推理文庫)
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初公開日(参考)1997年02月
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長編小説

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秋の花 (創元推理文庫)

1997年02月01日 秋の花 (創元推理文庫)

絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を苛酷な運命が待ち受けていた。ひとりが召され、ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を加えていく。文化祭準備中の事故と処理された女子高生の墜落死―親友を喪った傷心の利恵を案じ、ふたりの先輩である『私』は事件の核心に迫ろうとするが、疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日、利恵がいなくなった…。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.33pt

秋の花の総合評価:8.18/10点レビュー 22件。Bランク


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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(5pt)

まあまあでした

謎解きが埋もれてた。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

高校生たちに贈るこれからの人生への餞の物語

日常の謎系ミステリ、即ち日常生活における些細な違和感の裏に隠された謎を解き明かすミステリを生み出した北村薫氏。それは「人の死なないミステリ」とも呼ばれていたこの「円紫師匠と私」シリーズだが、シリーズ初の長編にして3作目の本書で初めて人の死が扱われた。それも女子高生という若い命が喪われる事件。文化祭の準備の最中に起きた屋上からの墜落死に潜む謎に私と円紫師匠が関わるミステリだ。

人の死というのは押しなべて非常にショッキングな印象を与えるが、特に若い命が喪われるそれは殊更に人の心に響く。
本書では3つも年が違い、中学、高校時代には一緒の学校にいることのなかった後輩の死が扱われるわけだが、それでも「私」にとって小学生時代に同じ登校班にいた記憶がいまだに鮮明であり、そして何よりも自分より若い子の死が心に響いてくる。

幸いにして私は高校生の頃に友人の死に直面したことがない。大学生の時にも経験がないわけだが、就職して2年目の頃に私は友人の死をニュースで知った。
大学を卒業して就職の道を選んだ私と違い、成績優秀で実直かつ努力家の彼は当然の如く大学院に進んだ。皆が認める勤勉家だった彼が、卒業旅行先の台湾で落石事故に遭遇し、朝のニュースで報道されたのだ。私は当時同姓同名の人物かと思ったが彼のことだった。

その時初めて同世代の近い死を知り、そして世の無情さを思い知ったのだ。何か偉業を成し遂げるほどの才能を持った人物が、いつも勉強ばかりしていた友人がほとんどしない旅行、しかも卒業旅行でそんな目に遭う、この世の不条理さに茫然とした覚えがある。
本書の津田真理子の死も主人公の私にとって同じように思ったことだろう。特に人格者である津田真理子の造形が私のその亡くなった友人とダブらせるかのようだった。

更に誰もが経験したであろう高校生活。だからこそ事件が起きた高校の描写は私を含めて読者をその時代へと引き戻してくれることだろう。特にテーマが文化祭と云うのが憎らしい。あの特別な時間は今なお記憶に鮮明に残っている。

進学校に進んだ私は高校時代は登下校に1時間以上費やしたため、敢えて部活動をすることを選ばなかった。従っていわゆる帰宅部の一員だったわけで、その日の就業が終れば友人たちと家路に帰っていた。
しかし私の通っていた高校は文化祭やら体育祭などのイベントに力を入れる校風であり、帰宅部であった私もその頃になると必然的に学校に居残って皆と一緒に準備に明け暮れていた。その時のもうすでに暗くなっているのに、各教室にはまだ明りが点いて、一生懸命に何かを作っている、もしくは息抜きに歓談している、あの独特の風景を未だに思い出す。あの雰囲気は何ものにも代え難い思い出だ。
本書はそんな雰囲気を纏って私の心に飛び込んでくるから、なんとも云えないノスタルジイに浸ってしまうのである。

本書に描かれる高校生活は何とも瑞々しく、読んでいる最中に何度も自身の思い出に浸らせられた。それは良き思い出もあれば、後悔を強いる悪い思い出もある。読中、何度自分のやらかしたことを思い出し、読む目を止めたことか。

高校時代に大学時代、それぞれの時代が本書を読むことでシンクロし、とても冷静に読めなかった。理系の工業大学に進んだ私は主人公の「私」ほど本を読んでたわけではないが、専攻した学問を突き詰めるという意味ではやはり似ている何かを感じた。

そんな「私」を通じて得られる色んな含蓄はもはや北村作品の定番と云っていいだろう。

子供の頃の読書のいかに楽しかったことか。知識がない時代に読む本はいつも発見の毎日だったこと。

誰かの話を聞いてさも自分が体験したかのように錯覚し、誰かの評判を鵜呑みにしてそれを食べ、その通りだと盲目的に信じることを耳食ということ。これは何とも頭の痛い話だった。

そして文学部専攻の彼女の毎日はいつも本があり、いつも彼女は本を読む。
確かに普通に生活して日々を過ごすのもまた生き方の1つだろう。しかし本書の主人公の「私」のように自分の興味の赴くまま、文学の世界に身を委ね、そして時に喜び、感心し、そして時に思いもよらなかった価値観に怯えるのもまた生き方だ。
同じ時間を過ごすのにこの差は非常に大きいと思う。そんな読書生活の日々で得られる日常のきらめきが詰まっているのも本書の最たる特徴だ。

さて日常の謎系のミステリにおいて初めて人の死が扱われたわけだが、だからと云ってそのスタンスはいつもと変わらない。

探偵役を務めながらも「私」はごく普通の女子大学生だ。だから探偵や警察のように事故の起きた現場、つまり津田真理子が墜落した場所へは怖くて行きたいと思わないし、身分を偽って学校を訪れ、ずかずかと人の心のテリトリーに分け入るわけでなく、あくまで自然体に接する。彼女は昔から知っている子の先輩として憔悴する和泉利恵を助けたいがために行動しているに過ぎないのだ。

そんな本書の焦点となる津田真理子の死。

いきなり彼女の死で始まる本書は死後彼女を知る人物から彼女の為人を聴くことで彼女のキャラクターが形成される。それは包容力を持ちながらも芯の強さを持った女子高生の姿だった。

まだセカイが狭い高校生活の中で、自分が生きている時間が長い人生の中の一片に過ぎないことを自覚し、その時その時を生きること、そしてどんなに辛いことに直面してもそれは月日が経てば思い出として「いつかきっと」消化されること、そんな達観した視座の持ち主、それが津田真理子の肖像だ。

しかし運命はそんな彼女にいつか来る将来をもたらさなかった。彼女が信じた「いつかきっと」は来なかった。

高校生は忙しい。勉強に部活、そして友達関係。小学校、中学校に比べて断トツに生徒数が多く、従って人間関係も広がる世界である。
だから彼ら彼女らはその日を、そして目前にある中間・期末試験を乗り切るのに精一杯だ。少なくとも私はそうだった。

進学校に進んだ私はきたる試験で絶対に取りこぼさないよう、更に上に、最低でも現状維持を目指して常に勉強をしていた。最もきつかったのが高校生活であったが、同時に最も楽しく、印象に残っているのもまた高校時代である。なぜなら彼ら彼女たちはそんな見えない明日を生きる同志だったからだ。
そんな近視眼的な高校生においてこの津田真理子の視座は特殊と云えよう。

彼女はいつか来る遠い未来を信じたが、それ以外の高校生は今を、そして明日をどうするかのみに生きた人々だ。そんな時間軸の違いがこの悲劇を生み、そして彼女はその犠牲者となったのだ。

秋は夏に青く茂った葉が色褪せ、散り行く季節である。そして木々たちは厳しい冬を迎える。
しかしそんな秋にも咲く花はある。秋桜しかり、そして秋海棠もまた。

本書の題名となっている秋の花とは秋海棠を指す。その別名は断腸花と何とも通俗的な感じだが、人を思って泣く涙が落ちて咲く花と最後に円紫師匠から教えられる。
津田家の秋海棠は親友の和泉理恵の涙を糧にして美しく咲くことだろう。それが既にこの世を絶った津田真理子の意志であるかのように。

秋海棠の花言葉を調べてみた。
片想い、親切、丁寧、可憐な人、繊細、恋の悩みと色々並ぶ中、最後にこうあった。

未熟。

高校生とは身体は大人に変化しながらも心はまだ大人と子供の狭間を行き交う頃だ。大人びた考えと仕草を備えながら、一方で大人になることを拒絶している、そんな不安定で未熟な人々。

津田真理子と和泉利恵。

亡くなった津田真理子はいつか来る明日を信じて、今の苦しみを乗り越えられる強い女子高生だった。そしてその力を和泉理恵にも分け与え、彼女たちの直面する困難を、先が見えない未来を一緒に克服しようとする、女神のような子。

一方和泉利恵は明るい性格だが、脆さを持ち、誰かの支えを必要としている子。彼女にとって津田真理子は親友であり、そして心の大きな支えだった。

ただ彼女たちはまだあまりにも若すぎた。若すぎるゆえに先生たちに怯え、そして若すぎるゆえにまだ子供だった。そんな幼さが起こした過ちは取り返しのつかない物になってしまった。

若くして親友を亡くす、和泉利恵の将来は「その日」の前とこれからとは異なるだろう。

我々は大人になる過程で色んなことを味わう。
楽しい事、辛い事、孤独、哀しみ。

日常の謎を扱いながらもそんな日常に潜む些細な齟齬から生じる悪意を浮かび上がらせ、あくまで優しさのみで終わらないこのシリーズの、人生に対する冷ややかな視線を感じた。
例えば思わず「私」が出くわす中学の時の同級生のバイクの後ろに乗ったことを正ちゃんに話した際に、正ちゃんがその無防備さを非難し、どこまでも悪い解釈をして無邪気な私を問い詰めるシーン。普通に見れば中学の頃の同級生の成長と、既に大人の男と女になった2人がぎこちないながらも交流する温かなシーンでさえ、疑ってみれば実に冷ややかな物へと変貌することを示唆している、印象的なシーンだ。
そんなことが本当に起きないとは限らない世の中になってしまったことの作者の嘆きとも取れるこのシーンは単純にこの世は優しさだけでは成り立たないことを突き付けているかのようにも思える。

そんな人の心の脆さを嘆きながらも、やはり最後は人の善意を信じて、いつか会う良き人が自分の生まれた場所を実に素敵で美しいと褒めてくれることを信じて生きていいのだと円紫師匠は私に伝える。

最後に和泉利恵が眠りに就いたことを津田真理子の母から告げられて物語は終わる。少女はようやく苦しみから解放され、眠りに就いたのだ。
彼女にどんな将来が待っているかは解らないが、目が覚めた後の世界は、決してあの頃には戻れない世界だろうけれどもきっとその前よりもいいはずだ。津田真理子ならばそう云うに違いない。

この作品は是非とも高校生に読んでほしい。貴方たちの世界はまだまだ小さく、そして未来は無限に広がっていること、そして「生きる」とはどういうことかを知ってほしい。

若くして亡くなった津田真理子は明日を無くしただけだったのか?彼女が生きた証はあるのか?という問いに対する答えがここに書いてある。

ただ生きると云うだけでその人の言葉や表情、仕草が心に残るのだ、と。

そしてそれは真実だ。私には前述の夭折した友人のことが今でも記憶に鮮明に残っている。

だから精一杯生きて青春を、人生を謳歌してほしい。苦いけれど哀しいけれど、本書は高校生たちに贈るこれからの人生への餞の物語だ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

秋の花の感想

季節は秋。
20歳の「私」は卒論を芥川に決め、取り組みはじめた。
卒業まで残り一年半。
「時」の流れを感じる「私」であった。
ところで、最近「私」の周りに時が止まってしまった人がいた。
津田真理子。
「私」が小学生の頃から顔見知りの、3歳下の後輩。
彼女は文化祭準備の合宿の夜、屋上から転落死した。
「私」にはもう一人、顔見知りの後輩がいた。
和泉理恵。
津田さんの葬式の際の彼女は、まるで影のようであった。
「私」はというと、悲しみよりも驚きがまさった。
「私」より年下の少女の一生が「私」の人生の中にすっぽり収まってしまうという不思議な感覚。
ある日、「私」の郵便受けに奇妙な封筒が入っていた。
中身は多少落書きのある教科書見開きのコピー一枚。
そこでは何故かアダム・スミスの「見えざる手」にマーカーが引かれていた。
また別のある日、和泉さんが学校にも行かず、ぼんやりと痛ましく座っていた。
「私」の家から見える場所で、見つけてといわんばかりに。
彼女によると、コピーは津田さんの教科書のものだが、津田さんの政経の教科書は棺に入れ火葬した。
存在しないはずの教科書のコピーがなぜ存在するのか。
そもそもなぜそれが「私」のもとに送られてきたのか。
「私」と円紫さんシリーズ第3作目。
シリーズ初の長編であり、初の死者。
はたして事故の真相は。
「私」は何を思うのか―・・・

前2作は「私」の日常の謎を取り扱う、いわゆる「死なないミステリ」です。
短編集ですが一連の流れがあり、その中で「私」が「大人」になるため清濁受け入れていきます。
ミステリであり、「私」の成長記でもあります。
メッセージ性が強く、推理に関しては伏線ももちろんありますが、正直想像力で補う箇所も多いと思います。
今作はシリーズ初の長編であり、一人の少女の「死」からはじまるミステリです。
全2作と異なり「死」にまつわるため、前2作よりミステリの印象が強いです。
推理も割合前2作より想像力で補う箇所が少なく、しっかり伏線を回収し組み立てていけると思います。
犯人当てというより、事故の真相について考え、その流れで著者のメッセージが浮かんでくる感じです。
今作も前2作同様文学作品からの引用があります。
推理のための伏線であり、今作を理解するためのヒントやメッセージでもあります。
長編だからか、前2作より引用や語りがより多く感じます。
私が教養不足なだけかもしれませんが、馴染みがない作品の引用や語りが多いです。
文学少女な「私」はもとより、友だちとの文学談義。
前2作までは一つ賢くなった程度にしか思いませんでしたが、今作は諸所で評論を読んでるようで、少し疲れます。
友だちとの会話も高尚すぎて、女子大生の会話としては違和感があります。

今作はただの事故の真相を考えるミステリではありません。
明日を迎えることができなくなった少女の人物像。
残された者の苦しみ。
日常において転落死は身近ではありませんが、「死」に伴う喪失感や欠落感は誰しもが抱くものです。
「死」を通じて、「生きる」ことについて考えさせられます。
今作は死者がいるため、前2作のように甘酸っぱくとか、爽やかに締めるわけにはいきません。
生きること、そして救いについて考えさせられる、切ない一冊です。

▼以下、ネタバレ感想

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あんみつ
QVSFG7MB
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.19:
(4pt)

★★★★☆

★★★★☆
秋の花 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:秋の花 (創元推理文庫)より
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No.18:
(4pt)

死んでしまった女子高生と残された親友、辛いテーマだが

主人公の「私」がである日常の謎、そしてそれを解いてくれる落語家の円紫師匠。このパターンはシリーズの前作である「空飛ぶ馬」「夜の蝉」
と同じである。異なるのは、今回の「謎」は学校の屋上から女子高生が転落死するという、日常生活の中にある不思議とはレベルの違う
セリアスな出来事であること、そしてシリーズ初の長編(といっても文庫で260ページほど)であるということ。勿論、このシリーズを読み間違っては
いけないのは、謎解きがメインテーマではなく、人生における深い意味合いを感じることが大事だということ。まるで女性作家が書いたかの
ような繊細なタッチで、かつ登場人物は円紫師匠以外はほぼ女性、その女性たちが感じる温かさ、寒さ、冷たさなどを感覚として共感できる
かどうかでこの作品への評価も異なるということだろう。転落した女子高生と、その親友でありこの事件に関与する女子高生、この二人の
人生が交差し、この事件後、一人は死に一人は生き残らされるという残酷さ。悲しいが暗くはなく、寂しいが将来がある。そんなことを
感じさせてくれる作品である。
秋の花 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:秋の花 (創元推理文庫)より
448841303X
No.17:
(4pt)

少し悲しい気持ちになるも・・

殺人事件の推理よりも、なお物悲しい。

人が一生懸命生きている中で、糸の掛け違えのような事は、
いつも起こりうる。

それだけに、そこを間違えて戻り損なった時に
どうやって軌道修正を図ればよいのか??

決していい加減に生きていた訳では無い筈なのに、その一言が
どうしても出なかったら?!

許せないが救うことは出来るとの円紫さんの発言が
深くしみ込みつつ読了となった。
秋の花 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:秋の花 (創元推理文庫)より
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No.16:
(4pt)

青臭い青春時代を思い出させてくれる一冊。

「空飛ぶ馬」「夜の蝉」と読んでみたが、私にはそれほど面白いとは感じなかった。
しかし、三作目の本書はかなり面白かった。

幼馴染の親友である真理子と利恵。真理子が学校の屋上から謎の転落死を遂げ、利恵の方は抜け殻のようになる。
ミステリーとしては、転落の謎を解くだけの単純なものなのだが、事件に関わる周囲の人間の描き方が秀逸。

冒頭で久世光彦氏が
「読みながら一度本を伏せ、しばらくの間、ここまで歩いてきた自分の人生の日々について考えたり、ずっと昔にほんの小さな関わりを持った人をふと思い出したりする―そんな推理小説はなかったと思う。」
と書いているが、まさにそのとおりで、私も読んでいる途中で何度も高校時代の友人やエピソードを思い出した。
思春期特有の青臭い思い出をいっぱい思い出させてくれた。
そういう意味ではある程度年齢がいってから読んだ方がより楽しめる本かもしれない。

ただ、ミステリーとしての難点が一つ。
謎を解く円紫師匠があまりにもスーパーマン過ぎるのだ。
終盤にちょっと登場するだけなのだが、「私」から話を聞いただけでアッと言う間に謎を解いてしまうのだ。
ミステリーとしてはそれが少し白けるかな。なので星一個減点。

それ以外は満足でした。
懐かしい青春時代を思い出させてくれる一冊です。
秋の花 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:秋の花 (創元推理文庫)より
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No.15:
(3pt)

まあまあ

アマゾンで買った本のみレビューしています。物語・作り話が好きなので小説しか読みません。リアリテイー等は関係ありません。事実と違うなどと言ってる人がいますが、なぜ事実じゃないと知っているのでしょうか?学者が書いているから?不思議で仕方がありません。物語では信長は本能寺で死ななくてもいいのです。面白いか面白くないかのみが判断基準です。それではよろしくお願いします。
秋の花 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:秋の花 (創元推理文庫)より
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