(短編集)
覆面作家の愛の歌
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前作『覆面作家は二人いる』に続き、世界社『推理世界』の編集者・岡部良介と新人推理作家で素封家の娘・新妻千秋が事件の謎を解決していく短編集の第2巻。千秋は屋敷の中では内気なお嬢様然としているが、一歩外へ出ると男勝りな素人探偵と化す、特異な性格です。1998年に角川文庫で出版されたものを加筆修正し、<円紫さんと私>シリーズの表紙絵を描いた高野文子のイラストを数葉配して再文庫化した新装版です。 ◇「覆面作家のお茶の会」 :洋々出版『小説わるつ』の編集者・静美奈子(しずか・みなこ)が千秋を訪ねてくる。手土産は南青山≪パティスリー・スズミ≫のサンマルク。実は鈴見の主人・藤一郎が山籠もりに出かけたまま戻らず、息子夫婦が連れ戻しに行こうとすると寺の和尚に追い返されたという。果たして藤一郎の身に何が起こっているのか? 千秋はすぐさま良介と美奈子を連れて山へと向かい、あっという間に事件を解決してしまいます。その推理の展開は鮮やか、と感じるいとまもなく、あっけなく“犯人たち”によって説明されていきます。少々拍子抜けしてしまいますが、私の目を引いたのは、土地の評価額と実際の価格の逆転現象に触れたくだりです。 この小説を収録した単行本が出たのが1995年とのことですから、バブル崩壊後の土地の価値を巡る<逆転現象>のことはよく覚えています。今から四半世紀も前の狂乱の経済状況を思い返して嘆息がもれました。 ◇「覆面作家と溶ける男」 :東京の下町で小学生の女の子が誘拐され、他殺体で発見される事件が発生。それと時を同じくして、静美奈子の甥っ子が車に乗った見知らぬ中年男に声をかけられる。果たして二つの事件に関連性はあるのか。 見知らぬ男は雨が降りそうになるとそそくさとその場を離れていったと聞かされた千秋はたちまちにして事件の謎を解いていきます。意外に鮮やかな推論と、そのあとに続く千秋のアクションシーンが読ませます。 読了後、この物語が、幼い子どもが犠牲になった2つの凶悪事件――宮崎勤による東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(1988-1989年)と少年Aによる神戸連続児童殺傷事件(1997年)の間に書かれたことに気づきました。それを思うと、時代の薄ら寒い雰囲気を感じさせる物語に見えてきました。 ◇「覆面作家の愛の歌」 :舞台女優の河合由季が殺害される。犯人と思しき男は二人いる。ひとりは由季が所属する劇団の主宰者でかつて恋仲にあった南条。もうひとりは婚約者の中丸。しかし二人は由季が殺害された時刻には二人とも劇団の事務所に詰めていた。果たして犯人は誰なのか。 この文庫に収録された3作のうち最も長く、そして本格的なトリックが描かれる中編作品です。これまでのコミカルな作風は確かにあるものの、本格推理ものとして十分楽しめる一編に仕上がっています。 千秋と良介の間に本格的な恋が育つ予感もあり、シリーズ物ならではのお楽しみも十分味わえます。 . | ||||
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お嬢様で作家である主人公が事件を解決するというストーリー。 編集者との気になる恋も描かれ、ほのぼのしたお話に癒されます。 ただ、肝心のトリックが私には難しすぎたり、逆に単調すぎたり思えるので☆4で。 | ||||
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ある女性が殺された。死亡推定時刻は夜中の12時。彼女は、殺される 直前に婚約者の中丸に電話をかけていた。中丸のそばには、彼女を殺した のではないかと思われる南条もいた。南条はどのように彼女を殺害したのか? 覆面作家新妻千秋の推理が始まる・・・。表題作を含む3編を収録。 覆面作家シリーズ第2弾。 どの話も面白かったが、一番よかったのは表題作「覆面作家の愛の歌」だ。 アリバイ作りのトリックが巧妙で、感心させられた。ちょっと複雑すぎて、 理解するのに何度か読み直してしまったが(^^; 南条の、屈折しゆがんだ 感情にはぞっとさせられた。「覆面作家のお茶の会」は、良介が関わる 「推理世界」のライバル誌「小説ワルツ」の静美奈子の友人にまつわる話だが、 家族が家族を思う気持ちにホロリとさせられた。この作品は、謎解きの面白さ だけではなく、良介と千秋の微妙な関係にも面白さがある。はたしてこれから 進展するのか?また、優介にも恋の季節が!?第3弾が楽しみだ。 | ||||
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天国的美貌の御令嬢にして推理作家、かつ頭脳明晰な名探偵にして類を見ない「外弁慶」。そんな新妻千秋と担当編集者・リョースケのシリーズ第二弾。個性的な女性編集者もレギュラー陣に加わり、賑やかさを添えている。 本作には千秋が謎を解く三篇が収められる。若き天才菓子職人の女性、エキセントリックな演出家などが登場。演出家・南条と千秋の火花散る対決、複雑なトリックも楽しめる。シェークスピア好きのかたにもおすすめしたい。 肝心の(?)リョースケと千秋の恋路は・・・ 短い文章で、リョースケの思いや人柄を立ち上らせる筆づかいが相変らず心憎い! 温厚でとぼけた味わいの彼に「今まで、こんなに真剣になったことはない」と千秋への思いをぶつけさせるも、「泣き出すのではないか、と思った。もう止めよう、と思った」と踏みとどまらせる。リョースケにとって千秋は世界にふたつとないとびきり繊細な貴重品なのだ。しかし予想に反し、そのリョースケを驚きうろたえさせる反撃に出る千秋。・・・彼女も成長したのだ。リョースケがんばれ! | ||||
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1995年に出た単行本の文庫化。 覆面作家シリーズの第二作。全3作の中では、残念ながらもっとも落ちる一冊。 3年のブランクを経て書かれたという「覆面作家のお茶の会」のほか、「覆面作家と溶ける男」、「覆面作家の愛の歌」が収められている。 新たな登場人物が何人か加わったり、どうやら長期のシリーズ化を目指して書かれたように思える。残念なのは、そのことによってキャラクターよりも謎に重点が置かれるようになってしまったこと。それから、覆面作家と岡部良介の関係が遅々として進まなくなってしまったことである。 謎そのものは良く出来ている。しかし、覆面作家が名探偵として固定されてしまうことで、キャラクターの魅力が半減してしまった。これは北村薫の短篇ミステリに常につきまとってくる問題だと思うが、残念である。 | ||||
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