六の宮の姫君



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初公開日(参考)1999年06月
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長編小説

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六の宮の姫君 (創元推理文庫)

1999年06月01日 六の宮の姫君 (創元推理文庫)

最終学年を迎えた「私」は卒論のテーマ「芥川龍之介」を掘り下げていく一方、田崎信全集の編集作業に追われる出版社で初めてのアルバイトを経験する。その縁あって、図らずも文壇の長老から芥川の謎めいた言葉を聞くことに。「あれは玉突きだね。…いや、というよりはキャッチボールだ」―王朝物の短編「六の宮の姫君」に寄せられた言辞を巡って、「私」の探偵が始まった…。 (「BOOK」データベースより)




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六の宮の姫君の総合評価:7.79/10点レビュー 34件。Dランク


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(5pt)

六の宮の姫君の感想

季節は春。
<私>は最終学年を迎え、卒論に取り組みはじめる。
卒論は芥川龍之介。
そんなある日、近世文学の加茂先生にアルバイトを打診される。
先生には二年生のときのある出来事がご縁で、以来名前を覚えてもらっている。
卒論執筆のためワープロが欲しい<私>は、人生初のアルバイトをすることに。
アルバイト先はみさき書房。
水を飲むように本を読む<私>には嬉しいアルバイト先である。
指導係の天城さんに、図らずしも文壇の長老である田崎信先生と引き合わせてもらう。
田崎先生は芥川と出会っているため、芥川の人となりを聞けるかもと、機会を設けてくれたのである。
さっそく芥川について尋ねると、『六の宮の姫君』について芥川が呟いたという。
《あれは玉突きだね。・・・いや、というよりはキャッチボールだ》
ただ今昔物語の『六の宮の姫君』を元に、新たな芥川の『六の宮の姫君』が出来たというわけはないようである。
<私>は『六の宮の姫君』について調べていく。
調べるうちに、用語の出典元、芥川、そして菊池寛と『六の宮の姫君』執筆の謎は複雑に広がっていく。
はたして、芥川の言葉の意味はなんだろうか―・・・

<私>と円紫師匠シリーズ第四作目。
第三作『秋の花』同様長編です。
しかし、今作はこれまでのシリーズに比べ異色作だと思います。
前作までは基本的に日常の謎を取り扱う、いわゆる「死なないミステリ」です。
『秋の花』は死を取り扱っていますが、死そのものより真相を探る過程にある成長やメッセージに重きがおかれていると思います。
シリーズ通してそうした成長やメッセージが見られ、<私>は見守られています。
今作は解説の佐藤夕子氏の言葉を借りれば、「人となりをめぐるミステリ」です。
しかし、正直に申し上げるとミステリという印象はありません。
出来るだけ小説に寄せた論文という印象です。
佐藤氏は学問も謎を発見し、答えを見つけるある種のミステリと続けていますが、娯楽と学問とでは違うのではないでしょうか(私のような不勉強で読書家でもない者が言うのはおこがましいのですが)。
私はやはりミステリ小説ではなく、小説風の『六の宮の姫君』から読みとく芥川及び菊池の人物像と執筆の背景という論文を読んだというのが、正直な感想です。
一読では理解が難しいです。
論文のようで、小説でもあります。
論文ならば引用文の出典は脚注をつけたり、一覧の添付資料をつけたりします。
しかし、著者の意向で出典も文中に挿入されています。
それが私には読みにくく、会話文としても少々不自然と感じます。
また、<私>が調べるうちに、繋がりが見え、調べる対象が増えていきます。
論文ならばシンプルに章立てし副題をつけるところですが、あくまで小説なので書き方が異なります。
<私>の心情や『六の宮の姫君』と直接関係ない場面もあるため、整理しにくいです。
否定的なことを書きましたが、面白くないわけではないです。
芥川・菊池についてはもとより、論文執筆の姿勢や取り組み方という意味でも、勉強になります。
あくまで、私はミステリ小説を読んだというより、小説風論文を読んだという印象なだけです。
そういう意味で異色作であり、好みがあると思います。
読書家で芥川・菊池が好きな方はとても楽しめると思います。
しかし、芥川らに興味がない方や、一般的なイメージのミステリを求める方は合わないかもしれません。
本シリーズのファンは読むべきですが、人を選ぶ一冊です。

▼以下、ネタバレ感想

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あんみつ
QVSFG7MB
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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No.33:
(5pt)

教科書ここにあり

元々この『私』シリーズは短編連作で始まりました。
この『六の宮の姫君』は長編で、かつ「私」が大学卒業のための論文を書く話です。
しかも論文の内容は「芥川龍之介と菊池寛」。
はるか明治から続く日本の近代文学史で活躍していた二人の若い頃から晩年までを、丁寧に描いていきます。
そして、驚くべきことですが、この作品、小説を書くための教科書といってもよいぐらいなのです。
前期北村薫作品の最高峰、それがこの『六の宮の姫君』です。
六の宮の姫君 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:六の宮の姫君 (創元推理文庫)より
4488413048
No.32:
(4pt)

大好きな本、孫に読ませたくて

家にあるけれど古い本なので、孫用に買いました。綺麗な本なので、読んでもらえそうです。
六の宮の姫君 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:六の宮の姫君 (創元推理文庫)より
4488413048
No.31:
(1pt)

ミステリ小説というより文学史のウンチク話

日常のミステリを期待しましたが、書かれているのは日常生活からは離れた芥川や菊池寛の文学史のウンチクの話で、期待外れでした。
これなら小説という形ではなく、論文や評論として書いた方がずっとよかっただろうと思います。小説としての面白さはほとんどなく、がっかりしました。
六の宮の姫君 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:六の宮の姫君 (創元推理文庫)より
4488413048
No.30:
(2pt)

娯楽として小説を読みたい人には向いていない。

私は基本的に読書は娯楽だと思っている。

もちろん仕事関係や勉強などで実用書を読むことはあるが、小説に関して言えば暇つぶしの娯楽として読んでいる。映画を観たり、音楽を聴いたりするのと同じ。

しかし、本書は娯楽としての読書ができなかった。
文学部でもない人間にとっては退屈極まりない内容であり読んでいて苦痛だった。
作者のペダンチックな文章も鼻につく。
日本文学を専攻してる人間でもない限り、芥川龍之介や菊池寛の作品同士のつながりだとか、出典がどうだとか、発表された時期がどうだとかは全く興味がない。

ひたすら作者の衒学的な自己満足の文章を読まされるだけで全く面白くなかった。
娯楽としてのミステリーを期待していたのだが肩透かしを食らわされた。

前作の「秋の花」がかなり良かっただけに残念。
この内容を「円紫さんと私」シリーズ」でやらなくてもよかったと思う。
六の宮の姫君 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:六の宮の姫君 (創元推理文庫)より
4488413048
No.29:
(5pt)

芥川龍之介が、『六の宮の姫君』はキャッチボールだと言った謎に挑む

『米澤屋書店』(米澤穂信著、文藝春秋)の中で、米澤穂信の作家人生を決定づけた本として紹介されている『六の宮の姫君』(北村薫著、創元推理文庫)を手にした。結論を先に言ってしまうと、これは文学史の謎に挑んだ大傑作である。

文学部4年の女子学生の「私」は、卒論で芥川龍之介に挑戦しようと考えている。文壇の長老・田崎信から、芥川の自宅を訪問した際の、「・・・西洋の騎士物語から、話が流れて、誰かが芥川さんの『六の宮の姫君』のことに触れたんだ。芥川さんは銘仙の一枚小袖。煙草をくわえて、せわしなくマッチ箱を揺らしていた。それから、マッチを取り出すと火を点けて一服した。そして、いったな。『あれは玉突きだね。・・・いや、というよりはキャッチボールだ』」という体験談を聞かされる。「私は目を見開いてしまった。『六の宮の姫君』は題の示す通り、王朝物である。そんな言葉のおよそ不似合いな作品ではないか。『何ですか、それは』。先生は夢から覚めたようにふっと私の顔を見た。『分からんなあ。ぽつりと言葉を投げ出しただけだ。勿論、そこにいた連中もわけを聞いたけれど、笑って取り合わなかったな。髪の毛をかき上げると、すぐに話を替えてしまった。押してそれ以上聞くわけにも行かなかったよ』」。因みに、『六の宮の姫君』(芥川龍之介著、新潮文庫『地獄変・偸盗』所収)は、私・榎戸の好きな作品である。

芥川が言った「キャッチボール」とは、どういう意味か、なぜ、こういう言葉を口にしたのか。その裏に隠された謎を解こうと、私は『六の宮の姫君』を調べ始めた。そして、芥川の種本である『今昔物語』へと進んでいった。

【注意!】この先はネタバレになるので、結末を知りたくない人は読んではいけない。

キャッチボールというからには、当然、相手がいたはずだと思いつく。キャッチボールの相手になりそうな人物を探していき、紆余曲折を経て、芥川が「兄貴」のようだと言っていた菊池寛に辿り着く。そして、菊池の短篇『頸縊り上人』を探し当てる。この短篇の種本は『沙石集』である。

遂に、私は「キャッチボール」の謎を解くことができた。鎌倉時代の僧・無住の『沙石集』に反発した菊池が『頸縊り上人』を書く。『頸縊り上人』に反発した芥川が『六の宮の姫君』を書いたのである。親しい友人ではあったが、文学観の異なる菊池と芥川の間でキャッチボールが行われていたのだ。

米澤のみならず、私・榎戸にとっても、本書は大切な一冊となった。
六の宮の姫君 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:六の宮の姫君 (創元推理文庫)より
4488413048



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