(短編集)
中野のお父さんと五つの謎
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高貴な方の例のアレ以来 漱石はアイラブユーをそう訳した が、あたかも教養であり常識であるみたいな事になってしまって 折に触れ気持ち悪かった …のが、晴れた あー、すっきりした 読んでて うおお自分の基礎教養が足りん!絶対的に足りん! へーそうなんだあで楽しめばいいものを、自分が足りない部分にもどかしさを感じるのは 昔のオタク世代のサガみたいなもので… いや、楽しく読みましたけどね | ||||
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. 田川美希は出版社の文芸部に勤める編集者。仕事の過程で出くわした、ミステリアスな事件のことを、東京・中野の実家に帰るたびに父に話して聞かせる。高校の国語教師である父は美希が持ち込む謎の解をたちどころに提示してみせる。 ----------------------------- 北村薫の「中野のお父さん」シリーズの第4弾です。 ▽「漱石と月」 :夏目漱石がI love you.を「月が綺麗ですね」と訳したというのは事実か、をめぐる論考です。不特定多数が同じ記憶違いをする「マンデラ効果」の話なのですが、ではその根拠のない思い込みがどこから来たかを探っていく途上で、西洋的な詩歌が「人事」を根本として、《どこ迄も同情だとか、愛だとか、正義だとか、自由だとか》が問題になる一方、東洋の詩歌には《そこを解脱した》心がある、という比較文化論へと話が広がります。 「翻訳という仕事は、単に言葉を移し替えるものではない。訳すのは、言葉というより作品なのだ」(34頁)という言葉が心にしみました。 ▽「清張と手おくれ」 :『点と線』のストーリーの穴をめぐり、作者である松本清張に「手おくれ」と批判した人物がいたといいます。果たしてそれは一体誰だったのか? という謎を巡るお話です。 私も『点と線』を読んだ際に、今だったら警察ならずとも読者もまた移動手段にあれを使ったと推測するだろうが、出版当時の昭和30年代前半ならそうした発想はまだなかったのだろうと自分を納得させたものです。ですが、どうやら出版当時から、「おかしい」と思った声は少なくなく、清張自身も批判を気に病んでいた様子が伺える掌編です。 ▽「『白浪看板』と語り」 :池波正太郎の短編小説『白浪看板』には鬼平こと長谷川平蔵が登場します。その『白浪看板』を三遊亭圓生が語ったときのある言葉の謎を追う物語です。 作者・北村薫らしい、博覧強記、蘊蓄満載の落語史ミステリです。江戸人情噺に現代の言葉遣いが登場するのですが、その事象の是非ではなく、味わいについて思索を深めていくという一種の文学論とも言えるでしょう。その語りがなされた時代に関する情報を受けてがどこまで有しているのか――現代人には伺いしれない同時代性(contemporaneity)を見つめる縁(よすが)となるような佳作です。 ▽「煙草入れと万葉集」 :初代柳家小せんから『居残佐平次』を教わった圓蔵、のちの三遊亭圓生は、小せんが「十二煙草入れを折った」と言った箇所を誤って「煙草入れを十二折った」と言ってしまったことがあります。年代の若い圓蔵は「十二煙草入れ」を知らぬようだと指摘する久保田万太郎の文章が残っています。しかし、ネットで調べても、塩とたばこの博物館に尋ねても、「十二煙草入れ」の正体がわかりません。 この物語の眼目は、時を経て世の中が変わっていくにつれ、前の世代には当たり前だったものがどんどんと姿を消して、のちの世の人々にとってはちんぷんかんぷんなものになっていくことのうら寂しさや可笑しみです。無賃乗車を示す「キセル」も技術革新によってその犯罪そのものは気安く実行できなくなりました。 もうひとつ「万葉集」についても「まんようしゅう」と発音されるようになった歴史が思いのほか浅いということがわかり、愕然としました。 ▽「芥川と最初の本」 :芥川龍之介の最初の本『羅生門』には、漱石本にあやかって作られたところがある――その謎を突きつけられた美希のお父さんが、今回も見事にその謎を解いてみませます。 そのほかにも、日夏耿之介が芥川をある人に似ていると評した史実だの、明治の文豪たちの、インターネット上には転がっていない情報を、古書資料を頼りにたぐっていくお話です。 このように、5編ともが、作者・北村薫の好古趣味と博学多識を徹底的に盛り込んだ短編ばかりです。その世界にうまく没入できないと、物語に読者が弾き飛ばされることになるでしょう。 . | ||||
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漱石の月がきれいですねの都市伝説や、ミステリーとしての出来にいろいろと指摘がある清張の点と線は、古本マニアとしては一家言あるんだろうなと思います ただ、芥川の本と漱石の本の関連性や、文学と落語の関連性はなかなかマニアック。御見それいたしました。というよりも、知識として知っているというよりは、古本として持っていないとできない論陣ですね それにしても、このシリーズよくネタがつきないものですね | ||||
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いつもながら、博識のお父さん。その質問には答えられるぞ、ふふふ | ||||
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日常の謎解きを超えてもはや第一級の文学探偵お父さん。 そのさまは著者自身と完全にシンクロ。 すでに数冊の論文レベルの情報量! | ||||
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