犯人は、13歳の少年だった。 娘の目の前で、桧山貴志の妻は殺された。

人生の岐路に立つ六人の女の運命を変えたのは、ひとりの女の“幸せ”だった。

阿部看護婦長、またの名を“血まみれのマリア”は心に決めた。温泉に行こう。

孤独と暴力に耐える日々のなか、級友の弥生から絵本作りに誘われた中学生の圭介。

五・一五事件の前日に来日した大スター、チャップリンの知られざる暗殺計画とは―粋と仁義を体現する伝説の夜盗たちが、昭和の帝都を駆け抜ける。

東京のはずれに位置する‘まほろ市’の駅前にある便利屋「多田便利軒」に舞いこむ依頼はどこかきな臭い。

盲目の琵琶法師、蝉丸は美しくも怖ろしい女に取り憑かれていた。

晴明の呪、博雅の笛が京の闇に響

神戸の住宅地での一家四人殺害事件。惨たらしい現場から犯人の人格障害の疑いは濃厚だった。

ギター製作の名手を捜し、スペインの小さな村パロマレスを訪ねた日本人の古城。

片岡の一人息子・譲は、信州の集団疎開先で父親の召集を知る。

「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。

事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか―。

妖艶な美貌と大胆なふるまいで暗黒街の女王として君臨する「黒蜥蜴」。

祖父殺しの嫌疑をかけられた御曹司、城坂論語。

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。

娘の不可解な行動に悩む女性刑事が、我が子の意図に心動かされる「傍聞き」。元受刑者の揺れる気持ちが切ない「迷い箱」。

ある夏の夜、酔って遅く帰ってきた姉から、失恋の顛末を聞かされる。

犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷…もとい派遣された死神のレオ。戦時中の悲恋。

不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。

謎の絵師といわれた東洲斎写楽は、一体何者だったか。後世の美術史家はこの謎に没頭する。

「いつか日本を買収する―」。1年の海外放浪を経て、帰国した鷲津政彦が、まず標的に定めたのは、繊維業界の老舗「鈴紡」。

嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。

バブル崩壊から15年余り。「失われた10年」を経てもなお、日本を覆う混沌の闇が晴れる気配はない。

「皆さん、お静かに。動かないでください」。

第二次大戦中に天才料理人・直太朗が完成させた究極の料理を蘇らせてほしいと依頼された、絶対味覚=麒麟の舌を持つ佐々木充。

圧倒的なスピード感のＮＯ．１警察小説！　公安刑事が、連続殺人の容疑者に。

大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。

鍛治の里に暮らす少年キリヒトは、師の命により、大陸最古の図書館を統べるマツリカに仕えることになる。

誰の人生にも温かな光を灯す、青春小説の金字塔。 1980年代後半、時はバブル真っただ中。

ぼくにとっては捜査はいつも苦しいものです―通り魔によって幼い娘を植物状態にされた夏目が選んだのは刑事の道だった。

両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母がガンで入院した梨花。職場結婚したが子供ができず悩む美雪。

みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。

ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク山岸尚美と、警視庁捜査一課の新田浩介。

こんなはずでなかった結婚。捨て去れない華やいだ過去。

義母の富江は心の底から喜んだ。孝之介が文壇最高の権威「日本文芸大賞」の候補になったというのだ。

汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう―中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を通じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。

ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。

二ノ宮こと葉は、製菓会社の総務部に勤める普通のOL。

社長・佃航平の閃きにより、トランスミッションの開発に乗り出した佃製作所。果たしてその挑戦はうまくいくのか――。

春先のまだ寒い夜。ひとり息を引き取った、俳人・片岡草魚。

夫を四度殺した女、朱美。極度の強迫観念に脅える元精神科医、降旗。

僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。

花沢支配人は青ざめた。

恐怖のゲームがはじまった 真面目なだけが取り柄の会社員・倉田太一は、ある夏の日、駅のホームで割り込み男を注意した。

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。

零細工場の息子・山崎瑛(あきら)と大手海運会社東海郵船の御曹司・階堂彬(かいどうあきら)。

広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。

「人は誰でも、死にたがっている」「世界は絶望と悲惨に塗れている」でも僕は戦おうと思うんだ。

警視庁公安部に属していた奥野侑也は、妻を殺人事件で亡くし、退職を決めた。

もう会えないなんて言うなよ。あなたは思い出す。

希望に燃え、警察学校初任科第九十八期短期過程に入校した生徒たち。

岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村。この地に昔から伝わる手毬唄が、次々と奇怪な事件を引き起こす。

今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、質の悪いトラブルメーカーだった。

家庭では暮らせない子どもたちの養護施設「七海学園」で起きるささやかな事件――繊細な短編群が大きな物語を創り上げる、第18回鮎川哲也賞受賞作。