強き蟻
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『強き蟻』(松本清張著、文春文庫)は、愛欲と物欲に塗れた30代後半の女が主人公です。 ホテルに泊まりにきた不倫相手の佐伯義男と沢田伊佐子のベッドでの会話。「『だいたい、奥さんのような身体つきの人は、ひとりの男では満足できないように出来てるんですよ』。『失礼なことを云うのね』。『げんに(愛人の)石井とそうだったじゃないですか?』。『あれは、わたしの意思じゃないわ。不意を襲われたのよ。あんたと同じ・・・』。『それにしては石井とは腐れ縁がつづいていた』。『おどかされたのよ。(夫の)沢田にばらすというもんだから。悪党よ』。『そればかりとは思えませんね。まだ石井に奥さんのことをはっきり聞ける段階じゃありませんがね』。『わたし、そんなに淫乱に見えて?』。『そういう云い方はしたくないな。体質ですよ。ぽっちゃりとした小肥りで、色が白くて、肌のきめが緻密で、腰まわりの張っている女性は、だいたいそういう傾向ですね。ひとりで夜寝ているのがつらくなる性質(たち)です』。以前、(不倫相手の)塩川も似たようなことを云っていた。しかし、口では云えないが伊佐子に思い当るところがあった。とくにこうしてホテルに寝ていると、ひとりでに昂奮することが多かった。身体の血が騒いで容易に寝つかれず、つい手が癖になっているところに行ってしまう」。 遺産目当てで30歳も年上の会社役員と結婚した伊佐子は、早急に金を手にしなければならない必要に迫られ、策略を巡らします。伊佐子の周りには、欲望に身を焼かれて蠢き回る人間たちが群がってきます。 どろどろとした物語の最後の最後に、思いがけない展開が待ち構えています。さすが、松本清張ですね。 | ||||
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主人公・伊佐子の強かさが増長していくのに、あっけにとられ巻き込まれて翻弄されていく男たちの無様さが漫画的に展開していく。ある意味痛快な悪漢小説であり、それ故に最後の連鎖的な破綻が小気味好い。 伊佐子は言う。 「常識が何よ。常識をきちんと守れたからといって、誰も困っているときは一円も貸してくれはしないわ。みんな自分の得を大事にする人ばかりよ。自分にひびかない、安全な問題だけは他人のことをいろいろ云うけど・・・」 これを身勝手と言ってしまうこともできるが、ある面では真実だと思う。だが、彼女は加減を知るべきだったのだ。男を手玉に取って思い通りにできると考える、そこに愚かさがあった。 伊佐子を評して、「色白で、肌がなめらかで、肥り肉の女は一人の男は守りきれないものだ」という言葉が何度も登場するが、作家の個人的な執念でもありそうな言い切り方である。頭の中に残ってしまうフレーズだ。 ----- 2019年、紀州のドンファンと呼ばれた老人が原因不明で死去したが、10数億の遺産を若い後妻ではなく自治体に寄付するというニュースが駆け巡った。松本清張がニヤッとしているかもしれない。 | ||||
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兎も角、展開が単純です。財産と地位のある老人が若い妻を貰う。その若い妻が多くの男たちと関係を持ち、遺産を元にした将来の華やかな生活を夢見る。その為に様々な男たちを利用していくという、当たり前の展開と心理状態を何度も同じ様な記述で繰り返します。挙句の果てに、日記と言う当人の心理描写と、作者に第三者的な描写とが変に重なり合って、読んでいる方は、どちらが現在の進行具合なのか訳が分からなくなります。そう感じるのは自分だけでしょうか? そして、案の定、速記者として登場していた女性に妙に重要な「説明的な陳述」をさせ、最後をまとめます。「描写」ではなく「説明」で結論を導くという、清張さんが時折使う安易な方法です。締め切りに追われたせいかと邪推したくなる迷走した作品の一つでしょう。 | ||||
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清張の傑作をまたひとつ発見しました。 ヒロインの伊佐子は普通に考えて悪女であることは間違いないのだが、どこか憎めないように書かれている。 清張お得意の秀逸な悪女キャラである。 三十も年上の夫信弘(67歳)をはじめ、二十ほど年上の元愛人塩月、若い愛人石井寛二、年下の弁護士佐伯などなど、 女盛りで好色な美貌の人妻、伊佐子のまわりには、さながら砂糖に蟻がたかるように男たちが寄って来る。 「だいたい、奥さんのような身体つきの人は、ひとりの男では満足できないように出来ているんですよ」 「失礼なことを言うのね」 ・・・・・・ 「わたし、そんなに淫乱に見えて?」 「そういう言い方はしたくないな。体質ですよ。ぽっちゃりとした小肥りで、色が白くて、肌のきめが緻密で、 腰まわりの張っている女性は、だいたいそういう傾向ですね。ひとりで夜寝ているのがつらくなる性質(たち)です」 以前、塩月も似たようなことを言っていた。しかし、口では言えないが、伊佐子に思い当たるところがあった。 とくにこうしてホテルで寝ていると、ひとりでに昂奮することが多かった。身体の血が騒いで容易に寝つかれず、 つい手が癖になっているところ (陰部) に行ってしまう。(以上282~283ページ) 「あんたが、わたしの身体をこんなふうにしたのよ。あんたって素晴らしいんだもの。わたしの身体は完全に あんたに馴らされてしまったわ。ひとりでは睡れなくなったわ」(345ページ) ・・・とまあ、こんな描写から、伊佐子が旺盛な性欲の持ち主であることは間違いない。 経済面だけのために結婚した、老いて性的には使い物にならない夫信弘で満足できるわけがないのである。 そんな彼女が、最後、みずからの事業欲 (旅館を購入して営業する) を満たすために早く夫信弘の資産を売却して 資金を手に入れるべく、ほどこした奇策が、最終的には彼女を破滅に導くことになる。 「ね、わたしたちの声 (よがり声) をこれに録音しましょうよ」(390ページ) 上記は弁護士の佐伯と結託し、ベッドでのトークやよがり声を録音して、それで以って、心臓の悪い信弘に 三度目の心筋梗塞の発作を起こさせ、死に至らしめようとした伊佐子の卓抜なアイデアである。 文字通り好色な伊佐子にしか思いつかないアイデアである。 最後のどんでん返しには唖然としたが、おしまいまで読ませる作品であることは間違いない。 | ||||
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エロを期待した私がバカでした。 結局全然エロはなかったです。 登場人物は例によって清張流にデフォルメされた欲一点張りの人形みたいなのばっか。 こういうのは漫画にすると今の若い人には受けるんじゃないかな。 | ||||
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