(短編集)
火と汐
- 完全犯罪 (68)
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受験勉強そっちのけで推理小説に嵌っていた頃の4作品。表題作は当時からヨットレース開始直後に、被害者が殺害された方が面白い展開になると思っていたが、再読してみてもその考えは変わらない。 | ||||
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社会派ミステリー | ||||
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作者没後30年でCATVなどで映像化作品が放映されている。何度も見た作品でも思わず見てしまい、原作の持つ吸引力を改めて感じる。あげくに原作も買い求めて、読む事になる。多くの作品が文庫本で現役で、いとわなければ古書ならほとんどの作品が入手できることもありがたい。 | ||||
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「火と汐」(松本清張、文藝春秋)を読みました。数十年ぶりの清張ミステリーです。 1967~68年に発表された4つの短編が収録されています。 「火と汐」。清張らしいアリバイ崩し。当然のことですが、時代性は古く、現在であれば成立しえない、或いは簡単に露見する犯罪にも思えますが、最後まで読ませます。 「証言の森」。ある冤罪事件を扱っています。今となっては<古典>と呼べるような格調がありました。現代において、このようなミステリーを書ける作家はいないとすら感じました。事件について黒澤明の映画「羅生門」のように幾重にもスポット・ライトをあてる筆致が見事です。 「種族同盟」。これもまた、アリバイ崩しミステリーですが、人間の欲についての小説なのでしょう。 「山」。清張の短編集の中ではアベレージだとは思いますが、幕切れは心地よい。 総じて、現在では女性蔑視と受け取られ兼ねない記述が多くあり、気になりますが、それはやはり<昭和という時代>がそのまま残っていると解釈するしかありませんね。インターネットもSNSも夥しい監視カメラもない時代のミステリーですが、Page-turnerでした。いい小説は、こうやって生き残っていくのだと思います。 尚、巻末の大矢博子さんの解説は一切読まずにこの短編集を読み、これを書かせていただいています(笑) | ||||
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清張作品にはよくあることですが深夜の2時過ぎまでかかって読み終えました。 要するにこの作家の作品は、読み出したらやめられなくなるように最初から仕組まれているんです。読者の好奇心や謎解きの興味を刺激するストーリー展開がじつに上手いんです。 その仕掛けを以下に具体的に述べます。 「火と汐」《八月十六日、それは京都の”大文字”の夜である。興奮にざわめく人込みのなかを、一つの情事 (不倫恋愛) が進行している。その同じとき、油壷と三宅島の間でヨットレースがおこなわれている。この二つを結ぶ犯罪の謎はどうすれば解けるだろうか。・・・(内容紹介文より)》 妻の美弥子が不倫している京都と、夫の芝村が参加している神奈川県三浦半島沖のヨットレースとは、ざっくり400kmも離れている。美弥子が愛欲に耽っているちょうどその時、芝村は400kmも離れた、しかも海を帆走するヨット上にいるのである。 そんな中、8月16日の夜、不倫相手の晋吉と美弥子が仲良く宿泊ホテルの屋上で大文字焼きを見物している最中に、美弥子が忽然といなくなる。大文字焼きが始まると、街の電灯は消されるので、見物客で満員の屋上は真っ暗闇。そんな闇の中での美弥子の失踪なのである。 このあと読者は、美弥子がいったい何処へ消えたのか、なぜ消えたのかが気になって、どうしても先を読まずにはいられなくなる。 美弥子を失った晋吉は、完全に打ちのめされ意気消沈して東京に帰ってくる。 そして2日後の朝、美弥子の死体が晋吉の自宅のすぐそばで発見されたことを新聞が報じたことに晋吉は愕然とする。 とうぜん晋吉が一番の容疑者として警察にマークされてしまう。 しかし、いかにも女性にモテそうな独身中年男の劇作家、曾根晋吉は美弥子と男女の関係が出来てから3ヵ月、26歳の美弥子の若々しい肉体に夢中になっている真っ最中で、彼女を殺すはずがないのである。 美弥子のほうも、夫の芝村と結婚して4年もなるのに、夫以外の男・晋吉によってはじめて女の歓び、とろけるような性の快楽に目覚めたのだ。けっきょく夫の芝村は美弥子よりもヨットなのである。 美弥子殺害の動機があっておかしくないのは夫の芝村だが、彼には400km離れた海上での2日がかりのヨットレースという完全無欠なアリバイがある。では一体、誰が美弥子を殺したのか? ・・・ざっとこんな調子で、本作の前半3分の1は、美弥子がいったいどこへ消えたのかが気になってハラハラドキドキ、後半3分の2は、美弥子殺しの真犯人はいったい誰なのかでハラハラドキドキと、作者清張の「読ませる方程式」が最大限に機能して読者を夢中にさせずにはおかないのである。 文庫本で114ページの傑作中編ミステリー。 「証言の森」は一転して、芥川龍之介の短篇「藪の中」を彷彿とさせる作品。 27歳の妻・和枝を殺害した(と思われる)夫・青座村次を中心に据え、猫の目のように変わる青座の供述に、それ以外の参考人や捜査関係者の証言をまじえて語られる55ページの作品。 これは、「真相はいったい何か?」「本当の犯人は別人なの?」という興味で一気に読ませてしまう。 「種族同盟」も「真相はいったい何か?」「本当の犯人は別人なの?」という興味で読者を引ってゆく作品。しかも分量も55ページと、「証言の森」と同じなのだが、「種族同盟」の方がストーリー性が高く情欲物語&意外な結末のミステリーとして面白かった。 「山」はその名のとおり”山”が重要なモチーフになった61ページの短篇。 この作品は、前記3作とはちがって青塚一郎という31歳の「ちょいワル男」と、キクという色白で肉感的な女性 (知り合った当時33歳) のキャラで読ませます。 別の土地で50万円ほどの公金を横領して山奥の温泉場に逃げてきたモテ系の青塚は、投宿先の女中キクに猛烈に愛される。 旅館の客に出す料理用の山菜を摘みに、毎日昼下がりに山の中へと歩み入る若い女中たち。だが、キクだけは途中で仲間と別れ、女ひとりでは恐いような密林の奥へと踏み込んでゆく。秘密の場所で青塚と落ちあい愛し合うためだ。 公金横領のホトボリが冷めるまでのほんの一時の逗留であるはずの青塚も、愛の営みにおけるキクの激しく旺盛な欲求に絡めとられて、ついつい長逗留してしまう。 そんなある日、青塚とキクは、れいの密林の奥で、中年の紳士がうら若い娘を殺害し後始末したところを目撃する。 その後、キクを連れて東京へと出た青塚は料理雑誌の記者として頭角をあらわす。東京でも引き続き女中をしている愛妻キクの豊富な業界知識も助けになった。 成功の階段を登る途上で遭遇したのが、大手レストランの社長市坂である。 そしてこの市坂こそは、一年近く前、温泉旅館に逗留中の青塚が山奥でキクといっしょに目撃した、若い女を殺害し隠ぺいした怪しい男その人だった。 青塚はれいの山奥の殺害現場の写真をちらつかせながら市坂から金を絞り取ってゆくのだが・・・。 けっきょくこの「山」という作品の前半は青塚&キクのカップルの強烈なキャラで読ませ、後半は作者得意の謎解きミステリーで読ませるという仕組みになっています。 | ||||
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