(短編集)
黒い画集
- 詐欺師 (131)
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とても綺麗な状態でした。安心して読めます。ありがとうございました。また購入しますので宜しくお願い致します | ||||
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どうにも清張は「悪達者な小説家」。何でもないことをふくらませてゆき、思い がけない結結末を用意している。そんな術に長けた作家なのだが、本書は…。 簡単に一つずつレビューを。 「寒流」はまさに「暖流」から外された人間の物語であろうか。ただ残念ながらい つもの清張の筆。つまり女性の描き方が単調すぎる。定型的な女性ばかり登場し、 興趣が削がれる。どの作品でも女性が自分の意思で何かをなすということがない。 常に「受け身」であり、すぐに感情に流される。そんな女性ばかり。 男性から親密になろうと強く迫られて、そういう交際をしたり、逆に男性がう らぶれていくにつれてその熱が冷めていったり。およそ主体的に動くことがない。 清張の活躍した時代には、それで小説が紡げたのだろうか。 この作品は自分の大切な女性を奪われた男性が、逆に少しずつ追い詰められて いき、反撃するもそれを利用されて逆ねじをくらう。 読んでいるうちに、主人公に共感してしまうのだが、これが清張のマジックか。 最後に放ったはかりごとが成功する瞬間に物語は終わる。どうにもストレスの溜 まる終わり方で、もう少し結末が詳しく語られることがないのが惜しまれる。 主要な登場人物で、最後にキーパーソンのなる興信所の人間がなかなかいい味 があるだけにエンドは残念だ。 唖然としたのが「凶器」。<編集エッセイ>で詳しく触れられているが、これは 推理ものとしては失格だろう。自身がアイデアを剽窃したと認めようが認めまい が、この作品の核となる部分を「他の作家の作品の真似をした」のであれば、作品 として成立するのかどうかさえ疑問となる。 阿刀田が何やら書いているが、この作品は「清張の黒歴史」にしかならない。ご 丁寧にR・ダールという作家の「おとなしい凶器」と同じと、清張自身が認めてい る。 清張は基本的には真面目な人ではあるが、読者を馬鹿にするような作品を残し ていいはずがない。一方は「冷凍の肉」、こちらは「固い餅」。食文化の違いだけで 免罪されるわけではない。そして本作品は、「凶器のアイデア」以外はあまり価値 のある作品ではない。こんなことをしたとは驚き。阿刀田は「ギリギリセーフ」と の判断だが、私は「完全なアウト」。 この作品は封じられて当然。 「濁った湯」は汚職事件での自死者の謎を解くもの。 そういえば1980年代ころでも、関係者や秘書の自死が多かったと思える。どう にも自分が秘密を握っているが、それを自らの死で秘した事件はあった。 「社畜」などという言葉のできる以前のことだが、政治家も企業のトップでも、 それで事件をうやむやにしていたことはあった。 汚職をテーマとしたTVドラマを創作する主人公がモデルとなる事件を調べて いるうちに、事件の秘密に近づいていくという筋立て。だが、主人公の手伝いを する「助手」役の登場人物が、銀行でも官庁でも簡単に私的情報を入手している。 鉄道の定期券を調べる下りもすぐに結果を知ることができたとなっている。 これは手抜きだろう。リアリティがなくなっている。 どうにも興味が続かずに斜め読みした。 入院患者が病院の闇を解決する「草」。院長と婦長(看護師長 当時は「婦長」)が 失踪し、薬室長は自死、なんとも奇妙な設定だが、そのどうにも違和感のある筋 が収斂してゆく。どうにも覇気のないような主人公だが、その故にゴタゴタに巻 き込まれてゆく。隣室の人も付き添い婦も、主人公にも不可解なところがある。 急な大団円になるが、これが感心できない。全てが安っぽいTVドラマのよう になる(TVドラマ全てではありません)。 「牛刀をもって鶏を割く」感が強すぎる。読んでも腑に落ちず、なんと作り事め いていると思うだけだった。 全体を通して。 どの作品も清張にしてはその質が低い。ストーリーにも「オチ」にも無理があり、 (ひどい言い方だが)素人が書いたような推理小説。味もなく、ゴツゴツした粗い 筋の小説群。 清張の作品にはどうにも完成度にばらつきがあると思っている。本書収載の中 短編は出来がよくない。 そして「凶器」はやはり一線を超えている。アイデアが主体となる作品で、アイ デアが物真似ではいけないでしょう。 以上の理由によって、この作品集はお勧めできない。 当然、☆は辛くなる。 | ||||
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清張の中編5編を収載した作品集。 本シリーズの「黒い画集」は、昭和33年(1958年)から昭和35年(1960年)までに 「週刊朝日」に発表された「連作シリーズ」の第1巻。 「編集エッセイ」を読んでもあまりはっきりしないのが、過去「黒い画集」Ⅰ~Ⅲ はどの内容で発表されているかということ。 そして(他社からも上梓されている)収載作品の異同が記載されていない。 Amazonでも本書を購入できるが、そこでも収載作品は不明のまま。 煩雑になるがここに、収載作品を記載する。 「遭難」、「証言」、「坂道の家」、「失踪」、「紐」。 そして「失踪」は「これまで本として出版された<黒い画集>からは削除されてき た作品である」らしい。 ごく簡単に作品ごとにレビューする。 「遭難」は確かに「可能性の犯罪」だろう。清張が山歩きをしていたとはどこにも 記されていないが、この作品全体のリアリティは秀逸。険しい山での苦行にも似 た山行。少しずつ弱っていく犠牲者の様子は、モデルとした事件があったように 詳細に語られる。主人公(犯人)がその「可能性」でもって2件の遭難を演出するの に成功している。一件目では寒さと疲労で精神状態が崩壊してしまった犠牲者が 外に飛び出す。このシーンでは「八甲田山」を思い出した。 保身のために無実の人間を有罪冤罪に陥れることになる「証言」。 清張がよく描くところの、自分の小さな利益のために嘘を重ね、少しずつ罪が 重くなっていく様子。市井に生きる普通の人間がふとしたことで堕落していく様 を描いている。犯人とされた人はまさに「不条理の陥穽」に墜ちるが、主人公は最 後にはそのつけを払わされる。 「嘘には、人間の嘘が復讐」するとは、清張の言。 「坂道の家」。小市民的生活を旨とする人間が、ふとほんの少しだけ道理に反し たことをする。そのことがまた別の道理を踏み外す要因となる。不幸の扉を自分 で開けてしまい、生活全体が破綻する。世間ずれしていない主人公が、一万円を 千円のごとく百円のごとく使い果たす。束の間の快楽に湯水の如く金をつぎ込む。 「囲い者にする」という古風な言い方がよく似合う。 どうにも「悪女」だが、この結末の原因はやはり主人公にある。 主人公の妻、「どこかのパ○○○屋にたたきこんで、おまえさんが注ぎこんだ金 を取り返してやる」。地獄への道か。 「失踪」は前述したように「黒い画集」初の収載か。<編集エッセイ>では、 「実話風の作品で、小説としては少々重く、ややこしい印象」である。 おそらくは実際にあった事件に触発されて、清張はこの作品を仕立てたのであ ろうが、小説としての出来はどうかと問われれば、沈黙してしまう。結末もはっ きりせず、清張の筆が強迫的な調子になっていくのを追うだけだった。 うーん いま一つ。 家族であるが故の、家族であったが故の、「紐」の巻き方。 他殺としては状況が不自然であるが、そえもごく些細なこと。事件の犯人と疑 われる人、この人のアリバイ全体が「できすぎ」。犯人の公道も目撃者も不自然だ が、そのアリバイをどう崩すのか。そこから推理は始まる。 そう、映画館の半券を大事に持っているのは確かにおかしい。 最後は二転三転する。 全体として。 推理ものとしてはかなり上質であり、ご都合主義的なところはあるが、トリッ クも目新しい。小説を作り上げる時に、その謎の作り方や、犯罪計画が破綻する 様子を、かなり緻密に計算して叙述してある。 やはり清張は巧みであり、作品の組み立てが丁寧だ。 どの作品もよくできていて、読み終わるのに二日ほどだった。 | ||||
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装丁が新品同様でした。清張作品で読んでいない短編かあり購入しました。感謝しています。 | ||||
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まず「遭難」。地図を交えて登山の計画から夜行列車など、昭和の情景が脳裏に描かれ胸が高鳴る。 作者自身も登山経験が多いとのことで、詳細に書かれた登山過程、自然の描写が素晴らしい! 「寒流」はドラマでも観たが、原作のほうが圧倒的にいい。 ラストの「坂道の家」。こちらもドラマ化されているが、現在に置き換え、物足りなさを感じる。原作の昭和だからこその事件・殺人過程・アリバイ工作など、素玉の一冊だった。 | ||||
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