(短編集)
張込み
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松本清張は30年来大好きな作家です。 個人的には長編だと「球形の荒野」「草の陰刻」「考える葉」がベスト3です。 いずれも主人公の視点で見ればそれなりのハッピーエンド(草の陰刻は、微妙ですが)で、また登場人物たちのその後が気になる、後味の良い余韻を残した作品という共通点がある気がします。 今回は短編集ということでどれも有名な作品で面白いものばかりでしたが、僕個人の感想では、「投影」が1番良かったです。 東京の大新聞社から「都落ち」した主人公が瀬戸内の田舎で出会った三流新聞社の社長と先輩記者が持つ本当の意味での「マスコミの正義」と「記者の気骨」、それに気付いた主人公の人間的成長、そして、そんな主人公を気丈に支える恋人との信頼関係。。。内容は市政の腐敗とそれに起因した殺人事件というドロドロしたものながら、終始爽やかな味わいと、正義は最後に勝つというカタルシスを味わえる良作でした。 やっぱりこういうテイストの作品が好きなんだなぁと実感。そして、最後に言えること、それは「松本清張作品は面白い」ということ、でした。 | ||||
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普段、松本清張どころか、推理小説を全く読まないのですが、映画『砂の器』やNHKの「未解決事件」を見て、興味がわき『点と線』を読んでみたところとても面白かったので、映画にもなった作品名が付いたこちらの短編集も読んでみました。 が、面白いですねー。ページ数に限りがある短編集だからと思いますが、緻密なところはしっかりと書かれ、一方で皆まで語らないテンポのよさが見事です。 このくらいの短編が、映画にするならちょうどいいのかもしれませんね。 『鬼畜』は、大昔にTVで観て、あまりの胸糞っぷりにトラウマになっている作品で、読み始めるのに時間がかかった以外は、週末の旅行中、通勤、昼食中にどんどん読み進み、あっという間に楽しく読破できました。 どれも、犯罪が起きた、あるいは起き、犯罪が明るみになるという展開ですが、その流れとディテールがどの作品も異なり、読み飽きません。ついでに『鬼畜』の映画解説を見てみたのですが、「清張さんが知り合いの検事に聞いたほぼ実話」という記述があり、ますます胸糞が悪くなりましたが、被害を受ける子どもよりも虐待する側に近い年齢になってみると、単に「胸糞」とは言い切れない、主人公の弱さや人生の難しさなんかも感じされられました。 一番、好きなのは、唯一爽やかな終わり方をする「投影」でした。 それにしても、私は旅に出ると、なぜか「ゴルゴ13」を読みたくなってしまうのですが、代わって、松本清張が読みたくなるようになりました。 | ||||
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何故か、どれほど月日が経っても定期的に読みたくなる小説家。 時代背景や話の展開に、時代の違いからか違和感を感じることもあるが、何故か惹き込まれる。 短編というのも読み易くて良い。 | ||||
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人間の感情の裏表、損得など心理に迫った作品で面白い。 | ||||
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全8編の推理小説的な短編からなる短編集です。それぞれにそこそこ面白い作品で、駄作と感じる作品はなかったです。 張込み・・・本の表題にもなっている作品で、粘り強い張込みの結果、逃走中の犯人が、すでに結婚している元カノの女を温泉に連れ出したところを逮捕する話。主人公の刑事が女の現在の夫婦生活を壊さないように情けをかけて配慮するところが斬新。 顔・・・映画への出演を果たして成功目前の俳優の男が、過去に付き合っていた女を殺しに行く道中である男に顔を見られており、映画出演をきっかけに過去の犯罪が露呈することを恐れて、なんとかその男を亡き者にしようと画策する話。結末が面白かった。 声・・・ある新聞社の電話交換手だった女性が過去にある殺人事件の犯人の声を偶然聞いてその声を覚えており、ひょんなことから数年後にその犯人が自分の夫の同僚であると気づいてしまう。そしてそのことに気付かれたと自覚した犯人側に逆に呼び出されて殺されてしまうという話。ただ最初の殺人事件の解決に当たって、女性の声の記憶が役に立っておらず、2度目の殺人で逮捕された犯人の自供で解決している点がちょっと物足りない。 地方紙を買う女・・・男女2人を登山に誘い出し、心中事件に見せかけて2人を毒殺した女が、事件のその後を知るために地方紙を定期購読する話。殺人事件の手口や、地方紙をわざわざ購読している点は面白いが、女の手口がばれるまでの展開がイマイチだった。 鬼畜・・・映画化、ドラマ化もされて有名な作品なので紹介は省略します。人のエゴイズムが極まるとこうなるという作品ですね。でも最近は「鬼畜」を地でいくような子供を虐待したり殺してしまう事件も起きているので、驚きも最小限か。 一年半待て・・・作品のタイトルの意味が終盤になってわかる作品。ただすべてを知っていて特別弁護人の高森たき子を訪ねて、須村さと子の犯行をばらしに来る岡島という男の話し方・態度がしつこくて、嫌悪感を感じてしまった。 投影・・・読み終わってもタイトルにはあまりピンときませんでしたが、それは置いておくとして、元都会の大手新聞社の記者をしていた男が、女に入れ込みすぎたなど自分が悪いのだが退職し、瀬戸内にある社長・社員3人という小さな新聞社で、地方の市役所や議員の不正を暴く話です。と書くと地味で退屈な話のようですが、正義・信念などシンプルなテーマに共感でき、私はこの短編集で一番好きかもしれません。ただ南課長殺害のからくりは、ちょっと無理があると思いました。 カルネアデスの舟板・・・タイトルの意味は、刑法でいうところの「緊急避難」(自分の生命が危機に瀕しているときには、他人を押しのけて助かったことで罪に問われない、的な考え方)に関係したギリシャのお話のようです。 師弟関係にある二人の歴史学者の戦争を挟んだ時期の時代変化に伴う浮き沈み、マルクス主義のような左翼的な思想が終戦後一時持てはやされ、その後揺り戻しが来る点などは、歴史上実際あった話だと思うと面白かったです。 ただ起きた殺人事件がタイトルにあるような緊急避難とは到底なりそうもなく、犯人の玖村もそれは自覚していたはず(犯罪への自己弁護?)なので、タイトルとの絡みという点でいうとちょっと期待外れでした。 | ||||
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