ミステリーの系譜
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ミステリーの系譜の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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現実に起きた事件を清張さんの緻密な筆致で書かれた生々しいルポルタージュ。それだけにホラー小説を読んでいるような恐怖感さえ覚える3編からなっている。 | ||||
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以前、菅賀江留郎先生の『冤罪と人類』をレビューしました。ずいぶんと遠大なタイトルですが、取り扱っている冤罪は邦国のみであり、すべてアダム・スミスの『道徳感情論』でそのプロセスが説明できるという内容で、正直違和感を拭えぬかった。ひとつの見方としてはおもしろいとは思うものの、アダム・スミスの『道徳感情論』への愛を叫ぶために冤罪事件を扱っているように見えなくもなくて。もちろんそんなことはないのでしょうが。そのなかに本著に触れられている部分がありました。 本著は実際にあった事件を小説としてではなく、事実をそのまま考察をからめ淡々描出したものです。連載では数多扱っていたようですが、書籍化にあたり、三篇に絞ったらしく、本著に収められているのはそれだけです。一篇には、津山三十人殺しがあり。つまらないだろう、と短絡的な方は思うでしょうが、逆に非常におもしろい。虚仮威しの文句もないのが、逆にそら恐ろしくもなりますし。もともとそっけない筆致の方ですが、よりそっけなく、淡々と事実を並べてゆくため、その事件の凄惨さがつたわってきますし、さりとて囚われずに見てゆく目も同時に得られます。そして非常に読みやすい。彼の社会派推理小説より、ずっとおもしろい、かもしれません。 | ||||
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昔読んで、もう一度読みたくて購入。 今も恐ろしい事件が数多く起きていますが、こんな昔にも恐ろしいことは起こっていて、現代とは違う恐ろしさもあり、ゾッとしました。 やはり清張は素晴らしい! | ||||
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『闇に駆ける猟銃』『肉鍋を食う女』『二人の真犯人』の三編が収録されています。 実は私『闇に駆ける猟銃』つまり「津山・都井睦夫事件顛末」目当てで購入したのですが、『肉鍋を食う女』の迫力に満ちた描写が凄まじく、こちらの方が強く印象に残りました。 『二人の真犯人』は死刑制度、そして警察の証拠捏造に迫る一篇。こちらも読ませてくれます。 大正、昭和の事件簿解読を趣味にされている方には特にお薦め出来る短編集だと思います。 | ||||
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「読書クラブ 本好きですか?」のずっと年下の読書仲間・遠藤真央さんから薦められた『ミステリーの系譜』(松本清張著、中公文庫)を手にした。本書は、『闇に駆ける猟銃』、『肉鍋を食う女』、『二人の真犯人』の3篇で構成されている。 『闇に駆ける猟銃』は、昭和13(1938)年に岡山県津山地方で起こった大量殺人事件を、検事の報告書、警察の調査、関係者の証言、犯人・都井睦雄(22歳)の遺書を基に抑えた筆致で、睦雄が30人の村人を次々に殺していく場面を生々しく描いている。 「津山事件は――人々はそう名づけている――ある意味で日本の山村のもつ宿命の中に起った事件ともいえる。山あいに押しこめられて孤絶した環境、一切の娯楽から切りはなされた条件、生活に強いられている単調な労働。毎日見るのはいつも同じ顔だ。自分のことはもとより、祖父母や曽祖父母、その遠い係累の履歴まで全部村人が知っている。ちょっとした夫婦喧嘩も三十分後には全村に知れわたっている。隣の家との間は遠いが、噂の波及はおそろしく速い。外界と遮断されているこの小社会は、それ自体、同じ家の中に暮しているようなものだ。狭隘な、息の詰りそうな場所である。その上に、因習と頑固な偏見とが根を張っている。因習のなかには、古い農村に独特な『性の風習』もある」。『性の風習』とは、この村では夜這いが容認されていたことを指している。 「都井睦雄の犯行の動機は、同部落の女数人に対する憎悪が主体となっている。他の人々は、その捲き添えか、または偶然その場に泊り合せた不幸な無関係者である。睦雄の憎悪の対象になったのは、彼が関係するか、または恋情をもった女ばかりである。その中で最も彼が怨んだのは西田ミネと時本スミの両女である。事件発生時、ミネは四十三歳、スミは三十五歳であった」。 事件後、「各戸を回ってみて、そのむごたらしさに巡査は呆然となった。どの家も人間の死体が三つも四つも血の海の中に転がっている。巡査は動顛した」。 このルポルタージュ的作品を松本清張はどういう気持ちで書き続けたのだろうか。人間は、状況によっては、こうした異常な事態を引き起こすことがある、ということを訴えたかったのだろうか。 | ||||
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もともと津山事件に興味を持ち、「丑三つの村」と並行して読みました。 大御所松本清張の実力が発揮された、社会の闇を鋭く切り裂く視点を十分に堪能できました。やはり綿密な取材を通して表されるリアリズムは虚構や主観が介入されているとはいえ、登場人物の息遣いが感じられるほどで、五感のすべてが刺激されました。「闇に駆ける猟銃」という題名にもさまざまな想像をかきたてられました。「闇」「猟銃」=「狂気」というふうに自分は主人公の「心の闇」とのイメージを重ね合わせてみました。 | ||||
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