霧の旗



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    初公開日(参考)1961年01月
    分類

    長編小説

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    霧の旗 (新潮文庫)

    1972年02月01日 霧の旗 (新潮文庫)

    殺人容疑で捕えられ、死刑の判決を受けた兄の無罪を信じて、柳田桐子は九州から上京した。彼女は高名な弁護士大塚欽三に調査を懇願するが、すげなく断わられる。兄は汚名を着たまま獄死し、桐子の大塚弁護士に対する執拗な復讐が始まる…。それぞれに影の部分を持ち、孤絶化した状況に生きる現代人にとって、法と裁判制度は何か?を問い、その限界を鋭く指摘した野心作である。 (「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    霧の旗の総合評価:8.52/10点レビュー 52件。Bランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    滝沢修と倍賞千恵子は適役

    映画化されていることは知らなかったが、滝沢修と倍賞千恵子ならぴったりの配役といえる。
    1960年ごろの世相を背景に、強盗殺人で起訴された兄の無実を信じて弁護を頼みに来た柳田桐子が、その依頼を断った大塚弁護士への復讐を果たす物語。大塚弁護士が依頼を断ったのは、当時多忙を極めていたことに加えて、桐子が高額な弁護料を払えないだろうということと、愛人との逢瀬に心が急いていたためだった。そのため後々、大塚弁護士は弁護を断ったことに良心の呵責を感じることとなる。
    一方の桐子は、兄が一審で死刑を宣告され、控訴中に獄死したのは、大塚が弁護を断ったためだとして復讐に執念を燃やすことになる。
    現在の常識からすれば(おそらく当時の常識でも)、大塚が弁護を断ったことと死刑判決を直接結びつけて大塚に復讐するのは筋違いである。しかし、桐子のサイコパスな性格は暴走する一方だし、そこに大塚の良心の呵責が絡むことで事態は壮絶な心理劇となってゆく。
    物語の主眼は、法の限界や警察や裁判のありかたと個人の心情の衝突にあるのだろうが、個人的には、弁護士の正義感を妄信している桐子の素朴さと、弁護を引き受けなかったことを悩む大塚弁護士の倫理観に興味をひかれた。1960年前後には、まだまだ倫理や正義に対する確固たる信頼があったのだなと感じた。

    iisan
    927253Y1
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.51:
    (5pt)

    怖い

    現代、ここまで執念を持つ人間が居るだろうか?居るとしたら怖いし、まったくいないとなるとそれも恐ろしい
    霧の旗 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:霧の旗 (新潮文庫)より
    4101109206
    No.50:
    (5pt)

    社会の弱者と乖離する法曹界

    社会からも法律からも拒絶されたとき、弱者はどう生きるのか。仮構としての法治主義に敢然と挑む少女の相手は法治の一方の象徴でもある高名弁護士だった。復讐譚として片づけられない彼女の苦悩。
    霧の旗 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:霧の旗 (新潮文庫)より
    4101109206
    No.49:
    (5pt)

    巻末の解説を読んで

    文庫本で、344ページありますが、文章が簡潔で読みやすく、物語の世界に入りやすいです。
    1959年に「婦人公論」で連載されたらしく、女性の読者に向けて書かれたのかと考えると、とても興味深いです。
    主人公、桐子の、ちょっと理不尽な物の見方を、当時の女性たちはどう捉えたのだろう。
    この桐子というキャラクターは、むしろ21世紀における現代社会のほうが現実的ではないだろうかと思いました。
    闘う相手は、社会的に何不自由のない地位に立つ、有名弁護士。
    正義感、道徳、社会的な信頼、全てに於いて申し分ない、模範的な人間です。
    そんな人間だからこそ、心の内にある、良心、正義感、誇り→(これが恥へと変化)という弱点をつかれ、その隙間から倫理観を追求され、自ら身を滅ぼしてしまう結末です。
    大塚弁護士には、桐子の問題について、何の落ち度もない。
    大塚が桐子を助ける理由はどこにもないのです。
    でも、社会的地位の低い、弱者という立場の人間、特に女性からすれば、そんな人間が許せない。
    第二の殺人を機に、今度は大塚が、何よりも大切なもの(それは愛人の径子)のために、桐子と同じ立ち位置につく。
    決して、桐子は許さない。
    それはとうに、兄は死んでいるから。
    大塚弁護士が自ら崩壊していく様は、女性読者からすれば、これは少々残酷かもしれませんが、気持ちがいいのかもしれません。

    第一、第二の殺人事件は共に、犯人が特定されないまま、暗示だけで終わってしまうのも、桐子の心境に注目して欲しいという作者の主張が伝わってきます。

    1965年に、山田洋次監督、橋本忍脚本で制作された映画は、最後に、桐子の手紙を読む検事を前にする大塚弁護士に少し脚色がつけられています。
    原作では、桐子の偽りの手紙の内容を聞いた大塚が、桐子が身をもって復讐に挑んだ、彼女が自身の純潔を捨ててまで復讐を果たしたことに対して、潔い罪悪感をもって、罪を認めるのです。
    一方、映画では、強姦されたという桐子の手紙に動揺した大塚が、身の潔白を訴えようとします。
    そして、映画の台詞には、「純潔」という言葉を「処女膜」という露骨な言葉で表現しているのです。
    ここは、如何にも男性が書く脚本、映像で表現するのに面白いアレンジだなと思いました。
    映画について気づいた点は、映画版のレビューも書かせていただいたので、目を通していただけたら幸いです。

    文庫本の解説(文・尾崎秀樹)はとても面白かったです。
    「一見偶然ともみられる出会いのなかに、現代社会における必然性なありかたをもりこもうとする意図。
    それは作者の現代の悪との対決でもある」
    もう一つ松本清張が、「黒い手帖」に書いた一節というのが面白いです。
    「今まで推理小説と申しますと、大抵、ピストルが鳴ったり、麻薬の取引……
    (中略)
    それよりも、生活に密着した、われわれ自身がいつ巻き込まれるかわからないような現実的(リアル)な恐ろしさを描いたほうが、どんなにそれが淡々と静かな文章で書かれていても、ずっと大きな戦慄を感じさせることになるのではないかと思います。
    この考え方を発展させてゆきますと、将来の推理小説というものは、個人的な動機のみならず、社会的な組織の矛盾を衝くことによって、もっともっと押し広げられ、もっともっと大人の鑑賞に耐え得る文学にまで高められうると私は考えております」

    解説の中では、他にも「裁判制度の矛盾」「社会一般の事なかれ主義」「なれあい主義」にたいする容赦ない批判という言葉が目に止まりましたが、21世紀の現代社会でも、SNSでは「正義」の名において、無敵の「矛」と「盾」を振り回すユーザーたちが、いずれ自分に戻ってくるであろう、巨大なブーメランを、この作品は既に予言しているのではないかと、自分勝手に解釈してしまいました。
    霧の旗 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:霧の旗 (新潮文庫)より
    4101109206
    No.48:
    (2pt)

    やっぱり、のモヤモヤ感・・・

    ● 清張の作品は若い頃(10代)から読んだのだが、
      この「霧の旗」も(確か一度読んだかなぁ・・)
      そんな頼りない記憶だったので、再読することに・・
    ● 読んでいる途中からふと思い出した。
      (そうだ、モヤモヤしたんだ)・・と。
    ● 推理小説、としてのモヤモヤ感を抱いた点は、
      (1)元野球選手だった犯人(とされる男)だが、
         描かれているのは、
         九州のk市出身だという事と
         左利き・・という事。この2点くらいである。
      (2)k市、というのだから人口の少ない過疎の村落では無いだろう。
         同じ市の出身者というだけ、
         そして同じ左利きというだけで、容疑が深まるのには短絡過ぎるのでは。
      (3)「老婆殺し」において、
         残された借用者名簿の中にその名前が記されている、とかの
         記述も文中に無いのだから・・
    ● どうにも説得力に欠ける、というか無理がある。あり過ぎる。
       やはり、モヤモヤしてしまった。またしても・・・
    霧の旗 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:霧の旗 (新潮文庫)より
    4101109206
    No.47:
    (4pt)

    復讐される覚えのない理不尽さ

    登場する弁護士は,悪徳弁護士ではない、しかし依頼を断わられた彼女からすれば、怨みがすべて弁護士にいくのは、世間知らずからくるものとは考える事が出来ないのがつらい
    霧の旗 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:霧の旗 (新潮文庫)より
    4101109206



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