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(短編集)
黒い画集
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【この小説が収録されている参考書籍】
黒い画集の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全79件 1~20 1/4ページ
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とても綺麗な状態でした。安心して読めます。ありがとうございました。また購入しますので宜しくお願い致します | ||||
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どうにも清張は「悪達者な小説家」。何でもないことをふくらませてゆき、思い がけない結結末を用意している。そんな術に長けた作家なのだが、本書は…。 簡単に一つずつレビューを。 「寒流」はまさに「暖流」から外された人間の物語であろうか。ただ残念ながらい つもの清張の筆。つまり女性の描き方が単調すぎる。定型的な女性ばかり登場し、 興趣が削がれる。どの作品でも女性が自分の意思で何かをなすということがない。 常に「受け身」であり、すぐに感情に流される。そんな女性ばかり。 男性から親密になろうと強く迫られて、そういう交際をしたり、逆に男性がう らぶれていくにつれてその熱が冷めていったり。およそ主体的に動くことがない。 清張の活躍した時代には、それで小説が紡げたのだろうか。 この作品は自分の大切な女性を奪われた男性が、逆に少しずつ追い詰められて いき、反撃するもそれを利用されて逆ねじをくらう。 読んでいるうちに、主人公に共感してしまうのだが、これが清張のマジックか。 最後に放ったはかりごとが成功する瞬間に物語は終わる。どうにもストレスの溜 まる終わり方で、もう少し結末が詳しく語られることがないのが惜しまれる。 主要な登場人物で、最後にキーパーソンのなる興信所の人間がなかなかいい味 があるだけにエンドは残念だ。 唖然としたのが「凶器」。<編集エッセイ>で詳しく触れられているが、これは 推理ものとしては失格だろう。自身がアイデアを剽窃したと認めようが認めまい が、この作品の核となる部分を「他の作家の作品の真似をした」のであれば、作品 として成立するのかどうかさえ疑問となる。 阿刀田が何やら書いているが、この作品は「清張の黒歴史」にしかならない。ご 丁寧にR・ダールという作家の「おとなしい凶器」と同じと、清張自身が認めてい る。 清張は基本的には真面目な人ではあるが、読者を馬鹿にするような作品を残し ていいはずがない。一方は「冷凍の肉」、こちらは「固い餅」。食文化の違いだけで 免罪されるわけではない。そして本作品は、「凶器のアイデア」以外はあまり価値 のある作品ではない。こんなことをしたとは驚き。阿刀田は「ギリギリセーフ」と の判断だが、私は「完全なアウト」。 この作品は封じられて当然。 「濁った湯」は汚職事件での自死者の謎を解くもの。 そういえば1980年代ころでも、関係者や秘書の自死が多かったと思える。どう にも自分が秘密を握っているが、それを自らの死で秘した事件はあった。 「社畜」などという言葉のできる以前のことだが、政治家も企業のトップでも、 それで事件をうやむやにしていたことはあった。 汚職をテーマとしたTVドラマを創作する主人公がモデルとなる事件を調べて いるうちに、事件の秘密に近づいていくという筋立て。だが、主人公の手伝いを する「助手」役の登場人物が、銀行でも官庁でも簡単に私的情報を入手している。 鉄道の定期券を調べる下りもすぐに結果を知ることができたとなっている。 これは手抜きだろう。リアリティがなくなっている。 どうにも興味が続かずに斜め読みした。 入院患者が病院の闇を解決する「草」。院長と婦長(看護師長 当時は「婦長」)が 失踪し、薬室長は自死、なんとも奇妙な設定だが、そのどうにも違和感のある筋 が収斂してゆく。どうにも覇気のないような主人公だが、その故にゴタゴタに巻 き込まれてゆく。隣室の人も付き添い婦も、主人公にも不可解なところがある。 急な大団円になるが、これが感心できない。全てが安っぽいTVドラマのよう になる(TVドラマ全てではありません)。 「牛刀をもって鶏を割く」感が強すぎる。読んでも腑に落ちず、なんと作り事め いていると思うだけだった。 全体を通して。 どの作品も清張にしてはその質が低い。ストーリーにも「オチ」にも無理があり、 (ひどい言い方だが)素人が書いたような推理小説。味もなく、ゴツゴツした粗い 筋の小説群。 清張の作品にはどうにも完成度にばらつきがあると思っている。本書収載の中 短編は出来がよくない。 そして「凶器」はやはり一線を超えている。アイデアが主体となる作品で、アイ デアが物真似ではいけないでしょう。 以上の理由によって、この作品集はお勧めできない。 当然、☆は辛くなる。 | ||||
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清張の中編5編を収載した作品集。 本シリーズの「黒い画集」は、昭和33年(1958年)から昭和35年(1960年)までに 「週刊朝日」に発表された「連作シリーズ」の第1巻。 「編集エッセイ」を読んでもあまりはっきりしないのが、過去「黒い画集」Ⅰ~Ⅲ はどの内容で発表されているかということ。 そして(他社からも上梓されている)収載作品の異同が記載されていない。 Amazonでも本書を購入できるが、そこでも収載作品は不明のまま。 煩雑になるがここに、収載作品を記載する。 「遭難」、「証言」、「坂道の家」、「失踪」、「紐」。 そして「失踪」は「これまで本として出版された<黒い画集>からは削除されてき た作品である」らしい。 ごく簡単に作品ごとにレビューする。 「遭難」は確かに「可能性の犯罪」だろう。清張が山歩きをしていたとはどこにも 記されていないが、この作品全体のリアリティは秀逸。険しい山での苦行にも似 た山行。少しずつ弱っていく犠牲者の様子は、モデルとした事件があったように 詳細に語られる。主人公(犯人)がその「可能性」でもって2件の遭難を演出するの に成功している。一件目では寒さと疲労で精神状態が崩壊してしまった犠牲者が 外に飛び出す。このシーンでは「八甲田山」を思い出した。 保身のために無実の人間を有罪冤罪に陥れることになる「証言」。 清張がよく描くところの、自分の小さな利益のために嘘を重ね、少しずつ罪が 重くなっていく様子。市井に生きる普通の人間がふとしたことで堕落していく様 を描いている。犯人とされた人はまさに「不条理の陥穽」に墜ちるが、主人公は最 後にはそのつけを払わされる。 「嘘には、人間の嘘が復讐」するとは、清張の言。 「坂道の家」。小市民的生活を旨とする人間が、ふとほんの少しだけ道理に反し たことをする。そのことがまた別の道理を踏み外す要因となる。不幸の扉を自分 で開けてしまい、生活全体が破綻する。世間ずれしていない主人公が、一万円を 千円のごとく百円のごとく使い果たす。束の間の快楽に湯水の如く金をつぎ込む。 「囲い者にする」という古風な言い方がよく似合う。 どうにも「悪女」だが、この結末の原因はやはり主人公にある。 主人公の妻、「どこかのパ○○○屋にたたきこんで、おまえさんが注ぎこんだ金 を取り返してやる」。地獄への道か。 「失踪」は前述したように「黒い画集」初の収載か。<編集エッセイ>では、 「実話風の作品で、小説としては少々重く、ややこしい印象」である。 おそらくは実際にあった事件に触発されて、清張はこの作品を仕立てたのであ ろうが、小説としての出来はどうかと問われれば、沈黙してしまう。結末もはっ きりせず、清張の筆が強迫的な調子になっていくのを追うだけだった。 うーん いま一つ。 家族であるが故の、家族であったが故の、「紐」の巻き方。 他殺としては状況が不自然であるが、そえもごく些細なこと。事件の犯人と疑 われる人、この人のアリバイ全体が「できすぎ」。犯人の公道も目撃者も不自然だ が、そのアリバイをどう崩すのか。そこから推理は始まる。 そう、映画館の半券を大事に持っているのは確かにおかしい。 最後は二転三転する。 全体として。 推理ものとしてはかなり上質であり、ご都合主義的なところはあるが、トリッ クも目新しい。小説を作り上げる時に、その謎の作り方や、犯罪計画が破綻する 様子を、かなり緻密に計算して叙述してある。 やはり清張は巧みであり、作品の組み立てが丁寧だ。 どの作品もよくできていて、読み終わるのに二日ほどだった。 | ||||
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装丁が新品同様でした。清張作品で読んでいない短編かあり購入しました。感謝しています。 | ||||
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まず「遭難」。地図を交えて登山の計画から夜行列車など、昭和の情景が脳裏に描かれ胸が高鳴る。 作者自身も登山経験が多いとのことで、詳細に書かれた登山過程、自然の描写が素晴らしい! 「寒流」はドラマでも観たが、原作のほうが圧倒的にいい。 ラストの「坂道の家」。こちらもドラマ化されているが、現在に置き換え、物足りなさを感じる。原作の昭和だからこその事件・殺人過程・アリバイ工作など、素玉の一冊だった。 | ||||
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一気に読めてしまいます。さすが清張は時代を超えて面白い。人間の業や性が描かれているからいつ読んでも引き込まれるのだと思います。 | ||||
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とても良い状態で、お値打ちに購入できて有り難いです。楽しんで読んでいます。 | ||||
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『事故』と『熱い空気』という2つの作品が収録されている。後者はご存じ、市原悦子主演の人気テレビドラマシリーズ『家政婦は見た!』の第1回原作である。僕はこれが読みたくて本書を購入した。 どちらも面白く読んだが、前々から薄々思っていたけど、松本清張ってけっこうスジの運びは強引だ。『事故』は冒頭で起きたトラック事故が思わぬ殺人事件へと発展していく過程になんともいえないサスペンスがあるが、犯人の告白によって真相がわかると、「ミステリとしてはいかがなものか」と、どうにも展開に無理を感じさせるし、そもそもご都合主義が過ぎて理屈が通っていない憾みがある。 『熱い空気』もグイグイと読ませるが、これもまた「そんなにうまくいくかなあ」というようなところがある。とにかく、本作の功績は『家政婦は見た!』の原型であることに尽きると思う。シリーズ化については原作者の松本清張が、人物設定をそのまま引き継いだ続編の制作を拒否したそうだが、市原悦子の名演(怪演?)もあって国民的な人気ドラマシリーズに育ったことは言うまでもない。 | ||||
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他人の不幸は蜜の味=天丼の味 主人公が食べる天丼の味が伝わってきます。その他の清張作品に度々登場する中華風焼きそばよりも1番美味しそうです。 | ||||
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やはり、TVよりも原作だね^_^痛快なタッチで楽しめた! 流石でした。松本清張さんの作品を読め出したらキリが無い! | ||||
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残念ながら表紙が汚れており、かなり傷がついていました。読むには問題なかったのですが、期待していただけにちょっとがっかりしました。 | ||||
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松本清張さんの作品は、昔、読んでいたのですが、処分してしまっていて、最近、BS放送でドラマを見たので、改めて買って読み直しました。さすがストーリーに引き込まれます。この作品には名作「天城越え」も、あるので買いました。他の短編も、面白いです。 | ||||
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満足です。 | ||||
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「別冊黒い画集」では、テレビドラマ『家政婦は見た!』の原作である中編「熱い空気」を含む1巻目の方が有名。しかし、内容的には、こちらのほうが面白いと感じた。 「形」は、作者が筆を惜しんで犯人側の真の意図について説明せず、結末で暗示しているだけなので、面白さが伝わっていない人もいるのではなかろうか。 ネタバレになるからタイトルは書かないが、これは『刑事コロンボ』シリーズの1編と同じ発想の話で、かつ発表時期は『刑事コロンボ』よりずっと早い。 結末まで読んで、そういうことかと関心した。 「陸行水行」は、邪馬台国九州説に題材をとった事件小説である。 松本清張は五木寛之との対談の中で、『魏志倭人伝』の記述は事実をそのまま記したのではなく創作を交えてるのだから距離や方角のことを論争しても無駄だという趣旨の発言をしている。 ここでも、九州説が正しいのかどうかは問題にせず、その正しさを立証しようとしてムキになっていく登場人物たちを、突き放して描いている。運命の皮肉を描いた佳編と言うべきか。 残る2篇「寝敷き」「断線」も運命の皮肉を描いている点では同じだが、同工異曲を避けるべく、「寝敷き」では結末でひねり技も見せる。 | ||||
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1958~60年"黒い画集"として週刊誌に連載し3冊の単行本とした短編9編から、 作者自ら6編を選びさらに1編("天城越え")を追加、文庫1冊としたもの。 7編中4編までが「浮気」がテーマ。 後ろ暗いが、一気に読める。 | ||||
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同郷ながら ゼロの焦点しか読んだことがなかったので 黒い画集、面白かったです。 | ||||
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寒流以外は平凡 | ||||
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らしい「事故」と、らしくない「熱い空気」の二編。 「事故」は途中までミステリーの要素が強く、ネタバレしてからは追い詰められていく心理を描写。いずれも清張らしい作品。 「熱い空気」はテレビドラマ化しているので、らしくないとは云えないかもしれないが、エンディングこそ派手であれ、全体的にはジェラシーに満ちた家政婦もの。 | ||||
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推理小説というよりも、悪意とか人の心のどす黒い部分、二人以上の人間のそういうブラックな心と心の絡み合い、駆け引きというものを描いた作品群です。 7編からなる短編集ですが、そのうち4編は110ページから160ページほどからなる中編小説です。 人の悪意を描く作品集なので、人によって好みがわかれると思います。 私はというと、どちらかというと純粋に謎解きや犯人捜しをする推理小説の方が好みでした。けっこう長い作品も多いので、延々と人の悪意に付き合うのはけっこうしんどかったです。 そんな中でわりと面白かった作品は、「遭難」と「紐」でしょうか。 「遭難」は同じ会社の同僚3人で登山中に、そのうちの一人岩瀬秀雄が遭難、岩瀬の従弟である植田二郎が遭難に疑問を持って、登山のリーダー格であった江田昌利に対して遭難の経緯をはっきりさせるために慰霊と称して遭難場所への登山を挑むものの、逆に返り討ちに合う話です。 植田はかなりの登山の上級者なのですが、そのことを江田に対して徐々に臭わせることで心理的に優位に立ち、江田をじわじわと追い詰めようとするさまがなんとも不気味に感じました。なので岩瀬の件で江田が犯罪を犯したにしても、最後に江田の悪が勝って自信過剰な植田に一矢報いたことが、逆に心地よく感じてしまいました。 「紐」は事業に失敗し金を工面するために違法なことにも手を出したもののそれにも失敗、どうにも追い詰められた男梅田安太郎が、借金を返すために保険金詐欺を実行する話です。一方で妻の静子には不倫相手があり、それを知っている安太郎は自殺だと保険金が下りないという理由で(本当は下りるのだが)妻に自分を殺させるいわゆる嘱託殺人をやらせるのですが、妻に別の男がいることで、妻は単なる殺人事件の犯人となってしまうことを夫が狙っていたというオチがつくところが、黒い画集にふさわしい話です。 | ||||
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松本清張の文庫本で、もう売っていないものが多くあります。これもその一冊でした。ほかのタイトルも期待しております。 | ||||
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