暗黒流砂



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    初公開日(参考)1976年04月
    分類

    長編小説

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    暗黒流砂 (徳間文庫)

    2007年02月28日 暗黒流砂 (徳間文庫)

    「国土庁長官が国有地に豪邸を建て、愛人を住まわせている」一通の密告から巨大な政界汚職が顕れ始めた時、警視庁捜査二課の中津は敵の罠に堕ちた。長官の愛人に強姦罪で訴えられ懲戒免職となった中津が、孤立無援の闘いの果てに見たものとは―。 (「BOOK」データベースより)




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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.5:
    (5pt)

    大企業で家畜同様に扱われる若者が“鉄筋”の支配者に復讐する物語です!

    1973年3月に出版されました。森村誠一氏は、「分水嶺」「東京空港殺人事件」の様に、序章で伏線を張り、見事に結末で終結させる作品を書いてきました。それらの作品を読むと、原稿用紙に一枚目を書き出した時には、結末へ向けての大きなながれが頭の中で構築されているかの如く思えました。

    本作に於いて森村氏は、途中で物語の流れを変換させたと思える節が有ります。珍しい作品です。それが、とても奇妙に興味的に思えます。

    「鉄筋の畜舎」と言うタイトルは、森村氏が十年にわたり勤め上げたホテルマンの経験から、ホテルに集う豊かな人々とは対照的に家畜の様な扱いを受ける従業員たちのことを揶揄した言葉です。

    幸せそうに生活にゆとりのある男女たちが贅を尽くす姿と比較して、森村氏は「客が山海の珍味を食傷している傍らで、従業員は従食と呼ぶ従業員食堂で同じ餌を啄んでいる白色レグホンの様だ」と述懐しています。

    1969年に「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞した後森村氏は、そのタイトルにあやかってか「“熟語”の“熟語”」という五字のタイトルを多用しています。「虚構の空路」「腐食の構造」「真昼の誘拐」また次作の「恐怖の骨格」と、このパターンが続いています。どれもタイトルが物語の内容を暗示しています。

    しかし本作では、必ずしも先に述べたような家畜の様な扱いを受けたホテルマン時代の鬱屈した心を書いたものでは無いことに興味を感じます。

    東京、新宿にある老舗百貨店「赤看板」の社長保科の、お抱え運転手だった竹場が、保科の出来の悪い息子たちが起こした轢き逃げ殺人の肩代わりにされて獄中で死んでしまう。死人に口無しで、そのまま、闇に葬り去ろうと企んだ保科一族の悪事に気付いた竹場の息子栄一が一族に復讐を誓います。

    その復讐の対象は、社長保科の出来の悪い息子たちを、一人ずつ順に、この上もない恐怖を与え事故死に見せかけ殺害してしまうという手法です。息子たちがその殺意を感じて狼狽える姿には溜飲が下がります。しかし、これは荒っぽい。「むごく静かに殺せ」と共通するところが有ります。

    このまま順を追って復讐劇が続くのかと思うと森村氏はここで方向転換をしています。次の復讐のターゲットにしたのは、なんと「赤看板」そのものを乗っ取り、保科一族を“家畜”として貶めようとするものなのです。

    そのために「赤看板」株の、買い占め工作の詳細は圧巻です。安定株主の取り崩し工作などは、秀逸な経済犯罪小説のようでした。

    たとえどんなに地位や名誉もある立派な人間も、甘い陥穽に見事に落ち込み、たちまち持っていた全ての権威を失っていく姿には哀れみを感じるとともに、栄一を応援しながら読んでいました。

    ここ個人への復讐方法から一転して会社乗っ取りに方向転換したのは、もしかしたら、森村氏はこの株式乗っ取り工作の修羅場を書きたくなってしまったのではないかと思われてしまいます。鉄筋を支配する権力者たちに鬱憤を晴らし、彼らの虚構に満ちた儚さを書くために方向を転換したのではないかと思ってしまいます。秀作です!
    森村誠一長編推理選集〈第10巻〉暗黒流砂,黒魔術の女 (1977年)Amazon書評・レビュー:森村誠一長編推理選集〈第10巻〉暗黒流砂,黒魔術の女 (1977年)より
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    No.4:
    (4pt)

    職を失った刑事が挑む巨悪との闘い

    本書は昭和48年に『週刊ポスト』に連載され、同年末に刊行された著者の初期作品で
    ある。近年は政治改革の成果か、政界を揺るがす疑獄事件は起きなくなっているが、
    昭和期は腐敗が酷かった。著者は「悪徳政治家をせめて小説の中で弾劾しようとして
    この作品を書いた」と述べる。次期総理の有力候補・玉置森堂が政治的野望を実現
    するために計画した国有地売却計画。ある投書から、その背後にある不正の捜査を
    はじめる刑事・中津和男。上からの圧力に屈せず地道な捜査を続けるが、虎の尾を
    踏んだ彼は罠にはまり、辞職を余儀なくされる。そんな彼に一本の電話が入る。罠を
    仕掛けた女・久田芙美代の居所を教えるものであった。その場所はある高級ホテル。
    新たなる罠の危険を承知のうえで、意を決してホテルに向かう中津。そこで遭遇した
    ものは何と・・・。中津は、恋人の純子の協力を得て、巨大なる敵との闘いを決意する。

    なかなか面白く読めた。圧倒的に強大な敵を相手に、いかなる武器も持ち合わせない
    一個人が蟷螂の斧をふるって立ち向かうのが作者の作品によくみられる趣向である。
    プロットも凝っていて読ませてくれる。52年に主人公・中津を北大路欣也が演じたTV
    ドラマが放映されていて、調べたらDVDで出ている。機会があれば視聴したいものだ。
    暗黒流砂 (角川文庫 緑 365-13)Amazon書評・レビュー:暗黒流砂 (角川文庫 緑 365-13)より
    4041365139
    No.3:
    (5pt)

    政治家を主役とした汚職事件をメインテーマとして、部下を切り捨て安全な場所に隠れる悪の張本人たちを炙り出し鉄槌を下す!読み応えたっぷりの傑作です。

    1973年12月祥伝社から出版されました。映像化もされた硬質作家森村氏の問題作です。祥伝社社長、伊賀弘三良氏の依頼を受けるかたちで「週刊ポスト」に連載された作品です。

    これまで森村氏は、ホテルマンとして過ごしたサラリーマン時代の経験から、一部の大企業が如何に利益優先主義でエゴイズムに満ち、社員を将棋の駒の様にしか考えず、巨悪を働き莫大な利益を貪る、そんな特殊な人間に対して厳しく糾弾する作品を多く書いてきました。

    また、それらの作品は読み手によっても明快な理論によって巨大な悪事を断罪する訳ですから同調し易く、溜飲が下がる思いをさせてくれるので、実に痛快な読後感がありました。

    本作品は、その糾弾すべき大組織としての相手を国家中枢の政治家及び官僚に向かわせた処に強いインパクトを感じさせます。彼らは、いつでも問題が発覚するとトカゲに尻尾切りの如く末端の部下を切り捨てる事によって、我が身を常に安全な場所に置いておける技を持っていました。本作品は、そんな安全な場所に身を隠す巨悪人たちを炙り出し徒手空拳(何も持たない。武器や資金が無い)で立ち向かうとい話なのですから実に面白い。

    財務省国土庁の業務部第二管財課長であった梅原直人は、自分の印鑑が国有地払い下げの契約に何者かによって不正に盗用された罪を肩代わりさせられ懲戒免職になってしまう。

    一方、警視庁捜査二課の中津和男は密告により、港区内にある国有地売却にあたり大きな不正があったことを知る。言うまでもなく二課といえば贈収賄事件などを扱う課です。しかし、捜査を進める中津は、直属の上司から捜査中止の命令が下され納得がいかない。

    中津は独自に捜査を続行することにするが、霞が関から乗った地下鉄の車内で痴漢被害にあっている女を助ける。女は礼をしたいからと中津を誘い出すのです。実は、これが黒幕の陥穽で(罠、落とし穴。人をおとし入れる事)(内容は控えます)見事に嵌ってしまい辞職せざるをえなくなってしまう。

    中津と梅原は奇しくも国有地払い下げの問題で職を失った二人でした。その二人が陰に隠れて表に出てこない巨大な黒い敵にむかって悪事を暴き糾弾するため蟷螂之斧(カマキリの前足の意味。強い相手に向かって威力の弱い前足を振り上げる様)を振りかざし復讐を誓うのです。

    そこで国有地払い下げが政治家&官僚&大企業によるトライアングルの構造になった三者三悪の実態をついに掴むのです。その尻尾を掴みかけると、それらの人物はトカゲの尻尾切りより悪く、虫けらを捻り潰すように次々と変死体となったり、行方不明になってしまうのでした。

    二人は、我が身を守るための悪人たちの所業につまずきながらも果敢に挑んでゆくのです。ここまでくれば結末は読み手を裏切りません。蟷螂之斧の二人が大きな敵に向かってゆく姿は読みごたえ十分です。メインテーマである政治家を主役とした汚職事件に断罪を下すことになります。ラストでは梅原と中津が親子の様な関係を築き上げるという展開も微笑ましくなってしまいました。秀作です。

    森村氏は本作品執筆にあたって信州・高遠や伊那、中央アルプスに取材に行っている。文章中の風景描写は現地を見に行った者でなければ書けないような素晴らしい表現力として証明されています。

    駒ヶ岳ロープウェイの山麓駅、しらび平にこの作品の文学碑が立てられています。
    暗黒流砂 (角川文庫 緑 365-13)Amazon書評・レビュー:暗黒流砂 (角川文庫 緑 365-13)より
    4041365139
    No.2:
    (5pt)

    政治家を主役とした汚職事件をメインテーマとして、部下を切り捨て安全な場所に隠れる悪の張本人たちを炙り出し鉄槌を下す!読み応えたっぷりの傑作です。

    1973年12月祥伝社から出版されました。映像化もされた硬質作家森村氏の問題作です。祥伝社社長、伊賀弘三良氏の依頼を受けるかたちで「週刊ポスト」に連載された作品です。

    これまで森村氏は、ホテルマンとして過ごしたサラリーマン時代の経験から、一部の大企業が如何に利益優先主義でエゴイズムに満ち、社員を将棋の駒の様にしか考えず、巨悪を働き莫大な利益を貪る、そんな特殊な人間に対して厳しく糾弾する作品を多く書いてきました。

    また、それらの作品は読み手によっても明快な理論によって巨大な悪事を断罪する訳ですから同調し易く、溜飲が下がる思いをさせてくれるので、実に痛快な読後感がありました。

    本作品は、その糾弾すべき大組織としての相手を国家中枢の政治家及び官僚に向かわせた処に強いインパクトを感じさせます。彼らは、いつでも問題が発覚するとトカゲに尻尾切りの如く末端の部下を切り捨てる事によって、我が身を常に安全な場所に置いておける技を持っていました。本作品は、そんな安全な場所に身を隠す巨悪人たちを炙り出し徒手空拳(何も持たない。武器や資金が無い)で立ち向かうとい話なのですから実に面白い。

    財務省国土庁の業務部第二管財課長であった梅原直人は、自分の印鑑が国有地払い下げの契約に何者かによって不正に盗用された罪を肩代わりさせられ懲戒免職になってしまう。

    一方、警視庁捜査二課の中津和男は密告により、港区内にある国有地売却にあたり大きな不正があったことを知る。言うまでもなく二課といえば贈収賄事件などを扱う課です。しかし、捜査を進める中津は、直属の上司から捜査中止の命令が下され納得がいかない。

    中津は独自に捜査を続行することにするが、霞が関から乗った地下鉄の車内で痴漢被害にあっている女を助ける。女は礼をしたいからと中津を誘い出すのです。実は、これが黒幕の陥穽で(罠、落とし穴。人をおとし入れる事)(内容は控えます)見事に嵌ってしまい辞職せざるをえなくなってしまう。

    中津と梅原は奇しくも国有地払い下げの問題で職を失った二人でした。その二人が陰に隠れて表に出てこない巨大な黒い敵にむかって悪事を暴き糾弾するため蟷螂之斧(カマキリの前足の意味。強い相手に向かって威力の弱い前足を振り上げる様)を振りかざし復讐を誓うのです。

    そこで国有地払い下げが政治家&官僚&大企業によるトライアングルの構造になった三者三悪の実態をついに掴むのです。その尻尾を掴みかけると、それらの人物はトカゲの尻尾切りより悪く、虫けらを捻り潰すように次々と変死体となったり、行方不明になってしまうのでした。

    二人は、我が身を守るための悪人たちの所業につまずきながらも果敢に挑んでゆくのです。ここまでくれば結末は読み手を裏切りません。蟷螂之斧の二人が大きな敵に向かってゆく姿は読みごたえ十分です。メインテーマである政治家を主役とした汚職事件に断罪を下すことになります。ラストでは梅原と中津が親子の様な関係を築き上げるという展開も微笑ましくなってしまいました。秀作です。

    森村氏は本作品執筆にあたって信州・遠野や伊那、中央アルプスに取材に行っている。文章中の風景描写は現地を見に行った者でなければ書けないような素晴らしい表現力として証明されています。

    駒ヶ岳ロープウェイの山麓駅、しらび平にこの作品の文学碑が立てられています。
    暗黒流砂 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:暗黒流砂 (講談社文庫)より
    4062632020
    No.1:
    (4pt)

    職を失った刑事が挑む巨悪との闘い

    本書は昭和48年に『週刊ポスト』に連載され、同年末に刊行された著者の初期作品で
    ある。近年は政治改革の成果か、政界を揺るがす疑獄事件は起きなくなっているが、
    昭和期は腐敗が酷かった。著者は「悪徳政治家をせめて小説の中で弾劾しようとして
    この作品を書いた」と述べる。次期総理の有力候補・玉置森堂が政治的野望を実現
    するために計画した国有地売却計画。ある投書から、その背後にある不正の捜査を
    はじめる刑事・中津和男。上からの圧力に屈せず地道な捜査を続けるが、虎の尾を
    踏んだ彼は罠にはまり、辞職を余儀なくされる。そんな彼に一本の電話が入る。罠を
    仕掛けた女・久田芙美代の居所を教えるものであった。その場所はある高級ホテル。
    新たなる罠の危険を承知のうえで、意を決してホテルに向かう中津。そこで遭遇した
    ものは何と・・・。中津は、恋人の純子の協力を得て、巨大なる敵との闘いを決意する。

    なかなか面白く読めた。圧倒的に強大な敵を相手に、いかなる武器も持ち合わせない
    一個人が蟷螂の斧をふるって立ち向かうのが作者の作品によくみられる趣向である。
    プロットも凝っていて読ませてくれる。52年に主人公・中津を北大路欣也が演じたTV
    ドラマが放映されていて、調べたらDVDで出ている。機会があったら視聴したいものだ。
    暗黒流砂 (角川文庫 緑 365-13)Amazon書評・レビュー:暗黒流砂 (角川文庫 緑 365-13)より
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