密閉山脈
- 山岳ミステリ (48)
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著者の山岳ミステリー。 1976年の作品ですが、8割は登山に関する話なので、45年たった今でも新鮮です。 密閉のトリックは残念でしたが、山の情景や風景、迫力ある登山の様子などが繊細に描かれ素晴らしかったです。 人間の心の葛藤、弱さ、いつもながら、読ませてくれます。 | ||||
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大抵の作品は、途中からネタバレになって つまらなくなるのですが, ラストギリギリまで飽きさせず、 さすが!と思いました. | ||||
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この当時の男(主に男性)女の価値観なんですかね。現在の女性が読んだら間違いなくクレームが付くと思われる文章が多々見られます。男の私が読んでもちょっと引いてしまうくらいですから。 山岳ミステリーとしても「そっか」くらいにしか思いませんでした。 | ||||
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昔、漫画で読んで忘れられない小説。ずっとどこかで気になっていてでも、忙しさの中あえて読む気にもなれなかったのだが、コロナ自粛をキッカケに登山できなくなり、購入して読んだ。昔の記憶通り面白かった。 | ||||
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「密閉山脈」 森村氏お得意の山岳物です。山屋には悪人はいない、とよく言われますが、多くの山岳小説には必ず悪人は登場するものです。森村氏の登山家への理解が十分に伺えます。タイトルからしてコテコテの推理物かと思って読み始めてみましたが、意に反して本書は山に情熱を燃やす若き青年クライマー達の深層心理を描き、美しい女性を巡る三角形の駆け引きを女性の気持ちで書いている。親友でもありザイルパートナーの二人だったが、山を征服すると言う名誉の為に過去に行った、ある事が事件の根底にある。登山家ならではの心理と動機が隠されていて、ラストは、その過去を独白するという格好になっており、奇想天外で度肝を抜かれてしまいました。 昭和46年2月に刊行された本書は、著名な山岳会に名を連ねる真柄と影山の二人が、山中で遭難していた湯浅貴久子を助けるところから始まります。ところが美貌の女性に二人とも好意を持ち、争う事になってしまう。これは同様に二人の山男が一人の女性を巡り争う森村氏の代表作「腐食の構造」の冒頭とも似ている。また彼らにデートさせる場所も都内の高層高級ホテルに設定している処は森村氏の十八番である。 命の恩人、二人のアルピニストの思いを知った貴久子は残酷な決断を迫られる。その告白シーンは秀逸で負けを言い渡された青年の気持ちを想像すると、こちらまで辛くなってしまう。白黒つけさせてしまう処が森村氏の趣意なのだろうが、ここに動機となる一片が隠されている。 三人は祝福の意を込めて記念の山行を決定するが、影山が落石に打たれ遭難死してしまう。事件性は無いと思われた遺体は山中で荼毘に付される事になるのだが、櫓に組んだ木の中で遺体が焼ける様を如実に描写しており、気の弱い人には少しグロテスクかもしれない。 警察官でその時山岳救助に向かった熊耳敬助が後になって遺品のヘルメットの壊れ方に奇異を感じる。ここで初めて事件として始まるのです。熊耳は純朴で名刑事、名探偵では無いが、初め事件性は無いと判断し遺体を焼却してしまった事を後悔し、一人身銭で捜査を進める処が思いやられる。又、警察官でありながら救助を主とした任務に当たる熊耳の山灼けした顔や登山家と変わらぬ風貌が十分伺え好感を持って読めました。 ここからの話は山頂と言う誰も近寄れない、云わば、密室といえる状態のトリック崩しと犯人のアリバイ解明への推理小説の本題へと向かってゆきます。ここから後は、本書を読む事をお勧めします。 本書は勿論推理小説ですが、事件の起こった過去の背景や、アルピニストで無ければ持たないだろう特殊な動機を忖度し、一人の女性を巡る争いを加える事によって、更に動機を複雑な物にしています。山岳物好きな人必読です、内容の濃い良作でした!森村氏は現在も御健在でなによりです。私は森村氏の社会活動を支持します。 「分水嶺」 1968年9月青樹社から初出版されました。青樹社の那須英三編集長に見初められて「大都会」「幻の墓」「銀の虚城」と出版するものの、全く売れないなかで本作は出版されました。1969年に「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞し、世に森村誠一氏の名が知れ渡る以前の作品です。 多くの作家志望の人々は、名も知れず消えてゆく人が、ほとんどだと思います。三百冊以上の著書を残し、国民的ベストセラー作家の森村誠一氏にも不遇の時代があったのかと思わされてしまう。しかし、今日まで半世紀余りに渡り活躍する森村氏にとっては、ほんの短い期間に過ぎなかったのです。だから、この期間の作品は貴重だと思います。 天空に聳える山頂を目指す事に情熱を傾ける青年たちが、その試練に挑戦する過程に於いて、深く友情を結び付ける事は、十分に理解し易いと思います。しかし、下界に降り、社会人となってみれば、会社の利益優先主義の歯車となって働かされるうちに、人間として重要な心根を失ってしまい、知らずに犯罪に加担してしまう姿を数多く書いています。 そうして、山を通して結ばれた友人同士が全く違う価値観を持つ様になり、深い友情に軋みが生まれてしまい悲劇が起きてしまう。このパターンの題材では「大都会」を始め本作、及び「密閉山脈」「腐食の構造」などと、森村氏は下界に降りた若者たちの友情が壊れてゆく悲劇を作品にしています。 本作品では、序章の伏線の張り方が見事です。三つの変死事件が発生するのですが、どれも「・・・・都会では、大したことでは無かった」と言うフレーズで纏められている事です。序章に伏線を書く手法は、この後にも森村氏は度々使います。後の「東京空港殺人事件」の様なダイナミックな事件を題材にしたものも書いています。 まだ、乱歩賞受賞前の不遇の時代にありながら、すでに巧みなテクニックを有していたことが窺い知れます。 本編は、ザイルパートナーであった大西が、大手化学メーカーの技師となり神経ガス(毒ガス兵器)を開発する事です。そのガスは、一時的に神経を麻痺させるが、時間の経過と共に平常に回復すると言うもので、それは兵器では無いと主張するもの。ザイルパートナーだった秋田は、それに気が付き、なんとか大西に開発を諦める様に工作します。 それは秋田の身を挺してまで大西に訴えかけるのですが、それは、とても壮絶な方法です。 ラストでは企業のエゴイズムによって大西、秋田ともに“これでもか!”とゆう姿にさせられ、虫けらの様に切り捨てられてしまいます。そこが読んでいてとても辛くなってしまいます。 「幻の墓」「銀の虚城」と比べると本作品は明らかに進化しているように思えます。乱歩賞受賞を機に、後の国民的大ベストセラー作家となる森村誠一氏の片鱗を見ることが出来るような作品でした。 | ||||
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