殺人倶楽部
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殺人倶楽部の総合評価:
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100ページ台の短い小説なので直ぐに読めました。 | ||||
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数日前に発売された森村誠一作品(2000年に刊行されたものの復刻文庫化)。巻末の解説を除けば、本文は150頁強という分量の少ない作品。あっという間に読み終えた。購入したのは本書のタイトルが実に意味深に感じられたからである。現実の社会に「殺人」倶楽部などあってはならないのは自明だが、読了してこのタイトルと本書の内容がうまく符合しているのかいささか疑問だった。心に傷を負ったものが集う(本書に登場する)「雑談クラブ」では売れないと判断したのか。タイトルに独特のネーミングを施す著者であるだけに気になった(東野圭吾氏に『探偵倶楽部』という作品があるが、それは実際にこうした倶楽部が存在するから何の問題もない。咄嗟に思い浮かんだのが本書だ)。 とはいえ、内容はなかなか深く考えさせられるものがあった。最終第9章の「砂漠の旅人」は何度か読み返すに値する。たとえば次のような文章は記憶に残る。「人は心に深く負った傷を一生抱えて、生きて行かなければならない。胸に穿たれた空虚を無理に埋めようとしても、埋められない」(156頁)、「しょせん自分の心の傷は他人に舐めてもらうものではなく、自ら治すものである」(157頁)。たしかにその通りだ。人間は一人では生きていけない社会的動物であるが、最後の最後で踏ん張るのはやはり自分自身であろう。「自分に負ける」という言葉があるが、それこそ一番悔しい負け方ではあるまいか。森村誠一氏の作品にはそうした「人間哲学」が至るところに散りばめられているが、本書もその例外ではない。昔ながらのファンには物足りない向きはあるだろうが、分量が少ない分だけ、かえってじっくり読めるメリットもあるように思う。本書も読み始めたら止まらない作品だった。内容もさることながら、読ませる文章・文体も素晴らしい。 新宿署の牛尾刑事の登場と彼の相変わらずの洞察力・嗅覚の存在も嬉しいものがあった。以前に読んだ作品が棟居刑事シリーズであっただけに懐かしい感覚に浸ることができた。牛尾刑事シリーズも何冊か読んでいるが、冊数からしてまだまだ棟居シリーズには遠く及ばない。作家・森村誠一にリクエストがあるとすれば、牛尾刑事の活躍をこれまで以上に描いてほしいということに(現時点では)尽きる。なお本書の装丁も意味深である。多くの方に一読をお薦めしたい。 | ||||
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