最後の矜持 森村誠一傑作選
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森村誠一の短編から、山前譲が選び出した作品集。 長い間森村誠一には触れることがなかったが、Amazonで目にとまり入手した。 本屋にも取り扱いが少なく、今でも森村誠一が読み継がれているのは、思いがけ なかった。不明を恥じる。 森村誠一は、私にとっては松本清張と引き比べてしまう作家。清張の短編集は 幾種類かは新たに編纂されていて、入手は容易。清張と比すると「社会派」として はいささか影が薄い。久々に手に取ってみた感想となる。 最初の一編は文字を追うと、どうにもゴツゴツとして引っかかる印象が強い。 しばらく気がつかなかったが、はっきりした理由があった。「音の懸け橋」だけな のだが、一文ごとに段落替えをしている。どうにも読み辛く、これはどうかと思 った。が、この一編だけが一文ごとの段落替えをしていた。ストーリーとしては 面白いのだが、その文体が惜しまれる。 事件の推理を元に主人公が謎を追跡するが、その推理過程がご都合主義と思え るのが「殺意を運ぶ鞄」。偶然入った店で、探している人の住所、それも団地の住 所が細部まで分かるのは頂けない。少々甘すぎるストーリー。 主人公の家族、主人公の同僚の家族、別の同僚の家族が事件で失われたとする 設定はいかにも無理。日本でこの設定は駄目だろう。 こう呟いてしまった「後朝の通夜」。どうにも作り物めいてリアリティがない。 最後の謎解きも不十分。作中で被害者の婚約者があけすけに喋りすぎ。ここまで 長々と被害者との関係を語ることなどありえない。 2つの事件が並行して語られる。小市民と言えば小市民の犯罪。しかしそこに はやはり色と欲がある。過度に入りくんだストーリーでもなく、そのまますらり と読むことができる。そして緊張感が最後まで続く。本書第一の物語だろう。そ う感じた「ラストシーン」。 少し「正義」が鼻につく「余命の正義」。後味良く書いてくれればいいが、心なし かくどい。これは受け取り方が人によってかなり違うだろう。 生硬なままに青春時代と現在を語る「青春の遺骨」。読んでいるのが気恥ずかし い。絵に描いたような青春時代は果たして実在するのだろうか。 森村誠一はどの程度読み継がれているのだろうか。角川文庫ではかなり刊行さ れているが、もともと多作の人なので少ないとも言える。 代表作「~の証明」と「棟居刑事シリーズ」だけなのはいささか淋しい。一時の勢 いはなくなっているのは明かだが、よく作品が残っていると評すべきか。 30年以上の年月を経て読んだ私には、森村誠一が次々とヒット作を刊行したあ のエネルギーが懐かしかった。そのエネルギーを感じられなかったのは残念。 辛いレビューとなるが、どの作品も(少なくとも現在の作家に比して)質は高い。 あと数冊は読み込んでみようと思う。 | ||||
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