白の十字架
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本書は1978年9月に角川書店から初出版されました。この作品は森村氏がフランスのポップスオーケストラ・カラベリが来日した時に演奏会で聴いた曲「泣かないでアルゼンチーナ」の歌詞「私は変わらなければならない~だから自由を選びました」と言う歌詞を知った時に創作意欲が高じて作ったと森村氏は述べています。 この物語は二つのシーンから始まります。第一章ではヒマラヤ・ネパチュヌリの登攀シーンから始まります。エベレストを最高峰に8000mを超える山峰が聳える山々が次々と登頂されるなか、ネパチュヌリは8000mに達しないが未踏峰という事で各国の登山隊がターゲットにしている高峰でした。 津雲明広と高浜正一は、頂上アタックを目の前にして少し度を過ぎた事を感じた。この遠征に関して各所からできる限り借金して遠征費用を集めた二人は、なんとしても登頂して名声を高めたかった。その欲がミスの元でした。森村氏による、登攀シーンの描写は秀逸です。 高浜が動けなくなった、頂上まであと200m。高浜は「下山してくれ」と懇願するが津雲は目の前に見える名誉の為に高浜を置き去りにしてしまう。結局、登頂は失敗して帰国してみれば当然、隊員を置き去りにして見殺しにしたと世間から大きく非難を浴びる。 それと並行して、東京都杉並区の一角、雑木林の中で大学生の殺人と思われる死体が近所の小学生によって発見される。大学生は情交中に殺害された可能性があり、近くにスーパーマーケットのレシートが落ちていた。それには大学生の指紋は採取されず、情交相手の女のものだと推測される。その購入品目から、すき焼きの食材を購入した事が分かる。その日付にすき焼きの食材を購入した人物を特定して身元を割り出すと言う筋書きなのは実に面白い。 捜査を担当していた一柳敏郎は、その食材の品目を見てその日自分が食べたすき焼きの品目と同じだった事を知る。そこで一柳は妻が大学生と不倫中に何者かによって殺人事件に巻き込まれたのではないかと疑いを持つ。 エベレスト・ネパチュヌリの壮絶な登山シーンから始まった物語は、刑事の妻が不倫していた大学生が殺されるという全く異次元の話が並行するが、森村氏の筆によって巧妙にリンクさせられ最終的には大長編小説に仕立てあげられている。 今まで勤勉スマートな刑事の姿を多く書いてきた森村氏ですが、刑事の妻が不倫したうえ身ごもってしまい悩みに悩みながらも捜査を止めることの出来ない苦しい心の中が読み取れてとても悲しくなる。 | ||||
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本書は1978年9月に角川書店から初出版されました。この作品は森村氏がフランスのポップスオーケストラ・カラベリが来日した時に演奏会で聴いた曲「泣かないでアルゼンチーナ」の歌詞「私は変わらなければならない~だから自由を選びました」と言う歌詞を知った時に創作意欲が高じて作ったと森村氏は述べています。 この物語は二つのシーンから始まります。第一章ではヒマラヤ・ネパチュヌリの登攀シーンから始まります。エベレストを最高峰に8000mを超える山峰が聳える山々が次々と登頂されるなか、ネパチュヌリは8000mに達しないが未踏峰という事で各国の登山隊がターゲットにしている高峰でした。 津雲明広と高浜正一は、頂上アタックを目の前にして少し度を過ぎた事を感じた。この遠征に関して各所からできる限り借金して遠征費用を集めた二人は、なんとしても登頂して名声を高めたかった。その欲がミスの元でした。森村氏による、登攀シーンの描写は秀逸です。 高浜が動けなくなった、頂上まであと200m。高浜は「下山してくれ」と懇願するが津雲は目の前に見える名誉の為に高浜を置き去りにしてしまう。結局、登頂は失敗して帰国してみれば当然、隊員を置き去りにして見殺しにしたと世間から大きく非難を浴びる。 それと並行して、東京都杉並区の一角、雑木林の中で大学生の殺人と思われる死体が近所の小学生によって発見される。大学生は情交中に殺害された可能性があり、近くにスーパーマーケットのレシートが落ちていた。それには大学生の指紋は採取されず、情交相手の女のものだと推測される。その購入品目から、すき焼きの食材を購入した事が分かる。その日付にすき焼きの食材を購入した人物を特定して身元を割り出すと言う筋書きなのは実に面白い。 捜査を担当していた一柳敏郎は、その食材の品目を見てその日自分が食べたすき焼きの品目と同じだった事を知る。そこで一柳は妻が大学生と不倫中に何者かによって殺人事件に巻き込まれたのではないかと疑いを持つ。 エベレスト・ネパチュヌリの壮絶な登山シーンから始まった物語は、刑事の妻が不倫していた大学生が殺されるという全く異次元の話が並行するが、森村氏の筆によって巧妙にリンクさせられ最終的には大長編小説に仕立てあげられている。 今まで勤勉スマートな刑事の姿を多く書いてきた森村氏ですが、刑事の妻が不倫したうえ身ごもってしまい悩みに悩みながらも捜査を止めることの出来ない苦しい心の中が読み取れてとても悲しくなる。 | ||||
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本書は1978年9月に角川書店から初出版されました。この作品は森村氏がフランスのポップスオーケストラ・カラベリが来日した時に演奏会で聴いた曲「泣かないでアルゼンチーナ」の歌詞「私は変わらなければならない~だから自由を選びました」と言う歌詞を知った時に創作意欲が高じて作ったと森村氏は述べています。 この物語は二つのシーンから始まります。第一章ではヒマラヤ・ネパチュヌリの登攀シーンから始まります。エベレストを最高峰に8000mを超える山峰が聳える山々が次々と登頂されるなか、ネパチュヌリは8000mに達しないが未踏峰という事で各国の登山隊がターゲットにしている高峰でした。 津雲明広と高浜正一は、頂上アタックを目の前にして少し度を過ぎた事を感じた。この遠征に関して各所からできる限り借金して遠征費用を集めた二人は、なんとしても登頂して名声を高めたかった。その欲がミスの元でした。森村氏による、登攀シーンの描写は秀逸です。 高浜が動けなくなった、頂上まであと200m。高浜は「下山してくれ」と懇願するが津雲は目の前に見える名誉の為に高浜を置き去りにしてしまう。結局、登頂は失敗して帰国してみれば当然、隊員を置き去りにして見殺しにしたと世間から大きく非難を浴びる。 それと並行して、東京都杉並区の一角、雑木林の中で大学生の殺人と思われる死体が近所の小学生によって発見される。大学生は情交中に殺害された可能性があり、近くにスーパーマーケットのレシートが落ちていた。それには大学生の指紋は採取されず、情交相手の女のものだと推測される。その購入品目から、すき焼きの食材を購入した事が分かる。その日付にすき焼きの食材を購入した人物を特定して身元を割り出すと言う筋書きなのは実に面白い。 捜査を担当していた一柳敏郎は、その食材の品目を見てその日自分が食べたすき焼きの品目と同じだった事を知る。そこで一柳は妻が大学生と不倫中に何者かによって殺人事件に巻き込まれたのではないかと疑いを持つ。 エベレスト・ネパチュヌリの壮絶な登山シーンから始まった物語は、刑事の妻が不倫していた大学生が殺されるという全く異次元の話が並行するが、森村氏の筆によって巧妙にリンクさせられ最終的には大長編小説に仕立てあげられている。 今まで勤勉スマートな刑事の姿を多く書いてきた森村氏ですが、刑事の妻が不倫したうえ身ごもってしまい悩みに悩みながらも捜査を止めることの出来ない苦しい心の中が読み取れてとても悲しくなる。 | ||||
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30年振りの再読だったが、この作品に溢れるリリシズムは、胸を打ち涙を誘う。 また、ネパルチュリへ再び赴く描写などは、恐ろしいほどの美しさだ。 「人間の証明」以降、執拗に繰り返される「人間関係の環(リンク)」が、 ご都合主義だと言えなくもないが、この作品に限っては自然を前にした人間の儚さ を際立たせている。 謎解きミステリではないが、私の中では森村誠一の最高傑作だ。 | ||||
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