虚構の空路
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今よむと隔世の感がある。 旅行エージェンシーとホテル そして 飛行機スケジュールトリック。 海外旅行がやっとブームになりかけたところのトリック。 南回りと北回りを利用する時間差の活用。 パスポートもマルチではなく1次旅行券。 どうやって、出国スタンプを押されないかというトリック。 ホテルの交換台を使ったトリック。 など、いくつかのトリックを 組み合わせて 犯罪を成り立たせようとする 知能犯のめぐらし方。 アリバイを重視して、それをごまかそうとすることと あばこうとする刑事たち。 その当時は センセーションだったのかもしれない。 今は、単独的テロリズムによって、厳重になり、 ここまでの犯罪を組み立てることができるのか? 音川、雪子は なんと会話が少ない夫婦なんだろう。 その二人を手玉にとる 光永。それで、クルマオタク。 やり手すぎて、結局 策にはまるわけだ。 清子という女性が 対比で良さそうに書かれている。 ギャップを出そうとしている手法が 森村誠一らしい。 | ||||
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1970年に出版されました。1969年「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞した後に、青樹社から「虚無の道標」が出版されていますが、それは乱歩賞の受賞前に書かれたもので、実質的には受賞後の第一作に執筆されたのが本作品です。 乱歩賞受賞後、それまで週刊誌に同じ仕事をしていた、乱歩賞の先輩作家、佐賀潜氏のところへ挨拶に行くと「次作は出来ているのか?僕の処へ来る暇が有ったら、二作、三作と書かねばダメだ!」と激励され書かれた作品です。佐賀潜氏は、不幸にも病魔にみまわれ活動期が短く、後々に名が薄れてしまった惜しい作家です。佐賀氏の古書が、とてつもない高価で扱われている事は、佐賀氏の文化的な価値を表すものだと思います。 青樹社の那須英三編集長から「推理小説みたいなものを書いたらどうか?」とアドバイスを受け、出版され乱歩賞を受賞した「高層の死角」の次作とあって、本作品も、本格推理小説に値するものです。 作家を志望する多くの人が、何年かかっても日の目を見ないで消えていきます。森村氏も「大都会」以降に青樹社から数作出版するものの、全く売れませんでした。乱歩賞を受賞し本作発表になったわけです。1967~1969年に出版された書には拙い処は有りました。しかしながら、たった(と言って良いか?二年後です)本作の様な完璧な作品を、完成するに至る事になった才能は素晴らしいと思います。 2015年現在、今日まで三百を超える著書を書き、今なお健在な、巨匠!森村誠一氏の源がここに有るように思えました。 ホテルマンとして勤務した経験を生かし、高級ホテルを舞台にして「大都会」や「分水嶺」の様に、大企業に翻弄される若者たちが、誤った犯罪を行い、凋落する姿を描いた作品を書いてきたことは、とても印象的でした。本作は、旅行斡旋業(トラベルエージェント)という、当時の最先端ビジネスの裏側を、背景にしている処に特色が有ります。 今日では、カタカナ名前のカッコの良い旅行代理店は数々有ります。この当時は、海外旅行は、まだ、一般の人々にとっては馴染みの薄い時代でした。しかしながら、1964年の東京オリンピック以降、その需要は確実に増えました。トラベルエージェントとしては、その集客の為にホテルの客室をキープする事が懸案だった事を如実に記述しています。 本作は完璧なアリバイ崩しの小説ですが、そのスケールが途轍もなく大きいのです。世界的なスケールで書かれています。重要な容疑者のアリバイは、なんと、フランスのパリに居たと言うのですから驚きです。あまり、詳しくはしません。男女の恋物語も随所に散りばめられ、複雑に絡まり合い、さらに動機を深く作り出しています。 「大都会」「幻の墓」「銀の虚城」「分水嶺」と、“ここまで書いて良いのかな~”と思うほど大企業の利益優先主義による、エゴイスティックな処を書き暴き、登場する若者たちも、人間臭がプンプンするする者たちばかりだったのですが、「高層の死角」及び本作と、実にそれが洗練され若者たちも真にスマートに書かれていて、進化している様子が伺えました。 お断りしておきますが、だからと言って、森村氏の本格社会派的な作風は消えた訳では無く、後の「腐食の構造」「悪魔の飽食」にみるように、その精神は更に大きくなり健在です。また、人を描く力も「人間の証明」「野性の証明」等さらに力強くなっていきます。 | ||||
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1970年に出版されました。1969年「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞した後に、青樹社から「虚無の道標」が出版されていますが、それは乱歩賞の受賞前に書かれたもので、実質的には受賞後の第一作に執筆されたのが本作品です。 乱歩賞受賞後、それまで週刊誌に同じ仕事をしていた、乱歩賞の先輩作家、佐賀潜氏のところへ挨拶に行くと「次作は出来ているのか?僕の処へ来る暇が有ったら、二作、三作と書かねばダメだ!」と激励され書かれた作品です。佐賀潜氏は、不幸にも病魔にみまわれ活動期が短く、後々に名が薄れてしまった惜しい作家です。佐賀氏の古書が、とてつもない高価で扱われている事は、佐賀氏の文化的な価値を表すものだと思います。 青樹社の那須英三編集長から「推理小説みたいなものを書いたらどうか?」とアドバイスを受け、出版され乱歩賞を受賞した「高層の死角」の次作とあって、本作品も、本格推理小説に値するものです。 作家を志望する多くの人が、何年かかっても日の目を見ないで消えていきます。森村氏も「大都会」以降に青樹社から数作出版するものの、全く売れませんでした。乱歩賞を受賞し本作発表になったわけです。1967~1969年に出版された書には拙い処は有りました。しかしながら、たった(と言って良いか?二年後です)本作の様な完璧な作品を、完成するに至る事になった才能は素晴らしいと思います。 2015年現在、今日まで三百を超える著書を書き、今なお健在な、巨匠!森村誠一氏の源がここに有るように思えました。 ホテルマンとして勤務した経験を生かし、高級ホテルを舞台にして「大都会」や「分水嶺」の様に、大企業に翻弄される若者たちが、誤った犯罪を行い、凋落する姿を描いた作品を書いてきたことは、とても印象的でした。本作は、旅行斡旋業(トラベルエージェント)という、当時の最先端ビジネスの裏側を、背景にしている処に特色が有ります。 今日では、カタカナ名前のカッコの良い旅行代理店は数々有ります。この当時は、海外旅行は、まだ、一般の人々にとっては馴染みの薄い時代でした。しかしながら、1964年の東京オリンピック以降、その需要は確実に増えました。トラベルエージェントとしては、その集客の為にホテルの客室をキープする事が懸案だった事を如実に記述しています。 本作は完璧なアリバイ崩しの小説ですが、そのスケールが途轍もなく大きいのです。世界的なスケールで書かれています。重要な容疑者のアリバイは、なんと、フランスのパリに居たと言うのですから驚きです。あまり、詳しくはしません。男女の恋物語も随所に散りばめられ、複雑に絡まり合い、さらに動機を深く作り出しています。 「大都会」「幻の墓」「銀の虚城」「分水嶺」と、“ここまで書いて良いのかな~”と思うほど大企業の利益優先主義による、エゴイスティックな処を書き暴き、登場する若者たちも、人間臭がプンプンする者たちばかりだったのですが、「高層の死角」及び本作と、実にそれが洗練され若者たちも真にスマートに書かれていて、進化している様子が伺えました。 お断りしておきますが、だからと言って、森村氏の本格社会派的な作風は消えた訳では無く、後の「腐食の構造」「悪魔の飽食」にみるように、その精神は更に大きくなり健在です。また、人を描く力も「人間の証明」「野性の証明」等さらに力強くなっていきます。 | ||||
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一昔前の時代(昭和)感覚にあふれたストーリーですが、良く調べて構成してあると感心しました。 ミステリーを堪能する楽しい時間を求めている方にお勧め。 特に、時刻表のトリックなんかを好きな方には、たまらないと思います。 | ||||
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森村氏お得意のアリバイ崩しものの一編だが、当時としてはかなり大掛かりな国際線を使ったグローバルなアリバイトリックが斬新だ。初期に顕著なアリバイ崩しものの集大成とも言えるべき作品。アリバイを崩した後さらに事件が起こるドンデン返しも森村ミステリーの王道路線で飽きさせない。 | ||||
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