東京空港殺人事件
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最高に読みごたえ有りました‼️ | ||||
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本書は1971年に書き下ろされた作品。「新幹線殺人事件」「超高層ホテル殺人事件」と書かれた三大殺人事件の二部作目です。タイトルを読むと、単に空港内で起こった殺人事件を巡る推理小説の如く思われてしまいそうですが、内容は全く違う本格的な社会派推理小説なのです。 航空機の飛躍的な発達によって、世界は急速に縮小し、犯罪も広域化、国際化するなかで日本を代表するトップ企業のエリートが企てた大犯罪です。そして挫折し、崩壊してゆく姿の悲哀を書いた本格派の小説です。森村氏独特のテクニックで、事件の起こった背景や動機を深淵に描く事で小説の内容を濃密なものにしています。 序章ではジェット旅客機がアラスカの氷原に胴体着陸するシーンから始まります。粉々になった機体から生きた者、死に絶えた者達の姿が書かれ、寒気の中で、生き残る為の争いが始まります。生存者が怪我人を置き去りにして非情とも思えるが機体から脱出する様子はとても痛々しい。これだけでも一つの小説が作れる様な話なのです。しかし、これは、ほんの序章に過ぎなかったのです。 国内大手航空会社に勤め、次期社長の座を狙う大塚義明は、娘を利用し政略的に出世に結び付ようと画策しています。娘をも出世の糧に利用するエリートサラリーマンの出世競争の厳しさ、企業戦士の冷酷さが良く分かります。この娘についてはラストで衝撃的な事が分かりますから楽しみです。 航空業界はジェット化が進む時代で、大型ジェット旅客機の導入真っ只中でした。それに群がる航空機メーカーは売り込みに必死になっていた頃でした。そんな時、東京湾に乗客乗員129名を乗せたジェット旅客機が消息不明、墜落するのです。メーカー側は事故原因如何によっては受注に大きく作用するため思惑が働きます。 事故原因の究明には国家調査委員会があたりますが、それは航空機売り込みメーカーや、そのメーカーの息のかかった調査委員によってメーカーには差し触りの無いものとして作成されてしまいます。そんな時、その調査結果に疑問を持った下級官吏吉村がいたのでした。 本書執筆にあたり森村氏が一番杞憂していたのは、大量輸送旅客機が、将来その安全性に大きな問題が起こり、社会問題になるのではないかと言う事でした。本書執筆の数年後、ジェット旅客機の羽田沖逆噴射墜落事故や真夏の御巣鷹山での大事故が起こった事を知れば森村氏の杞憂は思い過ごしで無かった事が証明されます。 空港ホテルでの密室殺人事件も起こりますが、そのトリックを云々するのは控えたいと思います。むしろ事件の背景が特殊です。その事件は殺意と愛情の壮絶な交差によって起こったもので、両者の愛情が改めて確認出来る様に書かれていて、とても残酷です。親が子を愛し、娘を犯罪人にさせたくないという親心が密室を作り出していて、子を持つ親としては感情を移入せずにはいられませんでした。 最後に余談かもしれませんが、本作で登場する那須警部は青樹者の編集長、那須英三氏をモデルにしたものです。那須氏はいち早く、当時、鳴かず飛ばずの森村氏の才能を見極め、長編処女作「大都会」を出版し、推理小説を書くことを勧め「高層の死角」を書くきっかけを与えたくれた方です。その作が江戸川乱歩賞を受賞、その後の森村氏の活躍は述べるまでもありません。那須警部の休暇中に軽いサウンドミュージックを聞く姿を読むと、生前の那須英三氏の様子が伺え、そんな遊び心がとても嬉しくなってしまいました。 | ||||
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本書は1971年に書き下ろされた作品。「新幹線殺人事件」「超高層ホテル殺人事件」と書かれた三大殺人事件の二部作目です。タイトルを読むと、単に空港内で起こった殺人事件を巡る推理小説の如く思われてしまいそうですが、内容は全く違う本格的な社会派推理小説なのです。 航空機の飛躍的な発達によって、世界は急速に縮小し、犯罪も広域化、国際化するなかで日本を代表するトップ企業のエリートが企てた大犯罪です。そして挫折し、崩壊してゆく姿の悲哀を書いた本格派の小説です。森村氏独特のテクニックで、事件の起こった背景や動機を深淵に描く事で小説の内容を濃密なものにしています。 序章ではジェット旅客機がアラスカの氷原に胴体着陸するシーンから始まります。粉々になった機体から生きた者、死に絶えた者達の姿が書かれ、寒気の中で、生き残る為の争いが始まります。生存者が怪我人を置き去りにして非情とも思えるが機体から脱出する様子はとても痛々しい。これだけでも一つの小説が作れる様な話なのです。しかし、これは、ほんの序章に過ぎなかったのです。 国内大手航空会社に勤め、次期社長の座を狙う大塚義明は、娘を利用し政略的に出世に結び付ようと画策しています。娘をも出世の糧に利用するエリートサラリーマンの出世競争の厳しさ、企業戦士の冷酷さが良く分かります。この娘についてはラストで衝撃的な事が分かりますから楽しみです。 航空業界はジェット化が進む時代で、大型ジェット旅客機の導入真っ只中でした。それに群がる航空機メーカーは売り込みに必死になっていた頃でした。そんな時、東京湾に乗客乗員129名を乗せたジェット旅客機が消息不明、墜落するのです。メーカー側は事故原因如何によっては受注に大きく作用するため思惑が働きます。 事故原因の究明には国家調査委員会があたりますが、それは航空機売り込みメーカーや、そのメーカーの息のかかった調査委員によってメーカーには差し触りの無いものとして作成されてしまいます。そんな時、その調査結果に疑問を持った下級官吏吉村がいたのでした。 本書執筆にあたり森村氏が一番杞憂していたのは、大量輸送旅客機が、将来その安全性に大きな問題が起こり、社会問題になるのではないかと言う事でした。本書執筆の数年後、ジェット旅客機の羽田沖逆噴射墜落事故や真夏の御巣鷹山での大事故が起こった事を知れば森村氏の杞憂は思い過ごしで無かった事が証明されます。 空港ホテルでの密室殺人事件も起こりますが、そのトリックを云々するのは控えたいと思います。むしろ事件の背景が特殊です。その事件は殺意と愛情の壮絶な交差によって起こったもので、両者の愛情が改めて確認出来る様に書かれていて、とても残酷です。親が子を愛し、娘を犯罪人にさせたくないという親心が密室を作り出していて、子を持つ親としては感情を移入せずにはいられませんでした。 最後に余談かもしれませんが、本作で登場する那須警部は青樹者の編集長、那須英三氏をモデルにしたものです。那須氏はいち早く、当時、鳴かず飛ばずの森村氏の才能を見極め、長編処女作「大都会」を出版し、推理小説を書くことを勧め「高層の死角」を書くきっかけを与えたくれた方です。その作が江戸川乱歩賞を受賞、その後の森村氏の活躍は述べるまでもありません。那須警部の休暇中に軽いサウンドミュージックを聞く姿を読むと、生前の那須英三氏の様子が伺え、そんな遊び心がとても嬉しくなってしまいました。 | ||||
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本書は1971年に書き下ろされた作品。「新幹線殺人事件」「超高層ホテル殺人事件」と書かれた三大殺人事件の二部作目です。タイトルを読むと、単に空港内で起こった殺人事件を巡る推理小説の如く思われてしまいそうですが、内容は全く違う本格的な社会派推理小説なのです。 航空機の飛躍的な発達によって、世界は急速に縮小し、犯罪も広域化、国際化するなかで日本を代表するトップ企業のエリートが企てた大犯罪です。そして挫折し、崩壊してゆく姿の悲哀を書いた本格派の小説です。森村氏独特のテクニックで、事件の起こった背景や動機を深淵に描く事で小説の内容を濃密なものにしています。 序章ではジェット旅客機がアラスカの氷原に胴体着陸するシーンから始まります。粉々になった機体から生きた者、死に絶えた者達の姿が書かれ、寒気の中で、生き残る為の争いが始まります。生存者が怪我人を置き去りにして非情とも思えるが機体から脱出する様子はとても痛々しい。これだけでも一つの小説が作れる様な話なのです。しかし、これは、ほんの序章に過ぎなかったのです。 国内大手航空会社に勤め、次期社長の座を狙う大塚義明は、娘を利用し政略的に出世に結び付ようと画策しています。娘をも出世の糧に利用するエリートサラリーマンの出世競争の厳しさ、企業戦士の冷酷さが良く分かります。この娘についてはラストで衝撃的な事が分かりますから楽しみです。 航空業界はジェット化が進む時代で、大型ジェット旅客機の導入真っ只中でした。それに群がる航空機メーカーは売り込みに必死になっていた頃でした。そんな時、東京湾に乗客乗員129名を乗せたジェット旅客機が消息不明、墜落するのです。メーカー側は事故原因如何によっては受注に大きく作用するため思惑が働きます。 事故原因の究明には国家調査委員会があたりますが、それは航空機売り込みメーカーや、そのメーカーの息のかかった調査委員によってメーカーには差し触りの無いものとして作成されてしまいます。そんな時、その調査結果に疑問を持った下級官吏吉村がいたのでした。 本書執筆にあたり森村氏が一番杞憂していたのは、大量輸送旅客機が、将来その安全性に大きな問題が起こり、社会問題になるのではないかと言う事でした。本書執筆の数年後、ジェット旅客機の羽田沖逆噴射墜落事故や真夏の御巣鷹山での大事故が起こった事を知れば森村氏の杞憂は思い過ごしで無かった事が証明されます。 空港ホテルでの密室殺人事件も起こりますが、そのトリックを云々するのは控えたいと思います。むしろ事件の背景が特殊です。その事件は殺意と愛情の壮絶な交差によって起こったもので、両者の愛情が改めて確認出来る様に書かれていて、とても残酷です。親が子を愛し、娘を犯罪人にさせたくないという親心が密室を作り出していて、子を持つ親としては感情を移入せずにはいられませんでした。 最後に余談かもしれませんが、本作で登場する那須警部は青樹者の編集長、那須英三氏をモデルにしたものです。那須氏はいち早く、当時、鳴かず飛ばずの森村氏の才能を見極め、長編処女作「大都会」を出版し、推理小説を書くことを勧め「高層の死角」を書くきっかけを与えたくれた方です。その作が江戸川乱歩賞を受賞、その後の森村氏の活躍は述べるまでもありません。那須警部の休暇中に軽いサウンドミュージックを聞く姿を読むと、生前の那須英三氏の様子が伺え、そんな遊び心がとても嬉しくなってしまいました。 | ||||
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本書は1971年に書き下ろされた作品。「新幹線殺人事件」「超高層ホテル殺人事件」と書かれた三大殺人事件の二部作目です。タイトルを読むと、単に空港内で起こった殺人事件を巡る推理小説の如く思われてしまいそうですが、内容は全く違う本格的な社会派推理小説なのです。 航空機の飛躍的な発達によって、世界は急速に縮小し、犯罪も広域化、国際化するなかで日本を代表するトップ企業のエリートが企てた大犯罪です。そして挫折し、崩壊してゆく姿の悲哀を書いた本格派の小説です。森村氏独特のテクニックで、事件の起こった背景や動機を深淵に描く事で小説の内容を濃密なものにしています。 序章ではジェット旅客機がアラスカの氷原に胴体着陸するシーンから始まります。粉々になった機体から生きた者、死に絶えた者達の姿が書かれ、寒気の中で、生き残る為の争いが始まります。生存者が怪我人を置き去りにして非情とも思えるが機体から脱出する様子はとても痛々しい。これだけでも一つの小説が作れる様な話なのです。しかし、これは、ほんの序章に過ぎなかったのです。 国内大手航空会社に勤め、次期社長の座を狙う大塚義明は、娘を利用し政略的に出世に結び付ようと画策しています。娘をも出世の糧に利用するエリートサラリーマンの出世競争の厳しさ、企業戦士の冷酷さが良く分かります。この娘についてはラストで衝撃的な事が分かりますから楽しみです。 航空業界はジェット化が進む時代で、大型ジェット旅客機の導入真っ只中でした。それに群がる航空機メーカーは売り込みに必死になっていた頃でした。そんな時、東京湾に乗客乗員129名を乗せたジェット旅客機が消息不明、墜落するのです。メーカー側は事故原因如何によっては受注に大きく作用するため思惑が働きます。 事故原因の究明には国家調査委員会があたりますが、それは航空機売り込みメーカーや、そのメーカーの息のかかった調査委員によってメーカーには差し触りの無いものとして作成されてしまいます。そんな時、その調査結果に疑問を持った下級官吏吉村がいたのでした。 本書執筆にあたり森村氏が一番杞憂していたのは、大量輸送旅客機が、将来その安全性に大きな問題が起こり、社会問題になるのではないかと言う事でした。本書執筆の数年後、ジェット旅客機の羽田沖逆噴射墜落事故や真夏の御巣鷹山での大事故が起こった事を知れば森村氏の杞憂は思い過ごしで無かった事が証明されます。 空港ホテルでの密室殺人事件も起こりますが、そのトリックを云々するのは控えたいと思います。むしろ事件の背景が特殊です。その事件は殺意と愛情の壮絶な交差によって起こったもので、両者の愛情が改めて確認出来る様に書かれていて、とても残酷です。親が子を愛し、娘を犯罪人にさせたくないという親心が密室を作り出していて、子を持つ親としては感情を移入せずにはいられませんでした。 最後に余談かもしれませんが、本作で登場する那須警部は青樹者の編集長、那須英三氏をモデルにしたものです。那須氏はいち早く、当時、鳴かず飛ばずの森村氏の才能を見極め、長編処女作「大都会」を出版し、推理小説を書くことを勧め「高層の死角」を書くきっかけを与えたくれた方です。その作が江戸川乱歩賞を受賞、その後の森村氏の活躍は述べるまでもありません。那須警部の休暇中に軽いサウンドミュージックを聞く姿を読むと、生前の那須英三氏の様子が伺え、そんな遊び心がとても嬉しくなってしまいました。 | ||||
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