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東京空港殺人事件
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【この小説が収録されている参考書籍】
東京空港殺人事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.35pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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最高に読みごたえ有りました‼️ | ||||
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本書は1971年に書き下ろされた作品。「新幹線殺人事件」「超高層ホテル殺人事件」と書かれた三大殺人事件の二部作目です。タイトルを読むと、単に空港内で起こった殺人事件を巡る推理小説の如く思われてしまいそうですが、内容は全く違う本格的な社会派推理小説なのです。 航空機の飛躍的な発達によって、世界は急速に縮小し、犯罪も広域化、国際化するなかで日本を代表するトップ企業のエリートが企てた大犯罪です。そして挫折し、崩壊してゆく姿の悲哀を書いた本格派の小説です。森村氏独特のテクニックで、事件の起こった背景や動機を深淵に描く事で小説の内容を濃密なものにしています。 序章ではジェット旅客機がアラスカの氷原に胴体着陸するシーンから始まります。粉々になった機体から生きた者、死に絶えた者達の姿が書かれ、寒気の中で、生き残る為の争いが始まります。生存者が怪我人を置き去りにして非情とも思えるが機体から脱出する様子はとても痛々しい。これだけでも一つの小説が作れる様な話なのです。しかし、これは、ほんの序章に過ぎなかったのです。 国内大手航空会社に勤め、次期社長の座を狙う大塚義明は、娘を利用し政略的に出世に結び付ようと画策しています。娘をも出世の糧に利用するエリートサラリーマンの出世競争の厳しさ、企業戦士の冷酷さが良く分かります。この娘についてはラストで衝撃的な事が分かりますから楽しみです。 航空業界はジェット化が進む時代で、大型ジェット旅客機の導入真っ只中でした。それに群がる航空機メーカーは売り込みに必死になっていた頃でした。そんな時、東京湾に乗客乗員129名を乗せたジェット旅客機が消息不明、墜落するのです。メーカー側は事故原因如何によっては受注に大きく作用するため思惑が働きます。 事故原因の究明には国家調査委員会があたりますが、それは航空機売り込みメーカーや、そのメーカーの息のかかった調査委員によってメーカーには差し触りの無いものとして作成されてしまいます。そんな時、その調査結果に疑問を持った下級官吏吉村がいたのでした。 本書執筆にあたり森村氏が一番杞憂していたのは、大量輸送旅客機が、将来その安全性に大きな問題が起こり、社会問題になるのではないかと言う事でした。本書執筆の数年後、ジェット旅客機の羽田沖逆噴射墜落事故や真夏の御巣鷹山での大事故が起こった事を知れば森村氏の杞憂は思い過ごしで無かった事が証明されます。 空港ホテルでの密室殺人事件も起こりますが、そのトリックを云々するのは控えたいと思います。むしろ事件の背景が特殊です。その事件は殺意と愛情の壮絶な交差によって起こったもので、両者の愛情が改めて確認出来る様に書かれていて、とても残酷です。親が子を愛し、娘を犯罪人にさせたくないという親心が密室を作り出していて、子を持つ親としては感情を移入せずにはいられませんでした。 最後に余談かもしれませんが、本作で登場する那須警部は青樹者の編集長、那須英三氏をモデルにしたものです。那須氏はいち早く、当時、鳴かず飛ばずの森村氏の才能を見極め、長編処女作「大都会」を出版し、推理小説を書くことを勧め「高層の死角」を書くきっかけを与えたくれた方です。その作が江戸川乱歩賞を受賞、その後の森村氏の活躍は述べるまでもありません。那須警部の休暇中に軽いサウンドミュージックを聞く姿を読むと、生前の那須英三氏の様子が伺え、そんな遊び心がとても嬉しくなってしまいました。 | ||||
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本書は1971年に書き下ろされた作品。「新幹線殺人事件」「超高層ホテル殺人事件」と書かれた三大殺人事件の二部作目です。タイトルを読むと、単に空港内で起こった殺人事件を巡る推理小説の如く思われてしまいそうですが、内容は全く違う本格的な社会派推理小説なのです。 航空機の飛躍的な発達によって、世界は急速に縮小し、犯罪も広域化、国際化するなかで日本を代表するトップ企業のエリートが企てた大犯罪です。そして挫折し、崩壊してゆく姿の悲哀を書いた本格派の小説です。森村氏独特のテクニックで、事件の起こった背景や動機を深淵に描く事で小説の内容を濃密なものにしています。 序章ではジェット旅客機がアラスカの氷原に胴体着陸するシーンから始まります。粉々になった機体から生きた者、死に絶えた者達の姿が書かれ、寒気の中で、生き残る為の争いが始まります。生存者が怪我人を置き去りにして非情とも思えるが機体から脱出する様子はとても痛々しい。これだけでも一つの小説が作れる様な話なのです。しかし、これは、ほんの序章に過ぎなかったのです。 国内大手航空会社に勤め、次期社長の座を狙う大塚義明は、娘を利用し政略的に出世に結び付ようと画策しています。娘をも出世の糧に利用するエリートサラリーマンの出世競争の厳しさ、企業戦士の冷酷さが良く分かります。この娘についてはラストで衝撃的な事が分かりますから楽しみです。 航空業界はジェット化が進む時代で、大型ジェット旅客機の導入真っ只中でした。それに群がる航空機メーカーは売り込みに必死になっていた頃でした。そんな時、東京湾に乗客乗員129名を乗せたジェット旅客機が消息不明、墜落するのです。メーカー側は事故原因如何によっては受注に大きく作用するため思惑が働きます。 事故原因の究明には国家調査委員会があたりますが、それは航空機売り込みメーカーや、そのメーカーの息のかかった調査委員によってメーカーには差し触りの無いものとして作成されてしまいます。そんな時、その調査結果に疑問を持った下級官吏吉村がいたのでした。 本書執筆にあたり森村氏が一番杞憂していたのは、大量輸送旅客機が、将来その安全性に大きな問題が起こり、社会問題になるのではないかと言う事でした。本書執筆の数年後、ジェット旅客機の羽田沖逆噴射墜落事故や真夏の御巣鷹山での大事故が起こった事を知れば森村氏の杞憂は思い過ごしで無かった事が証明されます。 空港ホテルでの密室殺人事件も起こりますが、そのトリックを云々するのは控えたいと思います。むしろ事件の背景が特殊です。その事件は殺意と愛情の壮絶な交差によって起こったもので、両者の愛情が改めて確認出来る様に書かれていて、とても残酷です。親が子を愛し、娘を犯罪人にさせたくないという親心が密室を作り出していて、子を持つ親としては感情を移入せずにはいられませんでした。 最後に余談かもしれませんが、本作で登場する那須警部は青樹者の編集長、那須英三氏をモデルにしたものです。那須氏はいち早く、当時、鳴かず飛ばずの森村氏の才能を見極め、長編処女作「大都会」を出版し、推理小説を書くことを勧め「高層の死角」を書くきっかけを与えたくれた方です。その作が江戸川乱歩賞を受賞、その後の森村氏の活躍は述べるまでもありません。那須警部の休暇中に軽いサウンドミュージックを聞く姿を読むと、生前の那須英三氏の様子が伺え、そんな遊び心がとても嬉しくなってしまいました。 | ||||
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本書は1971年に書き下ろされた作品。「新幹線殺人事件」「超高層ホテル殺人事件」と書かれた三大殺人事件の二部作目です。タイトルを読むと、単に空港内で起こった殺人事件を巡る推理小説の如く思われてしまいそうですが、内容は全く違う本格的な社会派推理小説なのです。 航空機の飛躍的な発達によって、世界は急速に縮小し、犯罪も広域化、国際化するなかで日本を代表するトップ企業のエリートが企てた大犯罪です。そして挫折し、崩壊してゆく姿の悲哀を書いた本格派の小説です。森村氏独特のテクニックで、事件の起こった背景や動機を深淵に描く事で小説の内容を濃密なものにしています。 序章ではジェット旅客機がアラスカの氷原に胴体着陸するシーンから始まります。粉々になった機体から生きた者、死に絶えた者達の姿が書かれ、寒気の中で、生き残る為の争いが始まります。生存者が怪我人を置き去りにして非情とも思えるが機体から脱出する様子はとても痛々しい。これだけでも一つの小説が作れる様な話なのです。しかし、これは、ほんの序章に過ぎなかったのです。 国内大手航空会社に勤め、次期社長の座を狙う大塚義明は、娘を利用し政略的に出世に結び付ようと画策しています。娘をも出世の糧に利用するエリートサラリーマンの出世競争の厳しさ、企業戦士の冷酷さが良く分かります。この娘についてはラストで衝撃的な事が分かりますから楽しみです。 航空業界はジェット化が進む時代で、大型ジェット旅客機の導入真っ只中でした。それに群がる航空機メーカーは売り込みに必死になっていた頃でした。そんな時、東京湾に乗客乗員129名を乗せたジェット旅客機が消息不明、墜落するのです。メーカー側は事故原因如何によっては受注に大きく作用するため思惑が働きます。 事故原因の究明には国家調査委員会があたりますが、それは航空機売り込みメーカーや、そのメーカーの息のかかった調査委員によってメーカーには差し触りの無いものとして作成されてしまいます。そんな時、その調査結果に疑問を持った下級官吏吉村がいたのでした。 本書執筆にあたり森村氏が一番杞憂していたのは、大量輸送旅客機が、将来その安全性に大きな問題が起こり、社会問題になるのではないかと言う事でした。本書執筆の数年後、ジェット旅客機の羽田沖逆噴射墜落事故や真夏の御巣鷹山での大事故が起こった事を知れば森村氏の杞憂は思い過ごしで無かった事が証明されます。 空港ホテルでの密室殺人事件も起こりますが、そのトリックを云々するのは控えたいと思います。むしろ事件の背景が特殊です。その事件は殺意と愛情の壮絶な交差によって起こったもので、両者の愛情が改めて確認出来る様に書かれていて、とても残酷です。親が子を愛し、娘を犯罪人にさせたくないという親心が密室を作り出していて、子を持つ親としては感情を移入せずにはいられませんでした。 最後に余談かもしれませんが、本作で登場する那須警部は青樹者の編集長、那須英三氏をモデルにしたものです。那須氏はいち早く、当時、鳴かず飛ばずの森村氏の才能を見極め、長編処女作「大都会」を出版し、推理小説を書くことを勧め「高層の死角」を書くきっかけを与えたくれた方です。その作が江戸川乱歩賞を受賞、その後の森村氏の活躍は述べるまでもありません。那須警部の休暇中に軽いサウンドミュージックを聞く姿を読むと、生前の那須英三氏の様子が伺え、そんな遊び心がとても嬉しくなってしまいました。 | ||||
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本書は1971年に書き下ろされた作品。「新幹線殺人事件」「超高層ホテル殺人事件」と書かれた三大殺人事件の二部作目です。タイトルを読むと、単に空港内で起こった殺人事件を巡る推理小説の如く思われてしまいそうですが、内容は全く違う本格的な社会派推理小説なのです。 航空機の飛躍的な発達によって、世界は急速に縮小し、犯罪も広域化、国際化するなかで日本を代表するトップ企業のエリートが企てた大犯罪です。そして挫折し、崩壊してゆく姿の悲哀を書いた本格派の小説です。森村氏独特のテクニックで、事件の起こった背景や動機を深淵に描く事で小説の内容を濃密なものにしています。 序章ではジェット旅客機がアラスカの氷原に胴体着陸するシーンから始まります。粉々になった機体から生きた者、死に絶えた者達の姿が書かれ、寒気の中で、生き残る為の争いが始まります。生存者が怪我人を置き去りにして非情とも思えるが機体から脱出する様子はとても痛々しい。これだけでも一つの小説が作れる様な話なのです。しかし、これは、ほんの序章に過ぎなかったのです。 国内大手航空会社に勤め、次期社長の座を狙う大塚義明は、娘を利用し政略的に出世に結び付ようと画策しています。娘をも出世の糧に利用するエリートサラリーマンの出世競争の厳しさ、企業戦士の冷酷さが良く分かります。この娘についてはラストで衝撃的な事が分かりますから楽しみです。 航空業界はジェット化が進む時代で、大型ジェット旅客機の導入真っ只中でした。それに群がる航空機メーカーは売り込みに必死になっていた頃でした。そんな時、東京湾に乗客乗員129名を乗せたジェット旅客機が消息不明、墜落するのです。メーカー側は事故原因如何によっては受注に大きく作用するため思惑が働きます。 事故原因の究明には国家調査委員会があたりますが、それは航空機売り込みメーカーや、そのメーカーの息のかかった調査委員によってメーカーには差し触りの無いものとして作成されてしまいます。そんな時、その調査結果に疑問を持った下級官吏吉村がいたのでした。 本書執筆にあたり森村氏が一番杞憂していたのは、大量輸送旅客機が、将来その安全性に大きな問題が起こり、社会問題になるのではないかと言う事でした。本書執筆の数年後、ジェット旅客機の羽田沖逆噴射墜落事故や真夏の御巣鷹山での大事故が起こった事を知れば森村氏の杞憂は思い過ごしで無かった事が証明されます。 空港ホテルでの密室殺人事件も起こりますが、そのトリックを云々するのは控えたいと思います。むしろ事件の背景が特殊です。その事件は殺意と愛情の壮絶な交差によって起こったもので、両者の愛情が改めて確認出来る様に書かれていて、とても残酷です。親が子を愛し、娘を犯罪人にさせたくないという親心が密室を作り出していて、子を持つ親としては感情を移入せずにはいられませんでした。 最後に余談かもしれませんが、本作で登場する那須警部は青樹者の編集長、那須英三氏をモデルにしたものです。那須氏はいち早く、当時、鳴かず飛ばずの森村氏の才能を見極め、長編処女作「大都会」を出版し、推理小説を書くことを勧め「高層の死角」を書くきっかけを与えたくれた方です。その作が江戸川乱歩賞を受賞、その後の森村氏の活躍は述べるまでもありません。那須警部の休暇中に軽いサウンドミュージックを聞く姿を読むと、生前の那須英三氏の様子が伺え、そんな遊び心がとても嬉しくなってしまいました。 | ||||
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本書は1971年に書き下ろされた作品。「新幹線殺人事件」「超高層ホテル殺人事件」と書かれた三大殺人事件の二部作目です。タイトルを読むと、単に空港内で起こった殺人事件を巡る推理小説の如く思われてしまいそうですが、内容は全く違う本格的な社会派推理小説なのです。 航空機の飛躍的な発達によって、世界は急速に縮小し、犯罪も広域化、国際化するなかで日本を代表するトップ企業のエリートが企てた大犯罪です。そして挫折し、崩壊してゆく姿の悲哀を書いた本格派の小説です。森村氏独特のテクニックで、事件の起こった背景や動機を深淵に描く事で小説の内容を濃密なものにしています。 序章ではジェット旅客機がアラスカの氷原に胴体着陸するシーンから始まります。粉々になった機体から生きた者、死に絶えた者達の姿が書かれ、寒気の中で、生き残る為の争いが始まります。生存者が怪我人を置き去りにして非情とも思えるが機体から脱出する様子はとても痛々しい。これだけでも一つの小説が作れる様な話なのです。しかし、これは、ほんの序章に過ぎなかったのです。 国内大手航空会社に勤め、次期社長の座を狙う大塚義明は、娘を利用し政略的に出世に結び付ようと画策しています。娘をも出世の糧に利用するエリートサラリーマンの出世競争の厳しさ、企業戦士の冷酷さが良く分かります。この娘についてはラストで衝撃的な事が分かりますから楽しみです。 航空業界はジェット化が進む時代で、大型ジェット旅客機の導入真っ只中でした。それに群がる航空機メーカーは売り込みに必死になっていた頃でした。そんな時、東京湾に乗客乗員129名を乗せたジェット旅客機が消息不明、墜落するのです。メーカー側は事故原因如何によっては受注に大きく作用するため思惑が働きます。 事故原因の究明には国家調査委員会があたりますが、それは航空機売り込みメーカーや、そのメーカーの息のかかった調査委員によってメーカーには差し触りの無いものとして作成されてしまいます。そんな時、その調査結果に疑問を持った下級官吏吉村がいたのでした。 本書執筆にあたり森村氏が一番杞憂していたのは、大量輸送旅客機が、将来その安全性に大きな問題が起こり、社会問題になるのではないかと言う事でした。本書執筆の数年後、ジェット旅客機の羽田沖逆噴射墜落事故や真夏の御巣鷹山での大事故が起こった事を知れば森村氏の杞憂は思い過ごしで無かった事が証明されます。 空港ホテルでの密室殺人事件も起こりますが、そのトリックを云々するのは控えたいと思います。むしろ事件の背景が特殊です。その事件は殺意と愛情の壮絶な交差によって起こったもので、両者の愛情が改めて確認出来る様に書かれていて、とても残酷です。親が子を愛し、娘を犯罪人にさせたくないという親心が密室を作り出していて、子を持つ親としては感情を移入せずにはいられませんでした。 最後に余談かもしれませんが、本作で登場する那須警部は青樹者の編集長、那須英三氏をモデルにしたものです。那須氏はいち早く、当時、鳴かず飛ばずの森村氏の才能を見極め、長編処女作「大都会」を出版し、推理小説を書くことを勧め「高層の死角」を書くきっかけを与えたくれた方です。その作が江戸川乱歩賞を受賞、その後の森村氏の活躍は述べるまでもありません。那須警部の休暇中に軽いサウンドミュージックを聞く姿を読むと、生前の那須英三氏の様子が伺え、そんな遊び心がとても嬉しくなってしまいました。 | ||||
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ヨレや汚れもなくだいたい予想どおりでした。これぐらいで十分だと思います。 | ||||
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昭和46年1月に書き下ろしで刊行された社会派推理作品。ジェット機墜落事故とその 裏で発生した密室殺人をえがく。着陸態勢に入ったパリ発全日航442便からの送信が 突如途絶えた。到着ロビーで長期出張から戻る夫を待ち焦がれる小室由紀子に伝え られた事実は冷酷なものであった。数カ月後、小室夫妻の仲人で全日航専務の大塚が 空港ホテルの密室で殺害された。全日航機の墜落と大塚殺害に関連はあるのか? 大惨事をうけて設けられた事故原因調査団は、大企業の次期主力機導入の思惑が 絡み、機体欠陥説と操縦ミス説に分かれ対立していた。だがどちらにも疑問を持った 官僚・吉村に大塚が接近。独自に調査を進めていた大塚の死が意味するところは? 真相の糸が複雑に絡み、面白い作品であった。作者は飛行機や航空業界の構造に ついて相当勉強したことが感じられる。犯行の動機となる過去の飛行機遭難事故を 冒頭においた演出もうまい。全編を通じてダレるところがない。密室トリックは伏線が あるので、分かる人は分かるだろう。人間の恩讐、非情な企業論理、深まっていく謎、 そして人の良心とは何かを問いかける。高度成長の空気感が作品を盛り立てている。 | ||||
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森村誠一氏の初期のいわゆる「新幹線」・「空港」・「ホテル」を舞台にした三部作の、タイトルから分かるように空港をモチーフにした一編。個人的な意見だが、この3部作のなかでは本作が最も読み応えがあると思う。新幹線殺人事件と超高層ホテル殺人事件が男女の愛憎劇をサブストーリーとしているのに対して本作は序章の迫力ある飛行機墜落事件の骨太な描写に代表されるように、森村氏のその後の代表作となる人間の証明・野性の証明に連なる過去の事件がその後の人間の運命をも左右させる因果応報のテーマが盛り込まれており、単なる本格推理もののトリック暴きだけの興味で終わらせないところが森村誠一氏ならではの味わいだ。今から40年も前の作品だが全く古びていないのは凄いの一言。森村ミステリーの入門編として最適の一冊と言える。 | ||||
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森村誠一氏の作品としては初期の頃でありますが、当時から念入りで緻密な作品構成に驚かされます。大作だと思います。 思い切って航空機事故を題材にしておりますが、専門外にもかかわらずその原因の諸説や登場人物の背景等の描写が素晴らしく、社会派ミステリーとして本格さを感じます。 但し、事故原因の調査に於いては内部的な追求に留まっており、外部からの情報等がなかったのか不思議に思わされます。 また、原因究明に繋がるブラックボックスは積載されていなかったのかも謎です。(小説が書かれた時期は航空機事故が絶えなかった筈。それによってパイロット・ミス説かどうかが分かる) ミステリー小説にありがちな密室殺人の件について、殺害された状況は事細かに描かれていますが、最後に暴かれる殺害状況についての描写が淡泊すぎますね。 ただ隙をみて殺害に及んだだけになっており、実際は殺害するにあたり心の動揺等お互いの心理描写がないのが残念です。 この点は殆どの推理作家にも言えることで、それまでの作品の重みを感じさせなくなる欠点です。 登場人物の人間性を深く描いているのは、やはり最近に書かれた作品の方が強く感じますが、当時からもその描写に関して優れた才能があったのだなと感じました。 | ||||
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森村誠一氏の作品としては初期の頃でありますが、当時から念入りで緻密な作品構成に驚かされます。大作だと思います。 思い切って航空機事故を題材にしておりますが、専門外にもかかわらずその原因の諸説や登場人物の背景等の描写が素晴らしく、社会派ミステリーとして本格さを感じます。 但し、事故原因の調査に於いては内部的な追求に留まっており、外部からの情報等がなかったのか不思議に思わされます。 また、原因究明に繋がるブラックボックスは積載されていなかったのかも謎です。(小説が書かれた時期は航空機事故が絶えなかった筈。それによってパイロット・ミス説かどうかが分かる) ミステリー小説にありがちな密室殺人の件について、殺害された状況は事細かに描かれていますが、最後に暴かれる殺害状況についての描写が淡泊すぎますね。 ただ隙をみて殺害に及んだだけになっており、実際は殺害するにあたり心の動揺等お互いの心理描写がないのが残念です。 この点は殆どの推理作家にも言えることで、それまでの作品の重みを感じさせなくなる欠点です。 登場人物の人間性を深く描いているのは、やはり最近に書かれた作品の方が強く感じますが、当時からもその描写に関して優れた才能があったのだなと感じました。 | ||||
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本作で初めて森村誠一ものを読みました。 一気に読破しました。それだけの力を持った筆力なのは言うまでも無いので しょう。デビューして数十年、第一線で書き続けておられるのですから。 しかし、それだけでは本作が新書・文庫と体裁を変えながら複数の出版社 から(6社ですよ!)発売され続けた理由にはならないでしょう。ベテラン 作家の作品とは言え、駄作であれば「商品」にならないので、出版社だって 権利を買ってまでは発売しないのです。 毎日百冊単位で新刊が発売される現状で約30年間(本書が最初に発売された のは1979年)も市場に出回っているのはそこに時代は変われども普遍的な深み =人間の業といったものを描いているからでしょう。 その本質を一番わかりやすい形(殺人事件)で一般庶民が手に取りやすく (推理小説)提供しただけのこと。 そういう意味においては正当な文学作品なのです。 部屋も密室なら、その部屋があるフロアーも密室、二重密室な状況で起きた 殺人事件。被害者を探って行くとそこには一個人の犯罪、とは思えない大きな 力が見え隠れして・・・人の業、組織の論理が十重二十重に交錯する中、読者は 一気にページをめくり続けるのです。 見事なトリック、しっかりとした人物造型、練られたストーリー、30年と いう長い月日を乗り切った作品だけのことはあります。そこに至るまでの 読者達の眼を信じて先ずは一度手に取ってみて下さい。 | ||||
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本作で初めて森村誠一ものを読みました。 一気に読破しました。それだけの力を持った筆力なのは言うまでも無いので しょう。デビューして数十年、第一線で書き続けておられるのですから。 しかし、それだけでは本作が新書・文庫と体裁を変えながら複数の出版社 から(6社ですよ!)発売され続けた理由にはならないでしょう。ベテラン 作家の作品とは言え、駄作であれば「商品」にならないので、出版社だって 権利を買ってまでは発売しないのです。 毎日百冊単位で新刊が発売される現状で約30年間(本書が最初に発売された のは1979年)も市場に出回っているのはそこに時代は変われども普遍的な深み =人間の業といったものを描いているからでしょう。 その本質を一番わかりやすい形(殺人事件)で一般庶民が手に取りやすく (推理小説)提供しただけのこと。 そういう意味においては正当な文学作品なのです。 部屋も密室なら、その部屋があるフロアーも密室、二重密室な状況で起きた 殺人事件。被害者を探って行くとそこには一個人の犯罪、とは思えない大きな 力が見え隠れして・・・人の業、組織の論理が十重二十重に交錯する中、読者は 一気にページをめくり続けるのです。 見事なトリック、しっかりとした人物造型、練られたストーリー、30年と いう長い月日を乗り切った作品だけのことはあります。そこに至るまでの 読者達の眼を信じて先ずは一度手に取ってみて下さい。 | ||||
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作者の初期の作品でスケールの大きなアリバイ・トリックが売り物。しかし、このトリックは現実性に欠ける。 犯行が起きた時、犯人は外国にいたというトリックなのだが、私の数少ない海外旅行の経験でも、トランジットで数時間待つのは当たり前。それが、こんな風に犯人の計画に合わせ、予定通り飛行機が運行するとは考えられない。作中でさすがにその点を追求されて、犯人(=作者)が「その時はその時と思って諦めていた」と開き直るのも感心できない。ミステリの"お約束"を破っている。 壮大なトリックを試みて、結局空疎な結果に終ってしまった作品。 | ||||
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作者の初期の作品でスケールの大きなアリバイ・トリックが売り物。しかし、このトリックは現実性に欠ける。 犯行が起きた時、犯人は外国にいたというトリックなのだが、私の数少ない海外旅行の経験でも、トランジットで数時間待つのは当たり前。それが、こんな風に犯人の計画に合わせ、予定通り飛行機が運行するとは考えられない。作中でさすがにその点を追求されて、犯人(=作者)が「その時はその時と思って諦めていた」と開き直るのも感心できない。ミステリの"お約束"を破っている。 壮大なトリックを試みて、結局空疎な結果に終ってしまった作品。 | ||||
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航空機ミステリーというと傑作「超音速漂流」が思い浮かびますが、あの墜落時の目を覆うような惨事から、さらに加えてそこから一企業の暴落か否かのドキドキのサスペンスに転じそこからはどうなっていくのか目が離せなくなり中々面白かったです。ある飛行機のまるで少し前の日航機墜落事故と似たような墜落事故が起こる、そこで起こった人々の衝撃とその後の急場のしのぎへの苦痛を伴う姿をみていると、まるで松本清張の「カルネアデスの板」みたいな緊急避難の姿が思い浮かばれてきます。そして何年かして再び旅客機の墜落事故がおきるに及んで捲りくる企業のエゴと殺人事件の発生。果たしてこの旅客機の墜落事故の原因は何なのか。殺人事件との関連はどのようなのか。殺人事件の真相は。事件の内実に隠された人間的な温かさを今回も堪能させていただきました。 | ||||
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航空機ミステリーというと傑作「超音速漂流」が思い浮かびますが、あの墜落時の目を覆うような惨事から、さらに加えてそこから一企業の暴落か否かのドキドキのサスペンスに転じそこからはどうなっていくのか目が離せなくなり中々面白かったです。ある飛行機のまるで少し前の日航機墜落事故と似たような墜落事故が起こる、そこで起こった人々の衝撃とその後の急場のしのぎへの苦痛を伴う姿をみていると、まるで松本清張の「カルネアデスの板」みたいな緊急避難の姿が思い浮かばれてきます。そして何年かして再び旅客機の墜落事故がおきるに及んで捲りくる企業のエゴと殺人事件の発生。果たしてこの旅客機の墜落事故の原因は何なのか。殺人事件との関連はどのようなのか。殺人事件の真相は。事件の内実に隠された人間的な温かさを今回も堪能させていただきました。 | ||||
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