港町N市―市長を巻きこんだ抗争から2年半が経過した。

他人を傷つけ、自分も傷つく。はりさけそうな胸をおさえて涙を微笑で隠す危ういとしごろ…。

母親殺しの容疑で逮捕され、無実を訴えつつ憤死した口の利けない少年の声なき叫び!ヒューマニズムに裏打ちされた初期の秀作。

「鮎川哲也さんは謎と論理の小説に優れた、ごく少数の作家の一人である。

思わぬゆき違いから結びついて、たがいに激しく憎悪しあうようになった男女が、太平洋にただよう小さなヨットの中で殺意をむき出しにして対決した。

胸を病み、ある事情から絵筆を捨てた絵描きの「私」は、結核で夫を亡くした寂しげな影をもつカフェの女給鈴子とめぐり会う。

ドイツ人とミクロネシア人と大阪人の混血にして、ヨーガと奇術の達人ヨギ ガンジー。

マル・アデッタ星域会戦によって、皇帝ラインハルトはイゼルローン要塞を失陥した。「してやられたか、またしてもあの男に!」。

同僚を斬殺した主人公に討手がせまる。しかし、身を隠す暮しのうちに、人の情けと心意気があった。

名前が何となくおかしい。「田」。

〈空海が密かに唐から持ち帰った“四殺”を封印せよ〉という秘命が、高野山から闇世界の事件処理人・孔雀明王美空に下った。

「清朝の祖」は源義経か!?鬼才・芥川龍之介が歴史の謎に挑戦。

男は呼び戻された。忘却の淵へ沈めていた過去の世界へ…。

ある日、遊園地のお化け屋敷に迷い込んだ少女ピコタンは、女の子の幽霊に頼まれて入れかわる。

はじめまして。あたしの名はシルビア、勤め先は吉原のソープランド、〈仮面舞踏会〉。

女子大生の亜由美とダックスフントのドン・ファンは、素人探偵コンビ。いつしか事件にまきこまれる。

集中豪雨がもたらした土砂崩れで、列車は駅と駅とのド真中で完全にストップ。

平凡なサラリーマンが、ねごとで妻にもらした見知らぬ男への殺意。ねごとでの殺人計画はしだいに具体化していく。

人間の再生と救済―新しい物語文学の誕生。

平々凡々なサラリーマン小田桐茂、29歳。ひょんなことからアイドル歌手・細原ゆかりと知り合い、一方的に結婚宣言を出された。

郊外団地の住民同士のもめ事での不幸な＂殺人＂を目撃したばかりに、女子高校生・香織は数々の出来事に巻き込まれる。

新宿角筈村に剣術道場を構える老剣客・日影一念は、臨終の床に2人の内弟子、成子雪丸と白根岩蔵を呼び寄せると、一巻の巻物を取り出し、これを自分の遺体と共に土中に埋めよと言い残して死んだ。

社会主義国ソビエト日本が世界に誇る古典女流作家紫式部―その否定は国家に対する裏切りと反逆を意味した。2073年の京都。

江戸中期の尊王論者、山県大弐と出会ったことから藩の内紛にまきこまれた二人の青年武士の、友情の破綻と和解までを描いた初期の中編「夜明けの辻」。

――殺しだよ。 傷は、柔術で言う独古(どっこ)と呼ぶ急所を抉ったあとだった……。

深夜、人気推理作家の荒木康之は、女性編集者と共に、信州の穂高に向かった。

愛しあう佑伍と多恵に突然の別れが訪れた。

日米開戦前夜の昭和十五年、東亜新聞記者中沢靖彦は、米国から帰国したばかりのかつての恋仇岩岡の土産話を聞きに、従妹の香代子と共に出かけた。

マンション受水槽の腐乱死体と幼女誘拐。

混迷する捜査。絞りきれない犯人像。

昭和7年、横浜真金町遊廓で起きた連続殺人事件。

「喧嘩が強くハンサムで、俺が信用するのは、死体とやらせてくれた女と金だけ」と豪語する快?怪男児で超A級の精神ダイバー毒島獣太は、陰陽師ひるこの呪詛によって淫乱女となった清純歌手の叶雪に精神ダイブした。

ヨーロッパのハネムーンから戻った伸子は、出迎えた兄から突然、会社重役の父羽川重信に会うようにと告げられた。

競馬界を舞台にしたミステリーの最高傑作。北海道で3億2千万円のサラブレッド「セシア」が盗まれた。

妙なる楽器の音色と、血も凍る殺人劇との組み合わせ。そのアンバランスぶりが、いわゆる音楽ミステリの妙味となろうか。

殺害現場の天井に貼られた1枚のカード、ダイアモンドのジャック。

「俺の名は毒島獣太。喧嘩が強く、ハンサムな超A級の精神ダイバーである。

パリに住む一匹狼・古郷聖司は、傭兵組織の首領・オルソップの仲介で仕事を受けた。

フリーのPRマン・漆田亮は、得意先の日野楽器から、ある男を探してくれと頼まれる。

幻法びるしゃな如来に呪われた12人の剣豪対若き忍者の闘い!

赤川ミステリーの人気の秘密を探る作品群!!Part2―叔母の薦める見合の相手。

京都・嵯峨野の小さな寺で、「私はここに人を殺しに参りました」と書いた美しい女。沖縄を旅行中、妻の殺人計画を企てる夫。

オイディプス王の悲劇ふたたび―嵐の夜に起った殺人事件。

マスコミが兄を殺人犯にし、自殺に追い込んだ!!無実を叫びながらも、妹秀美の幸福を願い獄中で自殺した克彦。

昭和57年―。東京・荒川の河川敷で、関東大震災直後に故なく虐殺された朝鮮人を慰霊するための遺骨発掘作業が行なわれた。

工藤康男は愛情薄い育ちだった。生まれて、すぐ祖母に預けられ、父親もわからず、母・紀美子は行方不明。

N市―。市長を巻き込んだ抗争から1年半がたった。

相ついで起った五つの難事件に立ち向う田沢軍平クンは、どんぐりまなこに分厚いめがね、早くも薄くなりかけた髪とたまりにたまったアパート代を気にしながらモッサリと登場!?しかしこの軍平クン、モデル・女医・人妻から薄幸のホステス・不良少女にまでなぜかモテモテで―人

敗戦の満州から桜子は果して脱出できたのか?史上初の読者による選考で圧倒的支持を得た長篇推理。

6つの人物ノンフィクション

綾野姚子という無名でしかも故人により新作歌舞伎『大内御所花闇菱』が名優芳沢蘭右衛門の肝いりで上演された日、劇場内で、妹の曙子が姉と見まちがえた女性が、何者かに刺されるという奇妙な事件が起きた。

私は女優、小栗久美子。実際にあった18年前の事件を映画化するため、スタッフとともにこの山深い平家谷へやって来た。

政権禅譲を噂される寺西議員と財界をつないでいた秘書外浦卓郎が辞任し、南米へと旅立った。

保守党派閥抗争の確執の中、若手議員川村は色と金を求め、銀座の高級クラブのママ織部佐登子に眼をつけた。

ゴールデンパウム朝銀河帝国の開祖ルドルフ大帝の即位から486年宇宙歴759年、ラインハルトは19歳だった。

傑作ユーモアミステリー。奇妙な仲間たちの奇妙な事件簿。

無人の豪邸の不思議な「窓」。新境地を開く長篇サスペンス。

その結婚、ちょっと待って!あいつの狙いは、持参金、そして保険金。

ある日、新進SF作家のきみ(栗本薫)のもとへ届けられた1通の手紙。

ゴルフ場経営者殺害事件の容疑者は工事を請負った造園会社社長。

10年前起こした心中事件は何だったのか?「もしわたしたちが、いつかおとなになることだけのためにうまれてきたのなら」海岸道路を走る車の中で映子は19歳のぼくにささやいた。

オペラ“椿姫”の哀切な旋律が流れるなか、主役ヴィオレッタが毒殺された。

ロンドンに赴任した貿易会社常務・倉内優二は、取引きを始めた陶磁器メーカーの女性オーナー社長マリアンヌと運命的な出会いをした。

マリアンヌへの優二の愛は深まっていった。だが、殺人事件によって、彼女の秘められた過去が浮かび上がる。

極限のサスペンス小説、登場!! 新鋭、渾身の書き下ろし長編。

憧れの課長から昼食に誘われ、「我が社のために重要書類を届けてくれ」と指示された新米女子社員の恭子。

遠沢加須子は、中部光学という夫の遺したレンズ製造会社を長野県の諏訪で経営している。

平凡な会社員・鈴井伸夫のもとに、幼なじみと称する女が現れた。

大学生・柱田真一はある日、反故紙の中から樋口一葉の遺稿らしき紙片を見つける。

二号は一見本妻風、模範警官がギャング……。

江戸の暗黒街。昼間は実直な職人や清貧の剣客が、夜闇の中では金ずくで人を殺める殺し屋に変貌する。

戸根市にはびこる二つの暴力団・北浦組と大門組は、ことごとにいがみ合い、まさに一触即発。

名探偵にして銀ぶちめがねの極楽とんぼ伊集院大介が、奇妙な行動をとり始めた。

海を漂う幽霊船の謎に十津川警部が挑む！ 魔の海で発見された大型クルーザーに乗っていた9人はどこに消えたのか 「魔の海」と恐れられる小笠原諸島沖合いの海域で行方を絶っていた大型クルーザーが発見された。

新設大学のテニス部員椎名燎平と彼をめぐる男友達、女友達。

サノックス卿夫人秘話,屋敷と呪いの脳髄,幽霊船 他

大人はなんにもわかっていない、僕らがこんなに凄いってことを。パパやママの知らないお家だって持っている。

井上刑事の恋人直子の恩師井村典子が不倫。そして不倫相手のTV局員唐木が殺される。

落ちぶれた奇術師・楓七郎は、かつての仲間から仕事の依頼を受けた。

この短編集のあちこちに、この私の風景が点在している。――著者 別れた亭主が子と消えた……。

三成は、政治の要諦は謀略だと信じているらしかった――。 知将・直江兼続の視点で描く関ケ原の深層。

〔けころ〕とよばれる娼家から身請けされ、いまは囲われ者となっているおせんと、かつてのなじみ客でゆすりの罪で島流しにあった男の母親との心のふれあいを描いた表題作。

優しい千絵の父親松木尚二が突然ビルの屋上から飛び降りた。

航空スト当日、暴力団川田組組長の有罪の決め手となる重要な証人を、札幌地裁まで連れていかなければならない。

冬山登山中の男女５名は、猛吹雪に遭い、廃鉱になった鉱山事務所に避難する。

ラブホテルで盗聴したテープを心ときめかせて聞いた雑誌編集者の宮脇平助は、それが死の演奏への序曲だと知った。

秀吉の遺制を次々と破って我が物顔の家康に対抗するため、兼続は肝胆相照らす石田三成と、徳川方を東西挟撃の罠に引きこむ密約をかわした。

一九八二年九月、著者は戦後三十七年にして初めて“悪魔の部隊”の痕跡を辿った…。